Wiki内検索
最近更新したページ
最新コメント
FrontPage by 名無し(ID:RU91bAeIZA)
Fate/XXI:17 by 名無し(ID:bRwkT0GI/w)
空の境界 ―殺人依頼― by 電子の海から名無し
【Fate/Grand Heaven】 by 名無しのマスター
【Fate/Grand Heaven】 by あんこ物質
≪Fate/DIO≫ by パラッパラッパー
Menu
ここは自由に編集できるエリアです。
タグ

Fate/XXI:4

   Fate/XXI


   ACT4 吊るされた男を助けて



 ウェイバー・ベルベットはこう考えていた。

 もしも、運命というモノに具体的な形があるのならば、唾を吐きかけて踏みつけてやりたいと。

(どうしてこうなる!?)

 今、彼の隣にはランサーがいる。霊体化はしていない。まあそれはいい。実体化しなくてはならなくてはならなかったのだから、仕方ない。だが問題は、彼の前にある。

「サー、ヴァント?」

 ウェイバーとランサーの前で茫然としている二人。正確には二人とも人間ではない。
 サーヴァント・セイバーと、ホムンクルス・アイリスフィール。二つの美貌がポカンと口を開けていた。

「ぐっ、くう………」

 こんなに間近で気付かれてしまっては、もう逃げることもできない。ウェイバーは血の気の引いた顔をぬぐい、唇を噛み締めて恐怖による震えを抑え込み、拳を血が出そうなほどに握り締め、現状を耐える。

(こうなりゃやけだ! どうせいつかは戦うんだ!! それが今だってだけのことだ! そうだそうしようそうすることに決めた!!)

 無理矢理に思考をまとめ、なんとかパニックだけは防ぐと、ウェイバーはぎこちなく腕を動かし、海浜公園の東、プレハブ倉庫の方角を指差した。

「………あの辺りには人もいないだろう」

 緊張で低くなった声音を出すウェイバーに、セイバーたちも状況を認識したらしく、顔つきが引き締まった。

「………マスター、どうしますか?」

 セイバーがアイリスフィールにお伺いをたてる。そこにウェイバーはほんのちょっぴり、今回の戦いはお流れになるのを期待したが、

「ええ。お招きにあずかりましょう」

 当然と言うべきか、その期待は裏切られた。完全に戦うしか無くなったウェイバーは、腹をくくって、戦場と定めた場所へ向けて歩き出す。

「行くぞ、ランサー」
「はっ」

 ランサーは恭しく礼をし、ウェイバーの後に続く。その後にセイバーたちも続いた。

「それにしても、こんな展開で戦いの幕が開くなんて、思いもしなかったわ」

 アイリスフィールが、呆れたような感心したような、微妙な響きの声で言った。

(ああ、僕だって思わなかったさ!)

 その言葉が耳に届き、ウェイバーの顔をしかめさせた。

 彼らがその顔を突き合わせたきっかけ。それはまず、地の利を得るために町を散策していたウェイバーが、たまたま生まれて初めて歩く町を楽しんでいたアイリスフィールを、未遠川にかかる冬木大橋にて、見つけてしまったことにあった。

   ―――――――――――――――――――

「ランサー、あれを見ろ」

 ウェイバーのマスターとしての眼力は、アイリスフィールと並び歩くダークスーツの美少女が、サーヴァントであることを見破っていた。しかもそのステータスはかなりの高位にあることも理解できた。

「あの者、ぶれることのない歩き方だけで、かなりの達人であるとわかります。サーヴァントの中でも騎士のクラスにあるサーヴァントでしょう。おそらくはセイバーかと」

 ランサーの評価にウェイバーは頷き、次にセイバーと共にある女性を見る。ウェイバーには戦いや魔術の実践の才能は無いが、その観察眼と洞察力は並み外れていた。今までに出会ってきた達人、勇者の立ち振る舞いや雰囲気を、アイリスフィールと比べてみて、彼女が戦いの素人であると判断できた。

「あのマスターらしい女性は、どう見ても油断している。戦闘に長けてもいないみたいだ。戦力にはならない、いや、足手まといになるかもしれない。上手くすれば………よしランサー、不意打ちをしかけるぞ」

 ウェイバーは奇襲を選ぶ。あのサーヴァントと正面から戦う気は到底しなかった。幸い、周囲に他に人影はない。橋を渡る彼らと、橋のふもとで身を潜めているこちらとの距離は約100メートル。戦いにまでは及ばず、一方的に傷を癒さぬ呪いの槍、【必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)】の一撃をくらわせ、すぐ離脱する。単純だが敵の力を殺げる、悪くない作戦だと思えた。
 だがランサーは違ったようだ。言葉にも表情にも出さなかったが、ランサーの体が一瞬、強張ったのを、ウェイバーは見逃さなかった。その一瞬の硬直は、おそらく作戦への嫌悪感からくるものなのであろうことも感じ取れた。

(騎士道というやつか? しかしもはや戦いに参加している以上、油断している方が悪いと思うんだけどな)

 ウェイバーも騎士を先祖に持つ家系だ。まったく騎士について理解が及ばないわけではないが、騎士道に同意する気もない。戦いはできるだけ楽にしたいものだと思っている。正々堂々の勝負とかに憧れる気持ちはないし、そもそもそんな勝負ができるほど実力があるわけでもない。

(僕がマスターである以上、やり方は僕が決める。反論はさせない)

 その辺のことをビシッと言ってやろうと、ウェイバーが口を開こうとした時、彼の眼は別の物を捕らえた。捕らえてしまった。巨大な冬木大橋の、高さ50メートル以上あるアーチの頂きに、一人の少年がしがみついているのを。
 なぜそうなったのかはわからないが、少年は頂きに右手一本をかけただけの状態で足を下にして宙ぶらりんに『吊るされて』おり、しかも這い上がる体力が無いらしく、今にも落ちそうに震えているのが、魔術で強化した視力によって観察できた。

 そしてその手が、ついに、離され、少年の体はずるりと、落下し、

 気付いた時には、ウェイバーは叫んでしまっていた。

「あいつを助けろランサー!!」

 その声は、セイバーたちにもはっきりと聞こえてしまっていた。
 ランサーは機敏に動き、少年が落ちるよりも速く一瞬でアーチを駆け登り、地上まで残り10メートルという辺りの空間で少年を抱きとめ、難なく地面に下ろしてやっていたが、その姿もまたセイバーにははっきりと見えていた。
 そして、冒頭にシーンに繋がるというわけだ。

   ―――――――――――――――――――

(なんで叫んじまったんだ僕の馬鹿! あんな子供ほっとけばよかったんだ!)

 ちなみに、その助けられた少年は、ランサーの腕に抱えられたまま意識を失っていた。もし意識があったら忘却の魔術でもかけなければならなかった。面倒が無くていいとウェイバーは考え、橋にそのまま寝かせて放置してきた。

「ランサー」
「はっ」
「もう作戦もクソもない。お前の実力だけが頼りだ。しっかりやれよ」

 全部をサーヴァントに丸投げするウェイバーだったが、ランサーはその言葉に深く頷き、

「お任せください。このランサー、必ずや貴方に勝利と栄光と、聖杯をもたらしましょう」

 その態度に、さきほど感じられた不満や嫌悪はない。敵への攻撃より、関係のない人間の救助を優先したことが、ランサーからの好感度を高めたらしい。だがもちろん、それはウェイバーの機嫌を良くすることは無い。

(どうしてこうなった!?)

 その言葉が、闘技場とさだめた場所に辿り着くまで、ウェイバーの頭の中を繰り返し流れていた。

   ―――――――――――――――――――
 
 ウェイバーたちが去り、完全に人がいなくなった橋の上で、命を助けられた少年は、ウェイバーたちがいなくなってすぐに眼を開けた。意識は失われてなどいなかったのだ。起き上った少年はまず、自分の右手のひらを見つめた。

「血か? これは………」

 手のひらには、赤黒い、錆びた鉄の匂いをたてる、粘度の高い、そんな不愉快な液体がへばりついていた。さきほどアーチにかかった手がすべってしまったのもコレのせいだ。コレが無ければ這い上がれたものを。

「あの化け物、死んだら血に変わるのか、あるいは血が化け物の正体なのか………まあいい。どちらにせよ、倒せない敵というわけではないと確認できた」

 少年はポケットから携帯電話を取り出し、連絡を取る。すぐに相手の声が耳に響いた。

「フーゴか? ああ、例の化け物についてはある程度わかった。勝てない相手じゃない。それより、別のものを見た。あれはおそらくサーヴァントというやつだろう」

 少年の口からは、一般の人間が決して知りえない単語が吐き出されていた。

「これからサーヴァント同士で戦うらしい。見に行ってみる。何、潜入は得意だ。ああ、わかっている。アバッキオにも伝えておいてくれ」

 これからの行動の打ち合わせをした後、少年は通話を切る。

「………あの速度、あの力、あれがサーヴァント。あんなものを連れているのか奴は。サーヴァントの使役する化け物を1体倒すだけでヒィヒィ言ってる俺たちで、本当に倒せるものか?」

 少年は弱気な呟きをつい漏らす。だが、すぐに息を一つ吐くと、

「いかんな。やれるかどうかの問題じゃぁない。やるしかないんだ。あんな屑どもをのさばらしてはおけない………」

 一週間前のことである。少年の属する『組織』が日本に派遣していた人間が、無惨に殺害された。それは別の組織の計画的な殺人ではなく、ただの『趣味』による猟奇殺人であったが、どちらにせよ『組織』の顔に泥を塗った行為を許してはおけない。
 ゆえに少年はこの地に来た。『組織』の復讐のために。だが、もはや少年の胸に宿るものは、任務のみではない。【犯人】の行った悪魔のごとき所業を見て、少年は組織の一員としてではなく、彼自身として、強い怒りを抱いていた。
 仲間の能力で、犯人の正体は簡単にわかった。だが、そこに魔術師などという存在が絡んでくるなどまったく想像の埒外であった。今、犯人は魔術を使った異様な移動方法を行っているらしく、仲間の能力でも追跡はできていない。
 その後、更に激化した行方不明事件を調査し、犯人を見つけ出そうとしていると、妙な奴らに襲撃された。返り討ちにして拷問にかけると、魔術師や聖杯戦争などといった情報を吐いてくれた。


 信じがたい話ではあったが、肌や汗の様子からして、嘘をついているとは思えなかった。彼らは教会とやらの所属らしいが、宗教関係者と言っても、教会のためならもはや殺人も躊躇しない、人間の屑の類であると、同じ人間の屑の立場にある少年たちには感じ取れた。ちなみにその後、情報提供者は骨も残さず消滅することになった。
 彼らの存在に気付いたのは、最初の襲撃者のみ。彼らを始末したため、まだ教会の本部には情報は伝わっていない。自由に動けるうちに、できるだけのことしておかなくては。

「お前の名前はわかっている。『雨生龍之介』………お前を殺すのは、俺たち3人だ」

 少年―――ブローノ・ブチャラティはウェイバーたちの戦場へと歩を進める。己の信じる正義のために。

   ◆

 そこは濃厚な闇に満たされていた。空気は酷く生臭く澱み、床は匂いの根源である血によって満たされている。そんな澱んだ闇の中心で、男は『糸』が断ち切れる感触を覚えた。

「………何者かに潰されましたか」

 彼が子供をさらうために放った使い魔たち。その内の一体が消滅したことが、主である彼に伝わったのだ。
 男は詳しい情報を探るために、魔術によって消滅した使い魔の記憶を再起させ、自分のものにする。

「ふむ、この少年か。子供をさらう瞬間を目撃して、これを救出した………のはいいとして、一体どうやって使い魔を切り裂いたのでしょう? 魔術でもないようですが」

 霊視力を持たない使い魔の見た記憶からでは、スタンドまではわからない。ただ特殊な技能を持っているとだけ理解し、追憶を進める。

「逃げていく使い魔を、オートバイとかいった乗り物を使って追ってきましたか。おお………大橋のアーチを登ってまで逃げたというのに、それでも追ってくるとは。凄まじい執念。それにこの少年の眼には、気高い精神が秘められていますね」

 そして、夜景が見下ろせるアーチの頂上で、使い魔がとどめを刺されたところで記憶は終わった。一歩踏み外せば墜落死する高所で、恐れも無く、見事な身のこなしで戦った少年の在りように、男は酷く心を沸き立たせた。

「うーむ。いいですね。いいですねぇ。実に素晴らしい正義の魂を持った少年だ。私の趣味としては少々年上ですが、中々の美貌の持ち主。彼を私の芸術の一つにするのも、悪くは無い」

 男は新たな獲物の発見に、深く感じ入っているようだった。そんな彼に声が掛かる。

「どうしたの、蒼髭の旦那?」

 声の主は年若い青年だった。急に創作活動を中断した男に対し、訝しげな表情を浮かべている。
 彼の名は雨生龍之介。ブチャラティが探している殺人鬼。悪くない容姿と体型をしているが、その目が送る眼差しは、爬虫類めいた、異質なものであった。今、彼が男と共に行っていたのは、芸術の創作だ。
 その熱意。その真剣さ。その創造性は、単なる趣味の範疇に収まらぬ、まさに芸術家のそれだった。ただ、その芸術の材料となるのが『人間』であるというのが非常に問題となるのだが。

「ああリュウノスケ。少し次の作品のインスピレーションが湧いてきましてね。ああもっと材料が欲しいですね」

 男は手にした書物をかざし、呪文を唱える。その書物は人間の皮でつくられ、裸の美少年の姿を装飾した、禍々しいものだった。そんな本に記述された呪文もまた、当然気色のいいものではない。
 呪文を唱え終わった直後、男の足元に流れた夥しい量の血から、鉛色のウロコに覆われた、人間の形をした魚のような怪物が現れた。さきほど倒されたのと同じ種類の使い魔だ。
 魔物の召喚と使役。それが、龍之介が遊び半分で行った儀式によって、その男――魔術師のサーヴァント『キャスター』の力。
 名も無き異界の怪物は、見た目より遥かに俊敏な動きで走り、主の為に哀れな犠牲を捕らえに向かうのだった。

「さて、では作品の続きを」

 男が、外側に飛びだしてなお、まだ熱い体温を残している大腸を掴もうとした時、空間の中央に据えられていた水晶球が淡く輝く。

「おや、これはこれは………リュウノスケ。どうやら戦いの始まりのようです」

 町中で大規模な魔力の反応が起こった時、それを察知して自動的にその場所を遠視する機能を持たせた水晶球が、正確にその機能を発動させたのだ。

「おっ! またあのサーヴァントってやつが見れるの?」
「ええ。私の同類。ありえざる客人。この世の未練を諦めきれぬ、欲深き死霊たち。彼らによる戦いが再び始まります」
「2回目かぁ。1回目であのアサシンってやつは殺されちゃったんだよねぇ。ちょっと残念だなぁ」
「………それはどうでしょうね。果たして本当に敗北したのかどうか」

 キャスターは思い起こす。この世に再臨してから、初めて出会った自分以外のサーヴァント。
 アサシンのことを。


   ―――――――――――――――――――


『何者か!』

 自分の造り上げた魔術師の工房の中でありながら、背後に自分でも、龍之介でも、使い魔でもない者の気配を感じ、キャスターは振り返った。

『おっと。そう警戒しなくてもいい。今は戦いに来たわけじゃないんだ』

 闇に溶け込むようにして、彼はいた。黄金の頭髪をたなびかせ、圧倒的な存在感でこちらを威圧しながら、柔らかい口調で彼は話す。一体これだけ目立つ男が一体どうやって、今まで気配を隠していられたのか、まったく不思議だった。

『私はアサシン。ここの闇が私を呼んでくれてね。惹きつけられてきたんだ。いい作品じゃないか。少し鑑賞させてもらってもいいかい? キャスター』

 彼は工房に並べられた、キャスターと龍之介の生み出した作品の数々、粋を凝らした芸術を眺めて微笑んでいた。


『凄いものだな。家具に衣服、楽器に食器………人体でこれほどのものがつくれるなど、私の想像力では及ばぬ成果だ。私もこの世にあった頃は色々創ってはみたんだ。犬の体に人間の頭を繋げたりとかね。けれどこれを見たら、私のは下品なお遊びにすぎないな。いくら称賛しても足りないよ。これほどに美しい邪悪はそうはない。かつての我が部下、切り裂きジャックでさえ、ここまでではなかった』

 賛辞を並べたてられて、キャスターは怯む。敵意や殺意を向けられたら、戦うなり逃げるなりすればいいが、こうも本気で純粋に褒められると対応に困ってしまう。何より、嬉しくなってしまう。
 龍之介などは顔を紅潮させ、自慢げに胸を張っていた。

『もう少し見ていたいが、あまり長居するとマスターにばれてしまうのでね。ところでよければだが………作品を一ついただけないだろうか。私の住まいは立派ではあるが、いささか堅苦しくてね。美術品の一つくらい欲しいと思っていたんだ』

 そう言うアサシンにキャスターが返事するまでもなく、

『そこまで気に入っちゃった? へへ、作者冥利につきるなぁ。OK、OK、そこの棚のやつ、どれでも持って行ってくれよ。小物だけど、どれも自信作だぜ!』

 龍之介は大変嬉しそうにそう言ってしまった。アサシンは頷いて、その中ではあまり目立たない意匠の時計を選んだ。その判断に、キャスターは口だけではないなと、アサシンの審美眼を認める。
 その時計は、その棚にある他の作品、髑髏で造ったランプなどと比べ、見た目の派手さでは劣るが、針の一本、歯車一個を、すべて骨や、歯や、皮や、髪の毛でつくった、その棚に並ぶ物の中で一番手間暇かかった逸品だった。

『ありがとう。では私からもお返しだ』

 アサシンは時計を左手に持つと、空いた右手を腰の辺りから体内へとねじ込んだ。

『!?』

 驚くキャスターたちをよそに、穴の開いた体から右手を抜き出したとき、その手には白い骨が摘み出されていた。

『私の骨だ。これは君にパワーを与えてくれるだろう』

 彼は軽くそう言い、骨を龍之介に投げ渡す。龍之介が慌てて骨を受け止めるのを見届けると、

『ではまた会おう。できれば君らとは友達になりたいものだ』

 そして、彼はまるで彼自身が闇そのものであったかのように、その姿を闇に消した。

   ―――――――――――――――――――

(あの骨そのものはさして魔力が籠っているわけではない。しかし、あの男の骨であるというだけで、何か底知れぬ力を感じてしまう………。錯覚か? いや、違う。あの男は何かが違う。ジャンヌとは真逆の、人を超え、神にも迫る、そんな何かを感じた………)

 キャスターは回想しながら、これから起こる聖杯戦争を見つめる。本当にあのアサシンは滅んだのか。それもいずれわかるだろう。
 キャスターにとってただ一つ心配なのは、もしもあのアサシンが手を差し伸べてきたら、友になろうと言ってきたら、自分はそれを振り払えるだろうかということだ。

 あの、アンチキリストとでも言うような、底知れぬ怪物に再び出会ったら、自分はどうするのだろうか?

 キャスターはそれがわからなかった。



   ◆

【CLASS】キャスター
【マスター】雨生龍之介
【真名】ジル・ド・レェ
【性別】男性
【属性】混沌・悪
【ステータス】筋力D 耐久E 敏捷D 魔力C 幸運E 宝具A+
【能力】
  • 陣地作成:B
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。“工房”の形成が可能。
  • 道具作成:−
 宝具による召喚能力を得た代償に、道具作成スキルは失われている。

【保有S】
精神汚染:A
 精神が錯乱している為、他の精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトする。ただし同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。

芸術審美:E−
 芸術作品、美術品への執着心。芸能面における逸話を持つ宝具を目にした場合、ごく低い確率で真名を看破することができる。
 
【宝具】
【螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)】
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1〜10 最大捕捉:1000人

 ―――人間の皮で装幀された魔導書。
 深海の水魔の類を召喚し使役できる。
 この本自体が魔力炉としての機能を持ち、術者の魔力に関係なく、大魔術・儀礼魔術レベルの術行使を可能にする。




……To Be Continued
2011年10月10日(月) 11:12:34 Modified by ID:pCWThBBbfQ




スマートフォン版で見る