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人外だらけの聖杯戦争・幕間 間桐のサーヴァント



   人外だらけの聖杯戦争・幕間 間桐のサーヴァント



「なんでだよ! クソックソックソックソッ!!」

 一人の少年が激しく大地を蹴り飛ばしていた。

「なんで遠坂が衛宮と組んでんだよ!! あの女、僕が同盟を誘った時には断ったクセになんで!! その上、衛宮がマスターだって? ふざけてんのかクソォ!!」

 見たところ高校生くらいの年格好。波打ったような黒い髪の毛が特徴的だ。手には異様な空気を感じさせる本が握られている。顔立ちは中々にいいが、今は怒りのため醜悪に歪んでいる。どうやら彼が、士郎たちを襲った鼠のサーヴァントの主であるようだ。

「に、兄さん。一体何が……」

 酷く気弱そうに話しかけたのは、少年の傍らにいた少女だった。美しい容貌と肢体の持ち主だが、何かを諦めたような暗い影を宿していた。兄さんと呼んだからには、彼らは兄妹なのだろうか。それにしてはあまり外見が似ていない。

「はっ! お前の大好きな衛宮が、剣を持ってアーチャーに切りかかってきたんだとさ! 遠坂とコンビを組んでな! アーチャーはさっぱり負けちまったわけだ! お前のせいだぞ桜!! お前がこんな鼠なんか召還するからだ!! お前がもっとマシなサーヴァントを召還できていたら僕がこんな屈辱を感じることは……!!」

 少年はアーチャーからの報告を怒りに任せて口走る。桜と呼ばれた少女は、兄の理不尽な責めに文句一つ言い返さず、ただ視線を落とし、じっと耐えている。

「まあその辺にしておけ。慎二よ」

 その声が響いた途端、罵詈雑言をわめき散らしていた少年の口がピタリと閉じた。

「どんなサーヴァントであろうと、使いこなし勝利に導くのがマスターの、魔術師の務めであるというものじゃ」

 二人の前に、一人の老人が現れる。その容貌は醜悪を通り越して怪奇であった。まるで、無数の蟲の山を思わせる。どれほどの時間を持ってすれば、このような人間離れした姿になれるのか見当もつかない。いや、時間の問題ではないであろう。老人を異様と思わせるのは、外見よりむしろその在り方。宿った精神こそが、問題なのだろうから。

「お、お爺様……」

 慎二と呼ばれた少年が、恐れを込めた言葉を搾り出す。

「桜。お前はもうよいから休むといい。儂は慎二とこれからのことについて話さねばならんからのぉ」
「は、はい、お爺様」

 桜は、元々色の薄い顔を更に蒼白にして、その部屋から出て行った。その後姿を、慎二は忌々しそうに睨む。この老人と二人きりになりたくなかったのだ。

「さて慎二よ……確かにアーチャーは遅れを取ったが、状況は1対2で不利だったのだから無理もない。それに、まだ奥の手を残してあろう?」

 慎二の心中を知ってか知らずか、老人は語り始めた。
 老人の名は間桐臓硯。聖杯戦争を創造せし三家の一つ、間桐家の支配者。魔術によって数代に渡り命を長らえてきた化け物。間桐慎二も、間桐桜も、逆らいようのない絶対権力者。


「何、前回の聖杯戦争よりは遥かに良いサーヴァントを召還したものよ。あの時のバーサーカーは……扱いづらいというものではなかったわ」

 臓硯は前回の第4次聖杯戦争を回想した。元々勝利は期待せず、個人の楽しみのために参加した聖杯戦争だったが、あの時ほど奇妙な聖杯戦争は他にない。
 あの日、間桐が召還したのはバーサーカー。その力は手も触れずして天地を揺るがし、ありとあらゆるものを粉砕した。岩を穿ち、山を崩すその能力は、死ぬことより恐ろしいと言えるものだったが、真に恐るべきは、それほどの化け物でさえ、第4次聖杯戦争においては劣弱な存在でしかなかったという事実だ。
 アーチャーやランサーの能力の前に翻弄され絶大な力も無力となり、全力を持ってしてもセイバーを殺すには至らなかった。

「今回も中々に異常であるようだが……前回よりはマシというもの。鼠の小さい体を活かして情報収集もできるしのう。アーチャーの思考は、人とは少々異なっているゆえ意思の伝達には根気が必要じゃがなぁ。ククク」

 実際、現在彼らが掴んでいる情報量は、今回の聖杯戦争参加者の中でも随一と言える。

(しかし……令呪を得たことといい、衛宮の子倅はマスターになったらしいのに、なんでまたサーヴァントを出さずに自ら剣を振るってきたのか……そこは気になるところじゃな。その剣が宝具で、サーヴァントより借り受けたのか……)

 納得のいかない事象は、ほおっておくとロクなことにならない。見極める必要がある。

「慎二よ……明日にでも衛宮の子倅を潰して来い」






 
 
 ……To Be Continued

                       
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2009年04月12日(日) 00:35:46 Modified by ID:P58hRsZsNg




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