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人外だらけの聖杯戦争11 月下の終戦

   人外だらけの聖杯戦争11 月下の終戦


 
 セイバーが振り下ろした必殺の斬撃。
 その一撃を前に、葛木はいつの間にか手にしていた、楕円状の物体をかざした。50センチ程度のその物体にセイバーが触れたとき、葛木の前から士郎とセイバーの存在は、跡形も無く消え去っていた。

「『な、なんだ………』」

 セイバーは辺りを見回して困惑する。

 そこはすでに寺の庭ではなく、壁に囲まれた部屋の中だった。四方の壁には出入り口がないが、絨毯や戸棚があり、誰かが使っていることは伺えた。

(あれは……ペットフードに猫じゃらし?)

 セイバーに貸した体の中で、士郎の思考は戸棚のガラス戸の向こうに、それらの品を発見する。だが部屋内を悠長に観察してはいられなかった。

 痛烈な衝撃が頭上から降ってきた。

「『ぐっ!?』」

 セイバーは背中を踏みつけられ、うつ伏せに倒れ、腕をねじ上げられる。関節を極められ、肉体は意思が反応する前に、剣を手放していた。

「さて……」

 セイバーではなくなった士郎は、腕の痛みを感じながらも、首を曲げて自分の背中に足を乗せて押さえつける、葛木を見る。

「理由を聞こうか?」
「理由……だって?」

 どうやらすぐに殺す気はないらしい。令呪を使えば、この手にセイバーを戻すことも可能だと考えた士郎は、もう少し言葉を交わし、敵の情報を集めることにした。

「そっちの理由こそ、なんだ……。あんたも、聖杯を手に入れるためには、人殺しをするの、かよ……!」

 半ば挑発気味に放ったその言葉に、葛木は驚くべき言葉を返した。

「……聖杯とは、何だ?」



 一瞬、士郎は聞き間違えかと思った。

「え……」
「人殺しというのもわからない。別にお前を殺す気はない。警察に突き出しはするが」

 淡々と言う、眼鏡の男に、士郎は焦った。

「ま、待った! あんた、聖杯戦争の参加者じゃないのか!? キャスターのマスターじゃ!!」

 セイバーの戦闘能力に対抗できるような男が、ただの一般人とは思えない。が、

「キャスター……ああ、そうか。そうだったな。だが私もキャスターも、聖杯には興味がない。そうか、お前もマスターか……」

 ようやく思い出せたというように葛木は頷いた。

「しかし、私は特に叶えるような願いは無いし、キャスターも戦争など面倒なようだ。そっとしておいて欲しい」
「………じゃあなんで、いきなり殴りかかったんです?」

 警戒した目で睨む士郎に、葛木は平然と、

「……夜更けに敷地内を、家の住人でないものが、刀まで持ってうろついている……これを友好的と思えないのは、私の常識が間違っているからだろうか」
「……いいえ、ごもっともです」
 
   ―――――――――――――――――――――――

「と、そういうことで、葛木先生は失踪事件の犯人じゃないようなんだ」

 士郎から説明を聞き、凛は口を開くのも億劫そうであったものの、返事をする。

「ふうん……まあ、衛宮君が生きているんだし、信じてもよさそーね……」

 凛はさすがにばつが悪そうだった。何も悪くない相手の家にいきなり押し込んで、もう少しで殺してしまうところだったのだから、当然だろう。
 キャスターは葛木の使った令呪の発動により、傷をほぼ癒し、今は部屋の蛍光灯の光を浴び、光合成している。その保有スキルにより光を浴びて魔力を作れるらしく、明日には全回復しているだろうとのことだ。

「でも、この『亀』は何? 最初はキャスターの宝具か何かと思ったけど、この亀もサーヴァントじゃない」


 彼らは今、亀の中にいた。

 ライダーのサーヴァント、『ココ・ジャンボ』。

 小さな亀のサーヴァントであり、その宝具は【空間孕む甲羅の鍵(ミスター・プレジデント)】。自分の体の中に、広い空間を造ることができる。
 甲羅には鍵がはめ込まれており、その鍵に触れることで、空間の中に入れる。セイバーの攻撃を防いだり、【賢者を超えた愚者(ザ・フール)】を消したりしたのも、この空間の中に引き込んだことによるものだ。

『便利だが……こいつがライダー(騎乗兵)? 乗り物の方じゃねえか』

 セイバーが呆れ半分、苛立ち半分に言う。葛木に負けたのが悔しいらしく、機嫌が悪いようだ。

「うむ……ライダーは私のサーヴァントではない。ライダーはキャスターのサーヴァントだ」

 葛木は語り出す。キャスターとの出会いの話を。

   ―――――――――――――――――――――――

 キャスターが召喚されたのは、月も星も見えない、雲に覆われた夜だった。森の中でランタンを片手にしてキャスターを召喚した魔術師は、自分の名をキャスターに告げることも無くこの世を去った。
 召喚されたのがどう見ても英霊には見えない、怪奇植物であることに激昂した魔術師は、キャスターを足蹴にしたのだ。その無礼にキャスターは弾丸を持って応えた。

 魔術師はその一発を防ぐ事さえできず、物言わぬ屍と成り果てた。キャスターはすぐにその行為を後悔する。
 罪悪感からではなく、マスターを死なせることで魔術供給ができなくなってしまうことについてだ。マスターが倒れたときにランタンも落ちて壊れてしまい、光合成もできなくなってしまった。とりあえず死んだ魔術師の魔力の残りカスを吸収したが、夜明けまでは持たない。
 光を求めて、力を振り絞り、風を生んで身を浮かせて移動する。だが光がある街中に出る前に、キャスターの力は尽きた。だんだんと自分が消えて行くのがわかった。

「ふむ……妙な草だな」

 頭上から男の声がした。


「血の匂いがしたから森に入ってみれば……」

 キャスターはニャアと小さく鳴く。その声に男は眉をひそめ、

「草ではなく猫なのか? 酷く弱っているようだが、どうすれば助かるのだ?」

 男はキャスターが死にかけていることを悟ったらしい。しかし、さすがに懐中電灯のような光源になるものは持っていないようだ。

『俺の名は……猫だった頃はタマ……草みたいになった頃は猫草……そんなふうに呼ばれていた。今はキャスターだ……。俺と契約をしてくれ……そうすれば助かる……』
「……わかった」

 いきなり脳内に響いた声に、男は頷いた。男は感情がなく、それゆえに驚くということもほとんどない。ただ冷静に物事を受け入れ、判断した。

「……ニャア」

 そして契約は成立した。どうにか現世に存在を繋ぎ止めたキャスターは、その男の住処に運ばれ、そこで光を浴びることができた。

『助かった……ありがとう』

 キャスターは、彼にしては非常に珍しいことに礼を言った。

 それから、キャスターは葛木の住む部屋の押し入れに隠れ住むことになったが、いつ寺の僧たちに見つかるかもしれず、陽の光も得られない生活は、大いに不満だった。
 3日後、キャスターは本能に従い、より良い住処を手に入れる方法を実行した。

『召喚……』

 葛木に自分が召喚された場所に連れて行ってもらった。葛木はそこに倒れている死体に眉をひそめたが、騒ぐようなことはなかった。キャスターは自分自身を呼び出した魔方陣に、魔力を注ぐ。すると、鮮烈な光と共に、一匹の亀が召喚された。


『サァァヴァント、ライダァァ……召ぅ喚……されたぁ……』

 妙にまだるっこしい口調で、亀は念話を送る。

『俺がお前のマスター。キャスターだ。こいつは葛木宗一郎。俺の世話係(マスター)だ』
『わぁった………契約するぅ……』

 そしてキャスターは、自分の住処を手に入れた。ついでに死んだ魔術師の手にある令呪を葛木に移植し、いざというときに使えるようにした。普通、令呪の移植は知識や技術無しにできることでもないのだが、キャスターは本能でそれを可能としたのだ。
 葛木がリサイクルショップから買ってきてくれた絨毯や戸棚を入れてもらい、居心地をよくし、時折人目につかぬように、ライダーに乗って外出する。その折、陽光を浴びれるように、寺の庭にも手を加えた。
 葛木が暇な時は猫じゃらしなどで遊んでもらい、極めてハッピーに日常を過ごしていた。

 ライダーの方も、大きめの水槽に入れてもらい、少なくともエサに不自由しない生活を送っていた。キャスターには少々こき使われるが、以前旅に同行したギャング一行よりは、振り回されたり、放り投げられたりしないですむ分、マシだ。

 葛木は二匹から聖杯戦争の説明も受けたが、説明が下手でわかりにくく、詳しくは理解していなかった。それでも聖杯が願いを叶える力を持つものであるとはわかったが、特に彼に願いはなかった。キャスターもライダーものんびり自由に暮らせればそれでよく、あえて聖杯を求める必要は無かった。

 こうして彼らは、苛烈で凄惨な聖杯戦争の中で、呑気になごやかに、日々を過ごし、挙句に聖杯のことを士郎から言われるまで、かなり本気で失念するまでになったのだった。



【CLASS】ライダー
【マスター】キャスター
【真名】ココ・ジャンボ
【性別】不明
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力E 耐久C 敏捷E 魔力D 幸運A 宝具EX
【能力】
対魔力:A
 A以下の魔術は無効化。事実上、現代の魔術で彼を傷つけることは不可能。
騎乗:E
乗り物にこっそり便乗する。自ら操縦することはできない。
【保有S】
単独行動・C
 マスターからの魔力が絶たれても現界していられる能力。ランクCなら、1日程度存在し行動可能。
【宝具】
ミスター・プレジデント空間孕む甲羅の鍵・EX
破壊力E スピードE 射程距離E 持続力A 精密動作性E 成長性E
 甲羅に鍵が埋め込まれており、鍵に触れると甲羅の中に吸い込まれる。甲羅の中は、7人くらいは楽にいることができるほどの広さの部屋になっており、中になんでも入れておくことができる。




「それが、今までの経緯だ。私たちはこれからも聖杯戦争とやらに参加する気はない。それでも戦うというなら……抵抗させてもらうが」

 葛木は話を締めくくった。向かい合って話を聞いていた凛は、額に手を当てて渋面をつくる。

「令呪の移植や、サーヴァントの召喚を、知識なしでやってのけたっていうの? この……猫の草が?」

 魔術師として長らく修行を積んできた凛からしてみれば、それは滅茶苦茶極まることだ。並みの魔術師ではできないようなことを、この変なサーヴァントは本能でやったというのだから呆れる他ない。
 しかしこの聖杯戦争の非常識さに、さすがに慣れてきた彼女は、納得いかない事態にも苛立ちを見せはしなかった。渋々ながらも受け入れる。

「それでもまあ、聖杯戦争に参加しないというのなら、私たちも敢えて戦う気はないけれど……」

 戦う気がないというのが嘘なら、士郎は既に殺されているだろうし、凛やアサシンも、【賢者を超えた愚者(ザ・フール)】を亀の中に引き込まれた隙にやられていたはずだ。

「そうなると、残るサーヴァントはランサーとバーサーカーか……。遠坂、残っているサーヴァントのことを教えてもいいかな? 俺たちが戦わないっていっても、あいつらはそうはいかないだろうし」
「そうね……葛木先生。私たちと同盟をする気はありませんか?」

 士郎の言葉に、凛も頷いて提案する。

「同盟……残る敵に対して、ということか?」
「はい。貴方たちが聖杯を望まないということはわかりました。しかし、聖杯は6体のサーヴァントを倒さなければ降臨しない仕組みになっている……残る2組のマスターとサーヴァントは、決して諦めないでしょう。たとえそちらに戦意がなかろうとも、攻撃の手を緩めることはありません」


 元々聖杯戦争は聖杯を手に入れるためにあるのだから、むしろ聖杯を求めない方がおかしいのだ。士郎は聖杯戦争の中で生じる犠牲をなくすために参加しているし、凛は遠坂家の悲願のために聖杯を求めてはいるが、他のすべてに優先してというほどのものでもない。
 しかし、普通ならば手段を選ばず、あらゆる卑劣外道を行って、他の何を犠牲にしても手に入れようとするだろう。

「だから同盟……残る敵に対し、共同で立ち向かうと?」
「一度、敵対した以上、信頼していただけないかもしれませんが……」
「いや、私はかまわない。メリットは確かにある。だが……どうだキャスター?」

 マスターの声に、寝ていたキャスターは機嫌悪そうな動きで体を起こすと、

『そいつらは気にくわない……。赤い女も、犬コロも嫌いだ。お前の顔をたてて、もう殺さないでおいてやるけれど、仲間になるのは御免だぜ』
「そうか……ライダーは?」

 葛木は天井を見上げるように首を動かし、問いかける。すぐに反応はなかったが、やがて、まだるっこしい念話が届く。

『…………別にぃ、どぉぉでもいぃけど〜、マスタァァァが嫌だって言うぅぅぅならぁ……ライダァもぉ、反対だぁぁぁぁぁ………』

 葛木は返答を聞き、凛に向き直る。

「賛成1、反対2……すまないが、申し出は断る。敵対する気はないが、お互い不干渉ということにしてもらいたい」
「……そうですか。仕方ありません」
「遠坂っ、葛木先生も、そんな簡単に」
「無理よ、衛宮君。こっちが一方的に戦いを仕掛けたんだから、そう簡単に許してくれはしないわ」

 キャスターもライダーも、動物だけに根は単純だ。だからこそ、一度決めたことを覆させるのは難しい。そう判断した凛は、それ以上の説得はしなかった。
 しかし、ライダーはただマスターであるキャスターに従っただけだし、キャスターにしても、怒りはあっても陰湿な恨みは持っていないようだ。完全消滅一歩手前までの戦いをしたことを思えば、かなり友好的な関係であるとさえ言える。


「ランサーとバーサーカーについての情報は伝えておきます。もし協力を求めることがあれば、連絡をください」

 そして、月下の戦いは集結し、士郎と凛は改めて謝罪の言葉を述べ、柳洞寺を後にした。

   ―――――――――――――――――――――――

 場所は、言峰協会の底の底。太陽も月の光も届かない地下室。聖杯戦争監督役、言峰教会神父、言峰綺礼は見えない何かを操作するかのように、両手の指を動かしながら言う。

「さて……キャスターとライダー、セイバーとアサシンの戦いは、誰もかけることはなく終わったようだ」

 その言葉を投げかけられたのは、腕組みをし、背筋を真っ直ぐに伸ばして立つ男だった。白い肌や青い目は、日本人のものではない。その右肩には、冷たい眼光を輝かせる隼―――ランサーが乗っていた。
 
「そうか……では私が片付けてこようか?」

 壁を背に立つ男は、不敵に言い、右手を伸ばし、虚空を握りつぶすような動きをする。

「魔術協会から派遣された魔術師を殺したサーヴァント、キャスター。早々に始末せねばならない相手なのではないか?」
「お前がキャスターたちを相手にする必要は無い。今は控えているといい。『ランサー』のマスターよ」

 隼を肩に乗せた男の、その右手の甲には、令呪が刻み込まれていた。中立を保つべき監督役であるにもかかわらず、綺礼と『ランサー』のマスターの関係は、『協力者同士』のそれであるように見えた。

「別にキャスターが際立って強いわけではない。サーヴァントはマスターの魔力供給無しでは現界できないし、令呪もある。何より、聖杯を望む以上、マスター無しでは聖杯戦争を勝ち抜けない。従って、いきなり考え無しにマスターを殺すはずはない。そう考えるのは当然だ。その油断を突かれて殺されたのだろう」

 綺礼は、キャスターを召喚した魔術師の失態を分析する。


「バゼットであれば、ここまで無様な真似は晒さなかっただろうが」
「お前が邪魔になると評価するほどの人間ならば、そうであろうな」

 本来はバゼット・フラガ・マクレミッツというルーン魔術の達人が、魔術協会から派遣される人間の候補に上がっていたが、綺礼は協会と裏で取引し、それを揉み潰した。
 彼は以前にバゼットという女性と知り合っており、その性格と能力が自分の目的において邪魔になると見越してのことだ。

「油断を突いて令呪を奪い、サーヴァントを強奪することも考えたが、お前がいる以上、その策も必要ない……。彼女の苦痛の表情を見られなかったのは、残念だが」
「あいかわらず、歪んでいるな。他者の不幸に喜悦を感じるとは、教会の神父とは思えん」
「我ながら度し難いとは思うがね……。しかし、キャスターに殺された魔術師を、ただ無様と笑ってはいられぬよ。前回のエルメロイもまた、自らの慢心こそが最大の敵であった。なまじ、魔術に長けていると、そういうつまらない失敗をする」

 綺礼は、自らも参加した、第4次聖杯戦争を回想する。あの戦いで、彼もマスターとして戦い、傷つき、その人生を大きく変化させた。後遺症もいまだに残っている。
 ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。『ロード・エルメロイ』の異名を持つ、当時の『ランサー』のマスター。9代続く魔術師の名門の出である、天才魔術師。
 彼は本来、一体のサーヴァントにつき、一人であるはずのマスターというシステムを改変し、マスターを二人にしてのけた。一人がサーヴァントに魔力を送り、一人はサーヴァントへ送る分の魔力を消耗せずに戦うことができる。これによって、エルメロイは他のマスターより優位に立った。
 始まりの御三家と比べても遜色の無い彼であったが、結果は名誉や栄光と程遠い死に様をさらした。


 サーヴァントが弱かったというわけではない。彼が召喚したランサーは、魔法の域にまで達する力を持っていた。
『未来を予知』し、更に都合の悪い未来であった場合、その『未来を消し飛ばし』て、無いことにしてしまう能力。

 宝具【未来滅ぼす真紅の王(キング・クリムゾン)】。

 その力は最優のサーヴァント『セイバー』との戦いでも傷一つ負わず、『キャスター』の召喚した手駒を敵ともしなかった。
 しかし、どれほどのサーヴァントを召喚したところで、マスター自身がやられては意味が無い。ランサーとセイバーが戦っているうちに、エルメロイは殺害された。エルメロイより格下の魔術師であり、エルメロイより格上の戦闘者である、衛宮切継の手によって。
 その後ランサーは、もう一人のマスターである、エルメロイの婚約者、ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリを脅迫―――より正確には拷問及び洗脳をほどこし、なお聖杯戦争を続け、綺礼の父であり、第4次聖杯戦争の監督役であった、言峰璃正をも殺害した。しかしその後、璃正が協力していたマスター、遠坂時臣のサーヴァント『アーチャー』によって打ち倒されたのである。

「知っているとも。知らないはずがないだろう。この私を誰だと思っている?」
「知っていることと、理解していることは違うがな……。まあいい。ともかくキャスターについては……面白い玩具が手に入った。それを使うとしよう」

 綺礼は地下室の隅に視線を向ける。そこには巨大な水槽が置かれ、中には大量の水が湛えられている。その中心には、一人の少年が眠りについていた。普通であれば溺死しているはずの少年は、ただ眠っているだけであった。
 彼はただ、目覚めのときを待ち、海草を思わせる波打った黒髪を漂わせている。






 
 
 ……To Be Continued?

                       
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2009年04月12日(日) 01:33:46 Modified by ID:P58hRsZsNg




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