過去に書いた小説のまとめと新しく書ければ書いてみたいなと。

衣装は前もって決められていたかのように
サイズがはっきりと分かれていた。
ジャイアンはウォーリア。スネ夫はウィザード。
静ちゃんはプリースト。のび太はアーチャー。
「みんなキャラに合ってるよね。」
「のび太は射撃が得意だし、ジャイアンは力持ちだし
 静ちゃんは優しいしね。」
「お前は何なんだよ?」
「僕は頭がいいからね。魔法使い。」
「銅鑼えもんは何なの?」
「格好を見て分からない?」
「?戦士…はジャイアンだし…」
「勇者だよ!」
「え゛〜?」

武器や防具とともに魔法書が落ちていた。
それには魔法の使い方が書かれてあった。

[魔法は言語の本質をとらえる事によって
 その力を増していきます。
 例えば炎の魔法の最下級は"flame"ですが
 高級言語で"print>flame"ですと少し激しい炎が
 生み出されます。もちろん言語はFORTRANなどで
  XAPP=-2.0
  K=1
 5  XIMP=(XAPP*COS(XAPP)-
   SIN(XAPP)+1.0)/(COS(XAPP)-1.0)
  WRITE(5,100) K,XIMP
 とやっても結構ですし、マシン語を使えば
 最強の炎が作り出せるでしょう。
 気を付けなければいけないのは
 命令文で対象を決めなければいけない事と
 無限ループは強力ですがこの世界の崩壊を招く
 危険性がある事です。
 そしてアセンブラなどは非常に複雑で長大な為
 詠唱時間も長くバグも多くなる事から…]
「こんなの覚えられないよぉ!」
「この杖にコンパイラって書いてあるけど
 バージョンが低いみたいだねぇ」
「この指輪にはデバッガって書いてあるわ。
 でもこれもバージョン0.001…」

「でも私の呪文書には違う事が書いてあるわ…
[プリーストはパーティ内の信頼度によって
 回復魔法や支援魔法のダメージや
 効果が変わってきます。
 まず最初にパーティ全員の名前を確認して下さい。
 ここで言う名前とは現実世界での名前ではなく、
 この世界で登録されたIDであることにご注意下さい。
 そしてこの名前は敵に知られると
 ステータスを知られてしまう他、
 敵術者のレベルが高い場合
 一気に全滅させられてしまう可能性もありますので
 細心の注意を払って下さい…]あたし
 みんなのIDなんてしらないわ。」
「そのままdoraだよ」
「俺はgian」
「僕はsune」
「あれ?僕何だったっけ?」
「君、nuviだったよ」
「なんて読むのよそれ」
「ヌ…ヌヴィ…かな?」
「言いづらいわねぇ」
「だってnobiじゃ登録できなかったんだもん」
「まぁいいさ、敵には知られそうもないし」
「そうね」
「俺達は剣を振り回してりゃいいんだろ?」
「敵の急所を覚えたり倒すこつを知ると
 レベルが上がるらしいよ」
「なんだよ面倒くせぇなぁ」

「とりあえずRPGの基本はレベル上げと情報収集だよ」
「じゃあ定石通りレベルを上げながら
 街を捜そうか」
「そうだね。スネ夫君が一番詳しそうだ」
「僕はどんなクソゲーでも一度はクリアするからね」
「それは威張れる事なのか?」
「周りを見回してみな。三方を山に囲まれてるだろ?
 進むべき道はあっちだけだ。
 このゲームはそれ程自由度が高いRPGじゃ
 なさそうだよ」
「良し。じゃああっちへ進もう」
100メートルほど歩くと何かぶよぶよした物が
近づいてきた。
「スライムだ」
「何かベタベタだね」
「う゛にゅうが作ったんなら
 従来のRPGを適当に編集してあるだけのはずだよ。
 だって創造力なんて無いんだから」

銅鑼えもん達はスライムを倒した!
経験値を8ポイント
15ゴールド手に入れた!
スライムは薬草を持っていた!

「これいちいち言われるのかな?」
「頭の中で叫ばれると結構イヤなもんだね」

銅鑼えもん一行はその後数回の戦闘を繰り返し
パーティは一つレベルを上げた。
そしてその頃一つ目の街が見えてきた。

「小さい街だね」
「最初だからねぇ」
「宿屋と武器防具屋、酒場がある。
 十分なんじゃない?」
「さっさと宿屋で休んでまたレベル上げに行こうぜ!」
「ジャイアンは元気だなぁ」
「あたしもうヘトヘトだわ」
「敵をぶん殴ってれば金が貰えて、そのうち
 英雄になってお姫様と結婚出来るかもしれない!
 なんて良い世界なんだ!」
「もうちょっと昔に生まれてくるべき人物だったのかもね」

武器防具屋を覗いてみたが
今の資金で帰るような物は無く
道具屋で売っている便利そうな物も
宿屋の泊まり賃に比べると割高な物ばかりなので
話し合いの結果ひとまず宿屋で休む事になった。
銅鑼えもんが自室で休んでいると
まずのび太が尋ねてきた。

「銅鑼えもん。ひみつ道具はもう出せないの?
 タケコプター出したみたいにさ」
「うん。何度も試してみたけどダメみたいだ」
「このままゲームをクリアしたとして
 僕らの体に戻れるんだろうか?」
「このゲームがどのぐらいのスケールか
 分からないから何とも言えないけど…」
「タイムリミットは後どれくらい?」
「恐らく3日か4日ぐらいだろうね」
「それまでにクリア出来るかな?」
「この宿に泊まってみて分かったけど
 宿に泊まるって言うのは一晩寝るって
 行動らしいんだよ。
 がんばって宿に泊まらずに進んでいったとしても
 常識で考えて無理だろうね。
 スネ夫や静ちゃんは休息をとらないと
 魔法が使えないみたいだし
 彼らのサポートがないと進めないし」
「それじゃあ…」
「ちょっとスネ夫を呼んできて貰えない?」
「うん」

「君のゲーム感から言ってこのゲーム、
 クリアするのにどれぐらいかかると思う?」
「銅鑼えもんが言った宿屋で一晩って
 足枷があるとしてこの世界での時間感覚だと
 たぶん2ヶ月以上じゃないかな?
 レベルの上がり方、敵のエンカウント、
 スタートから最初の街までの距離なんかで
 判断するとだけど」
「やっぱりそれだけかかるかー」
「時間の事なら大丈夫だろ?
 外に戻ってからタイムマシンで
 気を失った直後に戻れば良いんだから。
 いつもの事じゃんか」
「い、いや実は…」

銅鑼えもんはスネ夫に問題点を説明した。
するとスネ夫は凍り付いて動かなくなってしまった。
「僕、死ぬの?」
「そうならない為にもさ、何か方法は無いかな?」
「ボク、シヌノ?」
「ほら、良くやってるじゃない、
 ノーセーブクリアとか早解きとか」
「あれはやりこんでやりこんでやりこんで
 一つのゲームをこれ以上遊べないって程解析して
 飽きちゃった人が挑戦する物で
 初見でしかも自分がゲームに入り込んじゃって
 その上死んじゃったら本当に死んじゃうような
 リスクを負ってやる物じゃなくて
 所謂オタッキーが暇で暇で他人に誇れる物が
 何一つ無くてかといって金もないから
 他にやる事もなくてどうしようもなくて
 するような事なんだよ追いつめられて
 やるような事では決して無いんだよ
 そうだよ僕は死ぬんだよ冷たくなるんだよ
 ママに泣かれるんだよ僕も泣きたいけど
 もう泣く事も出来ないんだよ死ぬんだよ
 ママー!ママー!ママン!
 こんな事なら体育館の裏にあったあのHな本
 ウチに持って帰って
 部屋に隠したりするんじゃなかった
 こんな事で死ぬなんて考えてもみなかった
 ママー!」
スネ夫は叫びながら自分の部屋に
走っていってしまった。

この騒ぎを聞いてジャイアンと静が駆けつけてきた。
銅鑼えもんは仕方が無く事の次第を説明した。
静はさめざめと泣き出したがジャイアンは
「そうか」
と一言言って部屋を出ていった。
のび太に静ちゃんを任せて銅鑼えもんは
スネ夫の様子を見に行った。
部屋には鍵が掛けられていて
中には入れなかったが
ドアに耳を近づけてみると泣き声が聞こえたので
ジャイアンの様子を見に行く事にした。
だがジャイアンは部屋にはおらず
外に出ていったようだ。
装備品も部屋には残されていなかった。

ジャイアンは街のはずれの広場にいた。
そして剣を振っていた。
「俺は難しい事はわからない。
 かと言ってこのまま
 じっと死を待つ事なんて出来ない。
 間に合わなかったとしても
 俺たちをこんな目に遭わせたヤツを
 一発ぶん殴ってやりたい」
「…そうだね」

部屋に帰ってみると静ちゃんは既に泣きやんでいて
代わりにのび太が慰められていた。

スネ夫はいつまで経っても出てこなかったので
四人で話し合い明日もレベル上げと情報収集に
当てる事にした。それぐらいしか
出来ることはないのだ。
酒場にいた人の話では近くに洞窟があり
そこから別の街に行けるそうだ。
だがそこには中ボスが居るらしい。

翌日、スネ夫を起こしに行ってみると
相変わらず鍵が掛けられていて中に入れない。
泣き疲れて寝ているのだろうか?
しかしドアに耳を当ててみると
ブツブツと何か声が聞こえる。
「スネ夫君!出かけるよ!
 このまま動かなくっても
 何も事態は好転しないよ!」
だが返事はなく相変わらずブツブツと
低い声だけが聞こえる。
「動きたくないヤツは放って置けばいい!」
「だけどジャイアン…」
「行くぞ!」

だが四人での戦闘は思ったよりも困難であった。
洞窟に近づくと敵もパーティを組み始め
多数の敵相手には攻撃魔法が必要不可欠だったのだ。

なるべく宿屋に泊まらずに進んでいこうという
取り決めだったが限界があった。
回復や補助魔法を多大に使わざるを得なかった静が
倒れてしまったのだ。
恐らく念じることで
集中力を使い果たしてしまったのだろう。
仕方が無くまた最初の街へ戻って来て
宿屋に泊まることになった。
みんな疲れ果てて口もきけなかった。
こんな事では2ヶ月所か1年かかっても無理かもしれない。

次の日の朝、ジャイアンの怒鳴り声で目が覚めた。
「スネ夫!お前が怖いのは良く分かる!
 お前はゲームに詳しいから無理だって
 俺たちよりも分かってるのかもしれない。
 けど俺たちだって怖いんだ!死ぬのも怖い!
 けど俺は何もしないでただ死んでいく方が
 もっと怖い!頼むスネ夫!
 俺たちと戦ってくれ!」
「うるさい!しずかにしてくれ!」
「頼む!聞いてくれ!」
銅鑼えもん達が駆けつけてみるとジャイアンは
スネ夫の部屋のドアの前で土下座をしていた。
「ジャイアン、行こうよ」
「そうよ。あたしも今日は倒れないようにがんばるから」
「スネ夫君…どうしちゃったんだろう?」
その時、突然ドアが開きジャイアンの頭を直撃した。
「出来た!完璧だ!」

「スネ夫!」
「出来たんだよ!これでクリア出来るぞ!」
「何が゙出来たの?」
「チートアイテムだよ!」
「?」
「昨日は一日中部屋にこもってアドレスをサーチしてたんだ。
 サーチって言っても口で一つずつ総当たりで
 言っていくわけだから大変だったよ。
 ただね、魔法書にアイテム合成の魔法の基本形が
 書いてあったからそれが参考になったんだ。」
「ひょっとするとステータス改変魔法を見つけたって事?」
「うん。でもさすがに自分たちの体をいじるのは
 不安だからアイテムの生成と改造だけだよ。
 それでも命中率、攻撃力、防御力がFFFF…つまり
 65535のアイテムを作れるわけだし
 もう無敵だよね。これで宿屋に泊まらなくても
 クリア出来るよ!」
「コノヤロー!心配させやがって!」
「この僕がただ部屋に引きこもっているわけが無いじゃない」
「なんだと!調子にのりやがって!ママーって泣いてたくせに」
「あ、今の僕には逆らわない方が良いよ。
 このマントは物理防御65535で倍返しのカウンタースキル
 付きだから。素早さもMAXだから当たらないと思うけど」
「ホントだ」
スネ夫はジャイアンのパンチを全てかわしてしまった。

「こんな事も出来るんだよね」
 801BF6B8 E0FF
 801BF6BA 05F5
その途端静の服が無くなった。
「トレースしてて見つけたんだけど[透明な服]だって」
静は必死に体を隠す物を捜しそれを体に巻き付けた。
それはスネ夫の首からはずれたマントだった。
ジャイアンがニヤニヤしながらスネ夫の顔に拳を埋め込ませた。
「静ちゃん、回復魔法を…」
「イヤよ」

パーティ全員が装備品を改変、又は製造して貰い
再び旅に出る準備が出来た。
「スネ夫君の予想だとこれでも何日かはかかってしまうんだろ?」
「恐らく途中のイベントで宿に泊まらなければいけない
 事があればそれは従わないとダメかもしれない。
 けどアイテムがらみのイベントならとばせるはずだよ。
 全てのアイテムは255ずつ持っているから。
 不安なのはチートによるバグが起こってしまう事だけど」
「とにかく先に進んでみよう!」

洞窟のボスはかなり手強かった…筈だが一撃で倒した。
やられた時の台詞
「貴様らが伝説の!だがまだまだ弱いな。
 今日はこれぐらいにしておいてやるか、フハハハ」
が、池野メダカみたいで笑えた。

銅鑼-10-

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Wiki内検索

Menu

ここは自由に編集できるエリアです。

管理人/副管理人のみ編集できます