「運動」

2007/6/3「運動」


出演:鈴木謙介、津田大介、森山弘之、外山恒一(ゲスト)、松本哉(ゲスト)

※以下の発言まとめは、正確な番組での発言とは異なる場合があります。

MP3その1


鈴木:普段は30代しゃべり場とか言われてるLifeですが、今夜はまじめ話モードで。今日は運動がテーマ。若い人は政治に関心がないとか言われて数十年、その子どもが選挙権を持つ時代。若い人の方から、ユニークで影響力を持つ運動が出てきている。活動してる人も招いて話していきます。まずは一曲、レミオロメン「RUN」。

〜曲〜

鈴木:以前も話したけど、僕はある時期から運動に失望して、いまだに不満と不安の間で揺れている「運動できない派」。ゲストとなぜ今運動なのかって話。まずはこの方。

外山:有権者諸君!私が外山恒一である!(略)スクラップ&スクラップ!

鈴木:キター!外山恒一さんです。

外山:どうも外山です。普通に喋ると普通です。ああいうキャラだと思ってる人が意外と多いんですけど、あんな人いませんからw

鈴木:今日もお願いして断られたらどうしようかと思いましたけどw 今日は都知事選以前の活動からも含めてお話ししていただければと思います。よろしくお願いします。続いて、外山さんと同じく、YouTubeで活動が話題になった松本哉さん。

松本:こんばんわー。

鈴木:YouTubeのおかげで最近話題沸騰ですけど、なんか生活変わりました?

松本:やー生活なんもかわんないですね。高円寺でお店をやってるんですけど、訳のわかんない人はいっぱい来ますよね。区議選の後。

鈴木:お二人の共通点は、今年の統一地方選挙に出られたってことですよね。外山さんは都知事選から熊本市議選、松本さんが杉並区議選。その辺の活動も聞かせてください。それからサブパーソナリティは津田さん。津田さんは運動というと血が騒ぐ系なのかと思ってるんですけど。

津田:ちっちゃいころからそばにあった感じはしますよね。

鈴木:ちっちゃい頃からそばにある人なんてそんなにいないよ!

津田:あと共通点で言うと、僕も高円寺に事務所と自宅があるので、松本さんがECDを呼んだライブとか、選挙最終日とかも身近で活動を見ていたので。

鈴木:高円寺ローカルな話も聞けるかな。よろしくお願いします。もう一人は森山さん。

森山:外山さんははじめてなんですけど、松本さんはQJにも書いてくれていて、もともと松本さんがやってた「法政の貧乏くささを守る会」の新聞を号外でQJに連載してもらってた長いおつきあいなんです。

鈴木:あとQJでは政治特集やったりとか、カルチャー系の中でもインパクトのある特集だったと思うんですけど、その辺の話も聞かせてください。で、メール。みんな真剣に考えてるんだなあと。メール、運動とは無縁の学生生活を送ってきた。運動した人へのあこがれの念を抱かずにおれない。でも世の中は運動する人に冷たい。政治にも環境にも思うところはあるけど活動する気にはなれない。メール、父が学生運動を起こしていたのと、中学時代、「ぼくらの七日間戦争」を読んで反抗心を持っていた。いつかムーブメントを起こしてみたい。
どっちもわかるなー。羨望の念っていうのも、宗田理にわくわくしたところとか。でもなんか入れないところもあって。まずはゲストのお二人がなぜ運動に身を投じていったのかをうかがっていこうかと思います。松本さんからいこうかな。

松本:最初、高校生くらいまでは何にも考えてないじゃないですか。でも大学に入ったら、めっちゃくちゃな大学なんですよ、法政って。94年に入学したんですけど、学生と教職員が乱闘とか。それがすげーなーと思ってたところに、あれよあれよとビラが消えていって、きれいになっちゃって。これじゃつまんないなーと思って、「法政の貧乏くささを守る会(貧乏)」を結成して。でも混紡持って殴り合いじゃ面白くないから、学食が10円値上がりしたのに腹を立てて、暴動起こそうってゆって学食に突入したりとか。そういうくだらないノリの騒ぎをひたすら起こしてましたね。

鈴木:僕も90年代後半に市ヶ谷にいたので、あの頃ちょうどボアソナード・タワーってのが建設中で、それの粉砕闘争でこたつ鍋とかやってたのとか。もうその頃から名はとどろいてたって感じですよね。「それじゃおもしろくない」ってのがキーだと思ったんですけど、「おもしろい」ってのが大事なんですか?

松本:いまやってることも含めて、正義感だけでやるのってなんかつまんない感じがするんですね。何かを訴えて変えていこうというときに、面白いというか、運動の過程も意味があるというか。そうしないと何事も説得力がなくなっていくのかなと。

鈴木:「貧乏」は「面白い」の一言で、学生の間でも話題だった。今の高円寺の活動って、世の中にも広がっていくわけで、大学から殻を破って、社会に出て行くわけじゃないですか。その辺は何か変わったところはあったんですか。

松本:いや、あんまりないですね。完全に同じノリで。

鈴木:周囲の反応というか、手応えとかは?

松本:それはやっぱ、外に出た方が手応えはありましたね。大学でやってるときも、おもしろがってる奴は集まってて、大学生という意味で境遇が似てるじゃないですか。外でやると、こっちがびびるくらいの人が集まるわけじゃないですか。会社が潰れて暴れるしかないんですよみたいなおっさんとかが来て、もう暴れるしかないとかゆったら、こっちよりもテンション高いじゃないですか。

鈴木:高円寺素人の乱というリサイクルショップにいたる経緯をおうかがいしたいんですが。

松本:大学を出てから、貧乏人大反乱集会ってのをやろうということで、駅前で鍋やったりとか、飲み会やったり。まあせいぜい50〜60人ですけど。

鈴木:そんだけあつまりゃたいしたもんだ。

森山:60人で鍋ですか。

松本:少ないときは10人くらいですけど。

鈴木:その後高円寺へ?

松本:もともと学生時代の終わりから、リサイクルショップでバイトはしていて、それが面白いなと思っていたんですけど、偶然高円寺にお店があるって聞いて。そのうち、単なる金を稼ぐ手段じゃなくて、自分が日々やっていた騒ぎと一体化してきて、店を通して街でいろんなことになってくると。

鈴木:それが三人デモに繋がっていくという。この「三人デモ」って何なんですか?

松本:これはその前に、放置自転車撤去反対で「俺のチャリを返せデモ」ってのをやったんですよ。俺のチャリを持って行くなって巨大な横断幕を掲げて。で、「デモってやったことないんですよ」なんつって嘘ばっかりついて、10人とか20人で警察に申請したんですよ。「高円寺ニート組合」なんて名前だったから、警察にも馬鹿にされて、お前ら大丈夫かと。でも実際に来たのは150人くらいで、大騒ぎで。トラックの上にバンドセットくんだりして。でもうこってりと警察に絞られて。でもう二度とデモなんかやらせねえぞと。それ憲法違反なんですけど、
で、なんとか警察の怒りをしずめようと、本当に三人だけのデモをやって、いかに我々が警察に忠誠を誓うかを示そうと。で、「三人でデモやりたいんですけど」ってゆったら、嘘つけ、この間はさんざんだましやがってって話で怒ってて。でも本当に三人でやったんです。そしたら機動隊がいっぱい来てたりとかして。公安が十何人きてメモとってたりとか。

鈴木:YouTubeの動画だと、君らまじめにやりなさいよって怒られてた奴ですよね。

松本:そうそう。三人で普通にぷらーっと街を歩いてて、何も言わないもんだから、警察も「お前らなんとか反対とかないのかよ、そういうの」なんてなったり。もう俺たち帰るぞ、待ってくださいよおまわりさん、みたいな。2時間で申請したのが45分で終了みたいな。

鈴木:今日、運動ってところから始まって、シュプレヒコールか?みたいな話かと思ったかもしれないんですが、実はこういう面白い運動が出てきてるってところに注目したんですね。有名どころだと、革命的非モテ同盟の「バレンタインデー粉砕デモ」とか。あとサウンドデモとか、フリーターの生存権を求めるデモとかも、メイドのコスプレした人がいたり。一方でまじめに運動しろ、みたいな人もいるわけですが。そういう新しい運動ってのをどう考えるかってのを出発点にしたい。
外山さんにもうかがいたいんですが、都知事選のYouTubeの動画、BGMをのせたバージョンがいくつも作られてましたね。

外山:テレビの奴には何のBGMもないものに、ユーザーが勝手に音を入れたという。

鈴木:いくつもできてましたね。ドラゴンボールとかガンダムとかエヴァとか。

外山:ゆっくり再生するとか逆再生とか。

鈴木:っていうネットで話題になったところで、まじめなのかおふざけなのか分からないところにくくられている部分はあると思うんですけど、活動歴はもっと長いわけですよね。

外山:いま36で、10代の後半からやってるから、もう20年近いですよね。

鈴木:最初は何をやられてたんですか?

外山:高校生の時期ですから、教員から生徒への抑圧・管理というのがある。80年代というのが10代にまるまる重なっているわけですが、ちょうど80年代後半というのが、校則とか体罰、管理教育が問題になった時期。新聞なんかでも。

鈴木:「ぼくらの七日間戦争」もそうでしたね。

津田:校門圧死事件とかありましたもんね。

鈴木:広島の校門圧死事件の前までってのが、管理教育の全盛ですね。

外山:校門圧死事件が90年で、僕がやってたのは87〜8年。運動が始まっていた頃、クラスでは僕一人、学年では他に一人二人仲間がいるかという状態で孤立していた。でも他の学校にもいるんじゃないかと思って探してみると、少数派として、そういう人がいるんですよ。

森山:そのころは具体的に何をしてたんですか?

外山:僕自身は、そういう納得いかない問題について単身抗議に押しかけたり、放課後の空き教室で社会問題の勉強会をやったりとか。それが学校にばれてつぶされたりとか。そういう人が全国各地にいた。

森山:上の世代の学生運動に対するあこがれとかあったんですか?

外山:宗田理の「僕らの七日間戦争」も88、9年かな。あと村上龍の「69」、あれも同じくらい。70年生まれだから、学生運動の最盛期は生まれるか生まれてないかの頃。漠然としたあこがれはあったけど、詳しいことは知らなかった。

鈴木:で、反管理教育運動から始まるわけだけど、だんだんシュプレヒコール的なものとは違う方向に行くわけですよね。

外山:だんだんそういうのをやってると、地元の何十年もやっている大人からスカウトされるわけですよ。久々に元気のいい若者が現れたなと。で、学校問題以外の問題に足を突っ込むようになって、最初のうちは「確かに問題だ」と思ってつきあうんだけど、だんだんそこに欺瞞というか、正義の運動につきまとううさんくささが見えてくる。それに反発して、オーソドックスな運動からズレていって、同時に寺山修司や赤瀬川源平のような、美術系の運動を後追いで知るようになり、政治運動と芸術運動の境目を、20代の全般を通じて追求するようになると。まあその過程でいろんな芸が身に付いたりするようにもなるわけで。その総決算的なものが、都知事選の政見放送だったのかもしれませんね。

鈴木:その後、熊本でも選挙に出られてますけど。

外山:でも、選挙になんか興味ないんですよ。8年前にあった福岡県知事選挙では、「無届立候補」ってのをやってるんですよ。自分のポスターを、選挙掲示板に貼ると逮捕されるので、電柱に貼って。「目指せ投票率ゼロパーセント!」とか「一票の軽み」とか。投票率ダウンキャンペーンというのをやったんです。で、ふたを開けてみると現職の勝利だったんですけど、彼の得票数よりも、棄権した人の方が多いわけですね。そこで投票日の翌日に、私を支持する人は投票に行くなと呼びかけたのだから、私が支持されたと言って、立候補もしてないのに当選っていうのを、駅前に勝手に貼って回ったりとか。だから選挙には今でも意味を感じてないし。
今回選挙に出たのは、一般的な運動、ビラをまいたりデモをやったりすると、逮捕者がすごく多い。僕の政見放送を見て、日本というのは、こんな過激なことを言える言論の自由のある国だということを言う人もいたけど、それはまったくの間違いで、それこそ欧米では考えられないような、普通のビラまきでつかまるような国。ちゃんと言論活動をしようと思えば選挙に出るしかないというくらい狭まってる。

鈴木:政見放送であれば、平等な時間が与えられ、カットもされず、中指を立ててもいいと。

外山:熊本では、警察署の前で警官を罵倒したり、刑務所の前で刑務官を罵倒したりしている。それも選挙じゃなきゃできないことですよ。

鈴木:選挙って言うのが言論の自由を確保する最大の手段になっているという不思議な状況がある。じゃあその運動って、どうして出てきてるのっていう、手段の側面をこの後やっていきましょう。では曲は外山さんですね。

外山:僕が二十歳前後の頃に流行ってた気がするんだけど、あまりみんな覚えてないので。こういう青春を過ごしていたよなという歌です。

〜曲〜

MP3その2


鈴木:メール、何度か運動をしたことがあります。2ちゃんねるのオフついでとか。でもそこまで。雨宮処凜さんとかにはついていけない。メール、違和感はあります。運動のための運動がもたらす弊害も承知しているけど、じゃあやらなくていいかというと、人は不利な立場にもなり得る。最後に残る手段が運動で、今立っている立場も運動によって築かれたもの。必要悪では。メール、フリーターの自由と生存のメーデーに参加してきた。警官の尋常じゃない多さ。まるで犯罪者扱い。国民の意思表示なのに。参加している間に考えていたのは、これで何か変わるのかというもの。日常とは別枠。通行人とデモを完璧に隔てられた。仲間同士で団結してもしょうがない。向こう側に届く言葉を。
外山さん、警官に規制をされる、デモとそれ以外の交流を分けるという状況がありますが。

外山:松本君を参考にしてるんだけど、新しい手段をこっちが発明して実践していかないとダメで、普通にデモをやるっていうのは、「奴ら」、警察側が対策ができている。それを突破するにはこっちが新しいアイディアを発明すること。

鈴木:でも松本さんはそういう意識なくやってたら、なんか運動になっちゃった的な感じがしたんですが。

松本:てか大まじめにやってんですけどねw

鈴木:どこに向けて大まじめなのかってことだと思うんですよね。何が変わるのかっていう。

外山:確かに、これまで通りのデモをやってても、こういう気分になっちゃうんですよ。僕もこういう場にいたらそういう気分になっちゃうし。でもそこであきらめるんじゃなくて、どうすれば警察官の鼻をあかしてやれるかっていう。僕は今回、政見放送だったら何も言われないから、向こうの盲点だろうと思った。松本君も、警察をおちょくるようなデモを次々思いついてはやるわけだし。

松本:そうなんだけど、でも、おちょくるためにやってるわけじゃなくて、いかに面白いことをやるか、そればっかり考えてるのね。これは笑えるだろうとか。結局そういうのがなんか、楽しい空間を作り出すことが一番の抵抗の手段としていいと思うんだよね。革命後の世界を勝手に作っちゃうみたいな。

鈴木:奇しくも革命という言葉が出たわけですけど、お二人とも、選挙も含めて国の制度全部をこっちの遊び場にして、革命を起こしてやろうって考えなんですか?

松本:そうっすね。革命起こした方がいいですよねホントに。

外山:手段はホントにいろいろあるわけで、選挙なんてのは政治運動の中で一番つまんないジャンルなんですよ。

鈴木:つまんないものも面白く遊んでいこうと。メール、シビアなものかと思ったら、運動に参加してみたくなりました。こんな軽い気持ちはまずいですかね。

外山:面白いからってのはありですよね。

鈴木:メール、質問、運動する目的は何でしょうか。お笑い芸人との違いが分かりません。鳥肌実との違いは?

外山:どうですか松本君。

松本:目的は、自分がいかに楽しく、ストレスなく生きていくかを思い浮かべて実践すること。いまのつまらない運動は、今我慢して、世の中を変えた後に楽しい世の中が来るんだっていうやり方だと思うんですね。でもそんなんじゃとても面白くないし俺もやりたくないし。変わるわけがない。自分がこういうのがあったら面白いなってのを思い浮かべてその場に作っちゃうってのが目的だと思う。

外山:まじめな動機はあるわけですよ。それを、なぜ自分が抑圧されていると思うんだろうというのを、まずは言葉にすることですよね。言葉にした上でそれをどう表現するか。歌でできる人は歌でやればいい。でも既存のジャンルに回収されちゃうだけだよなあと思う人は、パフォーマンス芸術か、政治運動とかになるでしょう。

鈴木:今の話で、ウェブサイトに外山さんが書かれている「政治活動入門」に、同じことが書いてありますよね。芸術と生活道は紙一重だと。意図的に越境しようということなんですか?

外山:お笑い芸人は笑わせることが目的。運動は社会を変えることが目的。でもあまりまじめくさってやってるとこっちが消耗するから、何か楽しいやり方でやろうと。遠巻きに見ている側を笑わせることもある。

鈴木:それが運動のこっち側と向こう側を隔てる壁を越えていくひとつの手段なのかもしれないですね。津田さん、森山さん、ここまでの話を聞いていてどうですか。

森山:何かを変えたいっておっしゃってたけど、変わると思いますか。

外山:僕は変えるつもりでやってますね。変わるかどうかは結果ですから、変えるつもりでやらないと。

森山:変えるために、運動をしたいための運動とかじゃなく、手段として、その先の目的があるものなのに、そこが誤解されるんじゃないかと思ったんです。

外山:実現したい社会システムがある訳じゃなくて、現状のシステムが気に入らないってところから始まる。今のシステムに風穴を開けることを実践していって、その先の何かが結果として見えてくるかもしれない。最初に理想社会をイメージして、歯車のように自分を押していくのはつまらないでしょう。

松本:そんな細かいことは考えてなくて、高円寺のお店がある商店街が、何でもアリのとんでもない空間になってて。それで変なものが入り込んできたらたたきのめすと。そんな感じなんじゃないかなあ。

森山:松本君の決起集会に行ったとき、そこら辺にいる人が入ってきて、松本君と論争したじゃない。で、あなたがやってることで何か変わるんですかと言われた。それに対して松本君が、いや、変わらないんだよ選挙で、って言ったのが、ちょっと発想の転換だった。変わらないのに、自分がやるんだという。

松本:世の中が変わらないという風にいったんではなくて、選挙で当選したからといって変わるわけではないということ。選挙という場を使ってできることがたくさんあって。色んなことを好き勝手に言えるし、立候補してるから杉並区が勝手にビラもまいてくれる。

外山:僕と松本君の選挙で共通してるのは、当落を度外視してることで、むしろ通っちゃったら困っちゃうw 実際通ったからと言って、50人とか60人の議会でできることなんて何もないですよ。

松本:てか俺議員とか絶対向いてないしw

森山:僕は最初にその話を聞いたときに、松本君に「絶対当選しろ」って言ったんですよ。その方が面白いから。

外山:面白いんだけど、議会って多数決の世界だから、、、

松本:でも選挙と同じで、議員って立場でめちゃくちゃなことやって、ってのも面白いと思う。町内会もあって、みたいなどぶ板選挙やっても面白くない。でも駅前でライブやって当選するくらいのラインまでいくなら、絶対なった方がいいと思う。

外山:結果でしょ。選挙制度を利用して、普段だったら警察に規制されるようなことも選挙運動という名目でやれる。その結果として当選したらそれに越したことはないと思ってるけど。

鈴木:今の話でメール、16歳の高校生。前から社会の問題に興味がある。ニコニコ動画で外山さんの演説を見てそうだと思いました。今の政府は規制をかけていってる。マスコミは真実を報道してくれないし、ネットも弾圧されたら誰も暴走を止められない。こうなったらやはり立ち上がるしかない。でも受験もあるし。メール、モテない奴らが主張する「非モテテロリスト」です。外山さんには共感するけど都知事にはなるべきじゃない。マイノリティはマイノリティのままでいるべきです。マニアックなもの好き?同じ考えの人と繋がり、その人を応援したいから運動に参加するという動機。

外山:僕も、僕が都知事になることは望みませんからw ただ、マイノリティをマイノリティとして放っておいてくれるならいいんだけど、ここ数年、ほっといてくれなくなってるんだよね。

鈴木:具体的には?

外山:例えば自分の実感だと、ストリートミュージシャン。7〜8年前なら、警察が目の前を通っても何も言わなかった。ここ2、3年は、演奏しているのを見つけると、片付けるまでそこにいるとか。あと、正論に対する違和感の表明ができにくくなってる。防犯のために監視カメラをいっぱいつけようというのは正論なんだけど、なんか気持ち悪いというのは言いにくい。僕はヘビースモーカーだけど、路上喫煙も禁止になっている。それに対しておかしいと思っている人はいて当たり前なんだけど、メディアにも出てこない。

鈴木:この16歳の彼も、マスコミが真実を伝えてくれなくて、って話がありますけど、どうも同じ方向に議論がまとめられちゃっていく感。この辺りは津田さん、ネットの話とかどうですか。

津田:今までの話で思ったことがふたつあって。面白いっていうのはプリミティブで大事だと思うんですよ。悲壮感の漂ってるデモって、ちょっと遠くに感じちゃうじゃないですか。それって何でなのかなと思うと、悲壮感の漂うものって他人事になるんだと思うんですよ。ワイドショートか、不幸を見て喜ぶようなところは普通の人にもある。かわいそうだな、で終わってしまう。というときに、方法論として、実際は厳しいんだけど面白い方法論でやっていくと共感されやすい。もうひとつは、外山さんの文章で、ベルリンの壁が崩壊して、東西冷戦が固定化されていたものから、堰を切ったように崩壊した。それ以前というのは、冷戦を終わらせたいと思っても、どうやって終わらせるのか全く想像が付かなかった。

外山:永遠に続くものだと思ってましたよね。

津田:活動している人も、どうやって終わらせたらいいのか分からずにやってたと思うんです。これって色んなことに言えて、僕が今取材している人たちの中でも、音楽業界でも出版でも著作権でも、40〜50代くらいの人でも、心ある人はみんなおかしいと思ってる。声を上げたいとも思ってる。でもどうやったら変えられるのか分からなかったと。それまでの運動論の方法、既にある方法のメソッドに乗るか、似たようなサークルを作るかという限定された方法論しかなかった。今はネット、YouTubeとか出てきて、自分なりの方法論をグランドデザインできるようになったということなんじゃないかなと。

外山:従来からあるビラまきとかデモとかも含めて、新しく獲得したネットとかそういうものも、手持ちの武器は組み合わせ次第で何でもできるから。ビラまきみたいなやり方を否定するのもおかしいと思うけど。

津田:もういっこは選挙で外山さんや松本さんがうかっても何も変わらないよというのに対して、僕は共感する一方で、ちょっと違うかなと思うのは、やっぱり面白かったと思うんですよ。確かに議会の中では少数派の意見なんてつぶされてしまう。でも声を上げ続けることによって、主張に共感する仲間が出てくると思うんですよね。

森山:実際、世田谷区議に当選した上川あやさんという性同一障害の方がそうだけど、マイノリティに対する周囲の視線を変えていってるんですよね。「変わらない」って二人がおっしゃるのに違和感もあって。

外山:変えられるんだけど、選挙とか議会政治にこだわってる訳じゃないということなんですよね。

鈴木:その方法論がどうかというのは最後に検討することになると思うんですけど、じゃあ、具体的に変わったものあるの?ないの?という話が必要だと思うんで、一曲挟んでその話に行きましょう。曲は松本さんですね?

松本:ひどいめにあった奴がふざけるな!って言い始める象徴の曲じゃないかとおもいます。タイマーズで「タイマーズのテーマ」。

「運動」Part2
2007年06月07日(木) 09:06:04 Modified by life_wiki




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