仁王シリーズに続くTeam NINJAの死にゲーです。今回はコーエーのお家芸である三国志に材を取り、名もない義勇兵の主人公を操って、戦乱の陰で暗躍する妖魔と戦うお話になっています。
方々で指摘されていることではありますが、死にゲーとしてはかなり簡単になっています。本作は
仁王シリーズと同じくステージクリア形式なのですが、まず「主戦場」というメインミッションでは、一部の例外を除いて
CODE VEINや
FFオリジンみたいな味方NPCが最大2人まで同行してきてくれます(「副戦場」というサイドミッションでも、探索要素が強めのミッションでは味方NPCがデフォルトで付いてきてくれることが多いです)。また
仁王シリーズのようなハクスラ要素は残っていますが、少なくともゲームクリアやトロコンをするためだけであればそこまでガチガチな装備厳選は必要ありません。拾えた物のなかで性能の良い物を装備・強化していくという素朴なグッドスタッフ的発想で進めても、前述の味方NPCの存在もあって、かなりごり押しが利きます。難易度は、死にゲーというよりは
鬼武者ぐらいのもんだと私は感じました。
ステージの攻勢が複雑なのは
仁王シリーズ譲り(というより、
本家譲り)ですが、ステージの各所に旗を立てられる場所があり、旗を立てていくとこちらの士気(と、死んだ場合でも失わずに残る士気の最低値)が上がっていき、戦闘も楽になるシステムになっています(敵とこちらとの士気の差で与ダメージや被ダメージに補正がかかるような仕様と思われます)。
とはいえこれらの要素は封印して敢えて高難度のまま進めるということもできるので、死にゲーの初心者と上級者を両方とも取り込めるうまいやり口だと思います。
私は、三国志が好きなこともあって、かなり楽しめました。特に「化勁」という名のパリィが優遇された戦闘システムになっており、
SEKIROや
Thymesiaみたいにリズミカルにパリィを決めていく戦闘はとても気持ち良かったです。そのうえ本作は死にゲーの名を冠している割りには簡単であり、主人公が育ってきた後半になればほとんどのボスは初見撃破できるので、私のプライドを大いに満足させてくれました。だからこそ楽しかったという面は、大いにあると思います。ただ、相変わらず一対多の戦いを強いられるサブミッションが複数あるのは解せません。この手のミッションは理不尽で面倒くさいだけだというプレイヤーの声がなぜ未だに制作陣に伝わらないのでしょうか。
前述の通り主人公は名もない義勇兵であり、キャラクリはできますがその裏返しとして一切しゃべりません。
GTA3の主人公並みにしゃべらないので感情移入はしづらく、また三国志の流れに沿ってその場面場面でスポットが当たる陣営を渡り歩いていくので、見る方としても心の置き所が分からず、結果としてかなり薄味のストーリーになってしまっています。三国時代のビッグネームが出ては消えという流れを繰り返すので、三国志に馴染みがない方(特に海外の方)は置いてけぼり感が強くなるであろうと思われるのは
仁王2と一緒です。また、DLC第3弾までやっても三国志最大の山場を迎える前にストーリーが終わってしまうので、尻すぼみ感も拭えません。もしかして、続編を意識しているのでしょうか。本作のストーリーの範囲では、三国の創始者たちは「妖魔を倒す」という共通の目標のために同じ方向を向けていたのですが、三国志に沿ってシリーズのストーリーを展開していく限り、続編では三国同士で戦うことになります。すなわち、三国のうちのどこかを敵役にする必要があるということです。それはすなわち、三国の創始者のうちの誰かが闇堕ちして敵になるという展開が待っているということです(特に最後に丹薬を手中にしたあの人については、そういう未来が強く示唆されているように見えました)。一応三国各国にファンがいる気がするのですが、どこかを敵役に回してしまってもいいんでしょうかね。
※化勁(パリィ)優遇のシステムだけに、距離を詰めてチャンチャンバラバラした方が多くのボスは倒しやすくなるのですが、攻撃の手数が多すぎるボスに関してはほぼボタン連打で化勁をする必要が生じるため、かなり面倒になります。これに該当するのは、関羽と人間太史慈だと思います。関羽は対甘寧の時のように基本は走って逃げ回りつつ、相手が距離を詰めながら出してきた攻撃にだけ化勁を決めていくチキン戦法で割りと楽に倒せるのですが、人間太史慈はこちらが逃げ回るとホーミング性能の高い弓矢を連射してくるので、その戦法もとれません。こういうボスは本作のシステムと相性が良くないと思います。