家族ごっこ
547 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:22:32 ID:mdLRTdEw
>>545
からインスピレーションで変な文章できた。
区切りがいいとこまでできたので投下しますがよろしいですか。
なのフェイ+ヴィヴィオの三人家族ネタ
注意
なのはさんがちょっとへたれママンです。
570 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:10:33 ID:mdLRTdEw
お言葉に甘えまして・・・
家族ごっこ後半戦いきます。
注意
テスタロッサさんがへたれです。
549 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:26:48 ID:mdLRTdEw
わたしのかぞく
わたしにはだいすきなままがふたりいます。
ちょっときびしいけれどほんとうはやさしくて、とてもつよくてきれいななのはママ。
いつもふんわりわらいかけてくれる、とてもやさしくてかっこいいフェイトママ。
でも、
わたしたちはほんとうのおやこじゃありません。
ままがふたりもいるなんておかしいよといわれることもあります。
・・・
かぞくっていったいなんだろう・・・。
550 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:28:02 ID:mdLRTdEw
いつものように仕事が終わってヴィヴィオを迎えに行った帰り道。
今日はいつもとヴィヴィオの様子が違った。いつもなら迎えに行くと大喜びで飛び
ついてきてくれるに、今日はおずおずと手を伸ばしてくるだけ。
「ヴィヴィオ、どうしたのかな?なんか元気ないよ?」
差しのばされた手を優しく握りながら話しかけても
「そんなことないよ、なのはママ。」
とヴィヴィオは答えるだけでそのまま俯いてしまう。
(困ったなあ、こんなときどうすればいいんだろう。)
基本的にヴィヴィオはすごく聞き分けが良く手間のかからない「良い子」であり、
ましてや私は子育ての経験なんてほとんど無い。フェイトちゃんと違って子供の
相手をしたこともほとんど無かったしするのも苦手だ。
それでも私は何とかヴィヴィオを元気づけようと
「今日はフェイトママも久しぶりに帰ってくるからねー。家族三人で晩ご飯食べようね。」
なんて話しかけたとき、ヴィヴィオがぽつりと漏らした一言が私の心をかき乱した。
「ねえ、なのはまま。ふつうのかぞくってなんだろう?」
551 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:30:10 ID:mdLRTdEw
それから私は必死になって、「私たちは血はつながってないけど親子だよ」とか
「なのはママもフェイトママもヴィヴィオの事本当に愛してるから」とか言い続けたけど、
ヴィヴィオの発言にほとんどパニック状態だったため何を言いたいのかほとんど判らない状態で。
そんな私にヴィヴィオは
「わたしもママたちのことだいすきだよ。だからごめんね?」
なんて言って微笑んでいたけど、
明らかに私に気をつかって言ってるだけで納得はしていない様子だった。
ヴィヴィオが聞きたかったのは「私たちとヴィヴィオとの関係」だけじゃないんだと思う。
聞きたかったのは「私とフェイトちゃんとの関係」。
私はフェイトちゃんが大好き。
幼い頃に抱いたフェイトちゃんへのかけがえのない友情は、
いつしか淡い恋情に変わっていて・・・今では溢れんばかりの愛情がこの身を焦がす。
フェイトちゃんもこの気持ちに応えてくれるけれど、やはり同性同士の恋愛は普通ではないから
おおっぴらにするわけにはいかない。ヴィヴィオにも私たちの関係をはっきりと告げたことはない。
いや、告げられないんだ。
私たちの関係が世間に知られてヴィヴィオがどんな好奇な目に曝されるか、
そのときにどんなにヴィヴィオが傷つくかを思うと・・・とても怖くて・・・。
ヴィヴィオ、貴方への愛は嘘じゃない。フェイトちゃん、貴女への愛は隠せない。
ああフェイトちゃん、私は一体どうしたらいいの・・・。
552 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:31:51 ID:mdLRTdEw
三週間に渡る任務を終えようやく我が家に帰ってきた私を迎えたのは、
元気のないヴィヴィオとどこか憔悴したなのはと微妙な空気。
一体どうしたというの?
なのはを抱えるように廊下に連れ出し、何があったのとなのはに優しく尋ねる。
するとなのはは俯きながらぽつりぽつりと話し始めた。
帰りからヴィヴィオの様子がおかしかったこと、ヴィヴィオに言われたこと、なのはの不安を。
「そっか、そんなことがあったんだ・・・」
ああ、この日が来てしまったんだ。
私も考えたことがなかった訳じゃない。
ヴィヴィオのことを考えると、私はなのはから離れるべきなのかもしれないと、
友達に戻らなければならないのかもしれないと何度思ったことか。
でも、それでも、なのはへの想いは消せなくて、なのはも私を求めてくれて、こうして、私は、ここにいる。
怖い、とても怖い、だけど、だけど、逃げちゃだめだ。
ヴィヴィオのためにも、なのはのためにも、何より自分自身のために・・・。
553 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:33:35 ID:mdLRTdEw
ふるえる自分に叱咤して、なのはを一度ぎゅっと抱きしめると俯いた顔を上げさせて、
額にそっと優しくキスをする。
「フェイト・・・ちゃん?」
驚くなのはに精一杯の優しい微笑みを送ると、私はなのはの体を離してヴィヴィオの元へ向かう。
リビングのソファーにちょこんと俯いて座っているヴィヴィオの隣に座ると
私はぎゅっとヴィヴィオを抱きしめる。
「フェイトママ?」
ヴィヴィオを膝の上に抱え上げると私はゆっくりと話し出す。
「ねえ、ヴィヴィオ。私たちは「普通の」家族じゃないかもしれないけど、それは悪い事じゃないと思うんだ。」
びっくりして顔をあげるヴィヴィオの眼を優しく見つめながら私は言葉をさらに続ける。
「ヴィヴィオはなのはママのことどう思う」
「つよくてきれいでとってもだいすき!」
「うん、なのはママは強くて綺麗で優しくて・・・でもそんな素敵ななのはママって「普通」じゃないよね?」
「あ・・・」
「そんな素敵な人のこと、何て言うのかヴィヴィオは知ってる?そんな人のことを「特別」っていうんだよ。」
554 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:35:03 ID:mdLRTdEw
これはなのはが私にくれた言葉。
普通の生まれじゃない、クローンの人形でしかない、ろくな名前を持たない私になのはを愛する資格なんてないんじゃないかと、
そう漏らしたときに涙ながらに叱りながら贈ってくれた言葉。
(フェイトちゃんは普通じゃないかもしれない、
だけど、特別だよ。普通じゃない特別な、
とってもとっても素敵な、なのはの特別だから・・・)
「そんな素敵で「特別」ななのはママがフェイトママは大好きで、なのはママはフェイトママの「特別」なんだ。
そしてとても可愛い可愛い「特別な」ヴィヴィオは、なのはママとフェイトママの大好き、「特別」なんだよ。」
「ヴィヴィオ、「普通」じゃないってことはね、つらくて悲しいこともあるけれど・・・、
とてもとても大変なことだけど・・・、とっても素敵なことでもあるんだよ・・・。」
震える声で精一杯の気持ちを伝えると、なのはがヴィヴィオごと私を抱きしめてきた。そしてなのはが言葉をつなげる。
「ヴィヴィオ、なのはママとフェイトママは「普通」じゃないからヴィヴィオにつらい思いをさせるかもしれないけど・・・、
それでもヴィヴィオを守れるように頑張っていくから、ヴィヴィオが特別だから、だから私達の家族でいてくれる?」
「うん、なのはママとフェイトママはヴィヴィオの「とくべつ」だよ、
なのはママとフェイトママはヴィヴィオが「とくべつ」、なのはままとふぇいとままも「とくべつ」、
さんにんみんなで「とくべつなかぞく」だよ!」
ヴィヴィオはにっこり微笑んでそんなことを言ってくれた。ああ、本当にヴィヴィオには敵わないや。
「うん、頑張って三人で素敵な「特別」な家族になろうね!」
私の愛しい人はそう言いながらぎゅっと私達を抱きしめてくれた。
571 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:12:07 ID:mdLRTdEw
「ヴィヴィオはようやく眠ったの?」
寝室でヴィヴィオを寝かしつけていた私の所に、さっきまで本局に提出する任務報告をまとめていたフェイトちゃんが
そっと足跡を忍ばせて近づいてきた。
あの後三人で食事してお風呂に入っていっぱい話して、
「明後日はなのはの仕事ももヴィヴィオの学校もお休みだし、私もしばらく休暇だから三人で何処か行こうか。」
なんてフェイトちゃんが嬉しいことを言ってくれたものだからヴィヴィオはすごく喜んで興奮してなかなか寝付いてくれなかった。
「ふふっ。可愛い寝顔だね。」
なんて言いながらフェイトちゃんが私の背後から顔をのぞかせ、優しく微笑みながらヴィヴィオの髪をそっと撫でる。
その微笑みはとてもとても優しくて、
その紅い瞳はいつもと変わらずとても深くて澄んでいて、とてもとても綺麗で
そんな貴女を見るたびに私の想いは溢れそうで。
「でもフェイトちゃん、よかったの?」
「なのは?何が?」
「だって待機休暇中といっても任務報告まとめるのだって大変だろうし、なにより長期任務明けで疲れているでしょう?
今回は大変だったみたいだし・・・」
なんだそんなことか、とフェイトちゃんはくすりと笑って私を後ろから抱きしめる。
「大丈夫だよ、報告はほとんど出来上がっているから明日一日頑張ればまとめ上がるし、何より私が一番楽しみにしているんだから・・・。」
だからなのははそんなに気を回さなくて良いんだよ、とそっと耳元で囁くフェイトちゃんの甘く優しい声に私の胸が締め付けられる。
ああ、なんであなたはそんなにも優しいのだろう。
572 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:14:25 ID:mdLRTdEw
「フェイトちゃんはすごいよね・・・。」
「なのは?」
うん本当にフェイトちゃんはすごい。
「私はただ慌てふためくことしかできなかったのにフェイトちゃんはあんなに簡単にヴィヴィオの心をほどいちゃうんだもん・・・。」
私の心をこんなにも優しくほどいてくれる・・・
「それは違うよ・・・。」
フェイトちゃんはぎゅっと苦しいぐらいに私を抱きしめる。
「フェイトちゃん?」
「違うんだ・・・あれはなのはが私にくれた言葉・・・。
もう覚えてないかもしれないけど、昔私がなのはに弱音を吐いたときに贈ってくれた大切な言葉だから・・・
私の「本当」の言葉じゃない・・・」
573 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:15:39 ID:mdLRTdEw
思い出した。私が大怪我をしてしばらくしてからフェイトちゃんすごく不安定になったときがあって。
リハビリに必死だったときは甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるフェイトちゃんに何の違和感を感じなかったけど。
完治まであと少しというところでフェイトちゃんの様子がおかしくなったんだっけ。
なのは守れなくてごめんね、
私じゃやっぱり駄目なんだね。
なのはの側に居る資格なんて無いんだ。
出来損ないの私なんてやっぱり意味無いんだ。
なのはを助けるって約束したのに。
なのはごめんね。
その場にいなかったから守れなくて当然なのに謝り続けるフェイトちゃんが悲しくって、
自分のことを「普通じゃない、出来損ないだ」なんて言うフェイトちゃんが腹ただしくって、泣きながらフェイトちゃんをひっぱたいたっけ。
そんなことあったなあ。
574 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:17:13 ID:mdLRTdEw
感慨に浸っていると、ふと肩に冷たい物を感じた。背中に感じるのはフェイトちゃんの震えている躯
フェイトちゃん、泣いているの?
「ヴィヴィオにはあんな事言ったけどね、本当は、私、すごく怖いんだ。
私達本当に家族っていえるのかなって・・・
今はヴィヴィオもはっきり分かってないからこれで良いのかもしれない。だけど将来は?
あの子がもっと大きくなったときに本当のことが分かった時にどう思うんだろう。
あの子が傷ついたときに私はきちんと守ってあげられるんだろうか。
私はあの子を自分のなのはと居たいという欲望のために犠牲にしてるんじゃないかって。
私は、弱いから、悩んで、迷って、そればかりで・・・」
ああ、フェイトちゃんも怖かったんだね、だけど私達のために頑張ってくれたんだ。
だけどね、フェイトちゃん、あれは自分の言葉じゃないなんて言ったけれど、間違いなくフェイトちゃんの想いが詰まっていたよ。
私もヴィヴィオもすごく嬉しかったんだよ・・・。
「フェイトちゃん・・・」
声を押し殺して泣いているフェイトちゃんに向き合うと、顔を上げさせて指でその涙を拭う。
両手でそっとフェイトちゃんの頬を包み込み、それから私は・・・
575 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:21:15 ID:mdLRTdEw
パチン
両手でフェイトちゃんの顔を挟むように軽く叩いた。
「ふぇうっ?」
突然のことに情けない声をあげてきょとんとしているフェイトちゃん。
ああ、こんなフェイトちゃんもやっぱり可愛いなあ、なんてて思う私はほんとフェイトちゃんにくびったけなんだと改めて認識する。
「フェイトちゃん、駄目でしょ、またネガティブに考えて。しっかりしなさい。」
「でも、私は、」
抗議をあげようとするフェイトちゃんの唇に、私は左手の人差し指をおいて黙らせる。
「ヴィヴィオと約束したでしょ?頑張るって。」
あーとかうーとかうなりながら口ごもるフェイトちゃんの紅くなった頬に軽くキスを贈ると私は正面から優しくフェイトちゃんを抱きしめた。
「大丈夫。私達は、一人じゃない。二人でヴィヴィオを守ればいいから。
ヴィヴィオだってきっと分かってくれる。そしたら、三人で支え合えばきっと何とかなる。
嘘だって、それが本気なら本当に変わる。本気の嘘からうまれるものはきっとあるはず。
たとえ他人から見たら普通じゃない家族でも、家族ごっこだと思われても、本気で家族であろうと三人で想えば、それできっと家族になれるから。」
576 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:22:53 ID:mdLRTdEw
その言葉にしっかりとフェイトちゃんは肯いてくれた。
「うん、今は弱い私だけどいつかきっと強くなるから、
なのはとヴィヴィオを守れるくらい強くなるから、
後悔なんてさせないぐらい強くなるから・・・だから・・・」
貴女たちの側にいさせてください。なんてつぶやくフェイトちゃん。
もう、フェイトちゃんたらほんとに分かってないなあ。
俯いてしまったフェイトちゃんの顔を両手でぐっと引き上げる。
また叩かれるのかとびくつくフェイトちゃんにそっと顔を寄せ、その綺麗な唇にそっと私の唇を重ねる。
顔を真っ赤にして目を白黒させるフェイトちゃん。そんな彼女に私はくすくす笑いながら囁いた。
「フェイトちゃんだけじゃないよ。私達三人一緒に強くなるんだよ。だって私達は家族なんだから。」
フェイトちゃんは分かってないよ、私がどれだけ貴女を好きなのか。
フェイトちゃんは分かってないよ、私がどれだけ貴女を守りたいと想っているのか。
フェイトちゃんは分かってないよ、貴女の側にいたいのは私も同じなんだよ。
そんな気持ちを伝えるために、私はフェイトちゃんに情熱的なキスを贈った。
577 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:23:57 ID:mdLRTdEw
わたしのかぞく
わたしにはだいすきなままがふたりいます。
ちょっときびしいけれどほんとうはやさしくて、とてもつよくてきれいななのはママ。
いつもふんわりわらいかけてくれる、とてもやさしくてかっこいいフェイトママ。
なのはままとフェイトママはとてもなかよしです。
ふたりともヴィヴィオのことをだいすきだよといってくれます。
でも、
わたしたちはほんとうのおやこじゃありません。
ままがふたりもいるなんておかしいよといわれることもあります。
わたしたちはふつうじゃないのかもしれません。
だけど、さんにんともおたがいがだいすきだから、
おたがいが「とくべつ」すきだから、
わたしたちは「かぞく」なのです
さんにんが、おたがいがだいすきだから、だいじょうぶ。
わたしたちは「かぞく」になれます。
わたしたちは「とくべつ」。
わたしたちはきっとすてきな「かぞく」です。
終わり
582 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:51:10 ID:mdLRTdEw
皆さん読んでくれてありがとう、みんな心広いなあ。
たまにはなのはさんのほうががフェイトさんをめっちゃ好きでも良いじゃん!との方向で書いたので、なのはさんちょっとあれです。
フェイトさんはやっぱりへたれてなんぼだよね、という方向なので後半からあれです。色々ごめんなさい
分かってもらえたかもしれませんが、最初と最後の文はヴィヴィオです。
作文か日記か何かということで、ヴィヴィオが学校に入ってしばらくしてからという設定でよろしく。
はじめ受信した電波は
ママたち絶対変だよ〜おかしいよ〜とフェイトさんに殴りかかる思春期@ヴィヴィオ。
ごめんね〜ごめんね〜こんな私でごめんね〜と泣き叫ぶへたれパパンことテスタロッサ。
こら〜フェイトちゃんいじめちゃ駄目でしょ〜お仕置きだからね!と二人にSLBぶっ放す肝っ玉ママンなのはさんという
微笑ましいDV劇場だったんだけど、あれ?
最後にエリオキャロに一言、
ごめんね、フェイトさんは君たちのことちゃんと家族と想ってるよ?
だけど君たちもう別なところでフェイトさんハブって分家つくりそうな勢いだからさ・・・
からインスピレーションで変な文章できた。
区切りがいいとこまでできたので投下しますがよろしいですか。
なのフェイ+ヴィヴィオの三人家族ネタ
注意
なのはさんがちょっとへたれママンです。
570 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:10:33 ID:mdLRTdEw
お言葉に甘えまして・・・
家族ごっこ後半戦いきます。
注意
テスタロッサさんがへたれです。
549 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:26:48 ID:mdLRTdEw
わたしのかぞく
わたしにはだいすきなままがふたりいます。
ちょっときびしいけれどほんとうはやさしくて、とてもつよくてきれいななのはママ。
いつもふんわりわらいかけてくれる、とてもやさしくてかっこいいフェイトママ。
でも、
わたしたちはほんとうのおやこじゃありません。
ままがふたりもいるなんておかしいよといわれることもあります。
かぞくっていったいなんだろう・・・。
550 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:28:02 ID:mdLRTdEw
いつものように仕事が終わってヴィヴィオを迎えに行った帰り道。
今日はいつもとヴィヴィオの様子が違った。いつもなら迎えに行くと大喜びで飛び
ついてきてくれるに、今日はおずおずと手を伸ばしてくるだけ。
「ヴィヴィオ、どうしたのかな?なんか元気ないよ?」
差しのばされた手を優しく握りながら話しかけても
「そんなことないよ、なのはママ。」
とヴィヴィオは答えるだけでそのまま俯いてしまう。
(困ったなあ、こんなときどうすればいいんだろう。)
基本的にヴィヴィオはすごく聞き分けが良く手間のかからない「良い子」であり、
ましてや私は子育ての経験なんてほとんど無い。フェイトちゃんと違って子供の
相手をしたこともほとんど無かったしするのも苦手だ。
それでも私は何とかヴィヴィオを元気づけようと
「今日はフェイトママも久しぶりに帰ってくるからねー。家族三人で晩ご飯食べようね。」
なんて話しかけたとき、ヴィヴィオがぽつりと漏らした一言が私の心をかき乱した。
「ねえ、なのはまま。ふつうのかぞくってなんだろう?」
551 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:30:10 ID:mdLRTdEw
それから私は必死になって、「私たちは血はつながってないけど親子だよ」とか
「なのはママもフェイトママもヴィヴィオの事本当に愛してるから」とか言い続けたけど、
ヴィヴィオの発言にほとんどパニック状態だったため何を言いたいのかほとんど判らない状態で。
そんな私にヴィヴィオは
「わたしもママたちのことだいすきだよ。だからごめんね?」
なんて言って微笑んでいたけど、
明らかに私に気をつかって言ってるだけで納得はしていない様子だった。
ヴィヴィオが聞きたかったのは「私たちとヴィヴィオとの関係」だけじゃないんだと思う。
聞きたかったのは「私とフェイトちゃんとの関係」。
私はフェイトちゃんが大好き。
幼い頃に抱いたフェイトちゃんへのかけがえのない友情は、
いつしか淡い恋情に変わっていて・・・今では溢れんばかりの愛情がこの身を焦がす。
フェイトちゃんもこの気持ちに応えてくれるけれど、やはり同性同士の恋愛は普通ではないから
おおっぴらにするわけにはいかない。ヴィヴィオにも私たちの関係をはっきりと告げたことはない。
いや、告げられないんだ。
私たちの関係が世間に知られてヴィヴィオがどんな好奇な目に曝されるか、
そのときにどんなにヴィヴィオが傷つくかを思うと・・・とても怖くて・・・。
ヴィヴィオ、貴方への愛は嘘じゃない。フェイトちゃん、貴女への愛は隠せない。
ああフェイトちゃん、私は一体どうしたらいいの・・・。
552 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:31:51 ID:mdLRTdEw
三週間に渡る任務を終えようやく我が家に帰ってきた私を迎えたのは、
元気のないヴィヴィオとどこか憔悴したなのはと微妙な空気。
一体どうしたというの?
なのはを抱えるように廊下に連れ出し、何があったのとなのはに優しく尋ねる。
するとなのはは俯きながらぽつりぽつりと話し始めた。
帰りからヴィヴィオの様子がおかしかったこと、ヴィヴィオに言われたこと、なのはの不安を。
「そっか、そんなことがあったんだ・・・」
ああ、この日が来てしまったんだ。
私も考えたことがなかった訳じゃない。
ヴィヴィオのことを考えると、私はなのはから離れるべきなのかもしれないと、
友達に戻らなければならないのかもしれないと何度思ったことか。
でも、それでも、なのはへの想いは消せなくて、なのはも私を求めてくれて、こうして、私は、ここにいる。
怖い、とても怖い、だけど、だけど、逃げちゃだめだ。
ヴィヴィオのためにも、なのはのためにも、何より自分自身のために・・・。
553 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:33:35 ID:mdLRTdEw
ふるえる自分に叱咤して、なのはを一度ぎゅっと抱きしめると俯いた顔を上げさせて、
額にそっと優しくキスをする。
「フェイト・・・ちゃん?」
驚くなのはに精一杯の優しい微笑みを送ると、私はなのはの体を離してヴィヴィオの元へ向かう。
リビングのソファーにちょこんと俯いて座っているヴィヴィオの隣に座ると
私はぎゅっとヴィヴィオを抱きしめる。
「フェイトママ?」
ヴィヴィオを膝の上に抱え上げると私はゆっくりと話し出す。
「ねえ、ヴィヴィオ。私たちは「普通の」家族じゃないかもしれないけど、それは悪い事じゃないと思うんだ。」
びっくりして顔をあげるヴィヴィオの眼を優しく見つめながら私は言葉をさらに続ける。
「ヴィヴィオはなのはママのことどう思う」
「つよくてきれいでとってもだいすき!」
「うん、なのはママは強くて綺麗で優しくて・・・でもそんな素敵ななのはママって「普通」じゃないよね?」
「あ・・・」
「そんな素敵な人のこと、何て言うのかヴィヴィオは知ってる?そんな人のことを「特別」っていうんだよ。」
554 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 15:35:03 ID:mdLRTdEw
これはなのはが私にくれた言葉。
普通の生まれじゃない、クローンの人形でしかない、ろくな名前を持たない私になのはを愛する資格なんてないんじゃないかと、
そう漏らしたときに涙ながらに叱りながら贈ってくれた言葉。
(フェイトちゃんは普通じゃないかもしれない、
だけど、特別だよ。普通じゃない特別な、
とってもとっても素敵な、なのはの特別だから・・・)
「そんな素敵で「特別」ななのはママがフェイトママは大好きで、なのはママはフェイトママの「特別」なんだ。
そしてとても可愛い可愛い「特別な」ヴィヴィオは、なのはママとフェイトママの大好き、「特別」なんだよ。」
「ヴィヴィオ、「普通」じゃないってことはね、つらくて悲しいこともあるけれど・・・、
とてもとても大変なことだけど・・・、とっても素敵なことでもあるんだよ・・・。」
震える声で精一杯の気持ちを伝えると、なのはがヴィヴィオごと私を抱きしめてきた。そしてなのはが言葉をつなげる。
「ヴィヴィオ、なのはママとフェイトママは「普通」じゃないからヴィヴィオにつらい思いをさせるかもしれないけど・・・、
それでもヴィヴィオを守れるように頑張っていくから、ヴィヴィオが特別だから、だから私達の家族でいてくれる?」
「うん、なのはママとフェイトママはヴィヴィオの「とくべつ」だよ、
なのはママとフェイトママはヴィヴィオが「とくべつ」、なのはままとふぇいとままも「とくべつ」、
さんにんみんなで「とくべつなかぞく」だよ!」
ヴィヴィオはにっこり微笑んでそんなことを言ってくれた。ああ、本当にヴィヴィオには敵わないや。
「うん、頑張って三人で素敵な「特別」な家族になろうね!」
私の愛しい人はそう言いながらぎゅっと私達を抱きしめてくれた。
571 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:12:07 ID:mdLRTdEw
「ヴィヴィオはようやく眠ったの?」
寝室でヴィヴィオを寝かしつけていた私の所に、さっきまで本局に提出する任務報告をまとめていたフェイトちゃんが
そっと足跡を忍ばせて近づいてきた。
あの後三人で食事してお風呂に入っていっぱい話して、
「明後日はなのはの仕事ももヴィヴィオの学校もお休みだし、私もしばらく休暇だから三人で何処か行こうか。」
なんてフェイトちゃんが嬉しいことを言ってくれたものだからヴィヴィオはすごく喜んで興奮してなかなか寝付いてくれなかった。
「ふふっ。可愛い寝顔だね。」
なんて言いながらフェイトちゃんが私の背後から顔をのぞかせ、優しく微笑みながらヴィヴィオの髪をそっと撫でる。
その微笑みはとてもとても優しくて、
その紅い瞳はいつもと変わらずとても深くて澄んでいて、とてもとても綺麗で
そんな貴女を見るたびに私の想いは溢れそうで。
「でもフェイトちゃん、よかったの?」
「なのは?何が?」
「だって待機休暇中といっても任務報告まとめるのだって大変だろうし、なにより長期任務明けで疲れているでしょう?
今回は大変だったみたいだし・・・」
なんだそんなことか、とフェイトちゃんはくすりと笑って私を後ろから抱きしめる。
「大丈夫だよ、報告はほとんど出来上がっているから明日一日頑張ればまとめ上がるし、何より私が一番楽しみにしているんだから・・・。」
だからなのははそんなに気を回さなくて良いんだよ、とそっと耳元で囁くフェイトちゃんの甘く優しい声に私の胸が締め付けられる。
ああ、なんであなたはそんなにも優しいのだろう。
572 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:14:25 ID:mdLRTdEw
「フェイトちゃんはすごいよね・・・。」
「なのは?」
うん本当にフェイトちゃんはすごい。
「私はただ慌てふためくことしかできなかったのにフェイトちゃんはあんなに簡単にヴィヴィオの心をほどいちゃうんだもん・・・。」
私の心をこんなにも優しくほどいてくれる・・・
「それは違うよ・・・。」
フェイトちゃんはぎゅっと苦しいぐらいに私を抱きしめる。
「フェイトちゃん?」
「違うんだ・・・あれはなのはが私にくれた言葉・・・。
もう覚えてないかもしれないけど、昔私がなのはに弱音を吐いたときに贈ってくれた大切な言葉だから・・・
私の「本当」の言葉じゃない・・・」
573 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:15:39 ID:mdLRTdEw
思い出した。私が大怪我をしてしばらくしてからフェイトちゃんすごく不安定になったときがあって。
リハビリに必死だったときは甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるフェイトちゃんに何の違和感を感じなかったけど。
完治まであと少しというところでフェイトちゃんの様子がおかしくなったんだっけ。
なのは守れなくてごめんね、
私じゃやっぱり駄目なんだね。
なのはの側に居る資格なんて無いんだ。
出来損ないの私なんてやっぱり意味無いんだ。
なのはを助けるって約束したのに。
なのはごめんね。
その場にいなかったから守れなくて当然なのに謝り続けるフェイトちゃんが悲しくって、
自分のことを「普通じゃない、出来損ないだ」なんて言うフェイトちゃんが腹ただしくって、泣きながらフェイトちゃんをひっぱたいたっけ。
そんなことあったなあ。
574 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:17:13 ID:mdLRTdEw
感慨に浸っていると、ふと肩に冷たい物を感じた。背中に感じるのはフェイトちゃんの震えている躯
フェイトちゃん、泣いているの?
「ヴィヴィオにはあんな事言ったけどね、本当は、私、すごく怖いんだ。
私達本当に家族っていえるのかなって・・・
今はヴィヴィオもはっきり分かってないからこれで良いのかもしれない。だけど将来は?
あの子がもっと大きくなったときに本当のことが分かった時にどう思うんだろう。
あの子が傷ついたときに私はきちんと守ってあげられるんだろうか。
私はあの子を自分のなのはと居たいという欲望のために犠牲にしてるんじゃないかって。
私は、弱いから、悩んで、迷って、そればかりで・・・」
ああ、フェイトちゃんも怖かったんだね、だけど私達のために頑張ってくれたんだ。
だけどね、フェイトちゃん、あれは自分の言葉じゃないなんて言ったけれど、間違いなくフェイトちゃんの想いが詰まっていたよ。
私もヴィヴィオもすごく嬉しかったんだよ・・・。
「フェイトちゃん・・・」
声を押し殺して泣いているフェイトちゃんに向き合うと、顔を上げさせて指でその涙を拭う。
両手でそっとフェイトちゃんの頬を包み込み、それから私は・・・
575 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:21:15 ID:mdLRTdEw
パチン
両手でフェイトちゃんの顔を挟むように軽く叩いた。
「ふぇうっ?」
突然のことに情けない声をあげてきょとんとしているフェイトちゃん。
ああ、こんなフェイトちゃんもやっぱり可愛いなあ、なんてて思う私はほんとフェイトちゃんにくびったけなんだと改めて認識する。
「フェイトちゃん、駄目でしょ、またネガティブに考えて。しっかりしなさい。」
「でも、私は、」
抗議をあげようとするフェイトちゃんの唇に、私は左手の人差し指をおいて黙らせる。
「ヴィヴィオと約束したでしょ?頑張るって。」
あーとかうーとかうなりながら口ごもるフェイトちゃんの紅くなった頬に軽くキスを贈ると私は正面から優しくフェイトちゃんを抱きしめた。
「大丈夫。私達は、一人じゃない。二人でヴィヴィオを守ればいいから。
ヴィヴィオだってきっと分かってくれる。そしたら、三人で支え合えばきっと何とかなる。
嘘だって、それが本気なら本当に変わる。本気の嘘からうまれるものはきっとあるはず。
たとえ他人から見たら普通じゃない家族でも、家族ごっこだと思われても、本気で家族であろうと三人で想えば、それできっと家族になれるから。」
576 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:22:53 ID:mdLRTdEw
その言葉にしっかりとフェイトちゃんは肯いてくれた。
「うん、今は弱い私だけどいつかきっと強くなるから、
なのはとヴィヴィオを守れるくらい強くなるから、
後悔なんてさせないぐらい強くなるから・・・だから・・・」
貴女たちの側にいさせてください。なんてつぶやくフェイトちゃん。
もう、フェイトちゃんたらほんとに分かってないなあ。
俯いてしまったフェイトちゃんの顔を両手でぐっと引き上げる。
また叩かれるのかとびくつくフェイトちゃんにそっと顔を寄せ、その綺麗な唇にそっと私の唇を重ねる。
顔を真っ赤にして目を白黒させるフェイトちゃん。そんな彼女に私はくすくす笑いながら囁いた。
「フェイトちゃんだけじゃないよ。私達三人一緒に強くなるんだよ。だって私達は家族なんだから。」
フェイトちゃんは分かってないよ、私がどれだけ貴女を好きなのか。
フェイトちゃんは分かってないよ、私がどれだけ貴女を守りたいと想っているのか。
フェイトちゃんは分かってないよ、貴女の側にいたいのは私も同じなんだよ。
そんな気持ちを伝えるために、私はフェイトちゃんに情熱的なキスを贈った。
577 名前:家族ごっこ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:23:57 ID:mdLRTdEw
わたしのかぞく
わたしにはだいすきなままがふたりいます。
ちょっときびしいけれどほんとうはやさしくて、とてもつよくてきれいななのはママ。
いつもふんわりわらいかけてくれる、とてもやさしくてかっこいいフェイトママ。
なのはままとフェイトママはとてもなかよしです。
ふたりともヴィヴィオのことをだいすきだよといってくれます。
でも、
わたしたちはほんとうのおやこじゃありません。
ままがふたりもいるなんておかしいよといわれることもあります。
わたしたちはふつうじゃないのかもしれません。
だけど、さんにんともおたがいがだいすきだから、
おたがいが「とくべつ」すきだから、
わたしたちは「かぞく」なのです
さんにんが、おたがいがだいすきだから、だいじょうぶ。
わたしたちは「かぞく」になれます。
わたしたちは「とくべつ」。
わたしたちはきっとすてきな「かぞく」です。
終わり
582 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 20:51:10 ID:mdLRTdEw
皆さん読んでくれてありがとう、みんな心広いなあ。
たまにはなのはさんのほうががフェイトさんをめっちゃ好きでも良いじゃん!との方向で書いたので、なのはさんちょっとあれです。
フェイトさんはやっぱりへたれてなんぼだよね、という方向なので後半からあれです。色々ごめんなさい
分かってもらえたかもしれませんが、最初と最後の文はヴィヴィオです。
作文か日記か何かということで、ヴィヴィオが学校に入ってしばらくしてからという設定でよろしく。
はじめ受信した電波は
ママたち絶対変だよ〜おかしいよ〜とフェイトさんに殴りかかる思春期@ヴィヴィオ。
ごめんね〜ごめんね〜こんな私でごめんね〜と泣き叫ぶへたれパパンことテスタロッサ。
こら〜フェイトちゃんいじめちゃ駄目でしょ〜お仕置きだからね!と二人にSLBぶっ放す肝っ玉ママンなのはさんという
微笑ましいDV劇場だったんだけど、あれ?
最後にエリオキャロに一言、
ごめんね、フェイトさんは君たちのことちゃんと家族と想ってるよ?
だけど君たちもう別なところでフェイトさんハブって分家つくりそうな勢いだからさ・・・
2007年12月30日(日) 10:01:40 Modified by nanohayuri