14-603
603 :名無しさん@秘密の花園 [sage] :2008/03/07(金) 23:22:56 ID:NathyLvD
605 :1/2 ◆6Gzt0D6RRc [sage] :2008/03/07(金) 23:26:14 ID:NathyLvD
606 :2/2 ◆6Gzt0D6RRc [sage] :2008/03/07(金) 23:27:12 ID:NathyLvD
スバルとキャロの方に目がいった俺は間違いなくマイナーCPスキー
投下いきます。2レスぐらい。
久々のオフの日だけど、私は自室に籠もって暇をもてあましている。
連日の六課立ち上げ準備で疲れているのもあるし、外はあいにくの荒天。
とても、どこかへ出かける気にはなれない。
ネットで見た天気予報だと、もうしばらくこんな天気らしい。
咲き始めた桜が、早々に散っちゃうかも。
そんなことを、ぼんやり考えていると、不意に雨音をかき消すように携帯の着信音がなる。
「は、はいっ、高町一尉です!」
慌てて電話を取り、そう名乗るが、よく考えればこの携帯電話は私用の物。”高町一尉”と名乗るべき相手は、基本的には掛けてこない。
しまったと思ったけど、訂正するほどのことでもないし、すぐに相手の声が耳に入ってきた。
「っ――ごめん、なのは。……やっぱ、いい」
「ア、アリサちゃん!? ちょ、ちょっと、待って!」
電話の相手は、私がミッドに来る前の友人のアリサ・バニングス。海鳴に居たときの仲良し5人のうち、海鳴に残った一人だ。
用件も言わずに切ろうとするので、慌てて引き留める。
「いいって言ってるでしょ!」
「で、でも、話すことがあったんじゃ……」
「もう無いわよ!」
食い下がる私に、意地になって言い返すアリサちゃん。
なんだか海鳴に居た頃を思い出す、懐かしい情景。
電話越しに耳を叩く怒鳴り声に閉口しながらも、私はどこか楽しげだった。
「あんたは、もう……高町一尉なんでしょ!」
だけど、アリサちゃんの一言でそんな気分は吹き飛んだ。
何となく、アリサちゃんの用件が分かった気がした。
アリサちゃんは普通の生き方しか選べなかったけど、私はもう一つ魔法を選ぶことが出来て――そして、私はそれを選んだ。
彼女と一緒に海鳴に残る道もあったけど、私はミッドを選んだ。
最初の仲良し三人のアリサちゃんとすずかちゃんを海鳴に残して、後から加わったフェイトちゃんとはやてちゃんと一緒にミッドを選んだ。
頭では分かっていても、寂しいんじゃないだろうか。少なくとも、私が同じ立場なら、寂しいと思う。
そこへ、”高町一尉”
……自分の無神経さを呪いたくなる。
「……切るわよ?」
「ま、待って! 今からそっち行くから、お話しよ! いつのも場所で!」
返事は、回線が切れたことを告げる発信音。
勢いであんなことを言ったけど、一体何を話せばいいのか。
魔法の道を選ぶと決めた日から揺らぐことの無かった決心が、今揺らいでいる。
だけど、アリサちゃんは、それを望むだろうか。
自らが私を縛り付ける楔となることを。
でも、行かなきゃいけない。
アリサちゃんは――泣いていた。
606 :2/2 ◆6Gzt0D6RRc [sage] :2008/03/07(金) 23:27:12 ID:NathyLvD
自室を飛び出してから、おおよそ二時間。
私は海鳴の土を踏んでいる。
ミッドに住み始めてから、何回も帰っているはずなのに、ひどく懐かしく感じる。
天気は、クラナガンと同じ雨。
偶然か――あるいは必然か。
今すぐにでも、アリサちゃんの所へ文字通り飛んでいきたいが、ぐっと抑えて傘を片手に走る。
ここまで来るのに色々強引な手を使った。これ以上面倒を、はやてちゃんに迷惑は掛けられない。
海鳴の街は何もかも変わっていない。
商店街も、学校も、あの日から変わっていない。
でも、今なら分かる。変わらないからこそ分かる、ここに足りないものが。
息を切らしながら、”いつのも場所”にたどり着いた私を出迎えたのは、見覚えがあるアリサちゃんの傘。
来ないかもと思ったけど、
来なかったから、それでも構わないと思っていたけど、
アリサちゃんは来た。来て、待っていてくれた。
気付けば雨はほとんど上がっていて、だけど傘を畳みながら見上げた空は、今にも降り出しそうなどんよりとした曇り空。
まるで、未だに答えを出しかねている私の心を写すように。
彼女の傘を見つめながら、しばらく立ちつくしていたけど、そんなことで答えが出る訳もない。
むしろいたずらに迷いを増やすだけ。晴れ間が覗き始めた空とは違って、私の心の中は曇ったまま。
彼女だったら、悩む前に話しかけて、それから悩むのだろうけど、私にそんな器用なことは多分無理。
だけど、無理でもやらなくちゃいけない。
意を決して、アリサちゃんの背中に、私は声を掛ける。
急に書きたくなったなのアリ。
続きそうだけど、続きません。
元ネタ的なものがあるので、分かったら心の中でニヤニヤしてください。
605 :1/2 ◆6Gzt0D6RRc [sage] :2008/03/07(金) 23:26:14 ID:NathyLvD
606 :2/2 ◆6Gzt0D6RRc [sage] :2008/03/07(金) 23:27:12 ID:NathyLvD
スバルとキャロの方に目がいった俺は間違いなくマイナーCPスキー
投下いきます。2レスぐらい。
久々のオフの日だけど、私は自室に籠もって暇をもてあましている。
連日の六課立ち上げ準備で疲れているのもあるし、外はあいにくの荒天。
とても、どこかへ出かける気にはなれない。
ネットで見た天気予報だと、もうしばらくこんな天気らしい。
咲き始めた桜が、早々に散っちゃうかも。
そんなことを、ぼんやり考えていると、不意に雨音をかき消すように携帯の着信音がなる。
「は、はいっ、高町一尉です!」
慌てて電話を取り、そう名乗るが、よく考えればこの携帯電話は私用の物。”高町一尉”と名乗るべき相手は、基本的には掛けてこない。
しまったと思ったけど、訂正するほどのことでもないし、すぐに相手の声が耳に入ってきた。
「っ――ごめん、なのは。……やっぱ、いい」
「ア、アリサちゃん!? ちょ、ちょっと、待って!」
電話の相手は、私がミッドに来る前の友人のアリサ・バニングス。海鳴に居たときの仲良し5人のうち、海鳴に残った一人だ。
用件も言わずに切ろうとするので、慌てて引き留める。
「いいって言ってるでしょ!」
「で、でも、話すことがあったんじゃ……」
「もう無いわよ!」
食い下がる私に、意地になって言い返すアリサちゃん。
なんだか海鳴に居た頃を思い出す、懐かしい情景。
電話越しに耳を叩く怒鳴り声に閉口しながらも、私はどこか楽しげだった。
「あんたは、もう……高町一尉なんでしょ!」
だけど、アリサちゃんの一言でそんな気分は吹き飛んだ。
何となく、アリサちゃんの用件が分かった気がした。
アリサちゃんは普通の生き方しか選べなかったけど、私はもう一つ魔法を選ぶことが出来て――そして、私はそれを選んだ。
彼女と一緒に海鳴に残る道もあったけど、私はミッドを選んだ。
最初の仲良し三人のアリサちゃんとすずかちゃんを海鳴に残して、後から加わったフェイトちゃんとはやてちゃんと一緒にミッドを選んだ。
頭では分かっていても、寂しいんじゃないだろうか。少なくとも、私が同じ立場なら、寂しいと思う。
そこへ、”高町一尉”
……自分の無神経さを呪いたくなる。
「……切るわよ?」
「ま、待って! 今からそっち行くから、お話しよ! いつのも場所で!」
返事は、回線が切れたことを告げる発信音。
勢いであんなことを言ったけど、一体何を話せばいいのか。
魔法の道を選ぶと決めた日から揺らぐことの無かった決心が、今揺らいでいる。
だけど、アリサちゃんは、それを望むだろうか。
自らが私を縛り付ける楔となることを。
でも、行かなきゃいけない。
アリサちゃんは――泣いていた。
606 :2/2 ◆6Gzt0D6RRc [sage] :2008/03/07(金) 23:27:12 ID:NathyLvD
自室を飛び出してから、おおよそ二時間。
私は海鳴の土を踏んでいる。
ミッドに住み始めてから、何回も帰っているはずなのに、ひどく懐かしく感じる。
天気は、クラナガンと同じ雨。
偶然か――あるいは必然か。
今すぐにでも、アリサちゃんの所へ文字通り飛んでいきたいが、ぐっと抑えて傘を片手に走る。
ここまで来るのに色々強引な手を使った。これ以上面倒を、はやてちゃんに迷惑は掛けられない。
海鳴の街は何もかも変わっていない。
商店街も、学校も、あの日から変わっていない。
でも、今なら分かる。変わらないからこそ分かる、ここに足りないものが。
息を切らしながら、”いつのも場所”にたどり着いた私を出迎えたのは、見覚えがあるアリサちゃんの傘。
来ないかもと思ったけど、
来なかったから、それでも構わないと思っていたけど、
アリサちゃんは来た。来て、待っていてくれた。
気付けば雨はほとんど上がっていて、だけど傘を畳みながら見上げた空は、今にも降り出しそうなどんよりとした曇り空。
まるで、未だに答えを出しかねている私の心を写すように。
彼女の傘を見つめながら、しばらく立ちつくしていたけど、そんなことで答えが出る訳もない。
むしろいたずらに迷いを増やすだけ。晴れ間が覗き始めた空とは違って、私の心の中は曇ったまま。
彼女だったら、悩む前に話しかけて、それから悩むのだろうけど、私にそんな器用なことは多分無理。
だけど、無理でもやらなくちゃいけない。
意を決して、アリサちゃんの背中に、私は声を掛ける。
急に書きたくなったなのアリ。
続きそうだけど、続きません。
元ネタ的なものがあるので、分かったら心の中でニヤニヤしてください。
2008年06月03日(火) 18:15:20 Modified by sienn1