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258 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/11/01(土) 00:23:47 ID:GKWcCCvY
こういう行事がある事は、数日前にエイミィから聞いていた。
だからイベント当日、私は普段のバリアジャケットにかぼちゃのお化けのお面を付けて、大好きななのはにこう尋ねるんだ。
「TRICK OR TREAT!!」
なのはは一瞬ポカンと呆気に取られたような表情をしたけど、すぐに主旨が伝わったのか「困ったなぁ…」と苦笑しながら呟いていた。
……計画どおり。
こちらには、なのはにやってみたいとっておきのイタズラがあるんだ。
お菓子が無ければ是非そのイタズラを……。
「あ、あった♪」
「え……?」
この時の私の表情はさぞやがっかりしていた事だろう。
それを知ってか知らずか、なのははニコニコと私を手招きする。
「フェイトちゃん、もっとこっち」
「え、あ、うん」
抱き締められそうなくらいまで近くに近付いた私達の距離。
なのはから手を差し出すように言われ、黙ってそれに従うと…。
「えいっ!」
「うわっ!」
…………甘い。
力強く腕を引き寄せられたかと思ったら、マシュマロみたいに甘い何かが私の唇にふわりと触れて。
それがなのはの唇だと理解するまでに、たっぷり30秒くらいかかって。
理解した途端、私の顔はカボチャに負けないくらい真っ赤に染まっていたと思う。
惜しみながら唇を離すと、そこには私と同じ、真っ赤に顔を染めたなのはが居て。
「にゃはは、お菓子より甘かったね」
私は思わず、自分の唇を指でなぞっていた。
夢見心地の私は、そうする事でなのはの唇の感触が思い出せるような気がしたから。
「うん、甘かった……」
「お菓子は無いけど、これならお菓子の代わりになるかなって、にゃは、にゃははは……」
……かなわないなぁ。
こんなに極上のスイーツを味わったのは生まれて初めてだよ、なのは。
……だけど、ね?
「うーん、でもそれ、お菓子じゃないし」
「はうっ!?」
そう、お菓子みたいに甘いけど、お菓子じゃない。
だから……。
「なのは……」
「フェイトちゃ……ん……」
「ちゅ…なの…は…んむ…」
私に『イタズラ』させてね?
「どうだった、私のイタズラは?」
「……もしかして、お菓子もイタズラも同じ内容だったの?」
「みたいだね」
「にゃはは」
「ふふっ」
本当はお菓子でもイタズラでもどっちでもいいんだよ?
だって私は……なのはと一緒に居られる毎日が、一番のイベントなんだから……。
2009年08月30日(日) 21:13:52 Modified by coyote2000