Wiki内検索
メニューバーA
タグ
11-471 28-206 28-342 28-519 304 428 458 47 532 6-502 913 aa gbhs4w75 mspuqpiv pluto ピチピチ ◆1gx5q3ma8y ◆34ietljps6 ◆6gzt0d6rrc ◆8giervnano ◆9oq0gi8lfs ◆gtd5kcksn. ◆jhf0qdqssc ◆k1m2.fa0dm ◆nna2fui0zk ◆okpddn8iwc すいもう すずか すずか×アリサ なのは なのは×ティアナ なのは×フェイト なのはフェイトの娘 はやて はやて×すずか はやて×カリム アギト アクエリアス アリサ アリサ×すずか アリシア アルキメデス アルフ ウーノ ウェンディ エイミィ エリオ エロ オットー カリム キャロ キャロ×フェイト ギンガ ギンガ×フェイト クアットロ シグナム シグナム×ティアナ シャーリー シャッハ シャマル シャマル×キャロ スバル スピノザ セイン セッテ チンク ティアナ ティアナ×なのは ディード ディエチ デバイス トーレ トーレ×セッテ ドゥーエ ドクター ナカジマ家 ナンバーズ ノーヴェ バルディッシュ フェイト フェイト×なのは フェイト×ギンガ プレシア ヤンデレ ユーノ ユーノ×ロッサ ヨン◆h7y.esozi リインツヴァイ リイン初代 リンディ ルーテシア レイジングハート レティ ロッサ ヴィータ ヴィヴィオ ヴィヴィオ×なのは 或る捜査官 恭也 空気ブレイカー 高町家 鮫島 士郎 紫水 自作絵 修学旅行 宵月 八神家 非エロ 美由希 落ちはまだ未定 薔薇
最新コメント
最近更新したページ
フリーエリア

37-928



明日の任務に備えてもう寝ようかという時刻。
赤い瞳が心配そうに私を見つめている。
出撃前や、模擬戦でも全力で戦闘する時などはいつもこうだ。
心配してくれるのは嬉しい。それだけ大切に思われているのだと実感するから。
けれど、同時に自分がフェイトちゃんの負担となっているようで、それが少し辛い。

「大丈夫だってば、心配しなくても。そんなに私のこと信用できないの?」

わざと明るい調子で言った言葉にフェイトちゃんは俯いてしまった。
一気に空気が重くなる。
……なにかまずいことを言ったみたいだ

「……なのはの強さは、信用してる」

数秒経って、やっと押し出すようにフェイトちゃんの口から漏れた低い声。
よく見えないその顔は、怒ったようで苦しそうで今にも泣き出しそうに思えた。

「でも!」

フェイトちゃんはこう叫ぶと、そのまま堰を切ったように激しい口調で続ける。
その目には涙が浮かんでいた。

「なのははいつもいつも無茶してその挙句に……っ!」

墜ちた、と続けようとした口をフェイトちゃんは手で押さえて止めた。
その仕草に気付かされる。
口に出すのを拒否するほどに、冷静さを失ってしまうほどに、
あれから十年以上経っている今も尚、あの墜落事故がフェイトちゃんの心を深く抉っているのだと。
何も言えず、ただ立ち尽くす私をフェイトちゃんはギュッと抱きしめた。
いつもの優しい包容じゃない。痛いくらいの強さ。

「……どこにも、行かせたくない。このまま、腕の中に閉じ込めて置けたらどんなに……」
「フェイトちゃん……」

震えながら私を抱きしめるフェイトちゃんの名前を呼ぶことしか出来ない。
今までも無茶をしてお説教をされたことは何度もある。
それでも飛ぶこと自体を止められたことはなかったから、真っ直ぐに、迷わずにいられた。
この腕を解いて飛んでいくことなど出来るのだろうか。
多くの人を悲しみから救う仕事に誇りを持っているけれど、
身近な、一番大切な人をこれほどまでに悲しませてまで続けることが……。




どうすることも出来ないまましばらくフェイトちゃんの腕の中でじっとしていると、
私を抱きしめていた腕がふっと緩んだ。そして、いつもの心が暖かくなるような穏やかな声が耳元でする。

「ごめんね、困らせて。こんな事言うつもりはなかったんだけど……」

優しく髪を撫でながら話しかけてくるフェイトちゃんは苦笑しているみたいだった。

「……ううん。ずっと我慢してたんだよね。言いたかったこと」
「言いたかったのかな。……さっき言ったことは本当のことだけれど、私はなのははなのはのままでいて欲しいから、
実際にそうしたいわけじゃないんだ。思ってはいても言いたくなかったかもしれない」
「うん……」
「でも、なのはは平気な顔で無茶するから、私はずっと心配して心配して、なのはが嫌になるくらいに心配し続けると思う。
何かあったらすぐに気づけるように。だから、私はなのはの『大丈夫』って言葉だけは信じないよ」
「うん。ごめんね、こんな性格で」
「もう慣れました」

とニコリと笑うフェイトちゃんはいつも通りのフェイトちゃんだった。
苦労を掛けてしまっているけれど、それでも私を受け止めてくれるフェイトちゃんの姿に胸が熱くなる。

「いつもありがとう、フェイトちゃん。心配してくれるの嬉しいよ」
「気にしなくていいよ。なのはの心配するのは私のライフワークだから」

本気でそう思っているらしいフェイトちゃんの言葉を聞いてクスリと笑みが浮かぶ。
そんな私を見てフェイトちゃんはちょっと首を傾げていた。
どうしたの、なのは? という感じのフェイトちゃんに答える。

「ふふっ、愛されてるなーと思って」
「あ、あいっ!?」

ボンッと音がなりそうなくらい一気に顔を赤くすると、ひ、否定はしないけど、でも、とかなんとか呟いている。
可愛いなぁフェイトちゃんは。直接的な言葉に弱いんだから。
普通はさっきまで言ってたことのほうがよっぽど恥ずかしいと思うんだけどね。

照れまくっているフェイトちゃんを堪能して、私の一日は終わる。
そして、世界で一番安心出来る腕の中で眠りに落ちるのだった。



終わり。
2011年06月18日(土) 23:08:20 Modified by sforzato0




スマートフォン版で見る