なりいたの一日 昼2

エレベーターのあるしたらば総合案内所、そこへ繋がる廊下を見ながら嘆息。そして、
「それにしても、最近は避難所も人気が出てきたみたいだな」
新聞を畳み、口を開く。
「例の騒動のせいだろう。ここが消えるとか消えないとかで、穏やかじゃねぇ雰囲気だ。俺も向こうに部屋を取ってるしな」
隣から答えたのは、ソルだ。私服の為一見して判りづらいが、煙草の匂いがしないことからして聖騎士団の方だろう。
「今日は非番みたいだな。……読むか?」
畳んだ新聞を差し出す。が、聖ソルは一瞥しただけで、
「この時代の新聞なんか読んでもしゃあねぇ……。それより、クイーンのCDは持ってねぇか? 昨日の任務中、小僧が「野蛮な音楽を流さないでください。気が削がれます」つって取り上げやがったんだ」
チッ、大きな舌打ちをする。
と、そこで、聖ソルの髪が多少焦げているのに気が付く。
もしかしたら、昨日カイに対して今のと同じ態度を取ったのだろうか? それで隊全体を巻き込んだ大喧嘩に発展して……。
すごく想像し易い絵面なのでつい、そんなことを考えてしまった。
「相変わらず仲が悪いんだな。……残念ながら持っていない。もう一人のお前から借りてきたらどうだ?」
「あいつはあいつで闇カイに取られたってよ……。ったく、どの時代でも邪魔ばかりしやがって……」
ぶつぶつと呟きながらロビーを後にする聖ソル。
ふと気になったが、この世界の時系列はどうなっているのだろう。今度暇な時、なりいたWIKIで検索してみるか。
新聞を再び広げる。

今度こそ誰にも邪魔されないことを願うばかりだった。


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2007年12月15日(土) 14:26:38 Modified by nariita




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