なりいたの一日 夜1

朝、昼、夕方、と。それなりに退屈な時間を過ごし、やがて夜がやってくる。
この時間は最も多くのコテを見られる時間帯だ。
連られて名無しも大勢やってくるので、必然的に一日で最も人が多い時間帯となる。
人が多くなることで変わることは、板の傾向がより顕著になるということだ。
そして他の板には見られないなりいたの傾向と言えば、コテ同士の交流が頻繁にあることだろう。
特に俺の部屋はNON団(なりいたを大いに盛上げるNの団)ということもあり、結構多くのコテが訪れる。


時計の針が8を指そうかという頃。コン、コン、と静かなノック音が響く。
「空いてるぞ」
俺の答えを聞いてから数秒、おもむろに扉が開けられる。
その向こうにいた男はアサシン組織の頭にしてミリアのストーカー、ザトーだった。
こいつが俺の部屋に来るのは珍しいが、何の用だろうか?
「失礼します。少々お伺いしたいのですが」
パチン、とザトーが指を鳴らす。すると影から手が伸び、一枚の写真をこちらに差し出してきた。
キザ臭いがそれでも様になってる辺り、微妙にむかつく。
「その男に見覚えはありませんか? 今度の『仕事』の対象でしてね。なりいたにいるのを目撃したという情報が入ったもので」
写真を注視する。見覚えは……。

(こいつ、ヤムチャじゃないか……)

どうしようか数秒迷う。
こいつの仕事といったら相当ヤバイ系だろうし、ヤムチャは曲がりなりにも友人、なりいたの一員だ。
何を仕出かしたのかは知らんが、友人を売るというのは……。
「…………いいや、見覚えはないな」
結局、俺は嘘をつくことにした。どの道最後は居場所がばれるだろうが、せめてもの時間稼ぎだ。
頑張れ、ヤムチャ。お前だってZ戦死――じゃない、Z戦士だから簡単にやられはしないさ。
「そうですか……――次は闇カイ、か。取引次第では上手く聞き出せるか?――と、いえ。お邪魔しました。よい夜を」
一礼をして、優雅な動作で部屋を出て行く。あれで暗殺者というから、本当に気が許せない奴だ。


夕方へ  夜2へ
2007年12月15日(土) 14:34:51 Modified by nariita




スマートフォン版で見る