スローライフ15



「……!」
痛みに顔が歪む
ナイフは深く自分の体内に…収納された
「はははっ、どう?痛いだろ…気が晴れたよ」
笑いながら、ナイフから手を離した


「…笑いたいのはこっちだっつーの」


瞬間、体を捻る
回転させると言った方が正しいか
二人の男の手が体から離れた
目の前にはあっけに取られた顔、自分より容姿は整っているなぁ、とつまらない事を考えた
前蹴が目の前の男を射抜く、水月、みぞおちにクリーンヒット
声にならない叫びをあげて前のめりに崩れる
それと同時に走り出す
狙いはもちろん、下卑な笑いの男
向かってくる、と気付いたのか立ち上がり構えを取った
(…甘い…)
走った勢いを利用して顔面を蹴り挙げる
我ながら柔軟な体である


だが、まだ敵は2人残っている
すぐさま態勢を立て直す
2人がそれに弾かれたように動く
1人目の男、大振りな拳
勢いだけはいいだろう、だが俺には通じない
拳を避け、手首を掴む。そして捻る、間接を
ぶちり、と嫌な音がして男が絶叫した


2人目、先程と同じような大振りな拳が飛ぶ
能無しめ、学習をしろ
同じように避け、手首を掴む。今度は思い切り引く
男の態勢が崩れた、それと同時に足を払う
当然、うつぶせに倒れた
だめ押しとばかりに頭を思い切り踏みつける
また絶叫、本当に芸がない


「はぁ……」
地面にへたりこむ
…心底危ない賭けではあった
だが、成功に導いた
幸運をカミサマに感謝だ


ただ、自分の右腕が(恐らくではあるが)使い物にならない事は、よく、分かった



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2008年02月19日(火) 19:47:35 Modified by ID:IrOa8HEmTQ




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