スローライフ17



「………む」
退屈で仕方がない
学校を休んだ事の無い(正確には休ませて貰えなかった)俺には暇の潰し方が良く分からなかったりする
何も無い、という訳ではないのだ
自分とて人の子、ゲームをしたり読書をしたりする
両腕が使えればの話になるが。
忌々しい事に片手には包帯が巻かれており、首を経由した包帯を使って手を吊り下げる形になっていた
要は骨折の時のアレである


「………」
結局する事が見付からず天井を仰いだ
あれから1日
自分としてはさした怪我ではないので学校に行っても良いと思っていたのだが


「…………」
俺の隣で椅子に座り、すぅすぅと規則正しい寝息を立てるコイツに止められた
昨晩は遅くまで看病してくれたせいか、今のところ起きる気配はなさそうだ


お前まで休むことはないんじゃないかと言ったのだが
何かあったらと言いくるめられた
「じゃあ寝るなよなぁ…」

それに困ったことがある
決して自慢では無いのだが学校で俺達の関係は有名だ。その2人が揃って学校を休む
ひじょーに居心地が悪くなった
クシャミの1つも出そうである


「…………」
時々頭を動かしながら変わらないリズムで寝息を刻む


見惚れていた
かなり長い間
肩の下まで伸びた長く美しい黒髪
丹念に手入れをしているのだろう、傷んでいる様子もない
綺麗な、だが女性としての柔らかさ残した顔
目の下にちょこんとある泣き黒子は美しさを際立てるようだった
当然のように視線は体、まぁ男であるから当然胸に移るのだが
…大きい、というわけではないが確かに膨らんでるなと
膝の上で組まれた手、男のような無骨でない細く白い指先
…本当にどこを見ても綺麗な女の子だ、素直にそう思った
思えば何時も一緒だったからこそ、よく見る事が無かったのか


「…何考えてんだろ……」
ふっ、と笑って先程の邪な考えを振り払う
俺には気持ちに答えてやる資格なんか無いと、もう1度言い聞かせた



次のページ
2008年02月19日(火) 19:50:26 Modified by ID:IrOa8HEmTQ




スマートフォン版で見る