あ…プレゼント渡し損ねたな
…帰ってからでいいか
正直なとこ、気に入ってもらえるかかなり不安
あいつの悲しい顔は見たくない
毎朝そこはかとなく悲しそうではあるが…
『なんでもいいから！』とか『プレゼントっていうのは気持ちなんだから、貰えればいいの！』
…そう言われてもだが
金銭的な問題じゃ無いらしい…だが不安は尽きない
やはり経験が無いから…だろう…うん
あー、決勝だっつーのに別な事でドキドキしてる
兎に角、さっさと勝って帰ろう




｢始めっ！｣


おぉ…決勝の相手は全国クラスと名高いやつだ
しかもイケメン、だがかなりの遊び人という…
悪評と善評、両極端なヤツである


｢っとと……｣
いかん、結構やる。間の取り方が上手い
……とりあえず組み付いて様子見かな
いきなり間合いを詰め組み付く
…さて、どう出るのかー…


ｺﾞｽｯ
｢…ぐっ…｣
下腹部に鈍い痛み
…っ……こいつそういう腹か…
審査員に見えない位置での直当て
あーくそっ！いるんだよなこの手のやつ！！
｢はっ…｣
ヤバい…体制崩したとこを…って投げっぱなしかテメェ！？
｢ーｯ！！｣
間一髪！地面に叩きつけられる瞬間に手をついて宙返り着地。投げっぱなしが幸いした
会場が沸く
はっはっはっ！いい気分だ！
…そして今のは審査員にバッチリ、傍目にも焦りが分かる顔してやがる
もう組みは狙ってこないだろ……って事になれば


拳が宙を切る
…だな、しかも寸止めする気無いだろ
……大会のルール、というよりは常識的見解だが対戦相手が気絶、及び試合不可となったら｢勝ち｣である
…だから毎年寸止めとかしないやつが現れるんだよ！！まぁやりすぎれば危険と判断されて敗けなんだが
コイツそのさじ加減が上手い。毎年この手か？


｢……ｯ｣
あー、これは寸止めで決着させるのは難しい
なんせ相手の方がなりふり構ってない
例えこっちが止めても相手は止めない
と、なると試合不可になるのは必然としてこっちだ


……なら、やる事は一つだろ


拳の動きを見る、動きを起こすクセを見る
傍目にゃ逃げてるようにしか見えねーけどな！
…来た！
右の動作のおこり
すかさずこちらも拳をおこす
｢ふｯ！！｣
ｶﾞﾂﾝ！
拳と拳がぶつかる。
鈍い音が響く
相手の拳は加速途中、対してこちらの拳は十分加速出来ていた
｢うぐっ……っ…｣
相手が拳を押さえて踞る
ふむ、まぁ骨折って程度だろう
……試合不可…だな



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