孤島事件簿事件編9

午後11時 食堂


その後も侃々諤々の議論が続いたが、結局たいした情報は得られずに時間ばかりが過ぎていった。

「うーん、結局わからずじまいですか?」
「うむ…犯人もそう簡単に言質を取らせてはくれんようだな…」
「でさ、これからどうする? やっぱまとまってたほうが安全かな?」
「いや、寝る時まで固まっていては文字通り寝首を掻かれることになりかねん。
 全員が寝静まった後に誰かを殺して再び寝たフリでもすればわからんからな…  一度解散して明日また集まることとしよう。
 各人部屋に帰ったら確実に施錠しておくように! もし犯人に目星が付いた者は犯人以外の誰かにすぐに報告すること!」

「いやちょっと待てよ」
「なんだヤムチャ?」
「お前は確かマスターキーを持ってたんじゃなかったか? だったら施錠しても絶対に安全とは言い切れないだろ」

「別に構わんだろうが… それで誰かが殺られりゃ犯人を特定する手間が省ける……」
「…嫌な言い方だがだいたいはソルの言うとおりだ。 マスターキーは俺が責任を持って管理する。 もういいだろう、解散するぞ」



「はぁ、レナが……何でこんなことに…」
力なくアシュトンが立ち上がり、席を外そうとしたまさにその時だった。








「ぎゃああぁぁぁ!?」
耳をつんざく悲鳴がこだました。





「どうしたアシュトン!?」
一番近くにいたNが駆け寄る。


「足…足が……」
「む…?」

良く見るとアシュトンの足の裏に小さなガラス片が刺さっていた。
「落ち着け。 ガラスの破片が刺さっているだけだ。 …ふんッ!」

「いっ!? …いたたた……抜くならそういってからにしてよ!」


「やれやれ情けない…」
「まったく大袈裟なんだからぁ… おどかさないでちょうだぁい」

「だって立った瞬間に足にガラスが刺さったら誰だって驚くでしょ!?」
「そうかそうか、そいつは良かったな。 …しかし何故ガラスの破片なんぞが転がっているのだ?」

「グラスとかが割れたりしたんじゃないですか?」
「いえ、そのようなことは無かったと存知まするが…」

「でもほかの食器は全部陶器だったよな? まさか窓ガラスってこともねえだろ」



「…んなこたどうでもいいだろうが。 俺はもう帰るぞ……」

「そうだった。今考えるべきはそんなことではないな。 とりあえず大事に至らなくて良かったと言っておこう。 ほら、解散だ解散!」



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2007年12月13日(木) 14:20:14 Modified by ID:EQGqrbo60g




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