孤島事件簿序章4

Nの言うとおりそれなりの距離を移動した後、やや疲労を増した面持ちで一行は館に到着した。
確かに大きさは館と呼ぶに相応しいほどだが、丸木材をふんだんに使った木造2階建ての建物で、
緩い傾斜を描く屋根には一本の煙突、大きな窓ガラスが光を反射して空の色を映し出している。
巨大なログハウスと言うとしっくりくるような感じが周りの景色と非常に合っていた。

「うわ…こりゃまた大きいなぁ…」
「まあ中に入れ。 大したことではないが一応の説明はしておこうと思う」

Nを先頭に館へ入る。

感動屋の面々はやはりここでも律儀に逐一感想を述べる。
といっても、確かに目を奪われるだけの情景ではあるので別段不自然と言うわけでもなかった。

「わぁ、お洒落な館… それに中は結構涼しいし…」
「へぇ〜、暖炉までついてるよ。 あ、明かりは蛍光灯じゃなくて電球なんだ。 いいなぁ、僕は好きですよこういう雰囲気」
「そうねぇ、なかなか居心地よさそうなところじゃなぁい…」

「うむ、気に入ってくれたようで何よりだ。 ここが広間。 2階には個室が3つあるが、まあどうでもよかろう。 
 で、だ。 まずはそれぞれのロッジの鍵を渡しておこう。
 ロッジはこの館を挟んで西側、東側に4棟ずつある。 東側の4つははさっきの移動中も見たであろう。
 東の端にあるのが第1棟、それから順に2,3,4,5,6、7、一番西が第8棟だ。
 で、配置は東側4つに野郎ども、西側には女性陣ということで問題は無かろう。
 具体的に言うと、東側は第1棟がヤムチャ、2がソル、3がブリジット、4にアシュトンな」

「なんだよ、オレはまた今来た道を引き返すのかよ…ここまで歩いて来るのに15分はかかったんだぜ?」

「ヤムチャの癖に文句を言うな。 ビーチには一番近いではないか。
 面倒だから異議は受け付けん。 ほら、鍵を受け取れ」

「西側は第7棟にレナ、6が姫菜、5が水銀燈…」
1人ずつ鍵を配っていく。
「で、第8棟は人数の関係上空くことになるな」

「……………(じー)」
「そうそう、お前と俺はこの館の2階の部屋だな」
「……………!?」

「……………(////)」
「安心しろ、無論別室だ。 ただお前に鍵を管理させるのは不安だったからな。ちなみにメイドもここだ。」


「あれ? でも鍵がここにあるってことはさっきのメイドさんは…?」
「ああ、あいつにはマスターキーを持たせた。 今頃せっせと各部屋を回っている頃合だろう」
「マスターキーねぇ…それってすこし無用心じゃなぁい?」
「いや、マスターキーのやりとりは俺とメイドの間でしか行わん。
 普段は俺の部屋に置いてあるが…まぁそう簡単に見つかるところには置いてないつもりだ。
 だからもし施錠したのに物が盗まれたというときは俺かメイドのせいにして構わん。」



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2007年12月12日(水) 00:43:39 Modified by ID:IrOa8HEmTQ




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