孤島事件簿序章5

「鍵についてはもう良かろう。 さて諸君らが泊まるロッジについてだが…
 基本的にはこの館をそのまま小さくしたような感じと言えばわかるだろう。
 シャワールームとトイレはそれぞれに付いている。
 あとは一応暖炉もあるが…まぁこの時期だしこいつは使用用途はなかろう。
 ちなみに電話も置いてあるが内線のみだ。この館とだけ連絡を取れるようになっている。
 どうしても外部に連絡を取りたいと言う者はこの館の俺の部屋の電話を使え。」

「あのー、キッチンはないんですか? 食事はどこで…」
料理のことに敏感なのはさすがアシュトンというべきか、しかし彼の本職は料理人ではないのだが。

「ふむ、言い忘れていたな。 各部屋にキッチンは無い。 したがって食事は一箇所に固まってとってもらう事になる。
 この館のすぐ横にもう一つ建物があったろう? そいつが一応、食堂と言うことになるな。」

「げ… てことはメシのたびにこっちまで来なきゃならねぇのかよ」
「メンドクセェ……」

「全くお前らは… まぁいい。説明はこんなところだ。とりあえず午後7時から夕食だな。
 今が3時半だからして…3時間半ほどはフリーだ。 休むなり遊ぶなり好きにするがいい。」
 それとアシュトン、お前は6時半ごろから夕食の準備を手伝え」

「えぇ〜? 僕、客なのに!?」
「問答無用だ! そのためにお前をここから一番近いロッジに配置したのだからな。」


可哀想なアシュトンには目もくれず、姫菜はどこから湧いてくるのか不思議なほどにテンションを増幅させていた。

「ねぇねぇ、やっぱり孤島と言ったら海だよねっ! さっそく泳ぐぞーっ♪」
「あ、私もー!」
「泳ぎはしないけど…ついていくだけならまぁいいわぁ」
「ウチも行きましょう」
「もちろんNくんも行くよねぇ?」
「いや、悪いが少々疲労感が… しばらく休息を取って、それから気が向いたら…な」
「あー、オレもオレも。 ちょっとばかり休ませて貰うぜ」
「も〜、ノリが悪いなぁ。 ソルくんは?」
「俺ぁもとから泳ぐつもりなんざねぇ…」
「な〜んかみんな年寄りじみてるねぇ。 アシュトンくんは来るよね?」
「ははは… そうですね、僕はすぐにでもいけるかな」
「よし、決まりだねっ♪ じゃあさ、4人とも準備が出来たらすぐにビーチに集合! てなわけでグッバイNくんたち!」

「じゃ、オレはロッジに戻るぜ。 泳ぎに行くときは声かけてくれよ!」
「やれやれ、やっと静かになったか…… 俺も部屋に戻る。あばよ……」


「ふう、若い奴らめ… ところでお前はどうする? あまり疲れてはいないようだがあいつらと一緒に行くか?」
「……………(ふるふる)」
「そうか、ならばしばらく部屋で休んでろ。 俺もとりあえず寝る」
「……………(こくこく)」 

  
ある者は楽しみ、またある者は一時の休息に身を沈め、それぞれが幸せなときを過ごしていた。
それは翌日の夜から考えると想像もつかない事だが…それはまた後ほど明らかになっていくことである。



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2007年12月12日(水) 00:46:04 Modified by ID:IrOa8HEmTQ




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