孤島事件簿序章16


共同作業の結果、案外時間はかからずものの10分ほどで部屋は粗方片付いてしまった。

「ふう、意外と早かったな…」
ドサッと沈み込むように、インテリア性を求めたとしか思えない無駄にでかいソファに腰を下ろした。
「ふぃ〜、もぅだめ。 疲れたぁ〜」
Nに習って姫菜もソファに座った。

「…………」
「…………」


視線を背後の開け放しにした窓に向けると、満天の星空が見える。
物音と言えば遠くから微かに聞こえてくる虫の音だけであった。 


「ねえNくん」

「…なんだ?」


「明日は何しよっか?」
「さぁな。 明日まで体力が持つかどうかも心配だが…」




「ねえNくん」

「なんだ?」


「今日は楽しかったね」
「ああ、それ以上に疲れたがな……」
「あはは、Nくんそればっかりじゃん♪」
「お前とて普段ほどの暴走っぷりが見受けられんな。 俺にとってはありがたい限りだが…」




そこまで喋ったとき、姫菜はゴロンとソファに横になった。
「でもこんなに疲れたのってほんっと久しぶりかも。 今日はここで寝ちゃおっかな〜、なーんて…」

「うぃーっす」





「!?」


「WAWAWA忘れ物…うぉあ!?」
まさに突然の出来事であった。 
某キャラのごとくヤムチャ再登場、そしてソファで横になっている姫菜とすぐそばに座っているNを目撃。

「………すまん、ごゆっくりぃ!?」
そう言うが早いか、ドアも閉めずにヤムチャは走り去った。


「…………………」
「…………………」

二の句が告げない二人。 無理も無い。







「あ、オレ忘れもん取りに来たんだった」
しかもまた戻ってきた。

「……なんだなんなんだおのれは」
ようやくNが言葉を発した。

「いや、お前らこそなんなんだ、と言いたいところだが、まぁオレは鍵取りに来ただけだから。 じゃ、グッナイ!」
「あ、あたしも帰ろっと! じゃね〜Nくんっ!」




「まったく…せわしない奴らめ……」
そう言って長大息をつくNであった。



次のページ
2007年12月12日(水) 01:05:48 Modified by ID:IrOa8HEmTQ




スマートフォン版で見る