孤島事件簿序章21

午後2時 食堂


遅めの昼食には全員が集まった。


「はい、お待たせ…」
料理の配膳をするアシュトンだが、どこか覇気が無い。
というのも、二日酔いの状態で皆より早く起きて朝食の準備をし、昼もまた、であるから無理も無い。

「ちょっとアシュトン顔色悪いわよ。 大丈夫?」
「まあね…でもメイドさんに迷惑かけるわけにも行かないしさ」
「ならば夕食の方は私に任せられよ。 本来なら客人の手を借りるなどメイド失格と言うもの…」


考えてみればこのメイドの少女も凄い。 調理から片付け、掃除、荷物運びまで顔色一つ変えずにこなしている。

「ふむ… たしかにこれはアシュトンとメイドの負担が大きすぎる気もするな…」
言いだしっぺ、ちょっと反省。

「しかし料理は出来んし……よし、せめて食後の片づけくらいは俺達でやるとしようではないか。」

「うん、そうしてもらえると僕も助かるなぁ」
「かたじけない…」


「決まりだな。 と、いうわけでヤムチャよ。 最初の当番はお前だ」

「当番制かよ! みんなでやるんじゃねぇの? ていうかなんでオレからなんだ!?」
「坊やだからさ」
「理由になってねーよ!」

「では食堂の鍵を渡しておきましょうぞ。 私は広間の掃除をしていますゆえ、終わり次第、手数ではあるが広間までお持ちくだされ」

「ったく。 わかったよ、やりゃいいんだろ?」
「うむ、さすがにものわかりがいいな。 では頼んだ」


「じゃあね〜♪ 頼んだよヤムチャくんっ!
 あ、ところでさ、今日もみんなで泳ぎに行かないかい?」

「そうね、私も行きたいな。 アシュトンは…」
「僕はパス。 夕飯に備えて休んどかないと…」

「うん、ま、しかたないか! Nくんやブリくんはどう?」

「よかろう」
「モチロン行きますよ〜」

「銀ちゃんは?」
「やめとくわぁ。 きのう潮風に当たってから少し調子が悪かったのよねぇ…」

「ん〜残念だなぁ。 じゃ、来る人は、えっと今が2時半ぐらいだから…3時半集合でいいかな? いいよね?」
「好きにしろ。 そもそも何故お前が仕切っているのかがわからんが…」
「よし決まりっ! 3時半だからねっ♪」
「だから人の話を…やれやれ」



無慈悲にも他の面々は海水浴の話で盛り上がりさっさと食堂から出て行ってしまった。
唯一、メイドのみが最後に一礼して行ったが…


「ま、しゃあねぇか」
この男にはそれで十分だったようだ。






再び訪れたフリータイム。 夕食までの一時、それぞれがそれぞれの夏を満喫し、












そして事件は起きた。



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2007年12月12日(水) 01:28:28 Modified by ID:IrOa8HEmTQ




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