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第四十一景 分身 (ぶんしん)

あらすじ

門外不出の秘めおきし魔剣が、白日の下に晒された。それはまさしく虎眼の流れ星の構え。腕の立つ剣客でも、見ただけで解明できる術理ではない。しかし将来において、この術理を看破する者がないとは言い切れない。清玄の技量によっては、源之助が奥技を出すこともやむなしと考えていた牛股だが、この光景は信じたくなかった。牛股は必死にある衝動を抑えていた。ここにいる全ての輩を、片端から切り殺してしまいたいという衝動を。清玄の流れ星は、虎眼の流れ星の模倣ではなく、まさにそのものである。雪千代が場の空気が変わったことを読み、備前守は源之助が飲まれかかっているといった。源之助はすでに流れ星の及ぼす死の間合いの中に位置しており、清玄は対手の闘志がみるみる萎えていくのを感じていた。源之助は流れ星を会得しているが、流れ星と相対するのは未知の領域であり、これに抗う術など知る筈はない。

二年前、奥技流れ星を開眼した源之助は、虎眼流免許皆伝を与えられた。その日以来源之助の周囲に、幽鬼の如き剣士が現れるようになる。早朝の道場に、丑三つの境内に、虎子の間に至る廊下に。驚くべきことに、その剣士は流れ星を使い、見えたときには斬られていた。奇怪な剣士は眠っている時にも出現した。夢の中でも切られる源之助、目覚めた時に切られた部位が、みみずのように膨れ上がっていた。その剣士の顔は源之助とまったく同じである。来る日も来る日も源之助はこの分身と戦い、何度も何度も切断された。

清玄の流れ星に対し、源之助は祈るような姿勢。虎眼流にはないその構えに、驚きを隠せない牛股。そしてついに流れ星が放たれた。横一直線に頭を狙う流れ星に対し、太刀を持った右手を顔近くに上げる源之助。流れ星が止まった時、清玄は深々と五、六寸切り込んだ感触を感じた。
見えたときには、二名の剣士は刃と刃で結ばれていた。茎受け、超高速の一閃に柄頭を合わせるのは、飛来する弾丸を弾丸で打ち落とすに等しき無謀。薄き刃は厚き装甲と化して、死の流星を食い止めたのだ。清玄の刀が挟まったまま力を入れ、懐に飛び込む源之助。そのまま左手で脇差の流れを、清玄の腕の付け根、動脈をめがけて繰り出した。
舞台
掛川仇討場?虎眼流指南岩本道場?廃堂?
道具
日本刀?木剣?
主要単語
門外不出、魔剣、流れ星、免許皆伝、丑三つ、虎子の間、茎受け、柄頭
詳細

掲載ページコマ文字
チャンピオンRED 2007年2月号
単行本8巻
36ページ110コマ文字

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最終15巻

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