最終更新:ID:WCzJnNoGBw 2011年05月05日(木) 05:24:05履歴
※この作品は「貴方と出会うまで」「大好きな妹の為に」「陸上部に入る理由」の後日談で、「後悔なんて、あるわけない」の番外編です。
白熱する試合の一方で、外野応援席に一際賑やかな三人の影があった。
これは辛い過去を乗り越えて、再び絆を取り戻した姉妹と一人の野球バカの後日談。
「いやぁ〜随分とアツい試合になってますねぇ。
たまたま休みが重なったから、フラっと高校野球でも見るかーと思ってたらこれは思わぬ掘り出し物ですよ!」
「…私達はそうだけど、お姉ちゃんは仕事なんじゃ…」
「俺達のたまのデートの邪魔するんじゃねえよ。どっから嗅ぎつけたんだ」
「…良い大人のデートの場所が、特に縁も無いチームの試合観戦ってどうかと思いますケドネ」
「うっ」
「仕方ないですよお姉ちゃん。小波君はバカですから」
「バカって言った今!?」
「失礼、野球を略してしまいました♪」
「…本当に良い性格になったなさら」
「まぁまぁ、それでどうなんですか?十波君、この試合をプロの目からウォッチングすると?」
「そうだな。高校生の試合だから、どうしてもどこかに気の抜いたというか集中力を欠いたプレーっていうのが出るものなんだが
この試合にはそれが無い。ピンと張りつめた良い緊張感を感じるよ」
「なるほど」メモメモ
「…勝手に人の台詞を記事に使うな」
「高校時代を思い出しますか?」
「うん。自画自賛する訳じゃないけど、俺達の星英との試合もこんな空気だった。
何しろ相手が天道だったからな。1点が致命傷になるんだから、緊張感を緩める暇なんて無かった。」
「それに加えさらからの重〜いプレッシャーもかけられてましたもんね♪」
「まぁな。あれは正直かなり引い……ってその事お前に喋ったっけ?」
「いえいえ。その場にアタシも居たんですよっ。というより高校時代の十波君とさらの思い出の柱の陰には常にこのナオっちも居たのです!」
「ブッ!!!いきなり何てことカミングアウトしてやがるテメエ!ストーカーか!!!」
「愛しき妹の事が心配で…」ヨヨヨ
「それ言ったら全部通ると思うなよ!!!」
「いつ、か弱いさらが、溢れ出る情熱を抑えられない男子高校生である十波君の毒牙にかかるかと思うと、いても立ってもいられず…」
「座ってろ!そして二度と立つな!そして俺は紳士だった!!」
「またまた〜甲子園から戻って来た日に、ご褒美だの何だの言ってさらをまるめ込んで
「さら…良いよな?」「ハイ…優しくして下さい」なんてベタな事やってるのは、ちゃんとナオっちのお宝コレクションに残ってるんですからー」
「マジで何やってんのお前!?普通に絶交レベルですよそれ!!」
「やだなぁ冗談ですよ〜でもその反応って事は心当たりが?」
「ぐっ…ハメやがったなバカの癖に…」
「嫌ですねぇハメるなんて(ポッ)。まぁハメてる写真は残ってるんですがね!」ピラッ
「ブフォッ!!!!決めたお前マジぶっ殺す!」
「ちなみにさらが私の所へ会いくる事を決意してくれた日も、木の陰で聞いてました」
「あの感動が台無しっ!?たしかになんかあの時目が赤いなーとは思ってたけどもっ!!
てか、さらお前も何かこのバカに言ってや…!?
「小波君…引いたってどういう事ですか?」ゴゴゴゴゴ
「ずっと黙ってると思ってたら怒ってらっしゃったんでした!?久々の超ダウナーモード!?」
「ここは三十六計逃げるになんちゃらですっ!」ダッ
「あ、てめえだけ逃げるとか許さねえぞ待ちやがれっ!」ダッ
「逃がしませんよ小波君!たっぷりお仕置きしてあげますっ」ダッ
「あ、姉御〜命令通りジュース買って来ましたy
「良いトコに来たいつき!」ガッ
「へ?」
「いつきバリアー!!」ブンッ
「ぎゃあああああああっ!!!!!!」 グチャッ
当時の、一時期の状況を思えば、とても信じられない程に余りにも馬鹿馬鹿しい会話だった。
一つ間違えれば、最悪の結末すら容易に想像し得る位だっただけに、この日常の価値は計り知れないものがある。
決して平坦な道のりでは無かった。
二人の間にあったのは大きな溝。とても埋める事が出来るとは思えなかった。
そして、それはその通りだったのかもしれない。
今そこにあるのは
昔の関係に『戻った』のではなく、各々が成長した事で、新しく『成った』関係性。
溝を埋めたのでは無く、橋を掛けたのだ。一人の野球バカが。
…まぁ会話を聞く限り、一概に喜ばしい事と断定するのは躊躇われる部分が無い訳では無いが
そこは見ない事にすれば
皆それぞれ楽しそうで、幸せそうな顔をしているのが目に浮かぶ。
ならばこれはやはりハッピーエンドのエピローグなんだろう。
「信じてたのに裏切るなんて酷いです小波君!罰としてそこのビルから紐無しバンジーの刑です!」
「トラウマを持ちネタにする位になったのは喜ばしいけど、その本気の目は止めてえええぇぇぇえええ!」
…多分。
暑中見舞い代わりにと、高校時代のバカでサボリ魔な親友から送られて来た
『今ではこんなに仲良しです!』とラベルに書いてあるテープを聞きながら
私はそんな風に思うのだった。
白熱する試合の一方で、外野応援席に一際賑やかな三人の影があった。
これは辛い過去を乗り越えて、再び絆を取り戻した姉妹と一人の野球バカの後日談。
「いやぁ〜随分とアツい試合になってますねぇ。
たまたま休みが重なったから、フラっと高校野球でも見るかーと思ってたらこれは思わぬ掘り出し物ですよ!」
「…私達はそうだけど、お姉ちゃんは仕事なんじゃ…」
「俺達のたまのデートの邪魔するんじゃねえよ。どっから嗅ぎつけたんだ」
「…良い大人のデートの場所が、特に縁も無いチームの試合観戦ってどうかと思いますケドネ」
「うっ」
「仕方ないですよお姉ちゃん。小波君はバカですから」
「バカって言った今!?」
「失礼、野球を略してしまいました♪」
「…本当に良い性格になったなさら」
「まぁまぁ、それでどうなんですか?十波君、この試合をプロの目からウォッチングすると?」
「そうだな。高校生の試合だから、どうしてもどこかに気の抜いたというか集中力を欠いたプレーっていうのが出るものなんだが
この試合にはそれが無い。ピンと張りつめた良い緊張感を感じるよ」
「なるほど」メモメモ
「…勝手に人の台詞を記事に使うな」
「高校時代を思い出しますか?」
「うん。自画自賛する訳じゃないけど、俺達の星英との試合もこんな空気だった。
何しろ相手が天道だったからな。1点が致命傷になるんだから、緊張感を緩める暇なんて無かった。」
「それに加えさらからの重〜いプレッシャーもかけられてましたもんね♪」
「まぁな。あれは正直かなり引い……ってその事お前に喋ったっけ?」
「いえいえ。その場にアタシも居たんですよっ。というより高校時代の十波君とさらの思い出の柱の陰には常にこのナオっちも居たのです!」
「ブッ!!!いきなり何てことカミングアウトしてやがるテメエ!ストーカーか!!!」
「愛しき妹の事が心配で…」ヨヨヨ
「それ言ったら全部通ると思うなよ!!!」
「いつ、か弱いさらが、溢れ出る情熱を抑えられない男子高校生である十波君の毒牙にかかるかと思うと、いても立ってもいられず…」
「座ってろ!そして二度と立つな!そして俺は紳士だった!!」
「またまた〜甲子園から戻って来た日に、ご褒美だの何だの言ってさらをまるめ込んで
「さら…良いよな?」「ハイ…優しくして下さい」なんてベタな事やってるのは、ちゃんとナオっちのお宝コレクションに残ってるんですからー」
「マジで何やってんのお前!?普通に絶交レベルですよそれ!!」
「やだなぁ冗談ですよ〜でもその反応って事は心当たりが?」
「ぐっ…ハメやがったなバカの癖に…」
「嫌ですねぇハメるなんて(ポッ)。まぁハメてる写真は残ってるんですがね!」ピラッ
「ブフォッ!!!!決めたお前マジぶっ殺す!」
「ちなみにさらが私の所へ会いくる事を決意してくれた日も、木の陰で聞いてました」
「あの感動が台無しっ!?たしかになんかあの時目が赤いなーとは思ってたけどもっ!!
てか、さらお前も何かこのバカに言ってや…!?
「小波君…引いたってどういう事ですか?」ゴゴゴゴゴ
「ずっと黙ってると思ってたら怒ってらっしゃったんでした!?久々の超ダウナーモード!?」
「ここは三十六計逃げるになんちゃらですっ!」ダッ
「あ、てめえだけ逃げるとか許さねえぞ待ちやがれっ!」ダッ
「逃がしませんよ小波君!たっぷりお仕置きしてあげますっ」ダッ
「あ、姉御〜命令通りジュース買って来ましたy
「良いトコに来たいつき!」ガッ
「へ?」
「いつきバリアー!!」ブンッ
「ぎゃあああああああっ!!!!!!」 グチャッ
当時の、一時期の状況を思えば、とても信じられない程に余りにも馬鹿馬鹿しい会話だった。
一つ間違えれば、最悪の結末すら容易に想像し得る位だっただけに、この日常の価値は計り知れないものがある。
決して平坦な道のりでは無かった。
二人の間にあったのは大きな溝。とても埋める事が出来るとは思えなかった。
そして、それはその通りだったのかもしれない。
今そこにあるのは
昔の関係に『戻った』のではなく、各々が成長した事で、新しく『成った』関係性。
溝を埋めたのでは無く、橋を掛けたのだ。一人の野球バカが。
…まぁ会話を聞く限り、一概に喜ばしい事と断定するのは躊躇われる部分が無い訳では無いが
そこは見ない事にすれば
皆それぞれ楽しそうで、幸せそうな顔をしているのが目に浮かぶ。
ならばこれはやはりハッピーエンドのエピローグなんだろう。
「信じてたのに裏切るなんて酷いです小波君!罰としてそこのビルから紐無しバンジーの刑です!」
「トラウマを持ちネタにする位になったのは喜ばしいけど、その本気の目は止めてえええぇぇぇえええ!」
…多分。
暑中見舞い代わりにと、高校時代のバカでサボリ魔な親友から送られて来た
『今ではこんなに仲良しです!』とラベルに書いてあるテープを聞きながら
私はそんな風に思うのだった。
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