[251]さばかん つかいまなのなのは1<sage> 2006/12/16(土) 00:27:30 ID:ehZVTezh
[252]さばかん つかいまなのなのは2<sage> 2006/12/16(土) 00:28:34 ID:ehZVTezh
[253]さばかん つかいまなのなのは3<sage> 2006/12/16(土) 00:30:16 ID:ehZVTezh
[254]さばかん つかいまなのなのは4<sage> 2006/12/16(土) 00:32:39 ID:ehZVTezh
[255]さばかん つかいまなのなのは5<sage> 2006/12/16(土) 00:33:45 ID:ehZVTezh

 怠惰な生活にも慣れた。
 あの日、なのはとかいう女の子にフェイトが負けた日から、ジュエルシードの
探索は止めている。それは、自分が冷静になったからだ。
 フェイトは疲れている。
 そう、色んな事象が重なった為だ。
 その原因は・・・僕にある。
 ろくに休ませなかった、ろくに眠らせなかった。
 負けたのは、負けたのは当然の事由だったのだ。
 今は高層アパートでポテチを食べて適当なテレビを見ている。
「・・・・・・」
 コンソメ味美味い。
 色んなポテチをここ最近食べたが、これが一番美味しい。
 いや、そんなことより。フェイト、フェイトが心配だった。
「私、料理つくるよ」
 そんな事を言っていたのだが、そもそも、彼女はここら辺の地理に
詳しくない。それなのに・・・ああ、なんて無茶な奴。
「ま、そんなところも好きなんだけどね」
 フェイトは優しい子だから、彼女の方が疲れていると言うのに、落ち込んだ
僕を励まそうとしてくれている。
 時に強く。時にカッコ良く。時に優しい。
 それが、僕の好きなフェイト。
「・・・そっか、マサオ君死んじゃったんだ・・・ううっ・・・」
 あんだけ食わせてりゃ、そりゃあ、早死にもするだろうと
心の中で思いつつも、悲しい気持ちも確かにある。
いや、それより。ポチタマが終わっても帰ってこないって・・・フェイト、
「どこにいったんだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

 ユーノが騒いでいる何時間か前。
「困った。道に迷った。」
 初めて歩く街で、いや、正確に言えば初めてでは無いけど良く知らない道。
 スーパーを探している途中、迷った。
 黒のカッターシャツに短パン、それがいけなかった。
 今は冬だから、寒いに決まっている。
 どうせ早く帰ってこれるだろうと思った私は部屋着のまま外に出てしまった。
 寒い。
「ううっ・・・寒い」
 困りつつ辺りを見渡す。
 すると、どこかで見かけた相手を見つける。
 それは私と同じ位の背丈の男の子で、記憶に無い。だが、知っている。
 彼の何かが、私を引き付けた。
 彼の肩を叩き、声をかける。
「こんにちは」
 彼は何も言わず、歩行経路を変え、私と並んで歩く。
 進む先には緑が多く茂った自然公園がある。
 さっきここで迷ったから知っていた。
「・・・・・・」
 ゴクリ。唾を飲む音が大きい。
 私が声をかけたのは知っているかもしれない人だったと言う事もある。
 でも本当は違う。この少年からは感じる。
 私よりの世界に生きる人の匂いが・・・!
「目でワカった」
 名も知らぬ少年がはじめて喋る。その声は聞いた覚えがあるが
そんな事はどうでも良いと思えるだけの気迫が彼にはあった。
「ビリビリきたよ」

「アンタ僕に惚れてる」

 その、一言に私はにやっとした。
 そう、私は彼女に負けて以来戦いに餓えていた。
 もっと強くなりたい。その為には。
 戦って、戦って・・・勝つ!
「スマない・・・・・・・・・・・・すぐに声を掛けてもらって・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どこでおっ始めようか」
「すぐに着く」
 そこは時計が見える広場、辺りに人は、偶然にもいない。
 大丈夫だろうか、この公園。
「私は得物を使うけど、いいかな?」
「隠し武器を使おうが、堂々と素手でやろうが自由だ。バクヤクもね」
 いや、使わないよ。さっきから変なテンションな人だ。
 私はただ、手合わせをお願いしただけなのに・・・
 私は持っていた折り畳みの棒を取り出して、組み立てる。
 鍛錬の時は殆どこれを使用している。私よりも長い棒。
「もし、僕にまいったって言わせたら、良いものをあげるよ」
「すずなじっぽ?」
 沈黙する二人。
「・・・・・・さあ、はじめようか・・・」
 見知らぬ少年は隙のない構えで私を迎えた。

 先に打ち出したのはフェイトだった。
 素早いフェイトの突き。
 点にしか見えないフェイトのそれを、しかし、少年は
事もなげに体を横にしてかわす。
 フェイトはさほど驚かず、横に振るう。
 しかし、それも後に下がりかわす。・・・まるで、中空を舞う埃。
 掴もうとするとするりと掌から抜ける。
(かわされる・・・ならば!)
 フェイトは突きの連打に持ち込もうとする。幾ら動体視力、反射神経に
優れていようと、体制的にかわす事が不可能な技もある。
 彼女はそう言った手数で押す事を得意としている。
 再び突きを繰り出す。が、彼はさっきと違い思いっきり後ろに跳び、フェイトの
得意とするレンジから外れる。
(真坂(まさか)読まれている?いや、そんな筈は・・・)
 再び飛び出し、縦にふる動きから連続突きの流れ。
 だが、3回目の突きを手の甲で軌道をそらされ、フェイトの体ががら空きになる。
「はっ!」
 フェイトの懐に飛び込む少年。
 だが、フェイトは後に残した柄を少年に炸裂させようとするもとっさの反応で
地面に転がりまたもやかわされる。
 冷たい汗がじっくりと全身に這う。
 あれを凌いでいなければどうなっていたことか・・・
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 だが、彼女は前回の戦いの時と状況が違う。
 体力はすっかり戻り、睡眠もちゃんととれていた。
 そのお陰で今の状況をしっかりと把握できていた。
 おかしい。
(かわし方が上手過ぎる。幾らかわす事に特化していたとしても・・・)
 フェイトは冷静に考える。
 さっきの突きの連打の時の間合いの取り方の早さ、そして突きの連打の時、
一番隙のある突きだけを狙っていた・・・幾ら鍛錬したからと言ってそこまでできるものだろうか。
(ヒント・・・ヒントを手に入れる為には、)
「攻める!!!」
 今度は渾身の一撃を見舞う。速く、鋭く、強い一撃。
 それをあっけなくかわす少年だが・・・どうにもかわすのが少し早い。
 優秀な反射神経を持つ彼ならばもっとギリギリにまでよせつけても余裕なはず。
 しかし、フェイトはそのかわし方が妙に正しいと思っていた。
 しっくり来るのだ。何故か。
 続いて、後ろの柄を振り降ろす。だが、今度はギリギリにかわせている。
(・・・なんだ、この違いは。)
 フェイトはさっきのかわされた時の距離間に自分のイメージをくっつける。
 武器、最も長い付き合いの武器・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鎌!
 その距離に寸分狂いなく埋まる大鎌の刃のイメージ。
 後の柄をギリギリでかわしていたのにも納得がいく、そこに刃は無いからだ。
 だが、疑問が浮かぶ、何故大鎌なのか?
 浮かぶ疑問が埋まる前に少年が間合いを詰める。
「甘い!!!」
 少年の拳がフェイトの鳩尾(みぞおち)に4発炸裂する!
「がっ!」
 力強く鋭い拳のしめと言わんばかりの肘が勢いを殺さず新鮮な味を持って
フェイトを吹き飛ばす。
「ふぅ・・・やりすぎたか?」
 しかし、フェイトはまだ立っている。
「へぇ・・・随分と丈夫だ」
 そんな少年の笑みにフェイトは笑う。
「次だ・・・次の攻撃がきかなかったら、敗北を、認めるよ」
「良い表情だ・・・・・・さぁ来い!」
「はあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
 流れるような連撃。彼はやはり大鎌を連想したような距離を取る
かわし方しかしない。
(その想像が君のアダとなる!)
 後の柄。それを袈裟に一薙ぎする。
 それは、フェイトがこの戦闘ではじめて放つ一薙ぎだった。
(確かに後の柄は流れからして速く、かわし辛い。だが、)
 ドス。
 フェイトの攻撃がはじめて中った。
(嘘だ!確か、この位のタイミングでかわせば後の流れはあたらな、)
 中った鎖骨につきささった棒はL字形に曲がっていた。
(しまった!)
 そう、彼は今までの戦闘、なのはとフェイトとの戦いを見て、フェイトの動きを覚えていたのだ。
 どのようにして見ていたのかは不明だが。
 フェイトの得物が変わってもなんとか刃をイメージして応用していた。
 だが、所詮それはイメージ。真坂後の柄を曲げて、それを崩そうとは!
 後の柄にあるはずの無い大鎌がイメージを打ち破ったのだ。
 ひるむ少年の懐に飛び込むと両腕で片腕に組み付き、少年をぶん投げる。
 背の低いものの体を最大限に活用する柔道の技、一本背負い!
 フェイトの一本背負いは敵を倒す事を目的としていて、わざと後頭部を打つように腕を
引く。
 とっさの技で顎を引き忘れた少年は後頭部に衝撃がもろにくらう!
「がぁっ!!!」
 全身に走る衝撃で上手く呼吸が出来ない。が、フェイトの目的は・・・寝技だった。
 エロい意味では、ありませんよ。
 右手に組み付き、体を反らし、十字固めを決める。
「はああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
 柔道の有名な技の一つ十字固め。この威力は説明するまでも無い。
 何故なら、日本男児の殆どと言ってもいい人数が、この技の餌食となっているからだ。
 お手軽かつ決まれば、打撃技なぞよりも致命傷となる!痛いぞい。
「あだだだだだだだだだだ!!!!!ギブギブギブーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「?ギブって何?」
「ギブアップギブアップだーーーーーーーーーーー!!!!!」
「まいったって言わないなら、この腕を、折る」
 フェイトはギブアップの意味を知らない。彼女に一切悪気は無い。
「まいったまいったまいったまいったまいったまいったまいったまいったまいったーーーーーーーーーーーー」
「ふぅ・・・強いな君は」
 少年は体を木に預け、ゆっくり休む。
「君だってみぞおちに熱いのをぶちこんで・・・痛いよ」
「ははは・・・ほれ、約束のいいものだ」
 すずなじっぽかと思ったが、差し出されたそれはヒラヒラの紙が2枚。
 それはチケットでこう書かれていた。
「『東京デスバレー2(に)ランド』フリーパス2日分アンドホテル2泊3日券。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・略してデスニーランドってどう見てもパクリだよねディ、」
「だあああああああああああああ!!!!その名前を言うな!!!あいつらは金食い虫なんだよ」
 なんか止められた。
「コホン。それでゆっくり休め」
 少年はそう言い終わると立ち去ろうとする。
「聞いていいかな?」
「ん?」
「私、髪の毛切った方がいいのかなぁ?」
 前回の戦闘で髪の毛がアダになったのを思い出しての意見だ。
 少年は笑って答える。
「女の子はね、女の子であるから強いんだ。おしゃれはした方が良い」
 少年はそう言ってつかつかと歩き出す。
 その台詞・・・やっぱり君は、
「クロノ!!!!!!!!!!」
 クロノ(?)は振り向き、静かに答える。
「残念、合ってるのは名前だけ」
 そう言って彼は去っていった。
「そうか・・・・・・・・・・・・・・・・・それは、残念」
 悪足掻きだった。もう彼は死んだと言うのに。
 しかし、どうも、なんか。
「みすてりあすな人だ」

 んで、フェイトのおうち。
「フェイト!!!!!!!!!どこにいってたんだ。
まさお君が死んじゃったり、君がいなくなるし一体なんて非難だ(日なんだ)」
「ユーノ!明日一緒にデスニーランドに行こう!!!」
「いや、どうせ行くなら平日にしよう。じゃなくて・・・何を突然?」
「行こう!チケット貰ったから」
「あ・・・うん」
 ユーノは困った顔をしてOKした。
「ところでフェイト、ご飯は?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「私を食べて☆」
「ごまかすな」
つづく

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目次:つかいまなのなのは
著者:さばかん

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