224 ジャスト・ラック・ブルース(2話 1/6) sage 2008/03/09(日) 11:41:22 ID:gFyWeo/U
225 ジャスト・ラック・ブルース(2話 2/6) sage 2008/03/09(日) 11:42:34 ID:gFyWeo/U
226 ジャスト・ラック・ブルース(2話 3/6) sage 2008/03/09(日) 11:43:49 ID:gFyWeo/U
227 ジャスト・ラック・ブルース(2話 4/6) sage 2008/03/09(日) 11:44:57 ID:gFyWeo/U
228 ジャスト・ラック・ブルース(2話 5/6) sage 2008/03/09(日) 11:46:15 ID:gFyWeo/U
229 ジャスト・ラック・ブルース(2話 6/6) sage 2008/03/09(日) 11:47:31 ID:gFyWeo/U

地上本部の切り札、闇の書の主、古代ベルカ式の希少な魔導騎士

便利な道具扱いをする地上本部の中にいて畏怖としてでなく、私を私として見てくれた人

性格はヤクザ、ぶっきらぼうな中年オヤジ

しかし不思議な温かみのある人

捜査官として以上に多くのことを教えてくれた人

更正した多くの犯罪者に慕われる人

人生の悲しさを知っている人

人生の楽しさも知っている人

ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐はそんな人だった

自分もあの人のようになりたいと思った



クラナガンのレストラン、そこにはやてはいた。

通信端末をテーブルに置いて、ため息をついた。
ため息をつくのは今日で何度目だろう。

(誘ったのは私だし、仕事じゃしょうがないやんか。自分にとナカジマ三佐
にとっては大事な日やったし。まぁ相手が覚えているかはわからへんけど)

そう自分にいいきかせ、また通信端末に目を落とす。

それをレストランの影から念話を介して見守る集団が・・・

「(はやてちゃん、落ち込んでるですー)」
「(むぅ〜、はやてを困らすなんて、もう1度フッたらあたしとアイゼンでギッタギタの
バッキバキにしてやる)」
「(ヴィータ、言って良い冗談と悪い冗談があるぞ)」
「(そうよヴィータちゃん、ナカジマ三佐にも都合があるんだから)」
「(・・・男は信念のために仕事をする生き物だ)」

めずらしく外食をすると守護騎士たちに言ったはやて。相手はゲンヤだと伝えた。
別に珍しいことではない。

しかし、アグスタで着ていたエメラルドのドレスをクリーニングから引き取って
るはやてをキャロが目撃してから事態が少し違うと感じた。

『まさかナカジマ三佐のことが?』

そうして心配ではやての様子を見に来たのだ。

やはりはやてはクリーニングしたばかりのドレスを着て現れた。
しかし待ち人来ずではせっかくのドレスも意味が無かった。


炎上する工場に魔導師たちが降りてきた。
「・・・チリすら残らなかったか」

しかしもう一人が何かに気づき、うずもれた瓦礫を吹き飛ばした。
そこには少しだけ蓋が開いているマンホール。
「ネズミ狩だ」

その頃ゲンヤたちは廃棄区画に通じる地下水路を走っていた。
砲撃魔法が放たれる直前、ゲンヤはヴィンセントを引っぱり間一髪マンホールに滑り込んだ。

(今頃はチビたぬきに付き合って、あったかいレストランで食事してたはずなんだけどな)

そう思いながら通信端末を起動させすぐに目に付いたはやての端末に連絡をとる。

『八神、俺だ!』
『ナカジマ三佐、どうしたんですか?』
『今、港湾区と廃棄区画の間の地下水路だ!違法魔導師に狙われ・・・ガツッ』
通信が途切れた。

「ったく、通信妨害魔法なんてしかけやがって、魔導師にかかれば非魔導師なんて
そこらのゴキブリと大差みたいなもんだってのに、大した念のいれようだぜ!」

「ゲンヤさん」
「まあここがクラナガンで良かった・・・」

そしてゲンヤはイタズラ小僧みたいに笑いこう言った。
「この地下水路なんか、そこらの泥棒や置き引きよか詳しいんだぜ」

地下水路に降りた魔導師たちはその路線の複雑さにとまどいながらも
ゲンヤとヴィンセントを探していた。不意に通路の奥で影が動くのに気づいた。

魔導師たちは逃げる2人に射撃魔法を放ち距離をつめるが
角を曲がるとヴィンセントが両手をあげているが、ゲンヤは消えていた。


2人が左右を確認していると、ゲンヤが配管の上から飛び降りてきた。

手には消火器を持っていた。
地下水路は放棄されたとはいえ等間隔でこのような消化設備がおいてある。

『ゴインッ!』
それで飛び降りぎわにビンで一人の頭を思い切り殴り

『シュゴォォォォ!』
もう一人に消化剤をあびせる。
そうして泡だらけでパニックになった魔導師の足をひっかけて水路に落とした。
水路の流れは速く、何の対処もできず魔導師は流されていった。

気絶しているもう一人の魔導師もデバイスを蹴り飛ばして水路に流し、横の部屋に閉じ込めた。


2人の追っ手を倒すとゲンヤは壁際に埋まっているキーにコードを入力し、新たな通路を開けた。
「ヴィンセント、こっちだ」

しかし、そんなヴィンセントは歩くのをやめてこう言った。

「ゲンヤさん、私を置いて行ってください。連中の狙いは私の命だ」
「・・・」
「あなただけなら連中をまいて逃げられる確率が高いです。それにメモリーがあれば私が
いなくても・・・私の命なんてそんなもんです。これで少しでも償いができるなら」

そんなヴィンセントにゲンヤはこう答えた。
「なあヴィンセント、こんな話を知ってるか?ただのおとぎ話みたいなもんだがよ」

昔、一人の少女がいた。彼女は犯罪者、いや正確には彼女ではない。
彼女はただ偶然にもその罪を背負ってしまっただけだった。
彼女が宿命として持った力は古代・旧暦と多くの戦争や事件に利用され、多くの不幸を生み出した。

新暦になっても多くの悲しみを生み出し続けた。

普通の人間なら罪の重さから楽なほうへ逃げようとする。もしくは力を欲して悪事を行おうとする。

「でもその子は逃げなかったぜ」
「・・・」

「償いはよ、生きてこそできるもんだ。償いだけじゃねえ、新たに『得られる』もんだって
あるんじゃねえのか? てめえに家族ができたようにな」

そう言ってヴィンセントから受け取った写真を投げ返す。そこに写っている
ヴィンセントの娘の笑顔。
裏には幼い文字でこう書いてあった“May I meet you , my father?(お父さんに会えますか?)”

「お前はここを抜け出す。そして生きる。それでいいな」

その間に追っ手の魔導師が集まってくるのが足音でわかった。

「話が長すぎたな。あいつらどんだけ数をそろえてやがる!!しょうがねえ。ちょっくら魔導師の数を減らしてくる」
「えっ?減らしてくるって?」

そう言ってゲンヤはヴィンセントをかくまうと通路へ出ていった。



はやては廃棄区画の上空にいた。

ゲンヤから連絡が途絶えた後、偶然(?)出会ったヴォルケンリッターたちと
合流し、すぐに近隣の陸士部隊と捜索に当たっていた。

ゲンヤが地下水路にいるのは通信からわかったが、廃棄区画の地下水路は非常に広大である。

広域スキャンしようとしても廃棄区画の地下水路には多くの違法魔導師が入り込んでおり
彼らの魔力が強すぎてゲンヤのゼロにも等しいくらい弱いリンカーコアがかき消されてしまい、居場所がわからない。

オペレーターはそんな残酷な状況をはやて達に伝えた。

もし、自分たちの方がナカジマ三佐を違法魔導師たちより先に見つけることが
出来なければ、そんな重い雰囲気があたりを包む。

しかし、はやてはあきらめなかった。

「それなら、私が広域魔法でナカジマ三佐を探って見ます!!」
「八神二佐、しかし・・・」

そう言うオペレーターや陸士の魔導師を制してシャマルが言う。

「はやてちゃん、大丈夫よ。私とリインちゃんがフォローするから」
「(はいです。絶対にナカジマ三佐を見つけるです!)」

「リイン、シャマルおおきにな・・・」

そうしてはやてとシャマルは廃棄区画の上空へ飛翔し魔方陣を展開させて意識を集中させた。
眼を閉じると頭の中に広がる多くのリンカーコア。

(ナカジマ三佐・・・!!)

そんな無数のリンカーコアの輝きの中で、はやては掻き消されそうなくらい弱々しい光を感じた。
しかし、しっかりと存在する光。

そうしてはやては碧眼を見開いて言った。

「見つけた!!」



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目次:ジャスト・ラック・ブルース
著者:44-256

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