406 名前:リンディ・ハラオウンの華麗なる日常! [sage] 投稿日:2012/04/10(火) 19:08:36 ID:s9eH.fdE [2/9]
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リンディ・ハラオウンの華麗なる日常! 第七話『日曜日:夫婦水入らず、熱情淫蕩の夜、爛熟の交合、愛欲散華、思慕切々、二人の夜』


「結構、変わらないものなんだな」

 久しく、実に二十年以上を経て帰宅した我が家を目にして、男は呟いた。
 もちろん彼の知る往時と変化した物も多い。
 家族は増えたし年月を経て増えた家具もある。
 だがそんな事程度では変わらない、家の中に染み付いた“匂い”とでも呼ぶべきものは、変わっていなかった。
 きっとそれは単なる物理的な事象ではない、記憶の奥に残る過去への想いがゆえだろう。

「そう、ね……」

 彼の言葉に、少し離れた場所に立っていた女性が頷いた。
 澄んだ美しい瞳には、今にも泣き出しそうなくらいの哀切と喜びが淡く燃えている。
 無理もあるまい。
 何よりも、誰よりも愛した、互いに永遠を誓った人が、今こうして再び目の前に現れたのだから。

「ねえ」

「ん?」

「本当に、クロノには連絡しなくて良かったの?」

「ああ……」

 彼は困ったように眉尻を下げて、言葉の意味を吟味するかのような沈黙を一拍噛み締めてから答えた。

「たぶん、突然死んだ父親が現れたら混乱させるだろうしな。ゆっくり話す時間もない」

 と。
 その言葉に、彼女の瞳に宿る悲しみに一層深さが増す。
 彼が発したその言葉はある意味この世の何よりも残酷だった。
 そんな彼女の反応を、男は見逃さなかった。
 彼もまた、彼女を深く愛し、慈しんでいる、何より大切な相手の悲しみを見過ごす程に愚鈍ではない。

「そんな顔しないでくれ。まるで俺が泣かせてるみたいだ」

「あ、うん……ごめんなさい」

「別に誤らなくてもいいさ」

「ぁ……」

 言葉と共に、彼女は女の自分よりずっと逞しい腕が肩を抱かれ、厚い胸板に引き寄せられた。
 彼に抱きしめられたのは、何年も何年も前の事だったけれど、今こうして触れ合う感触の全ては、記憶の片隅にあったものと寸分とて違わなかった。
 肌に触れるがっしりとした身体から、じわりと伝わる温もり。
 ただそれだけで白い頬を涙の雫が潤した。
 嗚呼、そうか。
 自分はこんなにも彼を愛して、こんなにも心を癒されたのか、何故そんな事さえ忘れてしまったのだろう。
 追想に偲ばれる思慕に、時の流れの残酷さを感じながら、彼女は吐息を吐き出した。

「クライド……」

 愛しい彼の名を艶やかな唇から零し、その手がぎゅっと背中を抱く。
 彼もまた負けないくらい力を込めて、だが同時に壊れ物でも扱うような繊細さを以って、抱きしめ返す。

「ああ、リンディ」

 小さな、ともすれば聞き逃してしまいそうなくらいの声音には、堪らないくらいの愛が溶けていた。
 クライドとリンディ。
 長い時を隔てて再び巡り合った夫婦は、ただ互いの名を呟いて、深い愛を確かめ合った。



 ロストロギアを介した人間の復活。
 果たしてその結果を、リンディはすぐに理解していた。

 これはある意味幻のようなものであると。
 彼女が期限付きで保管を任されたクロノスの欠片というロストロギアは、時空間を操作する為に作られた物だと古代の記録に残っている。
 だが実際に使われた記録まではなく、あくまでその機能に関してはほとんどが謎らしい。
 リンディの前に亡き夫クライドが出現したのは、本当に彼が現世に再誕したという保障はなかった。
 直前に見た夢、夫との思い出の記憶がリンディの意識をロストロギアに伝達し、彼女の欲する幻像を生み出したのかもしれない。
 そして復活したクライドはこう呟いた。

「あまり長くは居られない」

 それが一体どんな根拠を以っての発言なのかは、上手く説明が出来ないようだった。
 漠然とした理解。
 とにかく彼の認識として、身体を意地していられるのは一晩が限度らしい。
 その言葉を聴いたリンディは、夫が復活した事を誰にも告げずに、彼と共にミッドの我が家へ帰宅した。
 もし死者が一時的とはいえ蘇生したというなら、本局の研究者がこぞってその現象を調査しに訪れるだろう。
 ともすれば本当に死者を復活させる術が見つかるかもしれない。
 だがそんな無粋で、幾年月を経て果たされた彼との時間を壊されるというのは、あまりに耐え難かった。
 ゆえに今、リンディはただ心と身体が欲するままに、クライドに抱き締められ、また彼の背を抱き締める。

「リンディ」

 耳元で懐かしい声音が優しい囁きを零した。
 一言名前を呼ばれただけで、彼が何を欲しているか分かる。
 それは彼女もまた望んでいた事だった。

「ベッドに行こう」

「……うん」

 言葉と共に、太い腕がリンディの首元と艶めく曲線を描く脚に絡む。
 気付いた時には、彼女はクライドに抱き上げられていた。
 それだけで初恋の時のように胸が高鳴る。
 頬にさっと赤みが増して、吐息も悩ましいくらいに熱くなる。
 愛する男の抱擁の持つ心地良さに、どんな美酒にも勝る恍惚が魂を満たされていた。
 ベッドルームまでの距離は遠くない、すぐに二人は寝台の元に訪れた。
 クライドは繊細な硝子細工でも扱うように、優しくリンディをベッドのシーツへと下ろす。
 ささやかにスプリングを軋ませて白いシーツの上に沈む、柔らかな曲線を描く女体。
 千々とベッドの上に散るエメラルド色の髪が堪らなく甘い香りを漂わせ、潤んだ瞳が熱い眼差しで見上げる。

「クライド……きて」

 桃色の唇が甘美な声音を零した。
 夫のいらえは、言葉でなく行動。
 小さく頷いた後は、静かにベッドに膝をついて彼女の上に覆いかぶさる。

「んぅ……ッ」

 そしてリンディを抱き締め、クライドはその唇を奪った。
 まずは軽く重ね合わせるだけ。
 だがすぐに舌で唇を割り、リンディの口内に絡める。
 リンディもまた彼を欲して、自分からも舌を伸ばし、複雑に絡めて行く。
 まるで、思いの丈を注ぎ込むように、淫らな水音を奏でながらたっぷりと唾液が交換された。

「ん……ふぅ、ちゅぷ……ん、んぅぅ!」

 目尻に涙さえ浮かべて、リンディは恍惚に打ち震えた。
 自分に圧し掛かる彼の重み、濃厚なキスの快感、何もかもが記憶にあるままだった。
 彼を亡くしてからというもの、一時の快楽を満たす為に幾人もの男と、あるいは女と、戯れに肌を重ねた事もある。
 だがその全ては所詮どこまでも戯れの範疇を出なかった。
 本当に欲しい喜びを失ったから、それを埋め合わせようとしていただけだ。
 そう、彼と身も心も重ねる喜びに比べれば……
 熱く脈動する心と共に、愛撫はどんどん激しさを増していく。
 いつしかリンディの繊手は逞しい背を抱き寄せるだけでは満足できなくなり、服を脱がせ始めた。
 呼応するようにクライドも妻の服に手を掛け、乱暴なくらいの手つきで剥ぎ取っていく。

 がっしりとした男の身体と、柔らかく豊かな女の身体が露になる。

「は、ぁ……」

 クライドがそっと唇を離し、リンディが切ない喘ぎを零して身悶えた。
 つぅ、と二人の間に架けられる唾液の橋が音もなく広がって、ふつりと切れる。
 口付けの甘美な味わいがもたらす余韻に、彼女の顔はすっかり蕩けていた。
 目尻を下げ、唇の端から唾液の筋を垂らし、とろんと潤んだ瞳が茫洋と夫を見上げていた。
 汗みずくになって濡れた、むき出しの艶かしい肉付きの身体と相まって、その色香は想像を絶するものだった。
 しかし、そんな妻を見下ろすクライドの眼差しは、決して肉欲のみでない。
 快楽と恍惚に溶ける彼女の姿をしばし眺め、小さく、されど確かな声音で告げる。

「綺麗だよ、リンディ」

 欲望と愛を諸共に燃やした言葉と共に、クライドは再びリンディと肌を重ねていく。
 顔を首筋に寄せたかと思えば、その白く細いラインへ舌を這わせながらキスをする。
 敏感な部分への刺激に、リンディは悩ましい吐息を零しながら震える。
 だが愛撫はそれだけに終わらなかった。
 節くれだった大きな手が、その五指を豊かな双丘に埋めた。
 強く力を込めて揉みしだけば、ましゅまろのように柔らかい乳肉はどこまでも深く指を受け入れる。
 乳房全体は入念に優しく揉みながら、先端で硬くしこった蕾は痛いくらいに強く抓り上げる。
 反応は劇的だ。

「んぅ!! や、ちくび、そんなつね、、ったら……ふぁああ!! だめ、そんなの、そん、なのぉ……ッ」

 あちこちに舌を這わせながら胸を揉まれているだけだというのに、リンディは目尻に涙を溜めて喘ぐ。
 顔は今まで以上に蕩けて、あられもない艶を帯びていた。
 性戯となれば百戦錬磨に見えるリンディも、クライドの前では形無しだった。
 彼女に快楽というものを叩き込み、一から十まで教え込んだのは彼なのだから、当たり前といえば当たり前だろう。
 リンディが感じる場所も、感じる愛撫の仕方も、彼は全て心得ている。
 何より最愛の夫がしてくれるという状況に、どうしようもなく女体は昂ぶっていた。
 乳房を揉みしだいていた手を片方離し、するりと下半身に向ける。
 めりはりのある曲線の下腹とウエストをなぞりつつ股ぐらに挿し入れると、既にそこはぐしょぐしょの大洪水だった。

「リンディ、凄い濡れてるな。ほら、自分で見てみな」

「や、やぁ……恥ずかしい……」

 クライドがたっぷりと粘着質な湿り気に濡れる指を顔の前に持ってくると、リンディは顔を真っ赤に染めて恥らう。
 そんな愛らしい仕草が余計に嗜虐心をそそったのか、彼はわざとらしくにちゃにちゃと指の間で糸を引かせ、さらにそれを口に含んだ。

「リンディの、美味しいな」

「やだ、もう……クライドのばか……んッ」

 いきなり唇を塞がれて、リンディが吐息を漏らす。
 キスは即座に舌を絡めた濃厚なものになり、ぴちゃぴちゃといやらしい音色を立てた。
 流し込まれる唾液、そして自分自身の潤ませた分泌液。
 それを意識すると身体の芯がさらに火照った。
 唾液の糸を引かせながら、クライドは最初と同じく強引にキスを終わらせる。

「どうだった、自分の味は」

「ぁ、う……」

 嗜虐に満ちた笑みで問われ、リンディが思わず眼を逸らす。
 愛液の味を口にした瞬間、その倒錯的な状況に興奮した事を見抜かれていた。
 羞恥心まで嬲られるような感覚に、下腹で子宮が疼いて、太股の間を愛液がとろとろと滴る。

 まだ激しい愛撫などそんなにされていないのに、身体は完全に発情していた。
 はやく、ほしい。
 身体も心も、猛り狂う欲情の炎に苛まれている。
 もじもじを艶かしい脚をこすり合わせて、美しい未亡人が瞳に熱を込めた。
 視線だけでもその意図を察してくれているであろう夫は、しかしこれを無視し、また愛撫を始めた。
  
「ん! やぁ……クライド……クライドォ」

 彼の名を呼ぶ声には糾弾染みたものが宿っていた。
 濡れそぼる膣に指が挿入され、くちゅくちゅと掻き回す。
 乳首を口に含まれ、ころころと舌で転がされながら吸われる。
 だが絶頂に至るには遠く、焦らすような愛撫はもどかしかった。

「ひぅん!」

 かりッ、と乳首を甘噛みされて、汗みずくの身体が跳ねた。
 あと少し、ほんのちょっとで絶頂に至れる微妙な快感。
 その一押しをされない焦らされぶりに、気が狂いそうになる。
 胸を舐めてしゃぶって吸い付いていた顔を離し、クライドが意地悪そうな笑顔でリンディを見上げた。

「ん? どうした? 何か言いたい事があるなら、はっきり言ってくれないとわからないな」

 にやにやと黒い笑顔を浮かべて言うクライド。
 彼が自分に何をさせたいのか、分からないリンディではない。
 ずっと昔クライドに散々されたプレイの一種だった。
 身体に刷り込まれた被虐の悦びがじんじん疼いて、毛細血管に至るまで流れる血を熱くさせた。

「もう、いじわる……」

 一言ぽつりと呟いて、白いシーツの上で身体を動かすリンディ。
 艶かしいというよりない美しい太股を開き、彼女は自分の秘された部分を曝け出す。
 脚を開いた事で露になった秘部はぱっくりと桃色の鮮やかさ、とろとろと蜜を垂れ流す淫らな様をこれでもかと夫に見せ付けた。
 漂う女の発情した甘酸っぱい、なんともいえない芳香。
 媚香のような香りと共に、淫らな妻は甘い甘い声で囁いた。

「ここに、ちょうだい……ほら、ここぉ……わたしのおまんこに、クライドのおちんぽ、ちょうだい」

 耳朶を溶かすかと思うほど甘えた声で、陶酔と羞恥の相半ばする哀願。
 潤んだ視線が捉えるのは、むき出しになった浅黒い肉棒。
 雄の支配を待ち焦がれる雌の淫靡な痴態。
 この姿に嗜虐心と支配欲を満足させたのか、クライドは今までの焦らし方が嘘のように素直に頷いて、自分自身を秘裂にあてがった。
 くちゅり、と触れただけで、お互いに火傷してしまいそうなくらい熱を帯びている。
 恍惚の吐息を漏らすリンディ、耐えるように唇を噛むクライド。
 二人の視線が交わる。
 もう言葉はいらなかった。

「ん! ぁぁ、ああ……ふ、ああああああ!!!」

 彼の腰が沈んで、ずぶずぶと硬く大きな陰茎が蜜壷に埋まっていく。
 肉ヒダの一つ一つを味わうようにじっくりと、だが確かに挿入される感覚に、リンディの唇からは陶酔の嬌声が甘く響いた。
 何年もの月日を経てなお、媚肉を掻き分けて埋没していく快楽は、かつて感じたものと寸分も違わなかった。
 追想に偲ばれるかつての愛の記憶と、今こうして再び噛み締める甘美な悦びに、焦らされ続けた女体はあっという間に高まる。
 ほんの一瞬で、快楽のボルテージがメーターを振り切った。

「あぁ、あああ! イっくううううううう!!!」

 甲高い絶叫を迸らせ、リンディのしなやかな肢体が跳ね上がる。

 喉の奥から息を搾り出した口からは、もうか細い吐息しか出てこない。
 子宮口近くまで肉竿に貫かれた快感。
 神経の一本一本まで焼き尽くす甘い電撃の嵐を前に、意識まで千々と消えてしまいそうだった。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 美女は、汗みずくの肌を上下させて息も絶え絶えに喘ぐ。
 だがそんな彼女を、さらなる快楽の暴力が襲った。

「ひぃ! い、ぃああああッッ!?」

 ズンッ、と子宮口から内臓まで突き抜けるような衝撃、それに倍する快感。
 圧迫感と快楽の二重奏が苦痛を掻き消して、背筋から脳髄まで桃色の雷撃が弾け飛んだ。
 絶頂したばかりの身体は敏感になっている、再び挿入を繰り返されれば、神経がショートしてしまいそうな過剰な快楽刺激がリンディを責め立てた。
 その法悦は拷問かと思う程に激しく、そして容赦ない。

「ま、まってぇ……こんな、はぁう! だめ、だめぇ……イったばっかり、なのに……またイっちゃうぅ……ッ」

 涙と涎で顔をぐしゃぐしゃにしたリンディは、エメラルド色の髪を振り乱して、悶えに悶えた。
 言葉とは裏腹に、彼女の媚肉は愛する夫の蹂躙に悦び、きゅうきゅうと強く締め付ける。
 絶妙な締め付けと絡みつくような膣壁を持つ彼女の名器に締め上げられ、挿入したばかりのクライドもまた我慢の限界がすぐに訪れた。
 股ぐらから下腹、脳天まで這い上がる射精の欲求に、耐えられたのは僅かばかり。
 苦虫を噛み潰したかのような顔で呻いたかと思えば、腰がぶるりと震えた。

「リンディ、出すぞ」

 短い呟きを耳元で囁いた刹那、どくん、と彼女の中で熱が脈動した。
 粘り気のある濃厚な白濁が、爆ぜるような凄まじい勢いでぶち撒けられた。
 結合部から泡を立てて零れ落ち、噎せ返るほど濃密な性臭が漂う。
 射精の恍惚に、クライドの屈強な身体がぶるりと震える。

「あぁ、でてる……あついの、いっぱいぃ……」

 子宮にぴったりと押し付けられた亀頭から、内部に注がれる精液の熱。
 身体を芯から溶かされるような快感にリンディの声音が甘くなる。
 とろん、とした眼差し、上気した頬。
 ベッドの上に千々と乱れた煌く髪と相まって、美しさと色香を堪らなくそそる。
 その淫靡さに誘われるように、クライドは身を屈めて彼女の美貌に顔を寄せた。

「ん……ッ」

 重なる唇、絡められる舌。
 大きな手が髪を撫でながら背中に回されて、リンディを力の限り抱き締めた。
 豊かで柔らかい乳房が厚い胸板の上で押し付けられ、いやらしく形を変える。
 秘部だけでなく、唇も、心さえも繋げようと、美しく淫らな妻は夫の腰に絡めた脚に力を入れ、積極的に舌を蠢かす。
 愛液と精液で泡立った結合部と重なった唇から、共に淫らな水音が滴って空気に艶やかな音色を奏でた。
 一度の絶頂くらいでは満足しないのか、未だにクライドの欲望は猛々しい。
 背中を撫でていた手がいつしかするすると下へ向かい、逞しい五指は白く大きくいやらしい尻肉を掴む。
 張りのある双丘に指を沈めたかと思うと、彼はそのまま手と腰に力を入れて背後に仰け反った。

「ひゃッ!?」

 リンディの唇から零れるかわいらしい悲鳴。
 腰を支点に、体位が変わる。

 ベッドの上に胡坐をかくようにしたクライドの脚の上にリンディが正面から座るようになった、対面座位の形。
 体位を変えた瞬間、身体の芯に駆け巡った快感に、彼女は眼を白黒させて喘いだ。

「ん、ふぅううッ!!」

 ゴリッ、と子宮口を亀頭がこじ開け、爆発的な快楽が脳髄を沸騰させた。
 座位は激しい動きは抑制される分、結合が深く、特にクライドほど逞しい剛直ならば簡単にリンディの最奥まで到達してしまう。
 眼の眩むような快楽刺激に喘ぎながら、リンディは夫の腰に脚を強く絡め、背中に回した手で抱きつく。
 たわわな乳房が押し当てられて、柔らかく形を変えた。

「あぁ……クライド……クライドぉ……」

 思わず零れる、愛を溶かした彼の名前。
 肌と肌がこれ以上ないほど触れ合って、密着感が心地良い。
 深い結合と柔肌の触れ合いは、激しく動いて快楽を貪る他の体位にも勝る悦びだった。

「んぅ!」

 身体が持ち上がり、強い快感が突き抜ける。
 ベッドのスプリングを軋ませて、クライドが腰の力で突き上げた。
 強烈な挿入の繰り返しではない、小刻みに腰を動かし、密着しら子宮口を抉る動き。
 意識をさらってしまうほどではないが、間断ない突き上げは溶けた理性を追撃し、桃色一色に染め上げるには十分過ぎる。

「あぁ、ああ、あああああ!」

 先ほど達したばかりだというのに、すぐさま新たなる絶頂の波が高まっていく。
 快感に震えれば震えるほど、自身の体重が結合部に掛かり、剛直と最奥部の接触を密にする。
 さらには、汗で濡れた肌と肌触れ合う感触、彼の胸板で押し潰された乳房の先でこりこりと擦れる乳首の感触。
 それらがまとめて法悦の電流を脳髄に叩き込み、神経を甘く焦がすのだ。

「だ、めぇ……また、きちゃう……イっちゃう!」

 穏やかで優しく落ち着いた、普段の顔からは想像もできない。
 甘く蕩けた声と表情。
 クライドが腰を揺すって蜜壷を掻き乱すたびにその甘えた声が彼の耳朶をくすぐる。
 絶頂が再び近づいてきたリンディの媚肉は、まるで肉の歯で咀嚼するかの如く彼の剛直を締め上げ、絡みつく。
 腰のグラインドこそ大きくはないが、極上の膣壁に食まれる快感はあまりにも甘美で、クライドもまたエクスタシーの昂ぶりが最高潮になるのを感じた。

「くッ……リン、ディッ!」

 愛する妻の名を叫び、クライドの指が豊かな白い尻肉を思い切り持ち上げ、次の瞬間に力を抜く。
 ベッドの支柱が軋むほどの衝撃。

「い、あああああああああ!!!!」

 彼女の体重の全てが、一点に突き刺さる。
 迸る叫びは、しかし甘い法悦に満ちていた。
 子宮口を剛直で抉り抜かれ、意識は一瞬で真っ白に染まる。
 どくどくと身体の中に注がれる熱の濁流。
 クライドもまた達して、彼女の中に自分の欲望をこれでもかと流し込んでいた。
 子宮に染み渡る熱い粘り気、唇から漏れる吐息も溶けてしまいそうなくらいに熱い。

「あ、あぁぁ……」

 絶頂の恍惚にリンディの唇から喘ぎが零れ、余韻に震える肢体から力が抜けてしまう。
 妻の体重を受けて、汗で湿ったシーツの上にクライドの身体が倒れる。
 逞しい肉体にしな垂れ掛かり、リンディは荒い息をつきながら、彼に抱きついた。
 鼻腔を突く汗と体臭、肌の温度、触れ心地。
 やはりそのどれもが、記憶にあるクライドのままだった。
 背中に回っていた彼の手がゆるりと動き、背筋に軽く触れつつ上へと流れる。

「ん……」

 快感とも呼べない、だが心地良い刺激に、微かな吐息が零れた。
 クライドの手がリンディの髪に触れて、優しい指使いで撫で梳く。
 しっとりと汗で濡れた髪を、その一本一本の感触を確かめるように、愛を込めて。
 絶頂の快感よりもなお、穏やかな愛撫が心を満たす陶酔が心地良い。
 逞しい胸板に頬を寄せて、リンディは目を細めて愛撫に身を任せる。

 こんな風に誰かに甘えるのは、一体いつ以来だろうか。
 もしかしたら彼が死んで以来かもしれない。
 大好きな、この世の誰より愛している人に抱き締められて、優しく撫でられる。
 知らずのうちに、リンディの瞳に涙が溜まっていた。
 人は悲しみだけでなく、嬉しさと幸せでも涙を流す事が出来る。
 今彼女の瞳を濡らすのは、そんな、満たされた心が流す雫だった。

「……クライド」

 身体を繋げ、心を繋げ、愛する人の名が自然と声音に紡がれた。
 彼は言葉ではなく、所作で応える。
 リンディを抱き寄せて、より彼女と肌を密着し、温もりを伝えて、また伝えられて、互いの熱を共有した。
 愛している、愛されている。
 そんな事を確かめ合うのにもう言葉はいらない。
 触れ合う肌と肌、重なる吐息が全ての思いを溶かしていく。
 寄り添い合って体熱を共にしていると、次第に、再び彼自身が大きく硬くなっていくのを、リンディは感じた。

「んぅ……」

 身体の奥でひくひくと震える、クライドの分身。
 小刻みな身体の動きで媚肉も刺激されて、とろりと粘り気のある淫蜜が溢れてくる。
 まだ彼を感じたいと、浅ましい身体が涙を流していた。

「ねえ、クライド……」

 切ない眼差しで見上げると、彼はそれを察しているのか、小さく頷いた。
 そして、リンディの求めていた通りの事を言ってくれる。

「もっとしよう。まだ足りない、もっともっと、君が欲しい」

 クライドの言葉に、リンディも頷く。

「うん。もっとして……もっと、もっともっと、わたしのこと感じて、感じさせて……ね?」

 蠱惑的で情熱的で、爛れた甘い声音を囁いて、リンディは熟れ切った豊満な肢体を震わせる。
 白磁の柔肉に太い指が埋まり、荒々しくも繊細な口付けが首筋を責めて喘ぎを喚起した。
 今度は自分が上になって乱れるのか、いや……乱れさせられるのか。
 また吹き飛んでいくか細い理性の中で、彼女はそんな事を漫然と思う。
 こうして、二人の夜はさらなる熱情に燃え上がり、沈んでいった。
 深く深く。
 愛と欲望の全てを余さず曝け出して。



「ん……んぅッ」

 差し込む朝日をまぶた越しに感じて、リンディは寝返りを打った。
 とすん、と虚しく空振ってシーツの上に落ちる腕。
 昨晩、精根尽き果てるまで愛を交し合った夫の身体は、既になかった。
 沈黙、沈黙。
 言葉もなく、リンディはベッドの上に視線を這わせる。
 乱れてしわを刻んだ白いシーツには、幾重にも汗や諸々の体液で濡れた跡が見て取れる。
 彼女自身の身体にも、甘噛みされたりキスをされた時の名残、昨晩愛を交わした余韻がしっかりと刻まれていた。

「クライド……」

 彼は、確かにここにいた。
 例え誰も信じなくとも、リンディだけはそれを知っている、覚えている。
 それだけで良かった。
 ただそれだけで、心の全てが満たされていた。
 ただ、それだけで……


終幕


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目次:リンディ・ハラオウンの華麗なる日常!
著者:ザ・シガー

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