702 ヴィヴィオの誘拐(?) 前編(1/7) sage 2008/04/24(木) 23:03:47 ID:76WFGQUt
703 ヴィヴィオの誘拐(?) 前編(2/7) sage 2008/04/24(木) 23:05:06 ID:76WFGQUt
704 ヴィヴィオの誘拐(?) 前編(3/7) sage 2008/04/24(木) 23:06:08 ID:76WFGQUt
705 ヴィヴィオの誘拐(?) 前編(4/7) sage 2008/04/24(木) 23:07:24 ID:76WFGQUt
706 ヴィヴィオの誘拐(?) 前編(5/7) sage 2008/04/24(木) 23:08:33 ID:76WFGQUt
707 ヴィヴィオの誘拐(?) 前編(6/7) sage 2008/04/24(木) 23:09:29 ID:76WFGQUt
708 ヴィヴィオの誘拐(?) 前編(7/7) sage 2008/04/24(木) 23:12:16 ID:76WFGQUt

クラナガンのサードアヴェニュー。秋晴れの正午。

多くの家族連れでにぎわう中でひときわ若い家族が目につく。なのはとヴィヴィオ。そしてユーノだ。

2人とも久しぶりに休みが重なったため、久しぶりにショッピングを楽しむことにした。

「本当に久しぶりだね、二人も元気そうでよかったよ」
「私たちよりユーノくんの身体の方が心配だよ。ちゃんと食事とってる?」

「う〜ん、3日前にサプリメントを摂取したくらいかな」

「もう、パ・・・ユーノ先生、ちゃんと食べないとダメだよ!」
そうしてヴィヴィオは言いかけた言葉を飲み込み、両手を腰に当ててユーノに注意した。

「あはは、ごめんヴィヴィオ。心配かけないように、ちゃんと食事をとるね」
「ヴィヴィオもピーマンちゃんと食べられるようにならないとね」
「う・・・」

そうして会話をしながら歩いているとヴィヴィオはウズウズしながら言った。
「ママー、おトイレ言ってきていい?」

「うん、それじゃあ私たちはここにいるから行っといで」
「はーい♪」

そうして近くの公衆トイレに入っていった。



ヴィヴィオが用を足し終え、なのはとユーノの待つ場所へ戻ろうとしたとき
「や・・・やあ、嬢ちゃん」
「?」

ヴィヴィオが振り向くと男が二人たっていた。
一人はアフロヘアー(明らかにヅラ)でサングラスにマスクしていた。
もう一人は帽子をかぶり、サングラスをつけていた。

「パパとママははどこにいるのかなー?」
「えっと・・・あっち!ママと、できればパパになって欲しい人も!」

「ヒソヒソ(欲しい人?欲しい人ってどういう意味っスか、アニキ?)」
「ヒソヒソ(バカ野郎!大事な商談の最中に話しかけるんじゃねえ!!)」

この人たち念話できないんだ。ママたちみたいに魔導師じゃないんだな・・・そうヴィヴィオは思った。

「そ、そうか〜、実はママとパパになってほしい人は急な用事ができちゃったんだ」
「えっ?そうなの?」
「だからお兄さんたちとしばらくの間一緒にいなさいって言ってたんだ」

無理もない。かたやエース・オブ・エースの称号を持つ大魔導師。かたや管理局の重鎮で情報管理部門のトップである考古学者。

緊急の任務や依頼でアイナや八神家(主にザフィーラ)など知り合いの家でお世話になることもあったためヴィヴィオはまったく
疑いを持たなかった。

「うん!わかった〜!」



「そういえば、おじさんたちの名前は?」
「「えっ!?」」

突然の問いに二人は驚く。

「ママが『仲良くするには、まず名前を名乗ることから始める』んだって。そう言ってた」
「えーと、あーと・・・」


「アニキ〜」
「なんだよ!ムーチョ考え中に話しかけんな!気のきかねえヤツだな」

そう言ってアニキといわれた男は相手の頭をはたいた。
「っいてー!いきなりハタくことないだろ、ドンタコスの兄貴!」

「ドンタコスとムーチョさんっていうんだ。私はヴィヴィオ、お世話になります」
ヴィヴィオからペコリと頭を下げられ、2人はとたんに恐縮してしまった。

「い、いや。こちらこそよろしく。ヒソヒソ(アニキ〜こんないい子を俺たち)」
「ヒソヒソ(今更あとには引けねーだろうが)」

そういってヴィヴィオは2人のあとをついていった。



ヴィヴィオが行方不明になった。

そのニュースは機動6課にも届いていた。
フェイトとはやてが現場につくと、なのはとユーノ、そしてヴェロッサがいた。

「サード・アヴェニューで行方がわからなくなったそうです」

「行方不明になったのが、ヴィヴィオだけに大きな動きを見せることはできないし、査察部のエージェントにも動いてもらっているよ」
ヴェロッサが警戒するのは当たり前であった。

古代、魔導師の祖ともいえる聖王がゆりかごの制御のみの能力を備えているわけではない。

今も教会が管理しきれてない聖遺物と器の能力がどう利用されるか、またそれを望む人間がスカリエッティ以外に
いないとも限らないのだ。

そしてはやてとフェイトはなのはを励ました。

「大丈夫や、なのはちゃん。クラナガンの市街は一通りが多いんよ。せやかてちょっと迷子になっとるだけや」
「そうだよ、なのは。ヴィヴィオは必ず見つかるよ」

「ユーノくん、フェイトちゃん、はやてちゃん」
そう言ってなのははこう言った。

「私、思うんだ。ヴィヴィオが大丈夫じゃないかと」
「な、なのは?」

ユーノはなのはの言葉に驚いた。そう言うなのはは自分の胸に手を当てて、こう言った。

「血はつながって無くても、私はヴィヴィオの母親だから、そう感じるんだ・・・」



ところ同じくしてクラナガンの某所、とある小さな部屋で悲鳴があがった。

「ま、待って!!やめてぇぇぇぇ!!いやぁぁぁぁぁ!!」
「待ったなしー!!」

部屋が一瞬にして静まる。そんな静寂を打ち破ったのは誘拐犯(兄)のため息であった。


「またチェックメイト。ったく、子供相手に何やってんだよ」
「うう・・・これで113連敗・・・」

弟がボードゲームで完膚なきまでにたたきのめされた様を見て、アニキは言った。

すでに弟はゲームに熱中する余り、アフロのヅラもサングラスも取り外していた。
「嬢ちゃん強いんだな、ボードゲームのやり方パパから教わったのかな?」

「ううん、初めて。でも結界魔法の範囲設定演算やるより簡単なの〜♪」
「「???」」
2人がヴィヴィオの言葉を理解できないでいると、壁時計のチャイムがなった。

「アニキ、そろそろ」
「そ、そうだな。すまねえ嬢ちゃん。ちょっと弟のヤツ用事があってな」
「えっ?どうしたの?」

「ママにお手紙を届けなきゃいけなくてよ」
アニキがそう言うと。弟の方がわざとらしく声をあげた。

「アッ〜、俺達ママノ住所忘レチャッタ〜。ヴィヴィオちゃん教エテクレナイカナ〜」
あからさまに台本に書いてあったものを棒読みするような大根役者っぷりである。

「うん、いいよ」
そういってヴィヴィオは素直にロングアーチの住所を教え出て行く弟にこう言った。

「なのはママにヴィヴィオ良い子にしてるって伝えてね!!」
そう言ってヴィヴィオはニコッと笑った。

「お・・・おう」



機動6課本部 ロングアーチ

「ここって・・・管理局の施設だよな」
誘拐犯(弟)はヴィヴィオの書いてくれた住所にもう1度目を通す。

そしてもう一方の手には手紙が握られていた。

『てめえのところのガキは預かったぜ!!返してほしければ、金を出せ!!くれぐれも管理局にいうんじゃねえぞ!!』
といったような内容だ。

その管理局にたどり着き困惑していると、奥からアルトとルキノが歩いてくる。

「何かせわしいね。スバルたちもすぐに出て行っちゃって」
「なのはさんら隊長陣からの急な連絡あったみたい」

(なのはさん・・・?)

「ねえ、そこの彼女達。なのはさんの知り合い?」
「あんた誰?もしかしてナンパならお断りよ」

あからさまに怪しい風貌にアルトは怪訝そうな顔をしてたずねた。
「いや、さっきなのはさんって・・・」

「なのはさんに用?あいにくだけど、なのはさんは今日は非番なの。いくらエース・オブ・エースでもたまに休みはとらなきゃ
身体がもたないからね〜」

「エース・オブ・エース?」
「あれっ、そんな事を知らないで尋ねてきたの?フフフ・・・いいわ!!せっかくだからあんたにスゴサを教えてあげる!

「ちょ、ちょっとアルト!」
控えめな性格のルキノはお祭り好きな性格の相方がとんでもないことを言うのではないかとハラハラしながら見守る。

「さあ、兄さんが聞きたいというなら、応えてあげるが人の情け!!なのはさんが管理局の魔導師の中でもエース・オブ・エース
といわれているワケを!」

して以下はにわか漫談師、アルト・クラエッタが聞かせた内容である
(*話に一部誇張があります)


・ヴィヴィオのママはなのはさんという名の魔導師。
・教導隊という魔導師の中でもエリート中のエリート出身。
・その中でも最高峰のエース・オブ・エースの称号を持つ。
・本気にならなくとも大都市を崩壊させるほどの魔力。
・親友の魔導師とケンカして次元震を起しかけた事がある。
・最近クラナガンに出現し、人々を震撼させた巨大艦船を内部から破壊した。
・かつて次元震を起していた、古代神話の化け物を消滅させた事があるとかないとか。
・明らかにどんな男よりも漢らしい風貌を持つとか持たないとか。
・非常に厳しく冷酷で、悪人はおろか部下(もちろんエース級)すらも、自分の意に沿わなければ魔法で木っ端微塵にするとかしないとか。
・過去に娘を誘拐した犯人を自らの砲撃魔法で葬り、チリすら残さなか事があるとか無いとか。
・その凶悪さから「管理局の白い魔王」と呼ばれているとかいないとか。

「じゃあね、明日出直してきなさいね〜」
そう言ってアルトとルキノは真っ白になっている誘拐犯(弟)に対して手を振って、去っていった。

・  ・  ・

「よくも、よくも私の娘を!!」

そうして足を一歩、踏み込んだ。足元からズシンという重い響きがあがり、振動が起こる。
デバイスにカートリッジがロードされるたびに『ガチャン!ガシィィン!』という無骨な音と、魔力の煙がバックファイアの火花ように舞い上がる。

「アッー!!!」
「あwせdrftgy魔王lp;@!!!!!」

そう言って2人は奇声を発して逃げようとするが何重にもバインドをかまされていた。
魔導師でない2人である。解除の方法も知るはずも無い。そして誘拐犯2人の周囲にビッドが回った。

「死ぬほどの後悔とか、地獄の苦しみとか、そんな生易しいことは言わない・・・」

そしてビットに魔力がこめられていく。

「消えろ!! スターライトブレイカー、フルバースト!!」

そうして誘拐犯2人は光に包まれ、チリとなった。

・  ・  ・

というこの世の終わりが通り過ぎた光景を誘拐犯(弟)は想像した。
「・・・俺たちとんでもない魔王の子を誘拐しちまった・・・」



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目次:ヴィヴィオの誘拐(?)
著者:44-256

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