528 名前: 汚名返上 sage 2007/09/25(火) 01:34:55 ID:At/WGcFl
529 名前: 汚名返上 sage 2007/09/25(火) 01:36:34 ID:At/WGcFl
530 名前: 汚名返上 sage 2007/09/25(火) 01:38:35 ID:At/WGcFl
531 名前: 汚名返上 sage 2007/09/25(火) 01:40:13 ID:At/WGcFl
532 名前: 汚名返上 sage 2007/09/25(火) 01:41:51 ID:At/WGcFl
533 名前: 汚名返上 sage 2007/09/25(火) 01:43:31 ID:At/WGcFl
534 名前: 汚名返上 sage 2007/09/25(火) 01:44:55 ID:At/WGcFl

なんなの…これは…
目の前で起きたことにフェイトは、焦りの汗を流す。

泣き叫ぶヴィヴィオ、帰ってきたなのは、後、変なの。
「久し振り、ヴィヴィオ」
「パーパー」
抱き着いてきたヴィヴィオを持ち上げ、抱きしめる。
「痛かったんだって?」
左手で体を支え、右手で頭を撫でる。
「もうだいじょうぶー」
泣き止み、ユーノに笑顔を向ける。
何これ…
あれほど泣き叫んでいたヴィヴィオにほお擦りをしている。
「ヴィヴィオは、強いねー」
「ユーノ君に甘え過ぎだよー」
拗ねたような表情でなのはが近付き、ヴィヴィオを撫でる。
「パパ、大好きだもん」
そう言ってユーノに強く抱き着く。
「僕も好きだよー」
そう答えて抱きしめるユーノと微笑んでいるなのは。
それは、見紛うことのない、正に夫婦、家族の光景。
若い両親と元気な娘。
そして、近所のお姉さんが1人。
「ユーノ…明日も仕事じゃないの?早く帰った方がいいんじゃない」
心の中で苦虫を噛み潰し、憎しみを堪えてなんとか声を出す。
「うーん…ヴィヴィオも泣き止んだしね。そろそろ「やーだー」
帰ろうかな、と言おうとしたユーノをヴィヴィオが止める。
「パパと一緒に寝るー」
そんな状況でフェイトは、なんとか気持ちを落ち着かせ、策略を寝る。
足が臭い、イビキが五月蝿い、寝相が悪い…
どうにかして魔法を駆使して、このように仕組めないものか…
しかし、自分の知る魔法にそんなものは無かった。
自分が知らなくてもあそこなら!
「ユーノ、無限書庫が調べたいことがあるんだけど」
そして、言ってから気付く。
これで引き離せるなら調べる必要は無く、状況的にこんなことを言うのは、
引き離そうとしていると思われかねない。
微妙な空気が部屋を包む。
こっのっ淫獣めぇ〜!仕組みやがったなぁ〜!
自分の失敗もユーノのせいである。
「それじゃあ、仕方ないね。…ごめんね、ヴィヴィオ」
良く言えば優しく、悪く言えばお人よしなユーノは、ヴィヴィオを降ろす。
不満げなヴィヴィオは、頬を膨らませ、下を見る。
「次は、一緒に寝ようね…いや、今度、3人で遊びに行こうね」
お人よしなユーノにひそかに感謝しつつ、フェイトは、口を歪めた。
馬鹿な淫獣。
これで妨害すれば、ヴィヴィオの中でユーノの信用が落ちる。

「パパ、約束したのに!」
「ごめん、ヴィヴィオ。次は必ず守るから」
「パパなんて大嫌い!」

完璧!
フェイトは、一度深呼吸をして、この場で自分が取るべき態度を考える。
「ごめんね、ヴィヴィオ、ユーノ…」
仲の良い親子を引き離してしまい、残念、といった顔を表面上だけ作る。
「ヴィヴィオ、パパを困らちゃ駄目だよ」
諭すようになのはは、ヴィヴィオの顔を覗く。
パパを困らせたくない、とヴィヴィオは小指を立てて、手を出す。
何を求めているか気付いたユーノは、その小指に自分の小指を絡める。
「「ゆーびきり、げんまんうそついたら」ぜんりょくぜんかいスターライトブレイカー、ゆびきった」
針1000本じゃないのか、スターライトブレイカーなのか…しかも全力全開…
誰が教えたのか、恐ろしいことを言うヴィヴィオに冷や汗をかきながら
ユーノは、指を離した。

「何を調べるの?」
並んで歩くフェイトにユーノは、尋ねる。
「キャロの…ライトニング、召喚師なんだけど…」
「あぁ、あの桃色の髪の女の子だね。フェイトが保護したっていう」
僅かの間に嘘の説明を全て考え出していたフェイトに、ユーノはまともに返す。
「うん、そのキャロの召喚魔法陣のことで調べたいことがあってね」
動揺や焦りなど微塵も見せず、当たり前のようにフェイトは、嘘を並べていった。

「竜召喚関係ならこれかな…一応、レアスキルって言ってもいい位置にあるから、
持ち出しは不可能だけど、こっちの召喚関連の書籍なら大丈夫だよ」
フェイトの腹が真っ黒になっているとも知らずにユーノは、
真面目にフェイトに話し掛ける。
「じゃあ、これ借りていくね」
この淫獣と一緒になどいたくない。
本当なら今、この場で首を刈ってしまいたいが、それは駄目である。
「あ、うん。分かった」
「ごめんね、ありがとう」
あの状況で言ったからには、もっと深く調べていくかと思っていたが、
あっさりと引き返すフェイトの背中を、ユーノは首を傾げながら見送った。

「ヴィヴィオ、次は大丈夫だから…ね」
「パパ、グスッ、2回もや、グスッ、約束破った、グスッ」
鼻を啜りながら、部屋の端で体操座りをしているヴィヴィオは、
なのはの言葉に耳を貸さない。

「これ以上は、いくらなんでも怪しまれるよ…。わ、分かったよ…」
無理が来ていると告げるクロノに、例の写真を見せ、無理矢理に命令を行わせた。

「パパなんて嫌いー」
「ヴィヴィオ…」
自分も最近、会えていない。
悲しい気持ちのまま、なのははヴィヴィオに声をかける。
いっそ、一緒でなければ悲しい想いをしなくても済むのではないか、
なのはは、しばし目を閉じて考えた。
「フェイトちゃん、ヴィヴィオのこと、ちょっといいかな?」
ほくそ笑んで見ていたフェイトは、なのはの強い気持ちの篭った言葉と瞳に思わず頷いた。

なのはの背中を見送った後、フェイトは笑いながらヴィヴィオに近付いた。
「ヴィヴィオ、泣いちゃ駄目だよ…もうすぐ3人の幸せが来るからね」
意味は良く分からなかったが、妙に嬉しそうに言うフェイトにヴィヴィオは
釣られて涙を止めて笑った。

そう…なのはとユーノが別れ、私達3人の幸せな暮らしが始まる。
ふふふ、はははははは、ははははははははは、…だから!

「おかえり、なの…は…?」
帰って来たなのはの顔は、どこか悲しそうな憂いを帯びた、
それでいて新しい明日に進むことを決心した顔。
のはずだったのだが、振り返ったフェイトが見たなのはの顔は、満面の笑みであった。
見ているだけで、幸せが移ってしまいそうな笑顔に、萌え死にそうになりながら
フェイトは何があったのかをなのはに尋ねた。
「凄く嬉しそうだけど、どうしたの?」
なんとか平静を装ったが、何処かぎごちない。
しかし、なのはは、そんなことに気付かず答える。
「ユーノ君と…一緒に暮らすの」
あっのっ糞淫獣がぁっ!ふっざっけった真似をぉっ!!
もはや感情を隠せなくなったフェイトだったが、最大級の笑顔を浮かべているなのはは、
そんなことお構いなしに少し機嫌の直っていたヴィヴィオの元へ行く。
「ヴィヴィオ」
笑顔のママに何かいいことがあるのかと、期待する。
「これからは、パパと一緒に暮らせるんだよ」
「ホント!?」
「うん、本当だよ」
抱き合う2人をフェイトは、感情の無い目で見ている。
残念…そのパターンも予測済みだよ。
「そっか、何処に住むかは決めたの?」
「それは、まだなんだけど、六課と無限書庫の中間が理想的かなって」
フェイトに答えるなのはの顔は未だに幸せそのもの。
嬉しそうに体を動かすヴィヴィオとそれを見て笑うなのはから離れ、
フェイトは電話をかける。
「はい、契約します」
こそこそと気付かれないように同じ内容の電話を数件にかけていく。

「フェイトママも遊びに来てね」
「うん、必ず行くからね」残念だけど、それは出来ない。
フェイトは、笑いながら答えた。

「見付からないな〜」
コンピューターを弄くって3人で住める場所を探していたなのはだったが
上手く空部屋が見付からないことにうなだれていた。予備の為、空いた部屋を契約予定の約束をし、結果その部屋全てと契約し、
3人の動きを封じたフェイトは、なのはを後ろから見守っていた。
「ママ、まだ〜」
「うーん、今探してるから待っててね」
3人で暮らすのを今か今かと待っているヴィヴィオ。
何時でも会えるようになる嬉しさに、調子に乗ってキングサイズのベッドやら
なんやらを注文していたなのはは、若干、焦っていた。
「今日中にお金、振り込まないと…」
ベッドの契約を思い出し、振り込みに行こうとなのはは、立ち上がる。
「じゃあ、私が探してるね」
絶対に見付からないけど。
心の中で付け加えて、なのはのかわりにコンピューターの前に座る。
なのはは、棚から通帳を取り出すと、部屋を出ていった。

フェイトは知るよしもない。
今、崩壊の足音が鳴り出したことを…

「なのは、遅いね」
強引に離れた場所でもいいから、と住むことにされた場合は困る、
とある程度の距離にある空物件全てに目を通していたフェイトは、
そう言ってヴィヴィオを見たが、待ち疲れたのかヴィヴィオは、夢の中だった。
あくまで、なのはとユーノを離すのが第一段階であったが、
既にフェイトの頭の中では、自分となのはがカップルとして成立していた。

あー、あのなのはの綺麗な肌と触れ合って、なのはの指が私の中に…
考えるだけで体が熱くなってきたフェイトは、ヴィヴィオが寝ているのを再確認すると、
胸元に手を伸ばす。
「なのは、なのは〜」
名前を呼びながら、自ら胸の形を変えていく。

その時、プシューっと扉の開く音が聞こえ、フェイトは手を離した。

「お、お帰りなの…は?」
再び、フェイトは、迎えの言葉に詰まる。
「ただいま、フェイトちゃん」
見たことのないような満面な笑み。
部屋が見付かったの?いや、周辺に空き部屋が出来たら、真っ先に自分に
知らせるように伝えてある。
自分の疑問を自分で否定する。
「住むところ…決めたんだ…」
「え?」
やられた!あの淫獣めぇ!
都合の悪いことは、全てユーノのせいである。
「それで、何処に住むの?」
その新居を破壊しようか…いや、そんなまどろっこしい手は使ってられない!
あの淫獣をボコボコにしてやる!
その考えを止めさせたのは、なのはの不可思議な返答だった。
「ここ」
「?」
笑いながら下を指差すなのにに、フェイトは疑問符を浮かべる。
「ここ?」
まさか六課隊舎に?
だが、なのはの答えは上を行く。
「うん、この部屋」
何を言っているのか、フェイトには全く理解出来ていない。
「そんなの、いいの?」
隊舎で同棲?
そんな話聞いたこともなく、許可されると思えない。
だが、なのはの答えは上を行く。
「はやてちゃん、許可してくれたよ」

「カンニンシテヤ、カンニンシテヤ、カンニンシテヤ、カンニンシテヤ」
意識を現実から離しながらも、ぶつぶつと呟きながら、ベッドで横になっている
はやてに、ヴォルケン一同は首を傾げていた。

「ここからじゃ遠いよ」
いくらなんでも六課から無限書庫への通勤は大変だ。
だが、なのはの答えは上を行く。
「ヴァイス陸曹に毎朝ヘリで送ってもらうから」

「あむ、むご」
盗撮した六課女性陣の写真を週刊誌に送って、得たお金をなのはに
全て奪われたヴァイスは、木に縛られていた。

もう崩壊の足音は、フェイトのすぐ後ろから聞こえていた。

「順を追って話すね…」
目覚めたヴィヴィオだったが、あまりの空気の重たさに指一本動かせずにいた。
「私、自分の通帳を持っていったつもりだったんだけど…フェイトちゃんのを
持っていっててね…
中身見ちゃったんだ…何件も不動産に頭金として引かれててね」
歯と歯が噛み合わずカチカチと音がなる。
「調べたら、私とユーノ君が住みたいなって思ってた場所が
沢山、フェイトちゃん名義で契約されててね」
まだまだ終わらない。
「はやてちゃんのお話し聞いて、ゲンヤさんのところに行って…
クロノ君のお話し聞いて、クロノ君の部下の人にもお話し聞いて」
逃げたい。
逃げたいのに、体が動かない。
「結局、全てが繋がって…3人でここに住むことにしたの…」
「さ、さささ、3人って、わ、わわわ、私となのはとい、いいい、淫獣?」
もうフェイトに思考する余裕など存在しない。
「そんなわけないじゃない。私とユーノ君とヴィヴィオに決まってるじゃない…」
ふふふ、と笑うなのはにフェイトも、ふふふ、と笑うしかなかったが…
「何がおかしいの?」
急に唇を閉めるなのは。
「な、ななな、何もお、おおお、おかしくないよね…」
いっそスターライトブレイカーに焼かれた方が楽だ。
今のなのはが発しているものは、魔法なんてちゃちなものに思わせるようなオーラ。
「フェイトちゃんは、家が沢山あるから大丈夫だよね…」
「そ、そそそ、そうだよね…じ、じじじ、じゃあ、行くね」
逃げようとしたが、やはり体は動かない。
だが、それは空気のせいではなく体に巻かれたバインドのせいだと、ようやく気付いた。
「ここじゃあ、私達の部屋が壊れちゃうからね…」
なのはが手を伸ばすと、フェイトの体が浮く。
「行くよ、ヴィヴィオ」
バリアジャケットを纏ったなのはが名前を呼ぶと、ヴィヴィオが立ち上がる。
2人は歩きながら、フェイトは宙に浮きながら廊下を進んでいく。
廊下の端では、掌を合わせて、頭を下げている局員。
「それじゃあ、行くよ、ヴィヴィオ」
2人でレイジングハートを握る。
魔法陣が展開される。
そして、天空から星の輝きがなのはとヴィヴィオへと、集まっていく。
小さな流星は、やがて煌めく星へと変貌を遂げる。
「全力!」
「全開!」
「スター!」
「ライト!」
フェイトには、見えた。
あれが…死兆星…
「「ブレイカー!!」

エピローグ

「ただいま」
退院したてのフェイトは、仕事と帰りの運転の疲れを流そうとシャワー室へ向かう。
少し低めの水が麗しく実った体を滑っていく。
疲れが抜けていくのを感じると、少しずつ温度が上げる。
艶やかな金髪を優しく洗って外へ出た。
タオルで髪を拭きながら、部屋を見渡すが、何も無い。
窓から隣のマンションの一室を覗く。
この部屋と同様、何も無く、誰もいない。
「今日は、あっちの部屋で寝ようかな…」
美術館とホテルへの慰謝料で擦り減った貯金と、回されたクロノ、ゲンヤ、はやての仕事を
思い出して、溜め息を吐きながらフェイトは部屋から出た。


結局、なのはさんが最強ってお話。

終わり

前へ
目次:汚名返上フェイトさん
著者:29スレ471

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます