[123] 可哀想なフェイトさん 1 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/01/02(水) 21:15:55 ID:noZgCYPE
[124] 可哀想なフェイトさん 2 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/01/02(水) 21:17:30 ID:noZgCYPE
[125] 可哀想なフェイトさん 3 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/01/02(水) 21:18:58 ID:noZgCYPE
[126] 可哀想なフェイトさん 4 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/01/02(水) 21:20:19 ID:noZgCYPE
[127] 可哀想なフェイトさん 5 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/01/02(水) 21:21:16 ID:noZgCYPE
[128] 可哀想なフェイトさん 6 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/01/02(水) 21:22:03 ID:noZgCYPE
[129] 可哀想なフェイトさん 7 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/01/02(水) 21:23:32 ID:noZgCYPE
[130] 可哀想なフェイトさん 8 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/01/02(水) 21:24:48 ID:noZgCYPE
[131] 可哀想なフェイトさん 9 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/01/02(水) 21:26:03 ID:noZgCYPE

フェイトはユーノが大嫌いだった。何故ならばユーノはフェイトからなのはを寝取ったのだから…。
実際は別にユーノはフェイトからなのはを寝取ったと言う自覚は無いし、なのはにしても
元々ユーノの事が結構普通に好きだったのだから、フェイトが考える様な事は一切無い。
しかし、なのはは自分の物だと心から信じるフェイトにとっては違う。
だからこそフェイトはユーノが自分からなのはを寝取ったと認識し…憎んだ。

フェイトのユーノに対する憎しみが決定的に強くなったのは、なのはがヴィヴィオを養子に
取って以後の事だった。当初はなのはがヴィヴィオの母親となった以上、ヴィヴィオの世話が
忙しくてユーノの相手などしていられるはずがないと考えていた。しかし実際は違った。
何故ならばヴィヴィオがユーノに懐いてしまっているのである。
あろう事かユーノの事をパパと呼ぶ始末。そしてヴィヴィオに釣られる様に
なのはもまたユーノに今まで以上に接近する様になった。まるでヴィヴィオが
なのはとユーノの橋渡しになったかの様に…。それがフェイトにとって嫌だった。
なのはとヴィヴィオからユーノを引き離したい。寝ても覚めてもフェイトはそう考える様になった。
ユーノの恥かしい光景を見せればなのはとヴィヴィオも失望して離れていくと
考えたフェイトはその日、新しい一つの作戦を思い付いたのである。
だが、その作戦は一人の力では不可能な物であった為、協力者を得る為にある場所へ向かった。

フェイトが向かった先はエリオの部屋だった。
「エリオ〜いるかな〜? ちょっと手伝って欲しい事があるんだけど…。」
「嫌ですよ! またなのはさんとユーノさんの邪魔する手伝いをしろってんでしょ?
いくらフェイトさんの頼みでも従えません!」
「………。」
速攻でエリオに拒絶され、フェイトも開いた口が塞がらなかった。
だが仕方が無い。実は以前からフェイトはエリオになのはとユーノの仲を引き裂く
手伝いをちょくちょく強要していたのである。故に流石のエリオでも
いい加減フェイトに愛想が尽きてしまうのは当然の事だった。
「そっか…無理言ってごめんねエリオ…。」
「って何で勝手に上がり込んで来るんですか!?」
申し訳なさそうに謝りながらも勝手にエリオの部屋に上がり込むフェイトに
エリオは思わず怒鳴り付けてしまうが、フェイトは構わずにエリオのベッドの下に手を突っ込んでいた。
「実は以前エリオの部屋でこういう物を見付けたのだけど…。」
「あ! それはダメ!」
エリオは思わずフェイトが手を突っ込んでいるベッドの下まで飛び出していたが
時には既に遅し。フェイトはある物を取り出していたのである。
「エリオ…これは…何かな?」
「ああああ! ダメェェェ!!」
エリオは狼狽した。何故ならばフェイトがエリオのベッドの下から取り出した物は
エロ漫画雑誌だったであるから。漫画のキャラクターにありがちな目が大きくて
かつ首から下もボンッ! キュッ! ボーンッ! な感じの美少女魔導師っぽい
キャラクターが触手に纏わり付かれて喘いでいると言う表紙で、それだけを見ても
かなりのエロさを思わせる物だった。
「これ…エリオの歳で読んじゃいけない本のはずだよね…。どうやって手に入れたのかな?
こう言う本を店の人が18歳以下に売るはずが無いし…。」
「そ…それは……。」
エリオがエロ漫画雑誌を持っていた理由。それはしばらく前にまで遡る。
エリオが何気無く街外れを歩いていた際にたまたまゴミ捨て場の近くを通りかかるのだが、
そこで彼は見付けたのである。ゴミ捨て場に捨てられていた一冊のエロ漫画雑誌を…。
そして、それを見た瞬間に思わず拾い上げ、自室まで持ち帰っていた。
生まれて初めてのエロ漫画雑誌。エリオにとってそれは余りにも衝撃的だった。
世の中にはこんな物が存在したのかと…。美少女魔導師的なキャラクターが
様々なシチュエーションで犯される内容のエロ漫画にエリオは興奮し、何度も抜いた。
勿論そう言った事は誰にも内緒。自分だけの秘密だった。しかし…フェイトには
それが最初から知られていた様子だったのである。
「まあエリオも男の子だから仕方無いよね…。こう言う本に興味を持っても…。
でも…エリオがエッチな漫画を読んでるってキャロが知ったらどう思うかな?」
「あああ!!」
エリオは思わず頭を抱えた。そして脳裏にはある恐ろしい光景が浮かんだ。

エリオが密かにエロ漫画雑誌を読んでいた事を知ったキャロが…
「エリオ君…こういうのが好みなんだ…。」
と、エリオを軽蔑する様になると言う光景。そんな事はエリオにとって嫌だった。

だがそれだけでは無く、恐らくは…フェイトはエリオがなのはとユーノの邪魔をする
手伝いをしなければキャロにその事をばらすつもりなのだろう。そうなればエリオは破滅だ。
だからこそ仕方なくフェイトに従うしか無かった。
「分かりました…今回は一体何をすれば良いんですか?」
「そうそう。やっぱり素直なエリオが大好きだよ。」
エリオのエロ漫画を手に持ったまま、フェイトは笑顔でエリオの頭を撫でた。

エリオの部屋を後にしたフェイトが次に向かった先はキャロの部屋だった。
「キャロ〜いるかな〜? ちょっと手伝って欲しい事があるんだけど…。」
「嫌ですよ! またなのはさんとユーノさんの邪魔する手伝いをしろとか言うんでしょ?
いくらフェイトさんの頼みでも従えません!」
キャロもまたエリオ同様に速攻で拒絶していた。無理も無い。
彼女もまたフェイトのなのはとユーノの仲を裂く悪巧みの手伝いを強要された事が
以前からもあったからである。だからこそ今となってはキャロもまた
エリオ同様にフェイトに愛想が付いてしまっていた。しかし…
「ゴメンね無理を言って…。」
「え?」
フェイトはあっさりと申し訳なさそうにキャロに頭を下げて謝っていた。
いつもならもっと力ずくでも協力を強要しようとするはずであるのにとキャロは思わず戸惑った。
「あ、そうそう。話は変わるんだけどね、キャロに見て欲しい物があるんだよ。」
そう言ってフェイトが何か小さなリモコンの様な物を操作すると、二人の目の前の
空間にモニターが出現し、ある映像を映し出した。
「ああ!!」
その映像を見たキャロは真っ青になる。何故ならば…

「エリオ君…エリオ君…エリオ君のおっきなオチンチンで私のオマ○コ…貫いてぇ〜…アッ!!」
それはキャロがエリオを想って自慰行為に耽る光景を映した物だったのだから…。
キャロが自分の脚をM字に大きく開いて、指で深々と股間のソレの中を派手に
かき回しながら喘ぐその光景は年齢不相応に官能的な光景だった。
フェイトがそれをどうやって撮影したのかは全くの謎であるが、自分がエリオを
想って自慰していた事がバレたキャロは忽ち真っ青になるのは当然の事だった。

「キャロだって女の子だもんね…。好きな男の子とエッチしたいって気持ちが
無いワケが無いもんね…。でも…こっそりこういう事してるなんて事を
エリオが知ったら…一体どう思うだろうね?」
「あああ!!」
キャロは頭を抱えてしまった。そして脳裏にはある恐ろしい光景が浮かぶ。

キャロがこっそりエリオを想って自慰に耽っていた事を知ったエリオが…
「キャロ…ちょっと…気持ち悪いよ…。」
と、キャロを軽蔑する様になる光景。それはキャロにとって余りにも恐ろしかった。

だがそれだけでは無い。恐らくは…フェイトはキャロがなのはとユーノの邪魔をする
手伝いをしなければエリオにその事をばらすつもりなのだろう。そうなればキャロは破滅だ。
だからこそ仕方なくフェイトに従うしか無かった。
「分かりました…今回は一体何をすれば良いんですか?」
「そうそう。やっぱり素直なキャロが大好きだよ。」
フェイトは笑顔でキャロの頭を撫でた。

数日後の休日、なのはとユーノとヴィヴィオの三人が街へ出かけていた。
その光景、なのはとユーノの二人はまだ籍を入れていないと言うのに
誰の目にもまるで仲良し夫婦と二人の愛娘としか映らない程幸せそうであった。
しかし……
「おうおうおう! 見せ付けてんじゃねーよ!!」
「わりゃぁ! あんま調子乗っ取ったらシゴウしたるぞ!」
突然ガクラン&セーラー服に身を包んだ不良学生っぽい二人組みが現れ
ユーノに対して喧嘩を売って来たのである。しかしこの二人。ガクラン及びセーラー服を
着用し、口はマスク、目はサングラスで隠しているが誰がどう見てもエリオとキャロ。
フェイトに弱みを握られた二人はこうして不良っぽい格好でこの様な事をさせられたのである。
なお、二人は互いにフェイトに何かしらの弱みを握られたと気付いてはいても、
それが具体的にどういった物なのかは知らない。と言うか知ろうとさえしていない。
その様な事をすればフェイトにバラされて破滅するのは自分だと気付いていたのだから…

この作戦が決行される数日前、エリオとキャロはフェイトにある本を渡されていた。
「これね、97管理外世界の古本屋でサルベージして来た本なんだけど…。」
まずエリオが渡されたのは昔の不良漫画。設定としては高校が舞台で、主人公や
その他のキャラクターも皆高校生なのだけども、どう見ても三十歳越えてるだろと
突っ込みたくなる様なオヤジ臭い顔した高校生が泥臭い喧嘩を繰り広げる
汗臭い男…いや不良漢の世界と言える様な漫画。エリオにとってこの世には
こんな物が存在するのかと余りの衝撃で物も言えなかった。
続いてキャロが見せられたのはいわゆるスケ番ものの漫画。
分類上は少女漫画で、エリオが読まされた漫画の様な汗臭さは無かったが、
それでも男の不良とはまた違った意味での恐ろしさを持った女性の不良の世界を
垣間見て、キャロにとって余りにも衝撃的な物だった。
「つまり私が何を言いたいかと言うとね、これで不良の何たるかを勉強して
なのはとヴィヴィオの目の前でユーノを襲撃して恥をかかせなさいって事。
そうすれば二人もユーノに失望して私が再び二人を取り戻すのは容易い!」
「は…はぁ…。」
エリオとキャロは呆れて溜息を付いてしまうが…今となっては逆らう事は出来ない。
だからこそ仕方なくフェイトの言う通りにするしか無かった。

「おうおう! 文句あるんならかかって来いよこらぁ!」
「わりゃぁ! シゴウしたるぞ!」
二人はなおもユーノに喧嘩を売るかの様に挑発するが…その脚は完璧に震えていた。
ユーノは戦闘魔導師では無いが、防御に関してはSクラスでも唸る程の実力者だと
言う事はエリオとキャロも分かっていたし、何よりもなのはがユーノと一緒にいた事が
最大の理由。下手をすれば…と言うか絶対になのはに殺される。
しかし何処かでフェイトが二人を見張っている以上…逃げる事は許されない。
故に二人は何としてもフェイトの言う通りの事を実行する他は無かった。
「(せっかくの休日なのに…僕達は何をやってるんだろう…。)」
「(真冬でこの格好は寒すぎるよ…。)」
ここでエリオとキャロは何故自分がこんな事をしなければならないのかと
今更になって疑問を持つ様になった。今日は忙しい仕事の中でのオアシスとも言える
ささやかな休日だと言うのに…この様な事をやらされている。本当ならば
目の前のなのは達の様にエリオとキャロの二人で街に繰り出したり、温かい部屋の
中で語り合ったりと言った事も出来ただろう。そして今二人がそれぞれ着用している
ガクラン&セーラー服がこの真冬の寒空の中では余りにも寒すぎる。
目の前のなのは達三人がダウンジャケットなどの温かそうな服を着ている事もあって…
ますます二人は寒さを感じてしまうのである。だがそれでも自分の破滅を防ぐ為には
フェイトの言う事を聞かなければならない。それが何よりも悲しかった。
「オラオラ! 来いや来いやぁ!」
「ボコボコにするぞこらぁ!!」
エリオは鎖を取り出して振り回し、キャロはヨーヨーで挑発しながらなおも叫ぶが
その脚はますます振るえ、目からは涙が滝の様に流れていた。
前述の通り、なのはとユーノの二人が怖かったのである。そしてフェイトに
見張られている以上逃げられないと言う八方塞の状況。
何時失禁してもおかしくない位…これは恐ろしい物だった。
さて、この二人を見てなのはとユーノはどうしたのかと言うと…
恐れる所か逆に哀れんだ目になっていたのであった。
「エリオ…キャロ…またフェイトちゃんに脅されたんだね…。」
「まったくフェイトにも困った物だね…。」
なのはとユーノは目の前の不良二人の正体がエリオとキャロだと言う事に気付いていたし、
フェイトに脅されてこの様な事をやっていると言う事も当然の様に悟っていた。
だからこそ二人が可哀想で可哀想で仕方が無かった。しかし同時に二人が
凄く必死である事も分かっていた故に…とりあえずは付き合ってあげる事にした。
「わー! 不良だー! こわいよー!(棒読み)」
「カツアゲされちゃうよー!(棒読み)」
「怖いよー!(棒読み)」
逆の意味で凄まじい演技力でなのは・ユーノ・ヴィヴィオの三人は怖がって見せた。
「シゴウするぞこらぁ!」
「病院送りにするぞオラァ!」
ついに二人はユーノに襲い掛かった。しかし恐怖で脚どころか全身が震えだした
二人は動きもぎこちなく、戦闘に関して玄人とは言えないユーノでも
目を疑いたくなる位に変な動きで容易く避けられてしまい、逆に二人は転んでいた。
「やってくれたなこの野郎!」
「絶対にぶっ殺す!」
「嫌…二人が勝手に転んだだけじゃない…。」
痛そうにしながらも起き上がる二人にユーノも呆れてしまうが、やはり二人は
口では強がっていても恐怖で体が動かずにまたも転んでしまった。
それから、なのは達三人はなおも明らかにわざとらしさ全力全開の怖がり方を
見せたりするのだが、肝心のエリオとキャロの方がよっぽどビビっているので
全く意にも介していなかった。当然それを遠くから監視していたフェイトにとって
面白いはずが無く、思わず皆の前に飛び出して来ていたのであった。
「二人ともしっかりしなさい! 二人がなのはとヴィヴィオの目の前で
ユーノに恥をかかせないと計画が丸潰れじゃない!!」
「フェイトちゃん…。」
「思い切り作戦バラしてるし…。」
なのはとユーノの二人は完全に呆れてしまっていた。
要するにフェイトは、不良学生に扮させたエリオとキャロにユーノを襲わせて
なのはとヴィヴィオの前でユーノに恥をかかせ、二人がユーノに失望した所を
フェイトが飛び出してなのはとヴィヴィオを守り、ユーノよりもフェイトの方が
頼りになると思わせてゲットすると言う作戦だったのだが、それを自分から
バラしてしまってもう何が何だか…。しかもそれだけじゃなく…。
「フェイトさんごめんなさい…僕これ以上出来ません!」
「エリオ君の言う通りです! もうやめましょう!」
エリオとキャロはそう口々にフェイトに対し抗議を始めていた。
それだけ二人が嫌がっている事を伺わせる。だが…
「あっそう! エリオもキャロもそう言う事を言うんだね…。言う事聞かない
悪い子にはお仕置きが必要だね………。良いよ! 二人の恥かしい秘密を暴露してあげる!」
「ああああ!!」
その時のフェイトはまるで母プレシアの血が覚醒したかの様な凶悪な形相になり
エリオとキャロは愕然とした。そしてそれと同時に…フェイトは二人の恥かしい秘密…
エリオがこっそりエロ漫画雑誌を読んでいた事…キャロがこっそりエリオを想って
自慰に耽っていた事を…暴露していた。
「ああ!! ああああああ!!」
「い…嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
エリオとキャロは絶望して頭を抱えていた。ただ互いの恥かしい秘密を知られただけじゃない。
目の前にいたなのは達三人もそれを見ていたのである。これは破滅以上の破滅だ。
もう終わり…エリオとキャロは精神が崩壊してもおかしくない程にまで絶望していた。が…
「な〜んだ。恥かしい秘密って言うからどんな物かと思えば…大した事無いじゃない!」
「ええ!?」
なのはの言葉にエリオとキャロは別の意味で驚いていた。二人にとって物凄く
恥かしい事でも…なのはにとっては大した事の無い物として映っていたからである。
「た…大した事無いんですか!? 僕はこっそりゴミ捨て場で発見したエロ漫画を持ち帰って
それで興奮したりしてたんですよ!」
「私もこっそりエリオ君を想ってオナニーしてたんですよ!」
「そんなの大した事無い大した事無い! って言うか普通!」
「えええええ!?」
笑いながら手を左右に振るなのはに二人は愕然とし、なのはは語り始めた。
「言っておくけどね、ユーノ君なんか凄いんだよ! 無限書庫の中にはね、ありとあらゆる
世界や時代のエロ雑誌やらエロ写真集やらエロ漫画やらエロ小説やらエロ同人誌やらが
集まってるコーナーもあってね、それでこっそり興奮しながらオナってたんだよ!」
「えええええええ!?」
「なのは―――!! それ秘密にしてって言ったじゃない!!」
なのはの爆弾発言にエリオとキャロが愕然するのみならず、ユーノも慌てていた。
しかし構わずになのはは続けるのである。
「そりゃ〜私も最初は呆れたよ。けどね…こうも思い始めたんだよ。
他の女の子に手を出されるのに比べれば…エロ本で興奮するなんて人畜無害って…。」
「そ…そうなんですか…。」
「なのはさん…凄いですね…。」
普通なら好きな男がエロ本とか読んでたりすると嫌いそうなものだが、
そうならずに許容するなのはの器量の大きさにエリオとキャロは圧倒されていた。
「それに私も代わりに無限書庫のBLやら801系の本やらが集まったコーナーを
楽しませてもらってるもん!」
「えええええええ!?」
またもなのはの口から出た爆弾発言にエリオとキャロは驚愕した。
「その中にね、私達の存在がアニメのキャラクターと言う事になってる世界で
作られた私達を題材にした同人誌なんかもあってね、最近その中にあった
ユーノ君×エリオのカップリングにハマり始めたんだよ。」
「えええええええ!?」
今度はエリオとキャロのみならずユーノまで驚愕した。
「でも本当に凄い内容だったよ。ユーノ君の大きくて形の良いオチンチンが…
エリオの小さいながらもプリプリのお尻を…掘ったりするんだよ。」
「アッ―――――――――――――――!!」
なのはの言った通りの事を連想してしまったのだろう。思わずユーノは己の股間を、
エリオは尻を押さえながら叫んでいた。ユーノ×エリオの新旧美少年キャラの
カップリングはBLや801系の趣味を持つ人間にとっては夢のシチュエーションであろうが…
そうでない者にとっては恐ろしい物にしか思えない。
「ま、そういうワケだから、エリオもキャロも怖がらなくて良いよ。」
「そ…そうですか…。」
「ありがとうございます…。」
なのはからフォローを入れられた事もあって、エリオとキャロは知らず知らずの
内に互いの行為を許容し、受け入れられる様になっていたが…それが
フェイトにとって面白いはずが無い。そして…次の瞬間…フェイトは
真・ソニックフォームへとチェンジしていた。
「フェイトちゃん! この真冬でその水着みたいな格好は寒すぎるよ!!」
思わずなのはは慌てるが、フェイトは構わずにユーノを指差して叫んだ。
「ええいユーノ許すまじ! なのはがこうなったのも全てユーノのせいだ!!」
「えええええええ!?」
自らの尖兵だったエリオとキャロがなのは達の軍門に下った今、自分でやるしか無いと
考えた今のフェイトにとって…全ての諸悪の根源はユーノ以外に無いと考える様になっていた。
「ユーノ死ねぇぇぇ!!」
「わー!!」
「やめてフェイトちゃん!!」
今の冷静な判断が出来なくなっていたフェイトにとってユーノを殺すと言う事
以外考えられず、なのはの制止も聞かずにバルディッシュを振り上げてユーノに襲い掛かっていた。
「くっ! やめるんだフェイト!!」
「うるさい!! ユーノ死ねぇぇ! あんたがいなくなればなのははぁぁぁぁぁ!!」
とっさに防御魔法で受け止めるユーノだが、フェイトは強い。
これさえ何時破られるか分からない。そしてなのはは背後からフェイトに組み付いていた。
「やめてフェイトちゃん! 落ち着いて!」
「黙れ!!」
「うっ!!」
フェイトはなのはの顔面に肘を入れていた。ユーノを憎む余り…ユーノを殺す事に必死になる余り…
なのはの事さえも目に入らなくなっていたのである。
「……………!!」
「なのはぁ!!」
「なのはママー!!」
顔を抑えて黙り込むなのはにユーノもヴィヴィオも慌てふためいた。
そしてヴィヴィオがなのはの方に近寄ると…フェイトの肘を受けたなのはの鼻から血が吹き出ていた。
「!!」
なのはの顔から血が出ていた所を見た瞬間…ヴィヴィオの中で何かが弾け、同時に地獄の釜が開いた。
「うああああああ!! なのはママ――――――!!」
ヴィヴィオの絶叫と共に彼女の全身が光に包まれ、次の瞬間あの姿へと変化していたのである。
あのJS事件の際…聖王のゆりかごの中で見せた聖王としての彼女の姿…。
なのはを不当に傷付けられた怒りが…彼女の中に眠る聖王としての血を蘇らせたのだ!!
「なのはママとユーノパパを苛めるフェイトママなんか大っ嫌いだ!! もう死んじゃえぇぇぇぇ!!」
直後、ヴィヴィオから発せられた魔力波がフェイトを吹飛ばし、フェイトは動けなくなっていた。
ヴィヴィオの発した魔力によるダメージそのものよりも…ヴィヴィオから大嫌いと
拒絶された事による精神的ダメージの方が大きかったのである。
「うわぁぁぁぁんなのはママー! しっかりしてよー!」
フェイトが動かなくなった後、再び子供の姿に戻ったヴィヴィオはなのはに抱き付いていた。
「大丈夫…痛いけど…ママは大丈夫だよ。」
なのははなおも痛そうであったが…それでもヴィヴィオに心配かけまいと
我慢してヴィヴィオを抱き返しながら立ち上がった。
「それじゃあ…皆行こうか? エリオとキャロもおいで。温かくて美味しい物ご馳走してあげる。」
「え? それはありがとう御座います。ですが…フェイトさんは?」
エリオとキャロは倒れて動かなくなったフェイトを見つめていた。
確かにフェイトには酷い目にあわされたが…それでも大切な人である事は変わらない。
だからこそフェイトを心配していたのだが…
「放っておいても大丈夫だよ。フェイトちゃんも子供じゃないんだし。」
なのはらしからぬ厳しい言葉。しかし、それにはなのはなりの考えがあった。
「私は信じてるから。今のフェイトちゃんは周囲の新しい変化に戸惑ってるだけ。
だから…自分の力でその変化を受け入れて…帰って来る日を私は待ってるよ。」
フェイトがなのはとユーノの仲を気に喰わなかったのはそれが原因だとなのはは
考えていた。しかしだからと言ってユーノと別れて良いはずがない。と言うか別れたくない。
だからこそ少々フェイトには厳しくても…自分の力で今の状況を克服して欲しかったのである。
「じゃあ…行こう?」
「うん。」
「フェイトさんごめんなさい…。」
皆がフェイトの前から立ち去ると同時に…雪がさんさんと降り始めた。

フェイトが目を覚ました時、もうすっかり周囲は雪が積もって真っ白になっていた。
「あ…ああ…寒い……身体も…心も……。」
殆ど水着も同然の新ソニックフォームで真冬…それも雪の中は余りにも寒すぎる。
ユーノを襲う時にはユーノを殺す事で心が一杯で、寒さなど感じなかったが…今は別。
余りにも寒すぎる。だがそれ以上に…なのはとヴィヴィオからさえ拒絶された事によって…
精神的にも寒い物をフェイトは感じていた。
「このままじゃ凍えてしまう…何か温かい物は…。」
フェイトは震えながらもポケットに手を入れると、その中には一つのマッチ箱が…
「何故マッチが…でもまあ良いや…。」
フェイトは一本のマッチに火を灯す。溺れる者は藁をも掴むと言う言葉がある様に…
今の彼女にとってマッチの火でも貴重な物だったのだが…
「ああ!!」
マッチの火が灯されると同時にフェイトは見た。それは自分がなのはと二人きりで
嬉しそうに語り合いながら美味しく温かい料理を食べている光景。
本当に幸せそうであったが…それもマッチの火が消えると共に消滅した。
「そんな……。」
慌てて二本目のマッチに火を灯す。するとどうだ。今度はなのはと一緒にお風呂に入っている
光景が浮かんでいたのである。これも実に温かそうで幸せそうな光景。
しかしそれもまたやはりマッチの火が消えると共に消滅した。
「嫌だ! そんな直ぐに消えるなんて嫌だ! 私はなのはと…。」
もっとなのはといたい一心でフェイトは残り全てのマッチを束ねて火を付けた。
するとどうだろうか。今度は何と二人用の大きな布団の中に寝ているなのはが現れるのである。
そしてなのはは布団を半分開きながらフェイトを招き寄せ…
「フェイトちゃん。一緒に寝よう?」
と、フェイトを誘う。当然そうなればフェイトは…
「うん分かったよなのはー!」
フェイトは涙を流しながら布団の中へ飛び込んで行く。その時のフェイトは本当に幸せそうだった。

…と、ここまで見るとまるで97管理外世界の童話『マッチ売りの少女』の様な展開に見えるが…
マッチ売りの少女とは異なりフェイトは死ぬ様な事は無かった。何故ならば…………

「え…? ここは……?」
フェイトが目を覚ますとそこは暖かい布団の中だった。そして布団のみならず部屋全体に
暖房がかかっているかの様に暖かい。これはどうした事かと首を傾げるフェイトだが…
「やっと目を覚ましたか…。真冬にあの格好で外にいるのは自殺行為だぞテスタロッサ…。」
「え…………。」
部屋も布団も暖かいと言うのに…フェイトはとてつもない寒気を感じた。
何と布団の中からシグナムが顔を出すのである。
「し…シグナム――――――――――!!」
何時から添い寝していたのかは分からないが、とにかく突如現れたシグナムに
フェイトは驚愕するしか無かった。しかしシグナムは嬉しそうな目でフェイトを見つめている。
「どうした? まだ寒いのか? なら私が暖めてやろう。」
「え!? えええ!?」
ここでフェイトはある事実に気付いた。それはフェイトもシグナムも全裸だった事である。
「え!? どうして!? どうして私裸に…!?」
「私が雪の中で倒れているお前を発見した時…お前の身体は冷え切っていたからな。
あの時は本当に慌てたぞ。しかしもう大丈夫だ。私がこうしてお前を人肌で暖めたんだから…。」
「あああああああ!!」
部屋中にフェイトの絶叫が響き渡った。自分が気を失っていた間にシグナムに
裸にされ、抱かれていたのである。フェイトにとってそれは恐ろしい光景だった。
「やっぱりまだ寒いと見えるな。ならばもっと暖めてやろう。」
おまけにさらにフェイトを強く抱きしめ始めるシグナム。
「嫌ぁ! なのはー! なのは助けてよー!!」
「おっと、そんな格好で外に出たら本当に凍えてしまうぞ。」
フェイトは何とか布団の外に出ようとするが、シグナムが放さない。
それどころかより強く抱きしめ始める。
「お前ほどの女が外で倒れていたとは相当悲しい事があったのだろう。しかし安心しろ。
お前のその冷えた心と身体を…私が…烈火の将シグナムが暖めてやる。」
「え…え…え…アッ―――――――――!!」
シグナムはフェイトの唇を奪った。会心の一撃。フェイトの精神は粉々に砕け散った。
                       おしまい



著者:◆6BmcNJgox2

このページへのコメント

最後の方が百合になっている。

0
Posted by ねくすと 2014年12月12日(金) 04:58:31 返信

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます