[282] 漢たちの挽歌その4(1/3) sage 2008/01/05(土) 00:25:59 ID:DEZwBX1S
[283] 漢たちの挽歌その4(2/3) sage 2008/01/05(土) 00:27:02 ID:DEZwBX1S
[284] 漢たちの挽歌その4(3/3) sage 2008/01/05(土) 00:27:42 ID:DEZwBX1S

さて、ここでティアナが夜に男性隊舎のヴァイスを訪れる訳を説明しよう。

もともとヴァイスは遠距離で戦う魔道士である。ティアナは遠距離だけ、というわけではないがや
はりメインは遠距離戦である。彼女の直接の上司はその圧倒的な魔力の量からあまり参考にはなら
ない。そこで魔力は低いがそのすさまじい狙撃能力で活躍した経歴を持つヴァイスに過去の彼の戦
闘データを借りシミュレーションを行っているのだ。

(そう、今夜はたまたまそのデータを返しに来ただけのはず。断じて、『好きな人の部屋・夜・二
人っきり・・・』などとスバルに吹き込まれたからじゃなくて、最近少しずつヴァイス陸曹も訓練
に参加してるからデータは必要だろうしなるべく早く返したほうが・・・って私は誰に言い訳して
るんだろう?)

そんなこんなで彼女はとりあえず男性隊舎前まで来た。
しかし、いくつかの不幸が重なった。
1、普通なら追い返すはずの守衛のおじさんが(何かを勘違いした上で)気を利かせてヴァイスの部
屋の鍵を開錠した状態で彼女を招き入れてしまった。
2、この隊舎に住む誰もヴァイス・グリフィス・エリオの『極秘任務』を知らなかった。

そのためすんなりと彼女はヴァイスの部屋にたどり着き部屋に入ることが出来てしまったのだ。



<side Teana>

「ヴァイス陸曹?いないんですか」

部屋に入った私は少々拍子抜けした。外からはこの部屋を見たとき電気がついていたのでまだ起き
ているものだと思ったが姿がまったく見えない。どこかに出たのだろうか?

「ま、まあすぐに戻ってくるだろうしちょっと待たせてもらおう」

まただ、最近の私はヴァイス陸曹のこととなると何かしら言い訳じみた思考になったり、そういっ
た独り言をつぶやいてしまう。私は、ヴァイス陸曹のことが好き。ソレは間違いの無い私の本音。
なのにどうしてこんな言い訳みたいなことをしてるんだろう。

「あー、やめやめ。こんなこと考えてちゃどんどん陰気になってくわ」

気分転換に部屋を見渡してみる。意外と片付いた部屋。何冊もの教本や単車のカタログがしっかり
と修められた本棚。床にごちゃごちゃといろんな物が転がっている魔窟を想像したが杞憂に終わっ
た。一方、机の上には戦友と撮ったのか何枚か写真が立ててある。そして、そこに一通の封筒とそ
の中身と思しき連絡用の媒体を発見した時。

私の中で二人の私が喧嘩を始めた。

天使ティアナ「ティアナ!だめだよ!人の手紙を覗くなんて執務官を目指す前に人としてやっちゃ
いけないよ」
悪魔ティアナ「いいじゃないの、覗いちゃえば。どうせ判りゃしないわよ」
天使ティアナ「だめだよ悪魔。そんなことしたらヴァイス陸曹にも嫌われちゃうよ」
悪魔ティアナ「もしかしたらそのヴァイス陸曹の秘密が分かっちゃうかも知れないじゃない」
天使ティアナ「えっ!?」
悪魔ティアナ「ヴァイス陸曹の好みのタイプとか、好きな料理とか」
天使ティアナ「ほ、他には?」
悪魔ティアナ「ん?」
天使ティアナ「他にはなにが分かるの?ねえねえ!!(ハァハァ)」
悪魔ティアナ「いや、それは覗いてみないと・・・」
天使ティアナ「じゃあ覗こう!すぐ覗こう!さあさあさあ!!!」
悪魔ティアナ「う、うん」

どうも、私の良心は非常に弱いらしいことが分かった。最後には悪魔のほうが引いてたし。
とりあえず、覗いてみよう。こっそりと。誰か来そうになったら急いで止めれば大丈夫。
そうして私は媒体の中身を再生した。

<side out>



その媒体で表示されたのはクロノであった

『ヴァイス君、君が一番場数を踏んでいると見たので君に紹介状を送る。一応VIP席だ例の件
を黙ってくれているお礼と思ってくれていい。支払いも僕が持つことで問題は無いが一応チッ
プで幾らかずつ渡すことを忘れないでおくといい。しかし、グリフィスはともかくエリオが行
きたがるとは思わなかった。まあ、ミッドの法律では違法にはならないから問題はあるまい。
招待する理由はJ・S事件での慰労ということにしてある。話をあわせるようにしてくれ。僕一人
では無理だったのでV・A査察官とY・S司書長に協力してもらった。一応誰が誰の紹介かを明確
にしておかないと手続きできないので覚えておいてくれ。その辺は紹介状の方にも記載してあ
るから宜しく。では、良い夜を』

ティアナはその後封筒の中から紹介状についてきたと思しき名刺を発見。
30分後、機動六課は設立以来最大の騒ぎを見せた。



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目次:漢たちの挽歌
著者:43-154

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