[49]兄と義妹1<sage> 2006/05/07(日) 23:50:51 ID:HZG1rex2
[50]兄と義妹2<sage> 2006/05/07(日) 23:51:44 ID:HZG1rex2
[51]兄と義妹3<sage> 2006/05/07(日) 23:52:18 ID:HZG1rex2
[52]兄と義妹4<sage> 2006/05/07(日) 23:52:57 ID:HZG1rex2
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[54]兄と義妹6<sage> 2006/05/07(日) 23:54:11 ID:HZG1rex2
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[56]兄と義妹8<sage> 2006/05/07(日) 23:55:29 ID:HZG1rex2
[57]兄と義妹9<sage> 2006/05/07(日) 23:56:05 ID:HZG1rex2
[58]兄と義妹10<sage> 2006/05/07(日) 23:57:20 ID:HZG1rex2
[59]兄と義妹11<sage> 2006/05/07(日) 23:57:58 ID:HZG1rex2

ある平和な昼下がり、昼食を終え元気に教室から飛び出す男子生徒や、おしゃべりに夢中になる女子生徒
聖祥小学校の昼休み時間
なのは・フェイト・はやてのいつものメンバーも食後のおしゃべりを楽しんでいた
「したら、ヴィータがシグナムのデザートまで食べてもうてなぁ。シグナムが必死に怒りを抑えながら、『き、騎士が食べ物の事で怒るなど、はしたない真似はしない!』って強がっとるのがまたおかしくて・・・・」
「あははは・・・・ヴィータちゃん怖いもの知らずだからね・・・・」
「ほんまになのはちゃんの言う通り、ヴィータは怖いもの知らずや。」
紙パックのジュースのストローに口をつけながら、はやては答える

「でも、シグナムがデザート取られた事で怒るのって、意外・・・・」
「うん。シグナムさんっていつも冷静でしょ?だからちょっと想像つかないね。」
「フェイトちゃんは戦闘中のシグナムは色々知っとるけど、普段のシグナムはあまり見たこと無いねんな。」
「うん。だから普段のシグナムってどんな感じが知りたいな。」
「そやね、今度の休みはうちで集まろか。」
「うん!そうしようよ!」
「私も賛成。」

そんな楽しいおしゃべりの途中で、クラスメイトの女子がフェイトに話し掛ける
「ねぇねぇ、フェイトちゃん。」
「ん、なぁに?」
「フェイトちゃんって確かお兄さん居たよね?」
「クロノの事?・・・・・・うん、居るけど。」
「やっぱり・・・・・」
おもむろに、女子生徒はフェイトの耳に口を近づけ小声で話す
「ねぇ、だったらさ、今度お兄ちゃんの部屋の#####を探してみて。・・・きっと#####が見つかるはずだから・・・・」
「えっ!? だ、駄目だよ!!そんなの!!!」
顔を真っ赤に染め、思わずフェイトが叫ぶ
「え~?絶対見つかるからやってみてよ〜」
「だ、だから 絶対ダメェ!!」
両のこぶしを胸元に揃えながら必死に叫ぶ

「あ〜ぁ・・・・じゃぁ、しょうがないかぁ・・・」
フェイトの渾身の拒絶にしぶしぶ女子生徒は帰っていく

「フェイトちゃんどうしたの?」
フェイトの様子が明らかにおかしいので、なのはが心配そうに尋ねた
「え!?だ、大丈夫!何でも無いよ!うん。」
「そ?そう?」
なのはもはやてもそれ以上は聞かなかった
(ク、クロノの部屋のベッドの下・・・・・ううん!絶対にそんなことない!クロノがそんなモノ持ってるわけない!)
1人顔を赤くしながら、フェイトは自問自答を繰り返す
そんなこんなで昼休みは終わりを告げ、午後の授業へと入っていくのだった



数日後
アースラ艦内 ブリッジ
コーヒーの入ったカップを持ちながらクロノとエイミィが話している
「・・・・・フェイトちゃんが?」
「あぁ。最近なんか様子がおかしいんだ。 僕の部屋に居るときもなんかそわそわしてるし、どうも落ち着きが無いというか・・・」
「う〜ん・・・あの冷静なフェイトちゃんがねぇ・・・・?」
「何か気になることでもあるのかと思って聞いてみたんだけど、特に何も無いって言うし。」

「ふ〜ん・・・・・・・こりゃぁ、もしかしてフェイトちゃん恋患いかな?」
「ブッ!!! 」
おもいっきしコーヒ−を噴出すクロノ
「キャッ!! もぅ〜クロノ君汚いよぉ。」
「ケホッゲホッ!  な、何を言うんだ!! そんなわけないだろう!!」
「え〜?なんでそう言い切れるかなぁ?  あの年頃の女の子は、男の子よりもそういう成長が早いんだよ。」
「き、キミはそうだったかも知れないが、フェイトは断じて違う!!」
「おやおや、それはクロノ君の希望であって、現実はどうかなぁ?」

「ぜ、絶対に違う!絶対にだ!」
クロノが必死の形相で叫びつづける
「はいはい、そういうことにしておきましょう♪」
コーヒーカップを机に静かに置きながら、エイミィは楽しそうに言う」

「ま、まぁ、とにかくフェイトから話が聞けないとどうしようもないんだ。」
「そうだねぇ・・・あのフェイトちゃんが落ち着きが無いっていう事は、それなりに何か理由があるはずだねぇ。」
「うん。 でも何も無いと言い張るんだ。」
「で、あたしに相談したってわけだ。」
無言でクロノはうなずく
「うん!わかった! 私がフェイトちゃんにそれとなく聞いてみるよ!」
「そうしてもらえると助かるよ。 できれば僕がなんとかしたいんだが、兄よりも同じ女性同士のエイミィの方が何か話してくれるかもしれない。」
「わっかりました!ここはエイミィ姉さんに任せなさい!」
自身満々に胸を張るエイミィ
クロノはさりげなくその胸から目をそらしていた


その日の夕方
戦闘トレーニングを終えたフェイトが休憩室で休んでいた
「ねぇねぇ、フェイトちゃ〜ん・・・ちょっといいかなぁ〜・・・?」
入り口の柱から顔だけ出したエイミィが右手で「おいでおいで」をしながら呼びかける
「エイミィ・・・?どうしたの?」
「んふふふふ・・・・ちょぉっとフェイトちゃんに聞きたいことが有ってねぇ・・・」

あからさまに様子が怪しいエイミィに危機感を感じつつも、フェイトはエイミィに近づく

「エイミィ・・・聞きたい事って?」
「ん〜、実は最近クロノ君の様子がおかしくてね。 なんかため息ばっかりしてるのよ」
「・・・クロノが?  最近悩むような事件って有ったっけ?」
「うぅん。」首を横に振ってエイミィは答える
「でも義兄さんが悩むっていったら事件以外には・・・・・・・無いよね」
事実とはいえかなり寂しい現実である

そんなフェイトの厳しい一言に苦笑いしつつもエイミィは話を続ける
「う〜ん・・・実は事件以外にも有ったのよねぇ、これが。」
「えっ?何だろ・・・?」
それが自分自身のことだとは想像もつかないようだ
「実はね、フェイトちゃんのことなの・・・・」
「えっ?!   私?」
「うん。・・・・・・『最近フェイトが悩んでいるようだ、話を聞こうとしても話してくれない』って嘆いているのよ。」
「あっ・・・・・・」
思い当たるふしが有るのだろう、少し動揺したようだった
「・・・・・・フェイトちゃん、最近何か有った?
 クロノ君には私の方から上手く伝えるから、できれば私には話をしてほしいな・・・」
「えっと・・・・・・その・・・・・あ・・・・」
「・・・・・言いにくいこと・・・なの・・かな?」
「う、・・・・うん・・・」
そのままうつむいてしまったフェイトからは無理やりに聞くことも出来ず、取り合えずフ
ェイトとはその場で分かれた


「う〜ん・・・こりゃぁ、冗談抜きに深刻かもしれないねぇ・・・・・」
「そ、そうなのか!?  そんなにフェイトは悩んでいるのか!?」
終業後、エイミィとクロノは談話室で[対フェイトお悩み相談室]を開いていた
出席者はクロノ、エイミィ、なのは、はやて、シグナム、ヴィータ である
「とにかく、フェイトちゃん自身もどうしたら良いか解らないって感じに受け取れたんだよ。」
「テスタロッサが・・・・そんなにも・・・・」
「でもよぉ、意外とこういうのって単純に解決できるんじゃねぇの?」
今まで沈黙していたヴィータが口を開く

「フェイトちゃん、今日も学校で様子おかしかったよね。」
「うん。お昼食べとる時もどこかボーっとしとったなぁ。」
「って、あたしの意見無視かよっ! 高町なのは!」
無視されたヴィータが机を叩きながら叫ぶ
「えっ!?ヴィ、ヴィータちゃん、何で怒ってるの?」
「あぁ、ヴィータ落ち着きや。 なのはちゃんは無視したんやない、天然なんや。」
「て、天然って・・・・・はやてちゃん、フォローになってないよ・・」
「エイミィさん、細かいことは置いといてや。」
「と、とにかく。テスタロッサがいつからおかしくなり、そのきっかけを調べると良いのでは?」
この会議で初めてまともな意見がシグナムから出された

「そうだねぇ・・。それが基本だね。」
「うん。  なのは、はやて、学校では今回のことできっかけになるような事は無かったか?」
「きっかけ・・・・・う〜ん・・・・」
「どんな小さなことでも良い。フェイトに関する全てを思い出してくれ。」
「全て・・・・・はやてちゃん、何か思い出した?」
「う〜ん・・・浮かばんなぁ・・・・・・・」
頭をひねりながらなのはとはやては必死に思い出そうとしている

「ほんとに何も無いのか?」
「う〜ん・・・・・・・・あっ!」
「な、何だ!?何かあったのか?」

「う、うん。たいした事じゃないんだけど・・・・。
 この前お昼休みに、フェイトちゃんとはやてちゃんとお喋りしてたら、クラスのお友達がフェイトちゃんに何か言ってたの。  その後のフェイトちゃん、少し様子が変わってたの。 顔を赤くして・・・・。」
「顔を赤くして・・・・・・・?」
「あぁ、そう言えばそやったね。 フェイトちゃん、顔真っ赤にして何かがダメとか叫ぶように言っとったね」
「顔を真っ赤にして?」
「うん・・・。」
「どうやらそれがきっかけの可能性が高いな。 テスタロッサ程の魔道士が顔を真っ赤にしながら叫ぶなど、通常ではありえないだろう。」
シグナムの意見は常に騎士としての見解であるため、少しズレている

「そうか、よし。 なのはとはやては学校でフェイトに話し掛けた女子生徒に事情を聞いてくれ。 僕は二人の報告を待って、その後フェイトに確認を取る。」
「ちょ、ちょっと待ってよクロノ君! 勝手にそんなことしてフェイトちゃん、怒るんじゃない?」
「う・・・いや、しかし・・・・」
「今回は仕方あるまい。テスタロッサの調子がおかしければ、任務にも支障が出るかもしれない。 早めに解決を図り、現状を打開せねば取り返しのつかないことになるかもしれぬ。」
「まぁ、あたしはどっちでもいいけどよ。これがはやての為になるんだったら協力するぜ。」

「うちはフェイトちゃんに元気になって貰いたいから、ヴィータも協力してや。」
「おう!」
満面の笑みではやてに答える

「とりあえず、なのはとはやては学校での調査を頼む。」
「はい。」
「僕は引き続き家の中でフェイトの様子を見る。 シグナムとヴィータは戦闘訓練や任務中のフォローを頼む。」
「心得た」「あいよ」
それぞれが自分の持ち場を確認し、その場は解散した

翌日、学校のドアを開けながらなのはが教室に入る
「おはよう。」
「あぁ、なのはちゃんおはよう。 フェイトちゃんもう来とるで。」
「うん。」
目線の先にはフェイト、アリサ、すずかが仲良さそうに話していた

「さて、どうやって聞いたらええかな?」
「とにかくあの娘たちに聞くのが一番だよね。」
「よし、それじゃ早速聞きに行こか。」
「うん。」
二人で、この間フェイトに話し掛けたクラスメイトの元へ行く
「ねぇねぇ・・・・・・」


同時刻 アースラ艦内
「今ごろなのはちゃん達は何か情報は掴めたかな・・・」
モニターに目を移しながらも、指は高速でタイピングを繰り出す
そんなエイミィの横でクロノは難しい顔をしたままで答える
「だといいんだが・・・・・今はなのは達からの報告を待つしかないだろう。」
朝から落ち着かないクロノを横目に、エイミィは小さく呟く
「ほんっとフェイトちゃんのことになると、いつもの冷静なクロノ君はどこに行っちゃううんだか・・・」
「ん?何か言ったかい?」
「いいえ、なにも・・・」

一方そのころ、なのは達は最大のピンチを迎えていた
「何を隠してるの?」
「えっ、だ、だから、何でもないよ・・・・」
「そ、そやで、別に何も無いって・・・」
昼休みになのはとはやてはフェイトに逆質問を受けていた
「うそ・・・・・だって朝から二人共おかしいもん。」
「お、おかしいとこなんて何もないよ。・・・・ね?はやてちゃん?」
「う、うん。別にいつもどおりや。」

「ちょっと、ちょっとぉ。フェイトもどうしたのよ? なんかいつものフェイトらしくないわよ?」
様子を見ていたアリサが間に入る
「だって・・・二人共授業中もちらちら二人でアイコンタクトしてたし・・・・」
「・・・・・アイコンタクト・・・ねぇ・・・・?」

「いつものなのはとはやてなら授業中はまじめにしてたのに。 それに私と目があうと何度か視線をそらしたの。」
なのはとはやては朝のうちに例のクラスメイトから話を聞いていた
その結果、この二人もフェイトと同様にその質問内容に驚き困惑し、なんとなくフェイトと顔を合わせづらくなってしまったのだった

もちろんそんな事情などアリサは知らない
知らないからこそ、この場ではなのは達にとって良い助け舟になった
「あぁ〜、なるほどねぇ・・・・フェイトは焼きもちやいてるんだ。」
「えっ?!」
その一言にフェイト自身が驚く
「駄目よぉ・・・なのはもはやてもフェイトだけのモノじゃないんだから。」
「えっ?えっ?ち、ちが」
頬を赤く染めながらフェイトは狼狽していた
「あぁ、わかった。わかったから。フェイトがどれだけ二人を大事に思ってるかは痛いほど解ったからね。」
動揺するフェイトを残し、その場はちょうど良く休み時間終了のチャイムに救われた

数時間後 時空航行艦アースラ内小会議室
第2回対フェイトお悩み相談室が開催されていた

「それでは、なのはとはやてから調査結果を聞かせてくれ」
出席者はクロノ、エイミィ、はやて、なのはである
シグナムは任務により欠席、ヴィータは「飽きた」の一言を残し逃走

少数精鋭と自分に言い聞かせ、議長であるクロノが真剣な面持ちで会議進行している
「は、はい・・・・・。その・・・・」
「ん・・・?どうした? 取り合えず解ったことだけ報告してくれ。」
「え、えと・・・・は、はやてちゃん、助けてよ・・・・」
「えっ、うち?・・・・いや、その・・・だから・・・・・」
煮え切らない二人の態度にクロノは気が気でない
「二人共どうしたんだ?何も解らなかったのかい?」
「いえ、その、解ることは解ったんですけど・・・」
「だったら話してくれよ。」

そんな二人の態度に、エイミィはトレーニングルームでのフェイトと同じ反応であることに気付いた
「もしかして、フェイトちゃんの悩みって、二人にとっても言いにくいことなの?」
エイミィという援軍の登場に二人は救われた
「は・・・・はい・・・。」
なのはとはやてはお互いに顔を見合わせながらうなずく

「なんだ?二人にとっても話しにくいことって・・・・?」
「う〜ん・・・これは女の子同士の方が良いんだよねぇ・・・・」
「え・・・・・?」
「つまりぃ・・・・ちょぉっとクロノ君は表に出ててねぇ」
そう言うやいなや、エイミィはクロノを部屋の外に追い出した

「さて、これで話しやすくなったかな?」
両手の埃をはらうかのような仕草をしながらエイミィは二人に話し掛ける
「は、はい。」
「エイミィさん、おおきに。」
「いいのよぉ。クロノ君はちょっと鈍い所があるからねぇ」

「じゃぁ、これで話してくれるかな?」
エイミィの心使いに感謝しながら、二人は少しずつ口を開く
「じ、実は、今日、フェイトちゃんに話し掛けたクラスの女の子に話を聞いたんですけど、そ、その・・・」
「フェイトちゃんに何を言うたのかってうちら聞いたんです。
 そしてら、その・・・『お兄さんのベッドの下に・・・・え、え、え、ぇっちな本があるはずやから』って・・・」
「・・・・・・・・えっ?・・・」

一瞬の沈黙


「あ、あぁ・・・・な、なるほどねぇ・・・・」
1人納得するエイミィも頬を赤く染めている
「そ、そうかぁ・・・・・なのはちゃん達もそういうのに興味を持つ年頃だもんねぇ・・・」
 (っていうか、クロノ君もそういうのを持ってても確かにおかしくない年齢なんだよねぇ・・・・なんか納得いかないけど・・・)
「あ、あの、エイミィさん・・・?」
1人の世界に入っているエイミィが現実に引き戻される
「あ、あぁ、ごめんごめん。」
「うん。わかった。クロノ君には私の方から伝えておくから、なのはちゃんとはやてちゃんは自分のおうちに戻っていいよ。」
「いいんですか?」
二人共不安そうに尋ねる
「うん。ここから先はエイミィ姉さんに任せなさい。」
「は、はい。それじゃぁ、失礼します。」

二人が部屋から出て行くのと同時にクロノが部屋に入ってくる
「あれ、二人は帰しちゃって良いのかい?」
「うん。二人からはきちんと話を聞いたから」
「そうか。 それじゃぁ、聞かせてくれるかい?」
「うん。 怒らないで聞いてね。」

「??・・・怒るって、そんなに大変なことなのか?」
「う〜ん・・・・クロノ君なら怒るかも・・・」
少し困った感じで答えるエイミィ
「わかった。怒らないから話してくれるかい。」
「うん。・・・実はね・・・・・」

数秒後・・・・・・・
「なっ、なっ、なっ、なんだってぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ!!!!」
「い、いや、だからね、これはあくまでもフェイトちゃん達の友達が話したことで・・・・」
激昂するクロノの勢いに押されながらも、エイミィは何とかその場の雰囲気をなだめようと努力する
「そんなことは解ってる!だからってな何で僕がそんなふしだらな本を持ってるって話になるんだ!!!!」
全く予想してなかった話の内容にクロノは自分を抑えきれていない
「それに、このことをなのはもはやてもさっき僕に直接言わなかったのは、二人も僕のことを疑ってるってことか!?」
「く、クロノ君落ちついて。これは子供の勝手な想像なだけだから・・・・・」
「解ってる!解ってるけど!・・・・・・だからって・・・・はぁ・・・・」
一通り怒りをあらわにしてクロノは落ちついた
「・・・それでフェイトはあんなに落ち着きが無くなってたのか・・・・・・」
「うん。フェイトちゃんには特に刺激が強すぎたと思う・・・・」

「そうか・・・はぁ・・・・僕はどうしたら疑いを晴らせるんだ・・・」
「そうだねぇ・・・・・クロノ君がそういう本を持ってないって事を証明するにはどうすれば良いのかねぇ。」
「何か良い方法は・・・・・」
しばしの沈黙


ふと、何かをひらめいたようにエイミィが顔を上げた
「そうだ!クロノ君の部屋の整理をしよう!!」
「・・・・はっ?・・・・突然なにを?」
「だからぁ、クロノ君の部屋の片付けをフェイトちゃんにも手伝ってもらうのよ。
 それでクロノ君の部屋の中にはそういう本は無いってことをフェイトちゃん自身に確認してもらうの!」
「あぁ。なるほど、そうか。それなら自然に僕の無実も実証されるな。」
「うん!クロノ君の部屋も片付くし、一石二鳥でしょ!」
「うん。その手は良いな。それならなのはとはやても呼ぼう。」
「そうだね。これで一気に問題解決だね。」
クロノの不安も少しずつ晴れてきたようで、表情に明るさが戻る

「よし、それなら実行は早い方がいいな。
 エイミィ、明後日の予定を空けてくれ。そしてフェイト・はやて・なのは・の三人に連絡を取ってくれ。」
「了解!」
早速日程の準備をする為、エイミィは会議室を出る準備をする
ドアを開け出て行く間際に、エイミィはクロノに悪戯っぽく聞く
「クロノ君・・・・・」
「ん?どうした?」
「その・・・クロノ君は本当に・・・そういう本って持ってないんだよね・・・?」
「あ、当たり前だろ!!!キミまでなに言ってるんだ!!」
顔を真っ赤にしながらクロノは叫ぶ
「あはははははっ。解ってる、解ってるよ。あたしはクロノ君を信じてるからね。」
そう言い残しエイミィは部屋を出て行った
「まったく・・・・なんで僕がこんなに疲れなきゃならないんだ・・・・」
愚痴をこぼしながら、クロノも会議室を後にした
明後日、クロノ・エイミィ・なのは・はやて・フェイトは朝からクロノの部屋の片付けを開始した
出てくる本といえば、学術書・哲学書・魔術書・経営理論等堅い内容ばかり
最初は不安そうにしていたフェイトも、クロノの部屋にはエッチな本が無いと解ると途中からは楽しそうに片付けを手伝っていた
むしろ、女ッ気の全く無い兄の部屋に哀れみさえ感じていた

数時間後・・・・
「いやぁ・・・今日はみんな手伝ってくれて有難う。おかげで部屋も綺麗になったよ。」
「どういたしまして!」
クロノのお礼になのは達は声を揃えて答える
途中からのフェイトの表情の変化にクロノも気付いていたようで、クロノの疑惑は晴れたことを実感していた
「しっかし、ほんっとに何一つ面白い本出てこなかったね。」
「ほんまやなぁ、エイミィさんの言うとおりや。一つ位何か有ってもええもんやけど・・・」
「あははははは・・・・」
自分勝手なことを言い始めるメンバーを横目で睨みつつ、クロノはフェイトに声をかける
「フェイトも、今日は有難うな。助かったよ。」
「う、ううん。そんな、大した事じゃないよ。」
控えめに答えながら、フェイトは今日感じたことをクロノに伝える

「兄さん・・・・・」
「ん?なんだ?」
「兄さんは、いつまでこんな生活を続けるの?」
「はっ?こ、こんな生活って・・・・?」
「兄さんの部屋にあった本って、全部参考書で、一つも娯楽要素が無かった・・・」
「そうか?僕にはあれが自然なんだが・・・・・」
「あんなんじゃ、いつまで経っても彼女もできないよ。」
「えっ?・・・・・と、突然何を・・・・?」
フェイトからの予想外の話の振りに驚くクロノ
「いつまでもエイミィに甘えてちゃ駄目だよ。もしかしたら、エイミィだってその内クロノ以外の人を好きになるかもしれないし・・・」
「えっ!?  ち、ちょ、ちょっと、待ってくれフェイト!い、いきなり何の話をしてるんだ!!」
フェイトから突然の恋愛話に驚き、さらにエイミィの名前まで出されては、クロノも動揺
を隠すことが出来ない
「そ、そうだよ!フェイトちゃん!!  そんないきなり、私を話に出されても・・・」
エイミィにとっても寝耳に水な話で、顔を赤くしながら大きな声になってしまう

「あ、あたしが誰かを好きになるとか、何でそんな話になっちゃうの!?」
フェイトはエイミィに対しても淡々と語る
「エイミィも、クロノ以外の男の人を見なきゃ駄目だよ。エイミィに相応しい人はいっぱい居るよ。」

「それに、もしエイミィがクロノ以外の人を好きになったら、私にもチャンスはあるよね。」
「えっ?  チャンス・・・?」
エイミィに一瞬嫌な予感が走る
「うん・・・・・・・・・・。クロノのこと、諦めなくて良いんだよね・・・」
突然の告白
その場の空気を一瞬にして凍らせた
なのはとはやても、突然のフェイトの発言に声も出せなかった

しばらくの沈黙の後、エイミィが口を開く
「うん・・・・。そうかぁ・・・・フェイトちゃんがライバルか・・・・。相手がフェイトちゃんなら、競い甲斐があるよね。」
「え、エイミィ!突然何を!  それにフェイトも!!」
「あ〜〜もう!元々はクロノ君がハッキリしないのが悪いんだからね!!」
「えっ!?な、なんだその理屈は!?」

「そう!兄さんがいつも曖昧にその場を濁してたから悪いの!」
フェイトとエイミィの二人から責められ、クロノは逃げ場所を失った
はやてとなのはも苦笑いをするだけで、とても助けになるとは思えなかった

「ちょ、ちょっと待ってくれ!そもそもなんでそういう話になるんだ!」
「五月蝿い!」
フェイトとエイミィが声を揃えクロノを黙らせる
「今日こそハッキリしてもらうからね。クロノ君!」
「もう逃がさないから、兄さん・・・」
狂気にも似た表情でクロノに迫る二人からどう逃げ出すか、クロノの頭にはそれしかなか
った

「た、助け・・・・・って、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
クロノが選んだ選択肢、「窓から飛び出す」
自分の部屋が2階であることも忘れ、飛び出したクロノ

「待てぇぇぇぇぇぇぇ!」
「待ちなさぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
二人も窓からクロノを追いかける

その後クロノは約2時間町内を走り逃げ回る事となった・・・・・

著者:YUKI

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