320 名前: 行き遅れた者達の挽歌(笑) 5 ◆6BmcNJgox2 [sage] 2007/09/23(日) 23:42:09 ID:l8ClOag/
321 名前: 行き遅れた者達の挽歌(笑) 6 ◆6BmcNJgox2 [sage] 2007/09/23(日) 23:46:39 ID:l8ClOag/
322 名前: 行き遅れた者達の挽歌(笑) 7 ◆6BmcNJgox2 [sage] 2007/09/23(日) 23:48:47 ID:l8ClOag/
323 名前: 行き遅れた者達の挽歌(笑) 8 ◆6BmcNJgox2 [sage] 2007/09/23(日) 23:54:07 ID:l8ClOag/
324 名前: 行き遅れた者達の挽歌(笑) 9 ◆6BmcNJgox2 [sage] 2007/09/23(日) 23:56:25 ID:l8ClOag/
325 名前: 行き遅れた者達の挽歌(笑) 完 ◆6BmcNJgox2 [sage] 2007/09/23(日) 23:57:18 ID:l8ClOag/

なのはとユーノは結婚する事になった。出来ちゃった婚と言う形に
なってしまったとはいえ、なのはもユーノもいずれは
結婚する事を前提に付き合っていた為にそこまで騒ぎにはならなかった。
現になのはがユーノに素直に告白した時など…

「あのね? ユーノ君…実は…出来ちゃったみたいなの…ユーノ君の赤ちゃん…。
ユーノ君の避妊魔法が効いてなかったみたい。」
下腹を優しく摩りながらユーノに告白するなのはだが、ユーノは至って冷静だった。
「そっか…じゃ…いい加減結婚しようか? 実はこんな事もあろうかと…。」
ユーノはそう冷静に言いながらポケットの中から結婚指輪を取り出していた。
「ユーノ君…それ…。」
「そう…結婚指輪。かなり奮発して飛びきり上等なのを買って来たつもりだよ。」
余りの用意の良さに一瞬避妊魔法が失敗してなのはが妊娠してしまったのは
もしや作為的な物があったのでは? なんて思う者もいるのかもしれないが…
今は素直に二人を祝福してあげて欲しい。

「大変だー! 高町一等空尉とスクライア司書長が結婚するらいしぞ!」
「おおー! あの二人もついにそこまで来たか! いつかはやると思ってたんだよな!」
なのはとユーノが結婚すると言う事実は機動六課のみならず管理局全体を良い意味で震撼させていた。
元々なのはは戦技教導隊・エース・オブ・エースとして、そしてユーノは無限書庫司書長として
管理局の中でも実力と知名度を兼ね備えた者同士でもあるし、二人が付き合ってて
結婚も時間の問題と言う噂は機動六課の皆が思っている以上に有名であったからだ。

当然これに関してはやてとフェイトを除く機動六課の皆も祝福してくれた。
「いやーついに結婚する決意をしたんですね? いつかはやると思ってました。」
「うん…でも…実はさっき実家の方にその事の報告をしに行ったらね…
お父さんが凄く怒っちゃって…ちょっとユーノ君が大変な目に…。」
「え!? まさか結婚の許可が貰えなかったとかですか!?」
心配そうに言うスバルだが、なのはは苦笑いしながら手を左右に振った。
「いや、そういう事じゃなくて、ちゃんとOKは貰ったよ。でも…ユーノ君が…。」
「まあまあこの程度の傷でなのはと結婚出来るなら安い物だよ。」
「ってええ!? なのはさんの隣に座ってるミイラ男ってユーノさんだったんですか!?」
実はさり気なくなのはの隣にはミイラ男の様に包帯でグルグル巻きにされたユーノが
座っており、相当に痛々しいはずなのだが何故かユーノは笑っていた。

なのはとユーノが海鳴市の高町家に行って結婚すると報告しに行った時、
なのはの父、士郎が激怒するのは当然の事だった。なのはが他の男に取られるだけでも
嫌なのに、既になのはのお腹の中にユーノの子がいると言う出来ちゃった婚な事実が
士郎の怒りに業火を燃え上がらせたのであった。
「貴様よくもうちのなのはに!! 今すぐ道場にこい!! その腐った根性叩き直してやる!!」
ユーノは無理矢理道場に連れて行かれ、竹刀で滅多打ちにされてしまった。
確かに昔の大怪我が原因で現役を離れた士郎に全盛期の様な力は無いが、
フェレット男(士郎にとって)になのはを奪われた怒りと気迫が壮絶な破壊力を
生み出していたが、ユーノのなのはと共に生きると言う決意も固く耐えて行く。
「お父さんやめて! ユーノ君が死んじゃうよ!!」
「なのはは黙っていろ! こんな事で死ぬ様な男がお前を幸せに出来るはずがあるまい!」
「そうだよなのは…これは僕にとって避けては通れない試練なんだ…。」
なのははやめるように叫ぶが、ユーノは逃げようとはしなかった。
ユーノは分かっていたのである。士郎がただユーノを憎しみだけで責めているのでは無く、
本当になのはを任せるに値する男なのか? と言う事をテストしているのだと。
そしてユーノは士郎の責めに耐え続けるのだが…そこで士郎が自分から竹刀を落とし…
号泣を始めたのである。
「最近の若い者は軟弱な奴ばかりかと思っていたが…お前は一見軟弱そうに見えて…
これが中々やるじゃないか! お前にならなのはを任せられる…なのはを…頼んだぞ…。」
「士郎さん…。」
「士郎さんでは無い!! 今日から私の事を義父さんと言うのだ!!」
「義父さん!!」
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
この日、新たな男の友情が誕生し、ユーノと士郎は号泣しながら抱き合った。
士郎はついに認めたのだ。士郎の痛烈な責めにも弱音を吐かずに耐えるユーノにこそ
なのはを任せられる気骨を持った男であると…。しかし…
「あの…二人とも…お願いだから…ウホッな関係になるのはやめてね…。」
男の友情が理解出来ないなのはは空気を読まずにそんな事を言っていた。

とりあえず、ユーノがミイラ男ばりに全身包帯だらけなのはその時の怪我が原因だったりするのだが、
まあとにかくなのはとユーノの結婚がOKになって良かった良かった。

一方なのはとユーノの結婚に否定的なはやてとフェイトの二人は聖王教会にまで来ていた。
しかもその時の二人は何時もと明らかに様子が違う。二人の手には数珠や十字架が握られていたり、
頭にニンニクやらロウソクやらが結び付けられていたりと異様としか言い様が無い有様だった。
「神様仏様キリスト様ブッダ様アラーの神様…その他モロモロの八百万の神様お願いや!!
なのはちゃんを流産させてくれへんかなほんま!!」
「お願いしますお願いします!! 何としても流産させてくださいお願いします!!」
お堂に向かって両手を合わせながら必死に祈り倒すはやてとフェイトの姿は
本当に異様としか言い様が無く、聖王教会に勤める者達は誰もが唖然としていた。

「もう良い加減にして下さい!! ここを何処だと思っているんですか!?」
流石にこの惨状は見ておれぬと、激怒して出動してきたカリムによって
はやてとフェイトは外に叩き出されてしまい、あろう事か出入り禁止まで申し渡されてしまった。
「まったく…貴女達にとって親しい相手が結婚すると言うのにどうして素直に祝福出来ずに
逆にこの様な罰当たりな事をするんですか!? 二人には天罰が下りますよ!」
確かにカリムが怒るのは仕方が無い。なのはとユーノが結婚するとなれば
その式は聖王教会で行われるだろう。そうなれば聖王教会に結婚式費用と言うのが
お布施と言う名目で舞い込んでくるのである。ぶっちゃけ地獄の沙汰も金次第。
聖王教会であろうとも結局は金が無きゃやってけないのである。故にはやてとフェイトに
そんな変な真似をされるワケにはいかず、罰当たりと言う名目で追い出していたのである。

聖王教会からも追い出され、やさぐれたはやてとフェイトはとある飲み屋にまで
流れ着いていた。そしてまだ19歳だと言うのに自棄酒をやっていたのだ。
「全く男が何だってぇんだぁ〜!! ってぇのになのははぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うちら仕事を恋人にして仕事に生きよう約束したっちゅぅに何でなのはちゃんはぁぁぁ!!」
「勝手に一人男作ってズッコンバッコン♥ ズッコンバッコン♥ ってぇ!!」
「私ら嘗め取るんとちゃうかおらぁぁぁぁ!!」
はやてとフェイトはもうすっかり出来上がっており、その飲みっぷりに他の客も呆然としていた。
「お二人さん…相当嫌な事があったようだな…。」
「なんやてぇ!? 何か文句あるんかぁ!?」
「文句あるんならバルディッシュで真っ二つだぞぉ!!」
突然はやてとフェイトに話しかけて来たのは飲み屋の主人だった。
早速はやてとフェイトに喧嘩吹っかけられそうになるが、飲み屋の主人は至って冷静だった。
「まあまあ、そう怒りなさんな。何なら俺が酒を注いでやるよ。」
「お、ありがとな。」
「ありがと…。」
飲み屋の主人は一升瓶を取り出し、すっかり空になったコップに酒を注いでいく。
それにはやてとフェイトも怒りを収めた様だった。
「だがそれにしても何があったんだい? 何ならおじさんが相談に乗るぜ?」
「ああ…それは…。」

はやてとフェイトは事細かに全てを話した。浮いた話が無いのでもう男は諦めて
仕事を恋人にして仕事に生きようと約束したのになのはだけ数年前の時点で
既にユーノとやってて、挙句の果てには妊娠…そのまま出来ちゃった婚までやらかす事を…
はやてとフェイトの話を聞いた飲み屋の主人は腕組みしながらうんうんと頷いていた。
「なるほどな。お嬢ちゃん達の気持ちは痛い程分かるぜ。俺もよ、
自分の娘が他所の男ん所に嫁ぐ時は相当悔しかったもんだ。確かに状況は違うけど…
思わず嫉妬してしまう所は同じだろ?」
「そ…そうやな…。」
はやては飲み屋の主人の話に頷いていたが…
「でもな、やっぱ仕方が無いだろ。俺の娘だって人間なんだ。好きな男とパンパンやりたいんろうよ。」
何か堂々と下品な事言う飲み屋の主人だったが見るからに大雑把そうなタイプと分かる
感じの男であったが故に不思議と気にならなかった。
「それにお嬢ちゃん達だって俺だって皆父ちゃんと母ちゃんがパンパンやらなきゃ
この世に生まれてくる事さえ出来なかったんだぜ?」
やっぱり言い方が下品だ。ちなみにフェイトは正確には飲み屋の主人流の言い方で
父ちゃんと母ちゃんがパンパンやって生まれた人間では無いのだが、細かい突っ込みはやめといた。
「だからよ、結局俺は娘が嫁に行くのを認めたわけよ。それにな、これはこれで楽しみはあるんだぜ?
なんたって初孫がそれはもう可愛くてよ。」
何故かいつの間にかに飲み屋の主人の自慢話に摩り替わっていたが、何故かその話を聞いていると
はやてとフェイトの荒んだ心も不思議と心洗われて行く感じがしていた。
「そりゃあ親友だからこそ自分達二人を残して一人嫁に行っちまったのが悔しいし、
憎みたい気持ちもあるだろうが…それを祝福してやるのが本当の親友って奴なんじゃないか?
それでも許せないなら自分も見付けてやれよ。自分の運命の相手って奴をよ…。」
「そうやな…。」
「う…うん…。」
はやてとフェイトは自分が恥かしくなった。本当なら祝福しなければならない相手に嫉妬した事を…
「何ならこのおじさんがお嬢ちゃん二人とも相手にしてやろうかな?」
とか、どさくさに紛れて下心を露にする飲み屋の主人だったが、突如に耳を引っ張られてしまった。
「こらあんた! あたしの前で堂々と浮気しようなんて良い根性してるねぇ!」
「ひぃ! 母ちゃんごめんよー!」
どうやら飲み屋の主人の耳を引っ張ったのは彼の奥さんらしく、そのまま何処かへ連行されてしまった。
「おひょ―――――――!!」
そのまま飲み屋の主人の絶叫が響き渡るが、不思議とはやてとフェイトの二人の心は晴れやかだった。

数日後、聖王教会でなのはとユーノの結婚式が行われていた。
真っ白なウェディングドレスに身を包んだなのはと同じく純白のスーツに身を包んだ
ユーノが並んで神父の前に立ち、誓いの儀とか色々やっていた時だった…
「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!!」
突然教会中にその様な叫び声が響き渡り、入り口から何者かが現れた。
「式の最中に一体誰だ!?」
誰もが入り口に注目するが…そこにはバリアジャケットに身を包み、デバイスを構えた
フェイトとはやての姿があった。
「フェイトちゃん! はやてちゃん!」
「まさか結婚式をぶち壊すつもりなんじゃ…。」
これには誰もが慌てた。確かにその時のフェイトとはやての二人は鬼気迫る物があり、
本当になのはとユーノの結婚式を台無しにしようとしても不思議では無かった。
そして皆が緊張する中で二人は真ん中の道を堂々と進み、なのはとユーノへ歩み寄った。
「なのはは僕の後ろへ下がって。」
ユーノは自身を盾にする様になのはの前に立ち、それを見守る士郎はうんうんこれこそ
なのはの夫よと言わんばかりの顔で頷いていたのだが…やはりフェイトとはやてからは
嘗められているのだろうか、二人とも臆する事無くどんどん近付き…
「二人とも…ご結婚おめでとう…。」
「幸せになるんよ。」
「え…?」
突然祝福の声を掛けられたなのはとユーノの目は点になった。確かにこの状況じゃ
明らかにフェイトとはやてが結婚式をテロで破壊すると誰だって思うのだろうが
それがこんな事になるとはお釈迦様だって予想出来なかっただろう。
「ユーノ…なのはを幸せに出来なかったら私が殺すからね。」
「ほんまや。冗談やあらへんよ。」
「そ…そりゃどうも…。」
やはり襲わずに祝福の声をかける二人になのはとユーノは目を点にして
頷くしか無かったが、さらに二人は言った。
「でもこのままじゃ済まないよ! 覚悟しときなさい! もしそのお腹の子供が
生まれたら…私が直々に鍛えてあげるから! もう生まれて来た事を後悔するくらいに
厳しく鍛えて…なのは以上の魔導師にしてあげる!」
「そ…それはどうも…。」
と、何か祝福してるのか脅してるのか微妙な事をフェイトはなのはの下腹を摩りながら言っていた。
「フェイトちゃんも言ったけどほんまこのままじゃ済まさへんよ! うちだって
きっとええ男見付けて! その人と一緒になのはちゃん達が泣いて羨む様な
ほんま素晴らしい家庭を築いてみせるわ! その時を首を洗って待ってるんよ!」
「は…はあ…そ…それは…頑張ってね…。」
はやては負け惜しみなのかなのはとユーノを祝福してるのか微妙な捨て台詞を吐き、
そのままフェイトと共に結婚式上から走り去ってしまった。
「で…結局…何だったの…?」
「さあ…。」
何かするかと思わせてながら何もしなかったフェイトとはやてに
式場に参列していた皆は唖然とするしか無かった。

式場から走り去ったはやてとフェイトの二人は街から離れた草原で夜月を眺めながら
寝転び、それでいて大笑いしていた。
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」
「はははははははははははははははは!!」
二人は笑って笑って笑った。胸の痞えが取れた様な快い笑い方であった。
「うちもやったるよー!! 何が何でも素敵な相手を見付けて幸せになったるんやー!!」
「うん! 私も新しい恋に生きる!」
「え…。」
フェイトの言葉にはやては一瞬硬直した。
「あの…フェイトちゃん? 新しい恋ってどゆ事や? フェイトちゃんも浮いた話無かったんやろ?」
「男ならね? でも私が本当の好きだったのは…。」
「まさか…。」
はやては嫌な予感を感じた。そしてその予感は当たった。」
「私が本当に好きだったのは…なのはだから…。」
「ヒィィィィィ!! ガチレズや!! ガチレズがここにおる!!」
はやては頭を抱えて叫んだ。しかし、フェイトはそれに慌てた様子であった。
「違うよ! そんなんじゃないよ! 私はただなのはにアイラビューなだけだよ!」
「それが世間じゃガチレズ言うんや!!」
何かもう何が何だか…ってな事になっていたが…その時…フェイトがはやてに近寄った。
「と言う事ではやて…一緒に幸せになろう?」
「え…。この状況でそのセリフは…まさか…。」
はやては青ざめた。まさかフェイトがガチレズ対象をなのはからはやてに移行させたのでは無いかと…
そしてやはりその予感も正しく、次の瞬間はやてはフェイトに押し倒されていた。
「はやて! 私がはやてを幸せにしてあげる!」
「うわぁぁ! やめやー!! うちはノーマルなんや! フェイトちゃんみたいなアブノーマルやない!!」
はやては必死にもがいて抗うがフェイトははやてを力一杯抱きしめ…
「んんんんんんん!!」
はやての唇を奪っていた…。
「ん! ん! んんんん!!」
フェイトに唇を奪われたはやての目には涙が浮かんだ。
「(嫌や…こんなん嫌や…何でこんな事になんねん…。)」
はやての脳裏にはある光景が浮かんでいた。それはフェイトの為にガチレズに堕ちてしまった自分が
なのはと、成長したなのはとユーノの子供から白い目で見られていると言う恐ろしい光景。
「(そ…そんなの嫌やぁぁ!! ウチは素敵な旦那さん貰ってごっつ良い子も沢山産んで
老後は子や孫に囲まれながら悔いも残さずに天寿を全うするんや! それがこんな事で…
こんな所でダメにされるなんて嫌やぁぁぁぁ!!)」
はやては心の中で必死にそう叫んだが…しかし…その時には既にもう何もかもが遅かった。

              「アッ―――――――――――!!」

               はやての…精神が…崩壊した…

「フフフフ…安心してはやて…はやてを幸せにしてあげるのは…このわ・た・し…。」

                 HAPPY END


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目次:行き遅れた者達の挽歌(笑)
著者:◆6BmcNJgox2

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