[642] 再び機動6課の休日1/3 sage 2007/12/04(火) 13:11:42 ID:oaMOu1hY
[643] 再び機動6課の休日2/3 sage 2007/12/04(火) 13:12:18 ID:oaMOu1hY
[644] 再び機動6課の休日3/3 sage 2007/12/04(火) 13:13:21 ID:oaMOu1hY

「行ってらっしゃい。エリオ、キャロ」
「はい、久しぶりの休日なので思いっきり遊んできます」
 六課職員寮の出口で元気良く答えるエリオ。
 そのままフェイトが笑顔で2人を見送るが、しばらくして
フェイトの表情が曇り始める。
 その要因とは、2人が間違った場所へ行かないかだとか、
緊急時の連絡を取る手段は万全かとか、手持ち品に不備な無
いかなど、要するに心配なのだ。
 フェイト自身も今日は休日でフリーなのだが、心配で尾行
しようにも場所が場所だけに難しいのである。
「フェイトちゃん。どないしたの?」
 外を見たまま顎に手を当て、目をつむったままで硬直して
いるフェイトの肩に誰かの声と共に手が乗った。
「うーん……あっ、はやて?」
 肩を叩かれてもその反応までに少し時間を要してしまうほ
ど、深く考え込んでいたらしい。
「何を悩んでるんか解らへんけど、相談に乗るで?」
「ああ、うん。そんなに深刻な事ではないんだけど……」
 フェイトが経緯を話しながらはやてと共に休憩所へと移動
する。
「なるほどね……心配でたまらへんけど様子が見たいと」
 一通り聞き終えたはやてが、飲み終えたストローを弄りな
がら返答した。
「それなら衛星つこうて監視でもさせたろか? それぐらい
なら部隊長権限で楽勝やで?」
「ううん、そこまで荒事にする必要は無いよ。ただ、上手く
ばれないように近くにいてあげれればなって思ってたんだ」
 今回、エリオとキャロが向かった先は遊園地。
 目的も場所も解っているし、この前の話し合いでお互いの
わだかまりはほぼ消え去ったと言っても良いだろう。
 それでもやはり、フェイトにとっては心配でならない。
 そのまま尾行してしまえば、大人一人が遊園地で目的が解
らない雰囲気でぶらつけば簡単にバレてしまうだろう。
 かと言って、はやての言っていた軍事衛星まで使うほどの
荒事では無い。
「うーん、難しい条件やなぁ……せめて変装できれば……っ
て、変装と言えば……思いついたで!」
 自分で質問を投げかけ、あっさりと氷解するはやて。
「な、何を思い出したの?」
 その様子に戸惑いながらも、返答を今か今かと待ちわびて
いるフェイト。
「んふっふー、取り合えず私の部屋に行こうか。シグナム、
アレの用意や」
 偶然通りかかったシグナムがはやてに用件を命じられる。
「アレ……ですか」
「そうや、アレや」
 途中に個人念話を挟んでいるのか、フェイトには理解でき
ないやり取りが行われ、シグナムがはやてに礼をしてその場
から立ち去った。
「はやて……アレ? って……」
「大丈夫や、痛い事や他人に迷惑がかかる事やないで」
 はやては基本的に嘘をつかない。
 だが、はやてが目を細め薄ら笑いをしている時は大抵ろく
でもない事ばかり起きるのだ。
 その辺を考慮して、フェイトが不安を感じているのだがそ
のまま、はやての部屋に招かれる。
「そんでや、今からやろうとしてる事はいわゆる『変身』や」
「へ、変身?」
 いきなり部屋に連れて来られて、はやてが放った第1声が
これだった。
「この前、蒐集魔法を探ってる時に、ちょっと面白い魔法が
あってな。試したらしばらくヴォルケンのみんなに遊ばれて
もうて散々やった……」
「さ、散々!?」
 さらに不安になるフェイト。
「あー、大丈夫や。フェイトちゃんならなのはちゃんに見つ
からない限り弄られる事はあらへん」
 一体今から何に変身させられてしまうのか、すごく不安で
たまらない様子だ。
 怪物? 機械? それとも何かのオブジェ?
「お待たせしました」
 そこでシグナムが子供服を持って現れ、答えが解る。
「子供服? そう言う事は……」
「せや、子供になれる魔法や」
 準備が完了したらしく、はやてが夜天の書を呼び出すと同
時にフェイトへ小さな丸型の手鏡を渡す。
 地球のおもちゃでこう言うのを見た事があったかもしれな
い、そんな手鏡だった。
「これを行使するためにはちょっと特殊な工程が必要なんや
。で、フェイトちゃんにはこの手鏡で自分を写しながら『テ
○マクマヤコン テ○マクマヤコン 子供の姿になーれー』
って言うんや」
 なんと言うか、物凄く騙されている気がする。
 そんな思いが脳裏をよぎる。
「ねぇ、はやて……それって本当に私がやらないとダメ?」
「私もそれをやらないで試したんやけど、全くダメだったん
よ」
 残念ながら、と平手を横へ向けるはやて。
「う……そ、それじゃあやるよ?」
「オッケー! 任せとき!」
 もうこうなったらやけくそだ!
 これ以外頼れそうな手段が無いならやってみるしかない、
そんな気持ちであった。
『てっ……テ○マクマヤコン テ○マクマヤコン 子供の姿
になーれー』
 フェイトが変身の呪文を詠唱する中、はやても蒐集行使で
サポートを開始する。
 続いてフェイトの回りが光の粒子に覆われ、完全に姿が見
えなくなる。
「よっしゃ! 成功や!」
 光が一気に開放されると、既に変身は完了していた。
「あ、あれっ? 本当に小さく……なってるの?」
 本人が気がつきにくいのも無理は無い。
 まず今まで来ていた衣服が雪崩となって覆いかぶさるのだ
から……。
「本当だ……子供になってる」
 衣服の山から顔を出し、次に自分の手を出して辺りと比べ
て、ようやく自分が子供になっているのだと理解する。
「フェイトちゃん、むっちゃ可愛ええなぁ」
 なのはにしか弄られないと言っていたはやてにいきなり弄
られてしまった。
「あっ、ちょっ……シグナムも何とか言ってー!」
 膝を曲げたはやてに抱きつかれ、頬を摺り寄せられている
フェイトがシグナムに助けを求める。
「……おほん。主はやて、早い所用件を済ませた方が良いの
では?」
 一瞬顔を赤く染めていたシグナムが我に直り、主に制止を
求めた。
「せやな……もうちょっとこうしてたいんやけど、はよせん
と2人とも遊園地に入ってしまうな」
 シグナムに用意してもらった着替えをてきぱきとこなし、
改めて自分の姿を確認する。
「すごい……本当に昔の私だ」
 10年近く前、なのは達と一緒に遊び歩いた服。
 それがそっくりそのまま用意してあったはやてにも驚きだ
が、今はそれに改めて感謝するべきだと感じていた。
「それじゃあ何かあったら、無線機に連絡するからフェイト
ちゃんも何かあったら連絡してな?」
「……その前聞きたいんだけど、この魔法の解除の仕方は?」
 子供になったのは良いが、一番の問題は有事の際にこの姿
で問題が起きないかどうかあである。
「それは帰ってきたらやね」
「でも、もし戦闘とかあったら……」
 フェイトの疑問を断ち切るようにはやては人差し指を横に
振った。
「その姿でも戦闘力は全く変わらへんよ。その辺もしっかり
試してるから有事の際もその格好で問題ないで。ほらほら、
早くせーへんと遊園地に入って見つけにくくなっちゃうで」
「あ、うん……それじゃあ行って来るよ」
 何か騙されているような気がしていると思ったフェイトだ
が、2人の事が心配である事を思い出し先を急ぐ事にした。


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目次:再び機動6課の休日
著者:39スレ641

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