331 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 01:48:09 ID:vY5OufrD
332 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 01:48:56 ID:vY5OufrD
333 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 01:50:33 ID:vY5OufrD

『うんしょ……うんしょ…』
高く積み上げられた資料を運ぶ少女が一人。
ピンクの髪を揺らす彼女の名はキャロ・ル・ルシエ。
類い稀なる才能を持ち、このミッドチルダ高等魔術学院への奨学生としての特別入学が許された魔導師の卵だ。
生活費を稼ぐ為に毎日アルバイトに勤しみ、それでもなお成績はトップクラス。
教師達からも将来を楽しみにされている天才&努力の子だ。
そんな彼女は担任に当たるフェイト・T・ハラウオン先生に頼まれた資料を職員室まで運んでいる。
彼女には少し重いがそれでも必死に運んでいる。
二階にある資料室から一階の職員室へと繋がる階段を降りようとした時だった。
そう、彼女にとって人生を揺るがす大きな出会いが待っていた。
フラフラと階段を一歩ずつ降りていたキャロ。
その時、すれ違った生徒にぶつかりバランスを崩してしまう。
『きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
そのまま資料をばら蒔きながら階段の下へ落ちていくキャロ。
二階からとはいえ落ちればひとたまりもない。
その時、一人の生徒が何の迷いもなくキャロの落ちる地点へと駆け出していた。
『きゃっ!!』
『うわっ!!』
生徒はキャロを抱き留めるが、自身の慣性力によりそのまま進行方向へ転がってしまう。
助けてもらった生徒に覆いかぶさるような形でいたキャロはすぐに上体を起こす。
そして違和感。
それは生徒の方にも伝わっていた。
『ひゃぁ!!』
『うわわわ!!ご、ごめん!!ワザとじゃないんだ!!』
生徒は慌てて腕を動かそうとするも、焦りから事もあろうにむにむにとキャロの決して大きくはないが将来に期待できる夢の詰まった胸を揉んでしまう。
声も出ないキャロはなすがまま決して大きくはn(ry胸を揉まれ続けていた。
十秒程で冷静さを取り戻した生徒がゆっくりと腕を離し、キャロの身体を起こす。
そして、頭を下げた。
『ごめんなさい!!悪気は無かったんです!!』
『え、あ、いえ……その』
キャロは胸を揉まれしばらく気が動転していたが、周囲に散らばった資料を見てはっと思い出す。
『あ…あの、助けてくれてありがとうございます!!』
そしてこちらも頭を下げた。フロアに響くごめんなさいとありがとうございますの応酬。
それを止めたのは先生だった。

『二人とも……何してるの?』
キョトンと首をかしげるのはキャロの担任、フェイト先生。
騒ぎを聞き付け駆け付けていた。
そこでキャロと生徒は辺りを見回す。
いつの間にか出来ている人だかり。
その中心に二人はいたのだ。
『『……え?』』
状況が飲み込めず二人揃って間抜けな声をあげてしまう。フェイトは溜め息を付いて二人を立たせる。
『とにかく、一応保健室に行こう。…誰か、資料集めて私の机に置いといて』
フェイトに連れられ保健室に向かう二人。
その後からひそひそと声が聞こえる。
『まただ……』
『流石エリオ君………』
『やはりエロオ・揉んでやるの異名は伊達じゃねーな…』
しかし二人はこの声に気付くことはなかった。
保健室で保険医シャマル先生に簡単な検査を受けるキャロ。
横では生徒が心配そうに見守っている。
『大丈夫よ、頭も打ってないし…体を軽く打ってるけどこれくらいなら治療は必要ないわ』
シャマルが検査を終えるとキャロは隣にいた生徒に改めて礼を言う。
『あ、あの!!助けてくれてありがとうございます!!』
ぺこりと頭を下げるキャロに生徒は笑ってみせた。
『いや、君が無事でよかったよ……それと、さっきはごめんなさい』
今度は生徒が頭を下げた。
事故とはいえキャロの決してo(ry胸を揉んでしまったのだから彼としてはバツが悪かった。
するとシャマルがクスクスと笑い出した。
『エリオ君、また?』
『はい……』
エリオ、それがこの生徒の名だ。
どうやらこのような事故は一度や二度ではないらしい。
シャマルにいじられ赤面するエリオの横でキャロは首をかしげる。
『エリオ君……どこかで…あぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
唐突に叫ぶキャロにエリオとシャマルが跳ね上がる。
キャロは目を見開いてエリオを見ている。
『エリオ君……あの大財閥、モンディアルグループの御曹司〜っ!?』
『あ、うん。そうだけど……』
キャロは再び頭を下げる。
『あ、あの!度々の無礼をお許しください!!』
地方出身の普通の女の子であるキャロにとって目の前にいるのはとてつもなく高い場所にいるお方。
ましてや馴々しく話し、助けてもらった時には下敷きにしてしまい、あげく服まで汚してしまった。
キャロはもう半ばパニック状態だった。

『あ、いや…別にそんな風にかしこまらなくても……』
『あの…その…』
もはやなにがなんだかわからないキャロにエリオは笑う。
『モンディアルグループの御曹司って言っても、ここじゃただの学生だから』
『あ…はい…』
エリオに諭され、やっと冷静になるキャロ。
自分を怪我の危機から救ってくれた少年エリオ。
その眩しい笑顔にキャロは少しときめいてしまう。
エリオはイスから立ち上がり、保健室を出ようとする。
『それじゃ、授業に戻ります』
『あ、待ってください!!』
不意にキャロに呼び止められ振り返るエリオ。
そしてキャロは告げる。
『私、キャロ・ル・ルシエと言います!!助けてくれて本当にありがとうございます!!』
己の名と精一杯の感謝の心を。
そして、エリオもまた告げる。
『それじゃ改めて、僕はエリオ・モンディアル。さっきは本当にごめんなさい』
己の名と謝罪の言葉を。
これがミッドチルダ高等魔術学院を波乱へと導く幕開けになろうとは、この時は誰も知るよしがなかった。

第一話『ちっちゃな胸におっきな夢』
終結!!

『私はルーテシア…ルーテシア・アルピーノ………エリオの許嫁』

『助けて……エリオ君…』

『僕が君を守る!!』

次回、『エリオは私の婿!?』
続くかどうかは作者の脳にお聞きください。



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目次:召喚少女リリカルキャロ
著者:◆K17zrcUAbw

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