345 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 16:46:20 ID:vY5OufrD
346 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 16:47:17 ID:vY5OufrD
347 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 16:49:28 ID:vY5OufrD
348 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 16:50:48 ID:vY5OufrD
349 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 16:52:00 ID:vY5OufrD
350 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 16:53:10 ID:vY5OufrD

エリオとの衝撃的な出会いから一週間。
いつもエリオの事を考えてしまうピュアなキャロは勉強も手に付いていない。
でも成績は落とさない、それがキャロ。
『ねぇ、フリード……私変なのかな?』
『きゅく?』
通学の準備をしながら自身の召喚した竜、フリードリヒに聞いてみるも赤い目の竜は何も答えてくれない。
『きゅく?』なんて首をかしげる姿は愛らしい。
制服に着替えたキャロはフリードリヒをきゅっと抱き締める。
毎朝の日課なのだ。
留守番役のフリードリヒに挨拶をし、寮を出るキャロ。
寮から学院まではそんなに距離はない。
だが、朝早くに出る事に理由はあった。
それは、学院の裏庭にある。
『はっ!!はっ!!』
赤い髪の少年が槍型デバイスを持ち、素振りをしている。
エリオは毎朝ランニングと素振りをするのが日課なのだ。
この日も自慢のストラーダを振り、元気に汗をかいている。
キャロの目的はこれだった。
『エリオ君、おはよう!』
『キャロ、おはよう!はっ!』
最後の一振りを終え、キャロに歩み寄る。
キャロの手にはタオルとスポーツドリンクが持たれている。
キャロからタオルを受け取り汗を拭くエリオ。
数日前にキャロがエリオの朝のトレーニング現場を目撃して以来、毎朝二人はこうして裏庭でトレーニング後の談話の一時を楽しんでいる。
キャロの持って来たスポーツドリンクを飲みながら他愛もない話をするエリオ。
それを楽しそうに聞いているキャロ。
ほのかにピンク色な空気を醸し出す二人。
それを見つめるどす黒いオーラ。
この日もまた、波乱の一日になるのであった。

所変わってキャロのクラス。一時限目の数学(担当フェイト)が終わり、二時限目の体育(男子ザフィーラ、女子シグナム)の用意をしている時だった。
『あれ、体操服がない……』
鞄を探してみても体操服を入れた袋がない。
キャロは忘れ物をめったにしない。
忘れてもフリードリヒが届けてくれるのだ。
そしてそれはクラスの皆も知っていた。
しかし、今朝はちゃんと鞄に体操服を入れたしフリードリヒも来ない。
『キャロちゃんの体操服盗まれたの?』
『わからない……』
とにかく体操服が無くては体育は欠席するしかない。
キャロはこの日、体育を見学した。


『…………』
それを見つめるどす黒いオーラが一つ。
ニヤリとわずかに口元をつり上げる。
キャロの災難はこれからだ。
次の騒動は三時限目、世界史(担当ユーノ)にて起こった。鞄の中には教科書がある。
ノートもある。
でもページはなかった。
『え………』
『これはヒドい…!』
普段は穏和で知られているユーノもこれには怒りをあらわにする。
即座に授業は中断、すぐさま犯人探しとなった。
『誰がやったの?正直に手を上げて』
事務兼生徒指導員、高町なのはがクラス中を問詰める。
しかし、これで素直に手を上げる犯人などいるはずもない。
なのははレイジングハートを構えながら呟く。
『名乗りでないと一人ずつ頭冷やすことに……』
『まずはなのはが頭冷やそう』
ポコッと教科書で叩いて制止するユーノ。
ミッドチルダ高等魔術学院名物の頭冷やそう漫才である。それはさておき、これは立派ないじめである。
他には何もされていなかったが、これにはキャロもショックを隠せなかった。
取り敢えずこの件はなのはが引き続き調べる事になり、授業は再開した。
なんとか授業を終えたキャロは、エリオと共に昼食をとっていた。
『それはヒドい話だね……』
キャロから話を聞いたエリオが苦言を漏らす。
皆仲良くがモットーの学院においていじめなど大問題。
エリオはキャロの手をとった。
『僕も力になるよ!何か困った事があったら相談して』
『うん!ありがとう、エリオ君!』
自分の事のように真摯に接してくれるエリオの暖かさにまたちょっぴりときめいたキャロ。
伝わる手の温もりが鼓動を早くする。
その時、後から声がした。
『エリオ……誰?』
『ルー!』
『え?』
キャロの背後に立っていたのは綺麗な紫色の長髪をなびかせる清楚なお嬢様的雰囲気を醸し出す少女だった。
『あの、あなたは……?』
『私はルーテシア…ルーテシア・アルピーノ……エリオの許嫁』
許嫁。
キャロは3秒フリーズした。
『い、いいい許嫁っ!?』
『あ、うん……親同士の取り決めでアルピーノ家の彼女が僕の許嫁なんだ』
ルーテシア・アルピーノ、モンディアルグループに勝るとも劣らぬ大企業、アルピーノカンパニーの社長令嬢。
そしてエリオの許嫁。

二人は幼い頃から婚姻関係の取り決めをされ、モンディアルグループとアルピーノカンパニーの友好のシンボルになる予定なのだ。
少し儚く暗い雰囲気を見せるミステリアスなルーテシア。
エリオはルーテシアにキャロを紹介する。
『あ、この人はキャロ・ル・ルシエ…この前ちょっとした事故で知り合ったんだ』
『あ、キャロ・ル・ルシエですっ!』
ぺこりと頭を下げるキャロ。
ルーテシアも釣られて頭を下げる。
『初めまして、アルピーノカンパニー社長令嬢ルーテシア・アルピーノ…よろしく』
礼儀正しく、丁寧で清楚な振る舞い。
まさにお坊ちゃまとお嬢様、お似合いな二人に少し妬いてしまう。
でも、それは心の奥にしまっておく。
エリオはルーテシアにもキャロのいじめ問題について話をした。
『そうなの…ひどい話』
『うん……先生が新しい教科書くれたけど…もしかしたらまた』
『大丈夫、私も強力する』
ひしっ、とキャロの手を取るルーテシア。
『ありがとう、ルーテシアちゃん…』
『ルーでいい』
『うん!』
それからは三人、仲良く昼休みを過ごした。
だが、真の騒乱はこの後起こる。
それは放課後の事だった。
いつものようにアルバイトの為に急いで玄関を出ようとした時の事だった。
下駄箱に手紙が置いてあった。
(校舎裏の体育倉庫で待っています、エリオ)
と綺麗な文字で書かれた手紙だった。
『これって……』
いわゆるラブレター。
エリオからのラブレター。
正真正銘エリオからのラブレター。
『っ!!』
気付けば全力疾走。
体育倉庫に行くまでに一分もかからなかった。
薄暗い体育倉庫の中でエリオの名を呼ぶ。
『エリオ君、来たよ!』
告白の期待と緊張で震えているがそんなのはお構いなしだ。
ドキドキしつつ辺りを見回すが誰もいない。
その時だった。
ガゴォン、カチャカチャ。
『え!?』
いきなり真っ暗になった体育倉庫。
何者かが体育倉庫のドアを閉め、あろうことか鍵までかけたのだ。
『誰?出して!お願い!』
ガンガンとドアを叩いて叫ぶが反応はない。
なんとキャロは閉じ込められてしまったのだ。
鍵をかけられたドアは開かない。
換気のための小窓が上の方にあるがとても人がくぐれるような大きさではない。


そう、体育倉庫はまさに脱出不可能の空間に変貌したのだ。
そしてキャロはある事実に気付く。
今は放課後、部活動がないこの学院に生徒が残るはずもない。
ましてや校舎裏の殆ど使われる事のない体育倉庫に人が訪れることはない。
つまり最低でも朝までここに閉じ込められるのだ。
『誰か、誰か助けて!!』
ガンガンとドアを叩いて叫ぶがやはり反応はない。
キャロは力なくその場に膝をついた。
一方、その頃エリオは…。
『あ、そういえばキャロがこの店で働いてるって…』
『そうなの?』
ルーテシアと共に帰宅している途中、キャロからアルバイト先と聞いたケーキショップに立ち寄っていた。
店の中に入るとそこは甘い香りが漂うおしゃれな雰囲気の場所だった。
エリオとルーテシアが店内を見渡すがキャロの姿は見えない。
エリオは案内された席で店員に聞いてみた。
『あの、ここでキャロって子が働いてるって聞いたんですけど』
『キャロ?今日は来てないよ……珍しいよ、彼女が無断で休むなんて』
『え……?』
エリオは驚いた。
エリオが知る限り彼女がそのような事をするはずはない。
忘れ物もめったにしないしノートもちゃんととる。
そんな几帳面でしっかりもののキャロがまさか無断でバイトを休むなんて考えられなかった。
店員も腕を組んで唸る。
『彼女はしっかりしているからね、休む時はちゃんと連絡くれるし……まさか何か事件とかに巻き込まれてないだろうか…』
全部言うより先にエリオが店を飛び出していた。
後を追うようにルーテシアも立ち上がる。
『私達で探してみます』
『うん、お願いするよ。心配だし』
『それじゃあ…』
そう言ってルーテシアも店を出た。
まず向かったのは学院寮。
管理人のおじさん(レジアス)にキャロが帰ってないかを聞いてみる。
『ん?キャロちゃんならまだ帰っていないが』
『そうですか……』
しかし寮には帰っていない。
次は学校だ。
しかし守衛のおじさん(ゼスト)や事務のなのはに聞いてみても見掛けていないと。
『ここも違う……』
取り敢えず校舎内を探しまわるエリオとルーテシア。
仕事を終えたなのはも加わり三人で学院中を探索していた。


その頃、キャロは助けを求めて叫んでいたが次第に疲れて叫ぶ声が小さくなっていた。
『誰か……助けて…』
既に日は落ち、辺りには静寂が広がっていた。
小窓からわずかに月明りが入るがそれでもなお暗い体育倉庫でキャロはただ座り込んでいた。
『どうして……どうして』
誰の仕業かもわからない、朝から続く奇妙な嫌がらせ。
ピュアなハートのキャロの心はズタボロに傷ついていた。
もしかしたらこのまま誰にも気付かれる事なくただただ弱って死んでいってしまうのかも。
今のキャロにはそのような最悪の事態しか浮かばない。
『助けて……』
それでもなお助けを求める小さな声。
そして呼ぶ、己を守ってくれる優しき騎士の名を。
『助けて……エリオ君…』
わずかな希望だった。
もしかしたら誰かが探してくれているかもしれない。
その時だった。
『キャローッ!!』
『エリオ君!?』
聞こえたのはあの小さな騎士の声。
キャロは精一杯の力で助けを求めた。
エリオもその声に反応、体育倉庫に近付く。
『キャロ!?そこにいるんだね!?』
『エリオ君!!助けて!!』
『待ってて、鍵を持って来る!!』
程なくしてゼストが鍵を開けた事でキャロは無事に救出された。
疲れ切ったキャロはエリオに抱かれて保健室へと運ばれた。
『これがその手紙…』
キャロが持っていた手紙を見て一同はエリオを見る。
しかし、この字はエリオのものではない。
『誰がこんなことを…』
エリオの名を語り、キャロの命を危険にさらした謎の人物。
朝からの嫌がらせといい到底許せるものでは無かった。
エリオはキャロを見つめる。
『エリオ君…』
『大丈夫…僕達が必ず犯人を探し出してみせるよ』
エリオの言葉に一同はうなずく。
エリオはキャロの手をとる。
『僕が君を守る!!』
キャロの波乱の一日は終わった。
だが、これは単なる序章にすぎない。
キャロとエリオ、ルーテシア。
生徒や先生達を巻き込んだミッドチルダ高等魔術学院史最大の事件が遂に幕を開けた!!

第二話『エリオは私の婿!?』
終結!


『僕は…大丈夫だから…』

『私が……私がいなくなれば』

『もう逃げられないよ!』

次回、第三話!!
『見えざる敵、エリオの危機』
お楽しみに!!




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目次:召喚少女リリカルキャロ
著者:◆K17zrcUAbw

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