410 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 01:02:13 ID:Bhvw9AqE
411 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 01:04:17 ID:Bhvw9AqE
412 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 01:06:23 ID:Bhvw9AqE
413 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 01:08:42 ID:Bhvw9AqE
414 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 01:11:13 ID:Bhvw9AqE

その日、キャロの目覚めはよくなかった。
昨日起こった襲撃事件のせいかよく眠れなかったのだ。
よほどうなされてたのか枕元でフリードリヒが心配そうに顔を覗き込んでくる。
『大丈夫だよフリード』
フリードリヒの頭を撫で、ゆっくりと起き上がる。
新しく用意してもらった教科書とノートを鞄に詰め込み通学の準備をする。
体操服はあのあとゼストがごみ捨て場から見つかったと持ってきてくれた。
どうやら破かれた教科書等も一緒に捨てられていたようだ。
質の悪い嫌がらせにめげそうになったが、エリオの一言でなんとか立ち直り、学院を休むという事は避けられた。
いつもどおり鞄と共にふかふかのタオルと冷やしたスポーツドリンクを持って学院へ向かう。
どんなに挫けそうでも大好きなあの人の笑顔があれば元気になる、それがピュアなキャロ。
学院につくと、裏庭に向かう途中でルーテシアと出会った。
ルーテシアも手には弁当のような包みを持っていた。
『ルーちゃん、おはよう』
『おはよう、あなたもエリオに?』
『うん、一緒にいこ!!』
『うん』
そしてルーテシアと共に裏庭へ赴くキャロ。
そこにはいつもどおりストラーダを振り、汗を散らせる少年騎士の姿があった。
その躍動する肉体、真剣な表情に二人は見とれてしまう。
するとエリオの方が二人を見つけて歩み寄ってきた。
『ルー、キャロ、おはよう』
『あ、お、おはよう!』
『おはよう』
いつものベンチにエリオを挟む形で座りタオルを渡すキャロ。
逆隣でルーテシアは弁当を取り出している。
この日の為に早起きして作った朝ご飯用の手作り弁当だった。
『ルーちゃんすごい…』
『ルーは昔からこういうのが得意なんだ』
受け取った弁当をよく味わいながら腹を満たして行く。
味も折り紙付きであるようだ。
おいしそうに弁当を食べるエリオを見てルーテシアの才能が少しうらやましくなったキャロ。
キャロは料理は得意ではなかった。
それを感じ取ったのかルーテシアが提案する。
『それじゃ今度一緒にお料理しよう』
『え、いいの?』
『うん、簡単なのからはじめよ。…その代わり勉強教えて』
『うん!!』
ルーテシアの提案を受け入れるキャロ。
ルーテシアは勉強は苦手なのだった。
そうこうしているうちに始業を告げるベルが鳴り響く。

『それじゃ、お昼にまた』
『うん!』
それぞれのクラスへと向かう三人。
そして、凶劇の第二幕が上がる……。
それは自由選択科目での事だった。
キャロはあまり得意ではない科学(スカリエッティ)の補習実験を受ける為に科学室へと向かっていた。
その途中エリオとルーテシアにばったりと出くわしたのだ。
『エリオ君、ルーちゃん』
『もしかしてキャロも科学?』
『うん』
どうやら二人も科学の補習実験を受ける為に科学室へ向かう途中らしい。
三人はそのまま同じ席に座り実験の講習を受けている。
教鞭をとるスカリエッティが薬品の瓶を手渡していく。
『今回の実験は少し危険だ。充分注意してくれたまえ』
それぞれの班がスカリエッティの指示に従い薬品を混ぜていく。
どの班も青い液体が出来上がっていた。
スカリエッティが最後の手順を説明する。
『ここでこの粉を振り掛けると短時間だが発光する。ではやってみたまえ』
エリオ達も赤い粉を液体に振り掛ける。
すると液体が青白く光った。
一同が驚愕の声を上げる。
実験は成功したかに見えた。
しかしスカリエッティはすぐに異変に気付く。
発光の色が違う。
本来ならばここで赤い光が発生し、短時間の発熱が起きるはずであった。
そして青白く発光した液体を見て叫んだ!!
『皆、伏せたまえっ!!!』
そして、大爆発。
科学室は一瞬で爆炎に包まれた。
スカリエッティは近くにいた生徒をかばって倒れこんでいた。
『だ……誰だ…薬品をすり替えたのは…』
背中が焼けただれ、唸るスカリエッティ。
最後に使用した薬品が何者かによって爆破実験に使用する発火性の高い薬品に変わっていたのだ。
ご丁寧にラベルまで張り替えてある。
一方キャロはルーテシアと共にエリオにかばわれて床に伏せていた。
ルーテシアは気絶している。
『う……キャロ、ルーテシア……大丈夫?』
『エリオ君!?』
頭から血を流すエリオ。
すぐさまキャロが血を拭う。
『僕は…大丈夫だから……それより…』
エリオは周囲を見回す。
爆発の衝撃で吹き飛ばされ、怪我をしているものもいる。
そこに騒ぎを聞き付けた先生達が駆け付けた。


『先生!!』
一人の女性がスカリエッティに駆け寄る。
保健担当のウーノ先生である。
『先生!!しっかり…』
『ウーノ…私はいい、それより生徒達を…』
『は、はい!!』
スカリエッティの指示ですぐに救助活動を始める先生達。
大きな怪我をしたスカリエッティやエリオ他数名はウーノ付き添いのもと病院へと運ばれた。
病院へ向かう救急車を見送るキャロとルーテシア。
幸いエリオのおかげで怪我はなかったものの、エリオの負傷にショックを隠しきれない。
科学室では警官による現場検証が始まっていた。
程無くして校内放送が入る。
『あーあー、教頭のクロノです。先程起きた爆発事件のため、全校生徒は授業を中断して帰宅してください。繰り返します…』
どうやら事件の捜査の為に生徒は下校となったらしい。
キャロはルーテシアと別れ帰宅の準備をする。
そして玄関を出ようとした時だった。
一枚の紙がはらりと足下に落ちた。
それは昨日エリオの名を語り書かれた手紙の字であった。
(お前が存在する限り不幸の舞台は続く……次を楽しみにしていろ…)
『いやぁぁぁぁっ!!!』
書かれた文字を見てキャロは絶叫する。
それは脅迫文ともとれる文章であった。
近くにいたフェイトが駆け付ける。
『キャロ!?どうしたの!?……これって…っ!』
しゃがみ込むキャロの横に落ちていた紙を拾いあげ絶句するフェイト。
すぐに他の先生を呼び付ける。
『誰か!!』
『どうしたんだ、フェイト先生!?』
すぐにザフィーラが駆け付ける。
フェイトはザフィーラに拾いあげた紙をみせる。
『これは…』
『とにかく今はキャロを…』
『わかった、立てるか?』
『…………』
ショックを受けて座り込んだままのキャロ。
ザフィーラは無理に立たせずにそのまま抱えあげて保健室へと連れて行く。
保健室のベッドでシャマルが精神安定の魔法をかけてキャロを眠らせる。
『今は大丈夫だけど……ショックで塞ぎ込んでしまうかも知れないわね』
キャロの安否を気遣いながら脅迫文を見るフェイト。
『一体誰が……』
『さぁ…何らかの形でキャロちゃんに恨みを持っている人でしょうけど……』
その後、脅迫文は爆発事件に関わる証拠品として警察に提出された。


この日はシャマルが当直となり、容態をみる為キャロと共に保健室に宿泊する事になった。
程無くして目を覚ましたキャロは辺りを見回す。
『…あれ、シャマル先生……』
『起きた?』
『私……あ…』
思い出す、爆発事件のこと、エリオの負傷、脅迫文。
キャロは頭を抱えて震える。
『嫌…嫌ぁ…』
『キャロちゃん、落ち着いて…』
『私のせいでエリオ君が…みんなが…』
『キャロちゃん…』
『私が……私がいなくなれば…誰も傷つかなくてすむ…』
『バカな事言わないで!!』
パシンとシャマルの平手打ちが飛ぶ。
『あなたがいなくなって喜ぶのは犯人だけよ!!』
『シャマル先生…』
『大丈夫、みんなが犯人を探してくれているわ。だからそんな事を言わないの』
『先生ぇ……ごめんなさい…ごめんなさい』
シャマルに抱かれて泣きじゃくるキャロ。
度重なる不幸にエリオの負傷でもう心は傷だらけであった。
そのまま泣き付かれて眠ってしまったキャロを再びベッドに寝かせてシャマルはコーヒーを飲んだ。
(こんなに傷ついて……まだ子供なのに)
思えばキャロがエリオと出会ってからこの騒動が始まったのだ。
シャマルにある思いがよぎる。
(まさか…犯人はエリオ君絡みでキャロちゃんを…?)
そして最悪の考えが芽生えてしまう。
(ルーテシアちゃん………)
そう、エリオの許嫁であるルーテシア・アルピーノ。
エリオへの愛は一番強いはずである。
キャロをエリオに言い寄る悪い虫と思いこのような凶行に及んだのかもしれない。
しかしシャマルには到底信じられなかった。
『まさか……ね』
悪い考えをふり払い自身もベッドに入り込む。
暗い保健室の中に静寂が広がった。

暗い部屋の中でテーブルに置かれたキャロの写真。
その真ん中にはナイフが突き立てられていた。
(あの女…私のエリオに怪我を……許さない)
ギリ…と歯をかみ締める。
そしてすぐさま口元をつり上げる。
『もう…もう逃げられないよ!…次は絶対に仕留めてあげる……アハハ…アハハハハハハハ!!』
暗き静寂の中に不気味な笑い声が広がった。
そして、再び舞台の幕が上がる。
惨劇の幕が……。

第三話『見えざる敵、エリオの危機』
終結!


『あなたは……』

『キャロ!キャロォォォッ!!』

『犯人は……あなたです!!』

次回、第四話!!
『からくりを暴け!!キャロ、命懸けの推理!!』
お楽しみに!!



前へ 次へ
目次:召喚少女リリカルキャロ
著者:◆K17zrcUAbw]

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます