469 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 21:20:57 ID:Bhvw9AqE
470 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 21:23:31 ID:Bhvw9AqE
471 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 21:26:31 ID:Bhvw9AqE
472 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 21:28:20 ID:Bhvw9AqE
473 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 21:30:29 ID:Bhvw9AqE
474 名前: ◆K17zrcUAbw [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 21:31:12 ID:Bhvw9AqE

『キャロちゃん……キャロちゃん!』
『あ………シャマル先生…』
不意にキャロはシャマルに起こされた。
時刻は朝5時過ぎ。
『あれ……私…』
『うなされてたわよ…大丈夫?』
どうやら昨日の出来事がキャロの夢を見てうなされていたようだ。
しかしキャロはそれでも気丈に振る舞う。
『大丈夫です』
『そう……時間も時間だしそろそろ起きましょうか』
シャマルがベッドから抜け出してイスにかけてあった白衣を着る。
キャロも上着を来てベッドから起き上がる。
すると保健室のドアが叩かれた。
『シャマル先生…起きてますか?クロノです』
早朝出勤をしてきたクロノが保健室に顔を出してきた。
シャマルがドアをあけクロノを迎え入れる。
『おはようございます、教頭』
『取り敢えず朝ご飯になるものを持って来ました、キャロ君も一緒に…』
『あ、ありがとうございます』
イスに座り持ってきたパンを頬張る三人。
クロノはシャマルと今後の予定について話している。
『取り敢えず上から一週間休校にし、事件の調査をするというお達しがでた』
『八神理事長が?』
『ああ…それと、後でフェイト先生が来てキャロ君を寮まで送り届ける手筈になっている……近いとはいえ一人は何かと危ういからな』
どうやらキャロの周辺で起きた事件の為、学院側がキャロの保護に乗り出したようだ。
シャマルはキャロに顔を向けた。
『大丈夫、心配しなくていいわ。何かあったら相談してきなさい』
『はい!』
シャマルの笑顔にキャロは元気を取り戻していた。
『君の安全は学院が全力を尽くして守る。我が学院としても君のような逸材を無くすのは惜しい……安心してくれ』
『クロノ教頭…』
クロノの一言にキャロは安心感を抱いた。
すると程無くしてフェイトが保健室に顔を出した。
『キャロ、おはよう』
『フェイト先生…おはようございます』
『じゃあフェイト先生…後は』
『はい』
キャロはフェイトに手を引かれ保健室を出た。
その後姿をみつめ、シャマルの表情が変わる。
『クロノ教頭…お話が』
『大体言いたい事はわかる……エリオ君とルーテシア君の事だな』
二人は周囲を確認し、話を始める。
シャマルは自分の推理を話す。


『恐らく…ルーテシアちゃんがエリオ君に接近したキャロちゃんに嫉妬して起こした犯行…と思ったんですが』
シャマルは口ごもる。
そこでクロノはシャマルの気持ちを代弁した。
『信じたくないんだな』
『まさかあの子が……』
『確証はない…が、彼女は黒側だな…あとは』
『他にエリオ君に関わる人物……』
二人は次々に推理を重ねていくが全ては机上の空論、いくら意見を言ったところで状況が変わるわけでもなかった。
シャマルはただ、キャロを心配するしか出来なかった。
一方キャロはフェイトに連れられ寮に戻って来ていた。
部屋に戻りフェイトが帰った後真っ先にフリードリヒに謝る。
『ごめんねフリード…部屋を空けちゃって…』
『きゅく〜』
ご主人様の帰りが待ち遠しかったのかフリードリヒはキャロにすりよる。
事情を聞いていたレジアスがフリードリヒにご飯を与えていた為空腹は免れていたようだ。
キャロはフリードリヒを撫でながらベッドに座る。
ふわりと髪がなびいた。
『…あれ?』
よく見ると窓が開いている。
そして窓枠に引っ掛かった紙飛行機。
キャロはそれを手にとった。
何か文字のような物が書かれている。
あの綺麗な字で。
『………!』
キャロは凍り付いた。
恐る恐る紙飛行機を崩していく。
(最後の幕を上げよう……午後6時クラナガン郊外の13番灯台に一人で来い。もし誰かに知らせたら、ルーテシア・アルピーノの命は無いと思え)
『これって……』
キャロはそこに書かれた名前を見て驚いた。
ルーテシアが人質になっている。
キャロは時計を見た。
午前11時半、まだ時間はある。
ルーテシアに連絡を入れて安否を確認することは出来る。
しかし、犯人が側にいるかもしれない。
知られればルーテシアは殺されてしまう。
キャロは唇を噛み締める。
(行かなきゃ……エリオ君もルーちゃんも私のせいで…)
今、フィナーレへと続く最後の幕が上がる。
午後5時、キャロは身仕度を整え寮を出る。
誰にも見つからないようにコッソリと裏口から外に向かう。
(……)
それを見つめる人影が一つ。
キャロはクラナガンの市街地を灯台方面に向かうバスに乗っていた。
キャロは窓の外を見る。
そこには目的地である13番灯台が見えていた。


(あそこに犯人とルーちゃんが……)
キャロは真剣なまなざしで灯台を見つめ続ける。
灯台に一番近いバス停で降り、目的地に向かい歩くキャロ。
そしてキャロを追う影が一つ。
キャロはそれに気付いていない。
切り立った岸壁に立つ13番灯台、通称死の灯台。
周囲は崖という環境から自殺の名所としても有名な場所である。
故に自殺志願者でも無い限り近付く者はいない。
灯台の下でキャロは犯人を待ち続けた。
そこに現われた人影、黒いローブを着てフードを深くかぶっている。
その表情をうかがい知る事は出来ない。
『約束通り一人だな…』
変声魔法で声を変えている為機械的な声が響く。
キャロは黒いローブの人間に尋ねる。
『あなたは……あなたは誰なんですか!?ルーちゃんは…』
『黙れ…』
黒いローブの人間の威圧感に後ずさるキャロ。
黒いローブの人間はキャロに近付いていく。
『お前が……お前が私の大切なモノを奪った…』
『な……なにを…きゃっ!!』
キャロの首を掴み持ち上げる。
キャロの顔が苦痛に歪む。
『そうだ…お前さえいなければ……』
『かっ…は……な、にを…』
『自分を取り巻く事件に巻き込まれた人々に責任を感じたキャロ・ル・ルシエは死の灯台において自殺を遂げる……それが私の舞台の幕引だ』
キャロを持ち上げたまま岸壁の縁に立つ黒いローブの人間。
そして、手を離す。
『さよなら……』
『きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』
そのまま海へと消え入るキャロの姿を見つめ黒いローブの人間は口元をつり上げる。
『ククク……アハハハハハハハ!!』
そして消えた。

(どうして……私のせいなの?)
海へと落とされ意識は消えかけていたキャロ。
どんどんと沈んで行く体、力が入らない。
いや、諦めていた。
己が消えれば全てが終わる。
もう誰も傷つかなくてすむ。
(お父さん…お母さん……ごめんなさい…)
そして意識が途切れようとした時だった。
急に意識がはっきりとした。
暗い空間にキャロはいた。
『……私…死んじゃったの?』
(否…汝は死んではいない)
『誰!!』
キャロが振り返るが何も見えない。
しかし、確かに『何か』がそこにいる。
キャロは声を上げた。
『あなたは誰!?』


(選ばれし竜の巫女よ……ここは我の深層空間…ここに時間の概念はない)
『何を言っているの?』
(まだ汝は死んでいない……)
『どういう事?あなたは誰?』
(我は汝を守護せし竜…汝の使命はまだ終わってはおらぬ!)
キャロに語りかける竜。
それはキャロが生まれた時から守護の力を授けていたと言う。
キャロは俯く。
『……これでいいの、これでみんな助かるから』
(それは本心か?)
『………』
先程まで抱いていた感情に疑心が生まれる。
本当にこれでいいのか?
(汝が消えて喜ぶ者がいるのか?)
『……!』
キャロは顔をあげる。
シャマルが言い聞かせた言葉。
そう、キャロが死んで喜ぶのはあの黒いローブの人間だけ。
『みんな……』
(汝には果たさねばならぬ巫女の使命がある……だが、今は目の前の危機を乗り越える事を考えろ)
『はい……私が、犯人を捕まえます!!』
キャロの目には決意が宿っていた。
自分のみならずエリオやルーテシア、大勢の命を危険にさらした謎の人物。
それを許す事は出来ない。
竜が声を上げる。
(ならば願え、生きる事を!ならば問え、全ての謎に!ならば呼べ、我が名を!!我が名は……)
そしてキャロの意識が戻る。
『ヴォルテェェェェェル!!!』
日も沈んだ暗き海から一筋の炎が撃ち上がる。
そして浮かぶ黒き竜の影。
それはキャロを優しく、力強く抱いて形を成す。
キャロが竜の目を見つめる。
『ありがとう、ヴォルテール……』
そして、意識は途切れた。
次に目覚めた時には病院のベッドに寝ていたキャロ。
目に入ったのは涙を浮かべるエリオとルーテシアだった。
『気が付いた、キャロ!?』
『キャロ!キャロォォォ…うぁぁ…!』
ルーテシアがしがみついて大声で泣いている。
エリオも気が抜けて涙を流している。
すぐさま医者がかけつけキャロの検査をする。
一通りの検査を終えた医者がキャロに告げる。
『大丈夫ですよ、一日安静にしていれば明日には退院出来ますよ』
『よかった……』
キャロを保護したシャマルとクロノが事情を説明する。
『キャロちゃん、13番灯台の崖下の岸辺に打ち上げられていたのよ』
『実は君をつけていたのだが見失ってしまってね…』


クロノは目線を厳しいものにする。
『まさか自殺未遂をしていようとは…』
『違います……犯人に呼ばれて…』
『なんだって!!』
一同の目の色が変わる。
クロノがキャロに問詰める。
『なぜ黙っていたんだ!!』
一瞬クロノの剣幕に押されるが、キャロは事情を説明した。
手紙の事、ルーテシアの事、そして犯人の事を。
『……なんという』
クロノが頭を抱える。
隣ではシャマルがルーテシアを見ている。
するとルーテシアは自分の事を話した。
『私はずっとエリオといたよ…』
『お見舞いに来てくれてたんだ……でも、一体だれが…』一同が考えこんでしまう。
犯人がキャロを直接狙って来た以上、また狙われてしまう前になんとしても犯人を捕まえなくてはならない。
キャロは頭の中で考えを巡らせる。
(体操服が盗まれた時…教科書とノートが破られた時…体育倉庫に閉じ込められた時…爆発事件…そして今日の事……)
全ての事件を辿る。
しかし、思い当たる人物全員はそれを全て実行するのは不可能だった。
必ずどこかで不可能な場面が出て来る。
しかし、キャロは考えて考えて考えた。
そして、ヴォルテールの言葉を思い出す。
(ならば問え、全ての謎に……そう、問わなきゃ…必ずどこかに穴がある…私は………私は?)
不意にキャロが体を起こす。
『あの時……私は本当に?』
そして、拳を握り締める。
たった一つの勘違い。
それを正しく見つめた時、そこに一人の人物が浮かぶ。
信じたくない、信じたくない。
頭で繰り返す。
しかし、やはり一人しかいない。
キャロはクロノに言った。
『明日……学院関係者と警察を呼んでください……それと、お願いがあります』

会議室に学院に勤める教師や事務員、エリオやルーテシアが集まっていた。
警察官が入口を固めている。
議長席にはキャロが座っている。
『突然ごめんなさい……でもこの学院を巻き込んだ事件を解決するために協力してください』
キャロは簡潔に理由の説明をする。
『今回、爆発事件を企てた犯人がわかりました』
会議室がどよめく。
そしてキャロはゆっくりとある人物を指差した。
『犯人は……あなたです!!ルーテシア・アルピーノ!!』

第四話『からくりを暴け!!キャロ、命懸けの推理!!』
終結!

『どうして……こんなことを』

『あなたは間違っている!!』

『僕は……僕はキャロを守る騎士だっ!!』

次回、最終話!
『想いよ届け、小さな騎士』
お楽しみに!!




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目次:召喚少女リリカルキャロ
著者:◆K17zrcUAbw

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