175 男はつらいよ 1/4 sage 2008/05/04(日) 04:33:46 ID:WeG8TKZx
176 男はつらいよ 2/4 sage 2008/05/04(日) 04:34:24 ID:WeG8TKZx
177 男はつらいよ 3/4 sage 2008/05/04(日) 04:35:11 ID:WeG8TKZx
178 男はつらいよ 4/4 sage 2008/05/04(日) 04:35:54 ID:WeG8TKZx

 学院から帰ってきたヴィヴィオは、うんざりとした表情で手にした封筒をエリオに渡した。

「はい、お兄ちゃん」
「…またかい?」

 何故かびくびくしながらソレを受け取るエリオ。
 彼は今15歳となっており、フェイトの強い希望により自然保護団体での活動を続けながら
ザンクト・ヒルデ魔法学院の高等部へと通っている。それも残り数ヶ月で卒業を控えていた。

「お兄ちゃん、モテルね」
「ふーん、エリオくんそんなにモテルんだ」

 いつの間にか現れたキャロが彼の後ろから覗き込むようにして彼の手に渡った封筒を見ていた。
そこには可愛らしい丸文字で《エリオ・モンディアル様》と書かれており、ご丁寧にハートマークまで
誂えられていたのだ。

「ぅわっ!キャ、キャ、キャ…」
「何笑ってるのよ!」

 ジト目でエリオを見やるキャロ。
 エリオは額に冷たい汗が流れるのを感じ、ブンブンと首を振る。

「ち、違うよ!それよりキャロ、何時からそこに居たの?」
「ヴィヴィオから封筒を受け取ったところからだけど?」
(それ、最初からって言うんじゃ…)

 彼がザンクト・ヒルデ魔法学院へと通うようになってから既に2年が経っていたのだが、この2年間
でヴィヴィオが持ってきた彼宛のラヴレターは、なんと数千通にも及んでいた。
 しかも、彼自身も直接受け取る事もあり、それは月に換算して数十通。
 また彼の憧れのフェイト・T・ハラオウン執務官、彼女も近所の奥様がたからこれまた毎日のように
逢引の誘いの手紙を託されている。
 余談ではあるが、彼女は今出産準備の為仕事を休み、身重な身体を引っ張りながら主婦業に
専念していた。苦手な料理も15年来の親友である高町なのはや八神はやてから教わり、愛する
人の為に日々努力しているのであった。

「エリオ…」

 その時、開けっ放しになっていたドアから彼と同い年くらいの少女が顔を覗かせた。
 5年前のJS事件の際、エリオとキャロが心開かせた少女、ルーテシアだった。

「あ、ルーじゃないか、どうしたの?」

 重苦しい空気を打ち破った彼女の登場に、エリオはホッと胸を撫で下ろす。
 しかし彼女の口から出たのは、更に3人を凍りつかせたのだった。

「これ、預かってきたよ」

 ルーテシアが差し出したのは、紙袋に溢れんばかりに詰められた可愛らしい封筒の数々。
 彼女の保護観察は猶も続いてはいたが、彼女自身の人格形成に役立つだろうとエリオ達と同様に
学院に通っている。今日の彼女は学院から帰宅してすぐにメガーヌと出かけたのだが、その先々で渡さ
れたのだと言う。
 エリオは紙袋をしぶしぶといった感じで受け取ると、背後から鋭い視線が突き刺さってきた。
 恐る恐る振り向くと、そこにはまるで鬼の様な形相で睨みつけるキャロ・ル・ルシエと、5年前に訓練中
暴走したティアナ・ランスターにお仕置きを決行した教導官のような目で睨む高町ヴィヴィオの姿があった。

(はは…血は繋がらなくても親子だな)

「モテモテねぇ、エ・リ・オ・くん」
「嬉しそうだね、お・に・い・ちゃん」
「エリオ…」

 3人の少女に詰め寄られ、後ずさりするエリオが何かに躓き尻餅をついたと同時に、その“何か”の中身
が散乱してしまう。
 思わず手に取った少女達は、そこに描かれていたモノに一瞬言葉を失うが、程なくしてわなわなと震えだ
すと3人同様に腰に手を当て、先程より更に(当社費1.5倍)目を吊り上げたのだった。

「あ!そ、それは…」

 それはプリクラ程の大きさもあれば、L版や葉書サイズ、はたまたポスター大に引き伸ばされた写真であった。
問題はそこに写っていたモノ。それらは彼に送られてくる逢引のお誘いの手紙に同封されていたもので、世間
一般で言われる処の“熟女”達があられもない姿で写っていたのだ。
 彼の名誉の為に、もう一度言っておこう。
 それらは彼に送られて来たモノであり、決して彼から所望したものでは無いという事を。

「ねぇ、エリオくん。こんな年増なんかより、わたし達の方がいいわよね」
「そうよ、こんな小母さんみたいに垂れてないもの」
「……」

 15歳になり、女性らしい丸みに帯びた身体のキャロ。
 10歳になり、第二次性徴期真っ只中であり、特に胸部の発育に目を見張るものがあるヴィヴィオ。
 14歳になっては居たが、出会った頃と何ら変わりのない小ぶりな膨らみながらも、表情には大人顔負けの
艶っぽさをもち始めたルーテシア。

 そんな3人に言い寄られ、思わずゴクリと唾を飲み込むエリオを見て、少女達は満足そうに頷いた。

「…で、僕にどうしろと」

 エリオは頬を強張らせながら、何とか声を絞り出すと彼女達に尋ねた。
 返って来たのは、彼が思った通りの答えだった。

「「「しよ♪」」」






 数時間後、エリオの部屋には精も根も尽き果てたといった感じにげっそりとした部屋の主と、つやつやの肌
を隠そうともせず満足気に微笑みながら眠りに就く3人の少女の姿が確認された。

「ふぅ…」

 彼女たちの寝顔を見渡しエリオが溜息を吐いたその時、部屋のドアが開かれたかと思うと、奥から2人の女
性が現れた。
 そう、彼の母でもあり…でもあるフェイト・T・ハラオウンと、ヴィヴィオの母高町なのはだった。

「エリオ、今晩何が食べた…」

 言いながら入って来たフェイトが目にしたモノは、果たして行為の後をあからさまに匂わす彼等の姿だった。

「どうしたの、フェイトちゃ…ヴィヴィオ!」

 突如として言葉を失った親友を不審に思ったなのはだったが、彼女も室内の状況を見て言葉を失った。
 それから時間にしておよそ1分。正気を取り戻したフェイトは、頬にひとすじの痕を描いていた。

「ひ、ひどいよエリオ…」
「フェイトさん」
「もうじきこの子も生まれるのに…」

 隣で漸く気を取り戻した親友の胸に顔を埋め、さめざめと泣くフェイト。
 彼女のお腹の子はエリオの子供であった。
 昨年、思いの丈を打ち明けたエリオは母でもあるフェイトとそういう関係へと発展していたのだった。
 だが、フェイトはエリオの保護責任者である。
 この真実をしるのは、事の当事者でもあるフェイトとエリオ、そしてなのはの3人だけであった。
 そんな彼女の肩を優しく抱きしめながら、管理局の白き魔王は搾り出すように声を紡ぐ。

「エリオ、どういう事か説明してくれるかな?」
「えっと、その、これは…」
「ヴィヴィオにまで手を出していたなんて…」
「ま、待って下さいなのはさん」
「すこし頭冷やそうか」







 翌日、全身を包帯に覆われた状態で無限書庫を訪れたエリオは、時を遡る事の出来るロストロギアの
存在を知る。
 過去の自分(特にフェイトと関係を持った以降)をやり直したく思った彼は、ソレを探す旅に出る決心をし
たのだが、それはまた別のお話。


〜END〜



著者:ツンデレ王子

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