134 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:40:34 ID:86EQo8jE
135 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:41:14 ID:86EQo8jE
136 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:42:03 ID:86EQo8jE
137 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:42:58 ID:86EQo8jE
138 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:44:35 ID:86EQo8jE
139 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:45:25 ID:86EQo8jE
140 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:46:26 ID:86EQo8jE
141 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:47:18 ID:86EQo8jE
142 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:48:53 ID:86EQo8jE
143 名前:伴侶と子供と[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:50:25 ID:86EQo8jE

「ほーらクロノ、たかいたかーい」

 寝そべったクライドが、両腕を高く上げた。
 その手に抱かれているのは、愛息のクロノ。まだ生まれて一ヶ月と経っていないが、浮遊感が楽しいの
かきゃはきゃはと笑って喜んでいる。それを見て、クライドがクロノに負けないぐらい満面の笑みを浮か
べた。
 その様子を、リンディは夕ご飯の支度をしながら眺めていた。

「赤ちゃんって本当に可愛いなあ。どうしてこんなに可愛いんだろうな、リンディ?」
「……そうね。私とあなたの子供だからじゃないかしら」
「なるほど」

 曖昧かつ適当にした返答にも、クライドはやたら感心して何度も頷いていた。
 自分の声がひどく硬かったのが、リンディには嫌というほど分かった。表情もあまり浮かないものになっ
ている。
 目線を手元に戻すが、夫とクロノのはしゃぐ声が聞こえると無意識のうちに顔を上げてしまう。おかげ
で食事の準備はほとんど進まない。

「つっ……!」

 指先に僅かな痛みを覚える。よそ見しながら魚を捌いていたせいで、包丁が指を掠っていた。
 幸い皮一枚切っただけだが、血がじんわりとにじんでくる。指を口元へ運びながらもう一度クライドを
見るが、夫はクロノとにらめっこ始めており全く気づいた様子は無い。
 出産前まではこうではなかった。リンディの小さく悲鳴を上げた時点で飛んできて、大慌てで治癒魔法
をかけてくれただろう。
 仕方なく自分で指をしゃぶれば、鉄錆の嫌な味がした。
 血は止まったが舌に残る味を忘れるようにリンディは、声を出してクライドを呼んだ。

「あなた、そろそろクロノが眠くなる時間だから」
「ん、もうそんな時間か。遊んでると時間が経つのが早いな。じゃあおやすみクロノ」
「あー」

 クライドの言葉に反応したクロノが嬉しかったのか、またクライドは相好を崩しながらリンディにクロ
ノを手渡した。
 ベビーベッドのある自室へクロノを運んでやるリンディだが、寝かせもせずじっと顔を見つめる。
 そのままおもむろに、クロノのほっぺたを軽く捻った。
 本当に触れるのと大差ない程度の力しかこめなかったのだが、赤子のとんでもなく柔らかい頬にはそれ
でも痛かったのか、クロノの眼の端にあっという間に涙が盛り上がってきた。

「ふぇっ……。ふぇぇぇん……!」
「ご、ごめんなさいクロノ!」

 慌ててあやすリンディだが、クロノはぐずぐずと泣き止まない。おっぱいを口に含ませて、ようやく涙
が止まった。
 ふぅとため息をついてリンディは呟く。

「…………なにやってるのかしら私」

 リンディも、クライドに負けない程の愛情を息子に抱いている。もしクロノに危害を加えるものが現れ
たとしたら、身命を賭して守るだろう。
 だがその一方で、リンディは間違いなくクロノに嫉妬していた。
 恋人同士になってからこれまでの時間、クライドの心の大半を占めてきたのはリンディただ一人である。
 しかし息子が生まれてからこちら、クライドはクロノにかまってばかりだった。
 そのことに、時折強い不満を感じている自分がいた。
 抓って泣かせてしまったことを反省しつつも、ついついクロノのほっぺたをリンディはぷにぷにと突っ
ついてしまう。
 しかし息子は母の胸中など全く知らぬふうに、おっぱいを飲むだけ飲むと乳首を咥えたまますやすやと
眠ってしまった。

「はぁ……。子供を産んで一ヶ月なのにこんなで、私これからお母さんやっていけるのかしら……」

 頭を振ってリンディはベッドにクロノを横たえ布団をかけてやる。
 もやもやした気分もクライドと夕食を食べながらしゃべっていれば晴れるだろう、と思いながら部屋を
出た時だった。
 いきなり腕が引っ張られたかと思うと、強く抱きしめられる。
 驚きの声を上げる隙もなく、唇が唇で塞がれた。

「んんんっ!?」

 反射的に暴れようとしたが、至近距離にあるのが夫の顔だと気づく。突き飛ばそうとした腕は止まった
が、今度は全身が硬直してしまう。
 その間にもクライドの舌がリンディの舌を絡め取り、自分の唾液でリンディの口の中を汚していく。
 一分以上経ってから唇は離れたが、顔の近さはそのままでクライドは微笑んだ。

「ごめんリンディ。最近クロノのことばっかりかまってて、寂しい思いさせて」
「わ、私は別に……」
「ごまかさなくていい。俺には分かるよ。だって、リンディの夫なんだから」

 今度は頬に口づけが降ってくる。柔らかい感触に、続けようとしていたリンディの反論は熱い吐息に変
わってしまった。

「それに、俺もクロノに嫉妬してたんだよ」
「え?」
「だって、リンディに抱きしめられるのも頬ずりされるのもキスされるのも、これまでずっと俺一人の特
権だったんだから」

 その一言で、やっぱり夫も何も変わらず愛していてくれたのだとリンディは悟る。胸にあった不満や不
安が嘘のように晴れた。
 もう一度クライドの唇が、リンディの唇に戻ってくる。今度はリンディの方から積極的に舌を絡めていっ
た。

「息子を本気で羨ましがるなんて、駄目な父親と母親だな」
「そうね。……だったら」

 一瞬だけ下拵え中の食材を思い出したが、すぐにリンディは頭から消して自分から顔をクライドに近づ
けていく。

「今晩は駄目なままで、クロノのこと完全に忘れちゃいましょうか?」

 返答は聞くまでもない。クライドの唇が上がってきて、情熱的なキスで応えてくれた。

          ※



「ああっ……ちゅっ、んん…………クライドぉ……」

 場所をクライドの寝室に変え、身につけていた物の一切を脱ぎ捨てた二人は、舌だけでなく全身で絡み
合っていた。
 つよくクライドの背中を抱きしめるリンディだが、温もりがいまいち伝わってこない。クライドが上半
身を浮かせて、僅かな隙間をリンディとの間に作っているのだ。
 なぜだろうと考えるリンディはすぐに思い当たることがあった。
 出産後にセックスをするのはこれが三回目だが、最初にした時にクライドは母乳が出るようになったリ
ンディの胸を触らないようにすると言ったのだ。
 リンディも成人男性の力で吸ったり搾られたりすればどうなるかが少し不安だったので頷いたが、今晩
はそんな不安は無かった。
 リンディの身体はそれこそ秘所から脇下、足裏、そして尻穴にいたるまでも全てクライドの舌で味わい
尽くされている。
 ならば、今の時期だけ身体から出る液体も存分に味わってもらいたい。

「ねえクライド、私のおっぱい飲んでみないかしら?」

 リンディの首筋に舌を這わせていたクライドがぴたりと止まる。
 けっこうな時間迷った様子を見せてからクライドは口を開いた。

「…………正直に言えば、飲みたいよ。けどリンディのおっぱいは本来クロノのものなんだし」
「そうは言うけど、本当はクロノが私のおっぱい飲んでるの見て羨ましかったんじゃないの?」

 図星だったのか、クライドは横を向いて恥ずかしそうに頬をかく。

「それに……今晩はクロノのこと忘れるんでしょう?」

 微笑みながら、リンディはクライドの頭を胸元へ抱き寄せた。母乳をたたえたことでさらにボリューム
を増したリンディの乳房は、完全にクライドの顔面を埋もれさせてしまう。

「ほら、この中身、飲みたくないかしら?」

 押しつけたまま軽く身体を揺らせて、迷っている夫の背中を押す。
 ちらりと上目遣いになったクライドと視線が交わった。それだけでリンディは夫が乗り気になったこと
を知り、いっそう笑みを深めながら腕の拘束を緩める。
 頭が自由になったクライドの口が、乳首に吸いつく。
 しかし吸われる力はひどく弱く、クライドの唇を湿らせる程度しか母乳は出ていない。

「あんっ……遠慮しなくてもいいのに……」

 不満を見せるリンディだがクライドの吸う量は変わらず、三口分ぐらいを口にしただけで離れてしまっ
た。

「美味しくなかったかしら?」
「まさか。リンディのおっぱいならいくらでも飲めるよ。けど一気に飲むのが惜しいんだ。それにさ、俺
ばっかりっていうのも悪いから」

 リンディを跨いだ状態でクライドが立ち上がる。

「今度は交代で、リンディに飲ませてあげるよ」

 猛々しく屹立した肉棒が近づいてくる。鼻腔を刺す生々しい匂いにうっとりしながら、リンディは口を
開いて一気の喉奥までクライドを受け入れた。
 こうやって上から口の中に突き入れられた状態で奉仕するのが、リンディは好きだった。クライドが深
く奥まで入ってきてくれる。

「ちゅぷ……ちぅ…………んふぅん……」

 頭を激しく動かし唾を垂らしながら夫に快感を与えるべく情熱的に動くリンディを見て頬を緩ませてい
たクライドだが、ふっとほんの僅かに眼を細めて言った。

「そうだリンディ。自分のおっぱい飲んでみないか?」
「ふひゅっ!?」

 いきなりな提案に、肉棒を咥えたまま眼を丸くするリンディ。
 いくら愛しい夫の提案だろうが、自分の分泌物を自分で飲むというのには抵抗があったが、リンディに
構わずクライドは乳房に手を当てる。

「ほら、こうやったら吸えるだろう」

 下乳が持ち上げられ、右胸の形がたゆんと歪む。天を向いた乳首は、唇のほんの数センチ先にあった。

「味は俺が保障するよ。ほら、吸ってみて」

 指に力が加えられ、母乳がぴゅっと飛沫いて顔にかかった。頬にかかった一滴が垂れて、唇の隙間から
入り込み、喉を通っていった。
 ほんの数瞬だけ舌に感じた甘味。それで、リンディの抵抗は一気に無くなった。
 口の中に入りっぱなしの性器が喉を突くのも構わず、リンディは自分の乳首に吸いついて音高く乳をす
すった。

「そうそうそんな感じ。どうせだからこっちも」

 逆の胸も同じようにされ、口の中が三つの突起でいっぱいになる。呼吸が苦しくなりながらも、リンディ
は頬を喜色に染めながら喉を鳴らして飲み干し続けた。
 とくとくと溢れ出していた苦味のある先走りと甘ったるい乳が混ざって、なんとも形容し難い味となる。
だが、一口飲む度に胸が幸せに満ち溢れる。
 枯れるまで飲み続けたかったが、流石に肺活量に限界が訪れてリンディは一度口から全てを抜いた。

「はぁ……あはぁ……あなたの言うとおりね。私のおっぱい凄く美味しいわ」

 息を整えつつ、いつのまにかクライドが離していた乳房を自分で持ち上げたリンディは、母乳を絞って
はクライドの肉棒にまぶしていき、滴るぐらいになれば舌で舐め取っていく。

「こうやってもあなたのおちんちんとおっぱいの味が混ざって、美味しいわ。次は、あなたのミルクと一
緒に飲ませて、ね」

 再び亀頭と乳首を口に含んだリンディだが、今度はひたすら吸うことはしない。
 先端の括れを乳首で弄くりつつ、鈴口を舌で突っつく。かと思えば一気に飲み込んで喉肉で擦りたてた
りもしつつ甘噛んだ。

「あぐっ……くぅぅ……」

 クライドの声が呻きに近くなり、先端が膨れ上がってきた。
 限界を見て取ったリンディは、最後の堰を壊すべく舌を巻きつけ一気にずるりと引き抜いた。

「リンディ、出るっ!」

 溜まりに溜まった精液が食道へ向かって放たれる。舌の上に止める暇さえ無い勢いだった。

「んぐぅ……たっぷり出たわね。こんなに粘ついているわ」

 口の中に僅かに残った残滓を慎重に舌で集めて手の平に垂らした。さらにその上から母乳をかけては、
舌で舐める。
 母乳の甘さを舐め取ると、先走りとは比べ物にならない濃ゆい精液の味が舌に広がり、変態的な行為の
羞恥心を感じさせないぐらいリンディを陶酔させた。

「ふふふ、本当に、一度で飲んでしまうのはもったいないわ」

 クライドにもよく見えるようにしながら、手の平ので作った窪みに溜めた二種類の白濁液を、リンディ
は惜しみ惜しみ飲んでいく。
 わざと舌だけ出して淫卑に舐め取れば、放出して少し萎えていたクライドの男根が、みるみる大きくな
る。

「これならもう一回飲ませてもらえそうね。でも今度はあなたが飲む番かしら」
「どうせなら一緒にしよう。口かそれともあそこに飲ませてあげるのか、どっちがいい」
「……そうね。どっちにしましょうか」

 考えるふりをしながらも、リンディの心は決まっていた。
 すっかりぐしょぐしょになった場所は、愛液だけでなく疼きも発している。上の口ではなく下にある口、
正確には一段奥まった場所にある口へたっぷり注いで欲しい。

「やっぱりあそこかな」

 答えるより早く、リンディの眼の色だけで察した夫は腰をリンディの胸元から下半身へと移動させる。
 リンディも、腿を開いて秘所を晒した。

「来て、クライド」

 顎を引いてクライドは頷き、一秒の間もなく逞しい男の象徴が潜り込んできた。

「あふ、ぁあんっ!!」

 突き入れられる瞬間が、リンディは好きだった。馴染んでいるはずなのに、指や器具では絶対に無理な
痛烈すぎる快感が、頭のてっぺんまでも突き刺さる。
 うねるようにリンディの膣を抉りながら、クライドは乳房を吸いついてくる。
 こんな時でもクライドは優しく、さっきと変わらぬ弱さでしか胸を吸おうとしない。それでも、一滴吸
われただけでリンディの身体は肉の悦びにくねった。
 母乳を吸われながら交わるという初めての行為に、神経の伝えてくる情報が全て官能に直結してしまう。
少し敏感な部分を亀頭で擦られただけで、リンディは全身を痙攣させて達した。
 イッたのを感じたクライドが一度動きを緩めるが、それでも断続的に波が来てリンディの身体の震えは
止まらない。止めるには、もっと強い快感をもらう意外に無かった。

「もっとぉ! もっとしてぇ!!」

 学生時代に交わりを持ってから数年。リンディの身体は、クライドを悦ばせるための術を何十通りと覚
えこんでいた。
 だが、膣を締めることも、自分から腰を突き上げることも、クライドの陰嚢を指で転がすこともせず、
リンディはひたすら受身で喘ぐだけだった。
 何をするよりも、こうしてただひたすらに貫かれるのが一番クライドを感じられる。

「愛してるよリンディ」

 腰を止めぬまま、耳元でクライドが囁く。

「クロノと君。僕の世界で誰よりも、次元世界よりも大切な二人だ」

 愛の囁きを聞くうちに、硬く太いはずの肉棒が身体の中で溶けていくような錯覚をリンディは覚えた。
クライドが溶けてリンディの全身に広がっていき、女性の一番大事な部分に集まろうとしている。

「頂戴! クライドの精液私の子宮に頂戴!!」
「ああ全部、リンディに全部出してあげるよ!」
「あ…もう…………イク、イッちゃ……うああんんんん!!」

 熱く激しく、子種が注がれる。
 女として最大の幸福に、リンディは浸りきった。



          ※



「ほーらクロノ君、いないいないばあっ!」
「うえええん!!」
「…………どうしてこの子、私には全然懐いてくれないのかしら」
「お酒の匂いが嫌なんじゃない?」
「染みつかせるほど飲んじゃいないわ」

 憮然としているレティから、リンディは泣いているクロノを受け取った。
 リンディが軽く数回揺らしてあやすだけでクロノはぴたりと泣き止むのを見て、いっそうレティは面白
くなさそうな顔をする。

「……まあ、私じゃなくてあなたの息子だからね。それにしてもリンディ、あなた子供産んでから変わっ
たわね」
「そうかしら?」
「前はクライドといつでもどこでも馬鹿ップルだったけど、最近ちょっと節度が出てきたわよ」
「そう言われればそうかもしれないわね。分かったのよ」
「なにが?」
「くっついたりご飯を食べさせあったりキスしたりしなくても、クライドはいつだって私のことを一番に
考えてくれてるってね」
「…………訂正。何も変わってないわ。どうやったって惚気に行き着くわけね」
「それともう一つ。私はクライドと同じぐらい、クロノのことが大好きだっていうこと」
「やっぱり赤ちゃんって可愛い?」
「当たり前よ。私とクライドの子供なんだから。ええ、私の人生最大の幸せは、あの人と出会えたことと、
この子が今ここにいることよ」

 リンディはありったけの愛情を込めてクロノのほっぺたにキスしてあげる。

「生まれてきてくれてありがとう、クロノ」



          終わり


          おまけその一「新暦〇〇七七年 クロノ・ハラオウン宅にて」



 ちゅぅっという音と、液体が喉を通る時の音。そして自分のかすかな喘ぎ声だけが、フェイトの耳には
入ってきた。

「ふうぁぁ……」

 うなじの辺りに集まった快感が、背骨を伝って降りていく。いつもとは逆の昂り方に、フェイトぶるり
と身震いした。
 赤子を出産し、生物の摂理に従って母乳が出る肉体にとなったフェイト。しかし夜の夫婦の時間、母乳
を飲んでいるのは息子のクロードではなく、夫のクロノだった。
 そしてクロノに乳房を吸われると、フェイトの内側で母でも妻でもない純粋な女の部分がかき立てられ、
否応なく官能が高まっていく。
 片方を飲み終えたクロノが、反対側の乳房も吸いだす。だがそちらもすぐに途切れてしまう。
 息子を産んでから早数ヶ月。フェイトの身体から出る乳の量はだんだんと少なくなっていた。
 名残惜しそうに、クロノは乳房を丹念に揉みしだいては出てくる吸い残しを舐め取っている。
 息子に授乳する時と同じようにクロノの頭を撫でつつ、クロードには絶対に見せない淫らな表情でフェ
イトは囁いた。

「ふふ、残念だねクロノ。せっかくクロードが離乳食だけになったからクロノが全部飲めるようになった
のに」
「残念なのは君もだろう? 母乳を吸われて気持ちよくなれなくなるんだから」

 クロノの指がフェイトの秘裂をついっと撫で上げ、眼前に持ってくる。指に絡んだ蜜は、透明ではなく
うっすらと白い色になっていた。
 ベッドに入ってからクロノに受けた愛撫は、キスと胸を吸われただけ。それなのに、フェイトの身体は
完全にクロノを受け入れる準備が出来上がっていた。
 淫乱である証拠を見せつけられたようなものだが、フェイトは恥ずかしがるどころか逆に眼の奥の艶を
増しながら自分もクロノの肉棒へ、そっと手を伸ばす。
 クロノの先端も、フェイトに負けないぐらい濡れている。ねとつく先走りを肉棒に塗布していきながら
フェイトは言った。

「そうだけど、クロノが頑張ってもう一人作ってくれたら、またこういうことができるんだよ」

 フェイトの言葉に、クロノは顔から肉欲を消して優しくそうだな、と同意してくれた。フェイトも一度
にこりと笑って、性器の先端を女陰に導く。
 交わりで気持ちよくなるのも確かに嬉しいが、愛しい人の子供を産むのはもっと嬉しい。
 ゆっくりと二人は繋がり、新たな生命を育む行為に没頭した。



          まだ続く


          おまけその二「新暦〇〇九七年 クロード・ハラオウン宅にて」



「ちょ、ちょっとお姉ちゃん、そんなに注がれても飲めないよぅ」
「まだ二杯目だよ。本当にお酒弱いんだから。そんなのだと、宴会とかに出席しなくちゃいけなくなった
時に大変だよ」
「ビール二本は飲めるようになったよ」
「瓶じゃなくて缶で、でしょ」

 ユーナ・T・ハラオウンの対面に座ってからかいながら酒を注いでくるのは、姉のヴィヴィオ・T・ス
クライアである。
 最近一人暮らしを始めたヴィヴィオだが、仕事後に一人でする食事は侘しいとかで実家やユーナの新婚
宅にけっこうな頻度でやってくる。
 ちなみに今晩、ユーナの夫であるクロード・T・ハラオウンと、同居人の人狼のロウはいない。両方と
も今は次元の海の彼方で仕事中だ。ただ今邸内にいるのは、ユーナとヴィヴィオ、そしてユーナの部屋で
寝ている最近生まれたばかりである娘のクロナだけである。

(ご飯出すのはいいけど、お酒に付き合わされるのは勘弁してほしいなぁ)

 教導隊は体育会系なところがあり、日頃のハードスケジュールの鬱憤晴らしとばかりに酒飲みが多い。
ヴィヴィオも教導隊入りした頃から母の目をかすめて飲んでいた口であり、立派な酒豪に育ってしまった。
ウィスキーを一本空けてけろっとしているレベルである。
 ちなみにユーナは初めて酒を飲んだ時の記憶は、ビール一口飲んだところから半日分がきれいさっぱり
消えており、起きたら顔中に落書きされていた。その犯人は今現在、目の前で笑いながらユーナのグラス
に炭酸水を入れて勝手にソーダ割りを作っている。
 一杯目を飲んだ時点ですでにユーナのアルコール摂取量は限界だったのだが、差し出されるとついつい
断れずに飲んでしまう。
 グラス半分飲んだところで、自分でもはっきり分かるぐらいユーナは酔っ払ってしまった。くらくら揺
れだした視線で姉の身体を見て、ユーナは普段から思っていたことをぼそりと呟いた。

「お姉ちゃんはいいなぁ。胸が大きくて……」
「そんなにいいものじゃないと思うけど。近接戦闘の時とか邪魔になるし」
「私みたいなぺったんこよりはずっといいよ」

 ユーナは首を九十度下に傾ける。眼に入るのは大平原と申し訳程度にある丘であり、自分のへその部分
がいともたやすく見えてしまった。ヴィヴィオが同じことをやったら、間違いなく二つのご立派な山脈に
視界が阻まれるだろう。
 このちっとも育ってくれない胸を、ユーナは子供の頃から大いに気にしていた。特に結婚後は、旦那の
家族は母も祖母も使い魔もおっぱいがいっぱいな人々ばかりなので、なおさら落ちこみ安くなっている。

「やっぱり胸が大きいと、おっぱいもたくさん出るんだよね」
「へ? そんな話聞いたことは……」
「そしたらクロード君の分だけじゃなくてクロナの分もあったのになぁ」
「ちょ、ちょっとユーナ、なに言って……」
「美味しい美味しいって言って全部飲んじゃうんだから」

 いつもは自分にとことん優しいくせに、ベッドの上では豹変して意地悪く荒々しくなる夫の愚痴を口ず
さむユーナ。
 まあ、ユーナも激しい方が好みだからそれはそれでいいのだが。

「でも、この間着たスクール水着は胸が無い方が似合うってクロード君大喜びしてくれたし」
「…………」
「今度フェイトさんが昔着てたバリアジャケットを着てしようかな。あれちょっとスクール水着に似てる
よね」
「…………」
「でもクロード君マザコンなところあるし逆効果に……ふへぅっ!?」

 いきなり顔を挟まれたかと思うと、頬の肉がぐいっと引き伸ばされ激痛が走る。
 引っ張っているのはもちろん、額に太っとい癇筋浮かべている姉だった。

「い、いふぁいいふぁいおねえひゃん!!」
「お姉ちゃんがまだ独り身なのを知ってるのに堂々とのろけるのはこの口かなー?」
「のびりゅ!! ほっぺのびひゃうから!!」
「母乳プレイとかイメクラもどきの変態なことする淫獣二世に育てた覚えはないんだけどなー?」
「へ、変態でも淫獣でもないよ!」

 なんとか姉の手を振り払ったユーナは反論する。

「クロード君だって、女の子はちょっとエッチな方が可愛いって言ってくれてる!」
「あんなユーナ限定女たらしの言うこと信じちゃだめ!!」
「だいたいお姉ちゃんにいい人ができないのは、厳しすぎる教導やって怖がられてるからだよ!」
「どこが!? ママより全然優しくしてるよ!!」
「普通の魔導師の人はアクセルシューター二十発も避けれないの!」

 姉妹の言い争いは、おしめが濡れた気持ち悪さで目覚めた娘が泣き出すまで続いた。



          ※



 次元航行部隊のクルーは航海が終了すると、一部の例外を除いて数日間の休暇がもらえる。長期間、見
慣れすぎた艦内で暮らさざるをえなかったクルー達は、皆が皆保釈日を迎えた囚人のような顔をしてグラ
ナガンへと繰り出していく。
 八神トウヤもそれらの群れに混じりたかったが、浮世の義理というものがあった。今のトウヤは、ひた
すら気だるい表情を浮かべながら本局内訓練所の隅っこで煙草をふかしていた。

「…………本当にあの馬鹿は懲りねえよなあ。何回目だよ?」

 最初がユーナの妊娠がばれた時だから、と指折り数えつつ上空を見上げれば、訓練所の空はホログラム
装置を作動させていないのに実に色とりどりな光に満ち溢れていた。七色の魔力弾が複雑な軌道で飛び交っ
たかと思えば、天空に描かれる虹を思わせる極太の集束砲がぶっ放される。
 やがて空の一角から、人影が落下していた。素早くトウヤは駆け寄って地面に激突する寸前で抱きとめ
た。
 腕の中でのびているのは、トウヤの親友であり、自他共に認める『ハラオウンの犬』ことロウだった。
 腰まであるロングストレートの美しい白髪は一部焦げて縮れており普段の面影はなく、手足はびくびく
と痙攣している。

「ディバインバスター二発まで耐えたか。お前はよくがんばった」

 完全に眼を回している守護獣見習いを背中に背負ってやるトウヤ。もちろんその時に、しっかり胸を揉
んでおくのも忘れない。

(……88……いや、89のD。ついにアルフと同サイズまできたか)

 ロウとアルフに血縁関係は無いが、母親に劣らぬ見事なスタイルに育った。特に胸周り。やはり絆は血
よりも濃い。
 おまけにロウは使い魔ではないので魔力消費を抑えるためにぺったんこ幼女になることはない。極めつ
けに、頭さえ下げればいくらでも揉ませてくれる。なんとも素晴らしい。
 俺は良い友人に恵まれたと感動しつつ、目的を果たして出口へ向かおうとするトウヤの前に、もう一つ
ぼとりと落ちてきた物体があった。
 普段から黒づくめの格好だが、今日は焼け焦げ痕がついていっそう真っ黒けになったクロードだった。
よたよたと手が伸ばされる。

「ぼ……ぼくも……たすけてくれ……」
「やなこった。どうせいつもどおり、ユーナにエロイことしてたのがばれたんだろ? 今回はユーノさん
がいないだけましだと思ってボコられとけ」
「この……はくじょうものぉ……」

 力尽きたのか手が落ちた。そしてそれが合図だったかのように、天からもう一人黒いバリアジャケット
を纏った魔導師が降りてくる。
 ただしこちらの髪の毛はクロードと違って亜麻色で、なおかつ一切無傷だった。口元に魔王の如き笑み
を浮かべカートリッジを全弾ロードしているその人物に、トウヤは恐る恐る声をかけた。

「あー、ヴィヴィオさん。そこの自業自得なエロードはどうでもいいですけど、こいつは見逃してやって
くれません? ほら、こいつ父親に似て体は忠義で出来ているところがあるから……」
「ふふふふふ、まだだよクロード君……ユーナにどんないやらしいことしてるか、全部お話聞かせてもら
うから……!!」
「俺のお話聞く気はないんですね。わかります」

 とばっちりを食らう前に、トウヤはとっとと逃げ出す。途中で振り向くと、ヴィヴィオのデバイスの先
にクロードが引っ掛けられているのが見えた。これから起こる惨劇が容易く予想できる光景に一瞬だけ助
けてやろうかと思ったが、友情より恐怖が勝ったため引き返すことはなかった。

「シャマ姉うちにいるかな」
「全力全開!! 零距離スターライトブレイカーーーー!!!!」
「……ついでに三日ぐらい絶対安静の診断でも出してもらってうちに泊めるか。その方がザフィーラも喜
ぶだろう」

 背後から聞こえてきた死刑宣告もそれに続く轟音も一切合財無視して、トウヤはようやっと実家へ帰る
のだった。



          今度こそ終わり


著者:サイヒ

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