[5] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:39:08 ID:iDw0YT6E
[7] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:40:51 ID:iDw0YT6E
[8] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:42:16 ID:iDw0YT6E
[9] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:44:03 ID:iDw0YT6E
[10] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:45:41 ID:iDw0YT6E
[11] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:47:07 ID:iDw0YT6E
[12] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:48:52 ID:iDw0YT6E
[13] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:50:32 ID:iDw0YT6E
[14] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:51:53 ID:iDw0YT6E
[15] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:53:16 ID:iDw0YT6E
[16] 別離の前に sage 2007/10/30(火) 17:54:50 ID:iDw0YT6E

 いつもする時のように、キスで始める。
 一度目はクロノだけの、二度目はフェイトだけのキス。三度目は、二人でするキス。その気持ちよ
さは、前二回とは比べ物にならない。
 柔らかい舌同士がぶつかりあってとめどなく形を変え、絡み合う。
 そうしながら自分の唾液を彼の口に送り込む。同時に、向こうからも伝えられてくる彼の唾液。大
半は零れてしまうが、わずかに口に入ってくる分は鮮烈に味覚を刺激する。
 息の続く限りいつまでも続けたい口づけは、意外なことで中断された。
 フェイトの膝がかくりと折れ、無理やり唇が離れてしまったのだ。
「あれ?」
 膝に力を入れて立とうとするが、骨が抜けたように真っ直ぐに伸びない。  
 信じられないことだが、口づけの気持ちよさに腰が抜けたらしい。
「ご、ごめん、今立つから」
 なんとかしようとするが、焦れど腰から下は言う事を聞かない。腕をついて身体を持ち上げては転
びかけることの繰り返しである。
 無性に恥ずかしくて赤面するフェイトだがあることに気づいた時、赤面の意味が変わった。
 床にぺたりと腰を落とした体勢のフェイト。ならばその目の前に来るのは、クロノの股間である。
ズボン越しにもわかるほど、そこは固く勃ち上がっていた。
(キスだけで、こんなになってるんだ……)
 一種感動じみた驚きでついまじまじと見つめているうちに、頭に甦ったのは寝ているクロノに色々
していた先刻の自分である。
 最後にしようとしていたのは、クロノの男根を露出させることだった。もしクロノが目覚めなけれ
ば、それから自分はなにをしていたのか。
 いつまでも立たないフェイトをみかねたのか、クロノが手を伸ばして抱き上げようとした。
「……待って」
 その手を、フェイトは制止する。
「口でやらせてもらっていいクロノ?」
「口でって……」
 クロノが微妙な表情を浮かべる。
 今までも二回口でしたことはある。
 最初にやった時は本当にただ口に入れて舐めることしかできず、クロノに無理を言って射精するま
でやらせてもらったが、かかった時間は三十分以上でありクロノもそこまで気持ち良さそうではなかっ
た。
 二度目はクロノに色々と指示されながらそのとおりにしたので時間は大幅に短縮されたが、それで
も出た白濁液の量と表情などから本番の快感からはほど遠いものだと知れた。
 クロノの顔はその二回を思い出し、薄めの快感よりは回数は少なくても濃密な交わりをしたいとい
う気持ちの表れだろう。
 フェイトもあれからそういう書籍を読んで新しい知識を仕入れたわけでもないので、技術が上がっ
てるとは自分でも思っていない。
 それでもしたいと思ったのは、さっきの記憶を思い出すことで口寂しくなったことと、破廉恥なこ
とをした自分を受け入れてくれたクロノに、少しでもお礼の奉仕をしてあげたかったからだった。
「気持ちよくなかったら、言ってくれたらすぐ止めるから……駄目?」
 上目遣いで頼むフェイト。
 結局、クロノは頷いてくれた。
 ジッパーに手をかける。下ろしていきトランクスの前を開ければ、バネ仕掛けのように男根が飛び
出た。
 その勢いに一瞬ひるみそうになるが、大きく息を吸って鼓動を落ち着ける。
 これまでの二回が上手くいかなかった原因は怯えにある、とフェイトは見ている。
 性器を口に含むというのはどうしても抵抗があり、おずおずと言われたとおりのことをするだけで
あった。
 自分の女陰がクロノの口や舌で愛撫される時のことからすれば、多少激しい方が気持ちいいに決まっ
ている。
(……よし)
 フェイトは意を決し、一気に幹の半分までを飲み込んだ。
「うっ……」
 まさかいきなり大胆なことをするとは予測していなかったのか、クロノの口から微かな声が漏れ、
陰茎が振動し舌を叩く。
 口から出したくなるのを必死で我慢し、逆に亀頭に舌を這わせる。ここを舐められるのが気持ちい
い、とクロノは言っていた。
 すぐに、苦味の強い液体が流れ出してくる。先っぽはまずはこれぐらいでいいと判断し、一度口か
ら出して今度は根元から上に向って舐めていく。幹の裏側。ここも気持ち良かったはずだ。
 亀頭に到達しもう一度口に入れようとしたところで、単純なことに気づく。
(なにも一つずつやらなくてもいいんだ)
 舌を逆戻りさせる。そうしながら、指で先端の割れ目を押した。
「くぅっ!」
 今度は、はっきりとクロノが呻いた。
「痛かったの?」
「……違う。もうちょっと強くてもいいから、そうやって先っぽを弄りながら舐めてくれ」
 クロノの言葉はフェイトに教える口調ではなく、リクエストであった。
 確実に感じてくれているということで、フェイトは嬉しくなる。
 ぐにぐにと指で圧迫しながら、竿全体を満遍なく唾液で濡らす。
 それが終われば、舌と指を交代。手で摩擦係数が小さくなった陰茎を、グラインドさせる。
 口の方はもう一度舌を使っておうかと思ったが、そろそろ変化をつけた方がよさそうだった。
 何かに当てて擦ればいいのは分かる。しかし喉に当てれば咽てしまう。どうしようかちょっと迷い、
上顎の天井で擦ってみた。
 必然的に顔が上向きになり、恋人の顔が視界に入る。
(あ……)
 クロノはしっかりと眼を閉じ、唇を噛んで耐えている。性交中に何度も見ている、射精を我慢して
いる時の顔だった。
 フェイトが過去に口でした時は、こんな顔は見せなかった。
 女性であれば自然に備わっている膣ではなく、口と手で快感を引き出せたことが誇らしい。
 もっとクロノを感じさせたい。本当に我慢できずに、熱い滾りを吐き出させたい。
 なにか出来ることはないかと探すフェイトの眼に止まったのは、根元には皺まみれの袋が二つぶら
下がっている。
 これについてはクロノから何も聞いてない。しかし精子を産出する場所だから、やっぱり触ったら
気持ちいいのかもしれないと思い、フェイトは軽く握ってみた。
 ピンポン玉より一回り小さい二つの玉をを、手の中で転がす。どうだろう、と反応を窺えば息を吐
く速度が明らかに加速していた。
 なんだか、だんだん面白くなってきた。どこをどうすればクロノがどう反応するかを一つずつ試し
ていき、その結果を知るのが楽しくてならない。
 クロノがフェイトにする時は偏執的と言ってもいいほどあちこちを弄くるのは何故かと思っていた
が、きっとこういう気持ちだったのだろう。
 もっとあちこちやりたかったが、クロノに限界が訪れつつあった。
「フェイ、ト……もう駄目だから……」
 喉から絞り出すような苦しい声。手が弱々しくフェイトの頭を押しのけようとする。
 だがフェイトは手も口も止めない。むしろ激しくした。
 クロノにされている時の自分も、駄目だと言うことはある。だがそれはむしろラストに向けてもっ
と強くされたがっている時に出る言葉だった。
『このまま射精してくれていいよ』
 咥えたまま、念話でフェイトは伝える。
『止めた方がクロノも辛いでしょ。ね?』
 頭を押すクロノの手が止まる。それを了承の合図だと解釈し、フェイトは一気に全部の動きを加速
させた。舌は鈴口。右手は肉棒。左手は陰嚢。三ヶ所を同時に攻め立てる。
 クロノがのけぞる。その拍子に、フェイトの歯が雁首を引っ掻いた。
 それが止めになった。
「うっ! でっ、出る!!」
 クロノの声で、咄嗟にフェイトは口を離した。
 直後、握っている幹が膨張した。白い奔流がぶちまけられる。
 フェイトの頬を直撃したそれは、弾けて美貌全体に飛び散った。
 過去に口淫した時とは比較にならない勢いと量。
「ああっ!?」
 こんなに出るとは予測していなかったフェイトは、思わず叫んでしまう。
 それで口が開いたところに飛沫が一滴飛び込み、気管に入り込んだ。
 派手に咳き込む羽目になるフェイト。げほげほ咳いているその背中を、クロノが優しく叩いてくれ
た。
 咳が止まるまでそうしてくれたクロノは、そのままかがみこんでハンカチでフェイトの顔を拭い始
めた。
 丁寧に汚れを取ってくれる彼に、フェイトは訊いてみる。
「……やっぱり、飲んだ方がよかった?」
 どこで聞いたかも定かではないが、口でした時は精液を全部飲んだ方が男は喜ぶ、とフェイトの乏
しい性知識辞典にはあった。
 最初にやった時は頑張って飲み込もうとしたのだが、生臭さと喉に引っかかる粘度の高さがどうに
もならず吐き出してしまった。その時のことがフラッシュバックし、最後の最後で口を離してしまっ
たのだ。
「いきなり無理しなくていい。……してくれた方がちょっと嬉しいけど、これだけでもすごく気持ち
よかったし」
 拭き取り終わったクロノが、最後に自分の陰茎を拭ってジッパーを上げ、ハンカチもしまう。
「次は僕の番だな」
 床に腰掛けたままだったフェイトを、クロノは抱き上げる。鍛えているだけあって軽々としたもの
だった。
 フェイトを片手で抱いたまま、クロノはデスクの上にあるものをざっと隅によける。出来たスペー
スに、フェイトを横たえた。
 クラウディアの提督用デスクは無駄に大きい。フェイトの膝から上が乗ってもなお余裕があった。
 クロノの指がボタンにかかる。ぷちぷちと一個ずつ外されるごとに、フェイトの鼓動が高鳴ってい
く。
 執務官服に続いてワイシャツがはだけられ、最後に清楚な白のブラジャーが外された。期待に張り
詰めていた胸が、ふるんと揺れて顔を出す。
 ブラジャーを机に置きながらクロノが訊いてくる。
「今日は黒じゃないのか」
「一色しか持ってないってわけじゃないよ。…………クロノが黒がいいって言うなら、ずっと黒でも
いいけど」
「……考えておく」
 視線が、下着から胸に移る。
「それにしても、相変わらず大きいな」
 まじまじと見つめられ、恥ずかしくて身悶えしそうになる。
 クロノの顔を視界に入れなければいいかと考え顔を背けてみたが、視線だけ感じて余計に身体が火
照ってしまった。
 これなら顔を見てる方がましだったと戻せば、思わぬ近さにクロノの顔があった。
 不意打ち気味に唇が重ねられる。舌までは入れられない。唇が数度擦りあわされ、それから段々下
がっていく。
 顎、喉、鎖骨と唾液の痕を残して下りていき、到達点である胸に至る。朱鷺色に染まった頂点が、
唇で挟まれる。そのまま引っ張ることもせず、クロノは唇だけで乳首をいじくる。
 甘噛みよりもさらに温い刺激。それでもこの情交を待ち望んでいたフェイトを高ぶらせるには充分
すぎた。なにもされてないもう一方の突起が、固くしこりだす。
 だが段々とそれだけでは物足りなくなってくる。もっと強くしてもらいたいが、クロノは舌で弱く
舐める程度のことしかしてくれない。
 ねだるか、空いてる右胸を自分で慰めてしまいそうになるが、そんなことをすればエッチだのなん
だのクロノにいじめられるネタになる。
 自分もクロノを愛撫すれば気が逸れるかと思うが、覆いかぶさっている彼の腰までわずかに手が届
かない。
(……これだと、クロノになにもしてあげられないね)
 わずかに視界に入る彼の股間は最初の放出から回復し、すでに臨戦状態で張り詰めていて苦しそう
である。
 しかしフェイトはどちらかというと受身の方が好みだった。
 さっきのように自分から動いてクロノを気持よくしてあげるのも楽しかったが、彼の指先に全てを
委ねきってしまう方が、これだけ愛されているのだということが実感できる。
 それでも少しぐらいは、と思いクロノの髪を撫でる。短い黒髪はすぐに指の間をすり抜けてしまう
ので、何度も何度も繰り返す。
「そういう子供にするようなことはやめてほしいんだが」
「でもおっぱい吸ってるクロノは、子供みたいだよ」
「……僕が君より年上なことを知ってるか」
「ふふふ」
 笑いながら、フェイトは手を止めない。
 クロノも口ではああ言いながらもまんざらではないのか、それ以上は文句を口にせず胸への愛撫に
戻る。
 今度はやや強め。唇が歯に代わり、右胸もやわやわと揉まれる。
 だが、まだ満足できない。フェイトはもっと強く、それこそ胸が壊れてしまうぐらいの激しさを求
めている。
 言葉にして求めるべきか、黙って彼が先に進んでくれるのを待つべきか。心の中で理性と欲望が綱
引きを始める。
 今夜はすでに、寝てるクロノにいやらしいことしたのを知られている。
(……だったらもう一度ぐらいはしたないことしても、変わらないよね)
 逡巡の後、フェイトは口を開いた。
「もっと強くして……」
「強くってどれぐらい? ちゃんと言ってくれないと分からないんだが」
 彼の笑い顔と声色。それで、ここまでの弱い愛撫は自分にねだらせるための策略だったと気づく。
 小憎らしくて、眉をひそめ睨む。しかし態度と裏腹に、一度降伏を選択した思考は従順だった。
「…………捏ね回して摘んで引っ張って吸って、ちぎれるぐらいめちゃくちゃにして……」
「そんなこと口にするなんて、いやらしい女の子になったな」
 意地悪げに唇を歪ませるクロノ。しかし、フェイトの望みはちゃんと叶えられた。
 胸が握りつぶされる。指と指の隙間から白い乳肉がはみ出るほどの強さ。
 急激に圧迫された胸の神経は、特大の電流となって脳髄を直撃する。
 一気に全身が発火点に達した。
「ふ、あぁあん!!」
 背を弓なりに反らして、フェイトは軽くイッた。
「フェイト!?」
 まさかこれぐらいでイッてしまうのは予想外だったのか、クロノが驚いた顔で覗き込んでくる。
「その……大丈夫か?」
「…………ごめんなさい、もうちょっとだけ、弱くして」
「……分かった」
 フェイトの呼吸が落ち着いてから、クロノは手の動きを再開させる。
 最初と先程の中間ぐらいの強さ。激しすぎず弱すぎず、一度茹ったフェイトの体温を冷ますことな
く良い按配で保つ。
「これぐらいでいいか?」
「……うん、そこはもう少し強く……」
 乳首の次に感じる下乳を重点的に揉まれて、気持ちよさに身震いする。
 フェイトが慣れた頃合を見計らうように、ちょっとずつ手に力が入る。
 数分もしないうちに、乳房を握る強さは元通りになった。
 一度はフェイトを追い詰めた強さだが、前段階を踏んでいるので快感に耐えることが出来る。
「んあぁ…う、くふうぅぅぅん」
 乳房同士が中心に寄せられ、乳首が二つまとめてクロノに吸われている。
 胸全体が沸騰した湯でも詰まっているかのように熱い。その熱は頭の天辺から爪先まで伝わって、
フェイトの白い肌を朱に染める。
 そんな体中で一番高まっている場所。それは言うまでも無く、フェイトの子壷だった。
 クロノにいたずらをしていた時から湿る兆候を見せていた股間は、もう粗相でもしたかのように下
着を濡らしつくしている。
 乳首を噛まれた拍子に、また愛液がとぷりと垂れ落ちたのが自分で分かった。
 粘つくショーツが気持ち悪い。早く脱がせて欲しい。
「胸より、もっと下をして……」
「下? ここかな?」
「やぁっん!! ちがっ……うっ……!」
 舌がジャンプしたのはへその穴だった。この期に及んでも、クロノはいじわるだった。しばらく身
体の中心の穴を穿られる。
 今までそこを弄られたことはない。今日初めて、くすぐったさも快感になることをフェイトは知っ
た。
 また、愛液の流れる量が増す。
 流石にそれ以上寄り道することはなく、クロノの指が腰にかかった。
 クロノはストッキングを脱がそうとするが、スカートごと引き下ろそうとするのがよくないのか、
手間取ってなかなか脱がしてもらえない。
 そうしてる間も、愛撫を待ちかねている肉体は欲情にじりじりと焙られる。
「クロノ……破いちゃっていいから早く脱がせて……」
「破くって……」
「いいから早く、早くしてぇ……!」
 一拍置いて響く、ピィーーっと絹を裂く乾いた音。
 自分を覆う衣が一枚そうやって乱暴に破られたのかと思うと、なぜか胸の鼓動がテンポを上げた。
 腰を持ち上げられスカートが脱がされる。続いてショーツが脱がされるはずが、クロノはぴたりと
行動を止めてしまった。
 また焦らす気かと思ったが、えらく神妙な顔をしている。
「どうしたの?」
「…………いや、凄いことになってるなと思って」
 首を上げて、フェイトは自分の下着を見る。目に入った瞬間、見なければよかったと痛烈に後悔し
た。
 今日はブラジャーと揃いの色にした純白のショーツ。そこは割れ目がくっきりと浮き上がり、陰毛
の色まで判別できるほど濡れに濡れて皮膚に張りついている。
 花弁に沿った部分どころか、前面は全部そんな感じである。指でつつけば、何か染み出してしまい
そうだ。
「み、見ないで! 早く脱がせてっ!!」
 口走ってから、普通は逆なことに気づいてさらに頭に血が上る。
「うう〜〜……」
 恥ずかしさで死んでしまいそうになり、完全に手で顔を隠すフェイト。その頭が撫でられる。
 指の合間からのぞけば、クロノが気にしないでいい、と微笑んでくれていた。
 セックスする時には基本的に意地が悪くなるクロノだが、それでも肝心なところでは普段どおりの
優しさを見せてくれる。
 それがたまらなく愛しい。
 頭を撫でながら、クロノの片手はフェイトのショーツをまくって脱がしている。
 ショーツが足首から抜かれた。蒸れていた股間に、涼しい風が通る。
 一旦はズボンの中にしまっていた陰茎を、クロノは再度取り出す。
 電灯の光に照らされた赤黒いそれは、さっき以上に猛々しくなっている。先端が糸を引いているの
は、フェイトの唾ではなく新しく出た先走りの液だろう。
 クロノは軽く握ってフェイトに挿入しようとした。
 そこで双方気づく。デスクは腰より少し低い位置にあり、フェイトが上に寝転がったままだと挿入
はともかく動きにくい。
「立てるか?」
「……やってみる」
 ふらついたが足に力は戻っており、なんとか床に足を着くことは出来た。
「机に手をついて」
 言われるままに従い、腰を高く上げる。
 尻肉が掴まれ、ひたりと秘所に押し当てられる固い剛直。それがすぐに体内に押し入ってくるのだ
と思うと、ひとりでにフェイトの表情はだらしなく弛む。
 膣口と鈴口とがキスをした。湿り具合を再度確かめるかのように、二、三度擦られる。
 上の口なら、ここで舌を入れているところだ。だが下は、口そのものが侵入してきた。
「ああああっ……入ってくるぅ!」
 胸の時のようにそれだけで達しそうになるが、必死で耐える。
 低い頂は、最初に果てて体験している。ここで我慢すればもっと気持ちいい、それこそ眼の眩むよ
うな快感が待っていることを経験則で知っている。
 最奥まで到達したクロノの男根は、尖った先端で掻き回す。
 雌の本能が反応して、暴れさせまいと腰に力が入り侵入してきた異物を締め上げる。
「つぅっ……!! 始めから、きつすぎるぞフェイト……!!」
「クロノだって、こんなに太……い、よ……ああぅん!」
 鼻にかかったような甘い声。自分の声だとは思えない。
 子宮の入り口が乱暴に叩かれる。内臓まで貫かれているような衝撃。
 耐え切れず腕の力が抜けて、フェイトの額が机に激突する。相当痛かったが、今は痛がるより喘ぐ
のに忙しい。
 豊満な胸が、身体と机に挟まれてぐにゃりと潰れた。冷えた木材が火照りきった皮膚を急激に冷や
し、その温度差で達しそうになる。
「ああんっ……ひはぁぁあんっ!!」
 提督室は機密性を高めるため、防音設備は完璧である。遠慮なくフェイトは嬌声を上げる。
 声と一緒に流れ出た涎が、自分の頬を冷たく濡らす。こんなに身体は熱いのに、唾液の温度は変わ
らないのか、と感心するあたり、まだほんの少しフェイトには余裕があった。
 その余裕が根こそぎ吹っ飛んだのは、クロノに両手が引っ張られ上半身が浮き上がった時だった。
前後運動に縦に揺すられる動きが加えられ、膣壁がくまなく擦られる。
 腕がまるで手綱のようだ。拍車代わりに腰が打ちつけられる。
 二人の結合部からは、蛇口が壊れた水道のように絶え間なく淫水が流れ落ち、破かれたストッキング
を濡らす。
「そろそろ、イクのか? ……だったら、一緒がいいかい?」
「うんっ! 射精して! クロノのいっぱいナカに射精して!!」
 抽送の速度がさらに上がる。もう、突かれてるのか引かれてるのかも分からない。
 ただひたすら最期を目指して、フェイトも腰を動かす。
 一際強く、腕が引かれた。全く同時に、腰が最大の勢いで叩きつけられる。
 その衝撃で、膨れきっていた快感が爆発した。
「ひゃあうぅん!!」
 フェイトの視界も思考も、白一色に発光した。
 絶頂でさらに膣が収縮するぎりぎりのところで、男根が引き抜かれた。続いて臀部にかけられる灼
熱の滾り。
 煮詰まったフェイトの身体よりなお熱いそれは、本来なら彼女の胎内に放たれるはずだったものだ。
 期待をすかされ、絶頂が急速に尻すぼみになる。上り詰めた位置こそ高かったが、どうにも満足で
きない結末になった。
 フェイトは首だけ回して、不満を露にした顔でクロノの方を向いた。
「…………どうして、外に射精したの」
「いや、安全日かどうか聞き忘れてたから」
「ナカに射精して、ってちゃんと言ったのに……。自分の危険日忘れるほどうっかりじゃないよ。だ
から」
 手首を掴みっ放しだったクロノの手を、逆に握り返す。
「次は、ちゃんと注いで」
 自分が一度きりでは足りないように、クロノもまだまだ足りないだろう。
 予想通り、フェイトの言葉から間をおかず再び押し入ってくる男根。
 また後ろから抱かれるのかと思っていると、両胸に手が回った。その手は胸を揉むのではなく、身
体全体を持ち上げた。体勢はそのままで、上体が床面に垂直になる。
 束の間の浮遊感。続いて落下。クロノが椅子に尻を落とす音。そしてクロノの腰が受けた衝撃が、
そのままフェイトの膣を突き上げる。
「あああっ!!」
 背面座位。専門用語で言うところの、乱れ牡丹。
 椅子に座ったままでするのはもちろん、この体位自体が初めてだった。
 慣れぬ角度で突っ込まれ、膣が無理やりに広げられる。
 あまりの激痛に、痛いとフェイトは叫ぼうとした。
「あんっあああんっ!!」
 だが、口をついて出たのは歓喜の声。
 先端が抉っているのは、触れられたことはあってまだ突き上げられたことがない場所だった。完全
に未知の部位が開発される快感に、フェイトは盛大によがる。
 だがすぐに痛みがぶり返してくる。今度こそ、フェイトは痛みを訴えた。
「痛い……痛いよクロノ……!」
「す、すまない。すぐ抜くから……」
「待って……痛いけど、やめないでぇ!」
 交互にやってくる、痛みと快感の二重奏。
 逆の情報を連続して神経に伝えられ続けた脳がイカれて、全部まとめて気持ちよさに変換してしま
う。
 結果、かつて感じたことのない激烈な悦びにフェイトは襲われていた。ここで下手に止められよう
ものなら、本当に発狂してしまうかもしれない。
「このまま、お願いっ……!」
「…………いいんだな?」
 確認を取り、クロノが動き出す。
 まずは左右に回転させるような動き。徐々に回す角度が大きくなっていき、最終的にはフェイトの
腰に手がかかり、身体を持ち上げられて揺すられた。
 はだけていた上着とワイシャツの襟首がクロノの口で引っ張られる。露出した背骨に沿って、うな
じまで舌が這い上がっていく。
 悪寒じみたその刺激も、ちょうどよいスパイスになってフェイトを高みに上らせる。
「く、クロノの、中で反ってて……気持ちいい!」
「フェイトもきつくて熱くて、すごくいいよ……っ!」
 身体が持ち上げられては、落とされる。落とす時は手を離すだけなので、フェイトは自分の体重を
まともに膣で受けることになる。
 その激しさに、フェイトの目尻からはとめどなく涙が流れる。秘裂が裂けてしまいそうだ。
 だが、これでいい。優しくされなくていい。それは昼間にもらっているから。
 夜はただ身体を激しく貪られ、彼の血肉になりたい。
 一突きされるごとに、内臓がずり落ちていくような感覚に襲われるフェイト。この先には、自分が
かつて体験したことのない快感が待っていることを確信する。
「もっとぉ……もっとしてクロノぉ」
 哀願のようにねだりながら、自分も括約筋に力を入れる。彼が少しでも気持ちよくなれるように。
 締めつけることでクロノの形が伝わってくる。先端が少しずつ膨らんできている。彼も、限界が近
いのだ。
「だ、射精すぞ!」
 言葉と共に、一瞬だけクロノの動きが止まる。それは溜めの時間で、直後に亀頭と子宮口がぶつか
り合った。
 今度こそ、この一ヶ月フェイトが待ちわびたものが体内に注がれる。
 どぷり、と射精される音が聞こえた。
 子宮に白濁液が発射される。液体ではなく固体がぶつけられたような量と勢い。
「あっ、ああああああああああーーーーーっ!!」
 断末魔のような悲鳴を上げて、フェイトは果てた。
 半ば意識が無くなるが、射精の感触でまた引き戻され連続的に達する。
「クロノっ! クロノっ! クロノぉっ!!」
 その間中、ずっとフェイトは愛しい男の名を叫び続けた。


 長々とした射精も、終わりの時は来る。
 最後の一滴を出すためにぶるりと陰茎が震え、それが合図だったかのようにフェイトはがっくりと
倒れクロノにもたれかかる。はずみで、小さくなりつつあった男根がちゅぽりと音を立てて抜け、結
合が解けた。
 しばらく、提督室には二人分の荒い呼吸音だけが響いた。
 少しだけ身体が冷えてきたフェイトが時計を見れば、短針は文字盤の三を指している。
 部屋に戻って仮眠しないといくらなんでもまずいと分かっているが、背中に感じるクロノの胸の固
さと体温が心地よくて、なかなか出て行く踏ん切りがつかない。
 頭を巡らせ下を見てみれば、クロノのズボンがべちゃべちゃを通り越してどろどろになっている。
飛び散った愛液と精液では説明がつかないほどの濡れ方である。
 そういえば、果てた時になにかを漏らした気がする。まさか小水かと青くなるが、アンモニア特有
の匂いはしない。
 どうやらこれが話に聞いてた潮というものらしい。フェイト自身初めて見た。
 自分のものとはいえあんまり見続けたいものではなく眼を逸らして横を向けば、そこにあるのは愛
しい人の顔。
 こちらはまだ絶頂の余韻に浸っているらしく、疲れながらも満足げな顔で瞼を閉じている。
 なんとはなしに彼の顎の下を指で撫でていると、目に入る小さな赤いものがあった。
「……これ、どうしよう」
 フェイトがつけたクロノの首筋の噛み痕である。点々と並んだそれは赤く腫れたように目立ってお
り、至近距離に立たれたらなんなのか一目瞭然であった。
 フェイトの声に眼を開け、手鏡で確認したクロノも顔をしかめる。
「……虫に刺されたと言うには数が多すぎるな」
「治療魔法で消えたりしない?」
 軽症を治す程度のものなら、フェイトもクロノも習得している。
 さっそくやってみたが、そのままだった。
「しかたない。寝違えたと言って包帯をまいておこう」
「エイミィには気づかれそうだね」
「……努力する」
 察しのいい姉貴分を、その手の演技が下手なクロノが誤魔化しきれるとは思えないが。
 首全体を隠すならもう少しつけてもいいかな、とフェイトはクロノの首筋に唇を当てる。
「こらっ、これ以上増やすのは駄目だ」
「……クロノだって、私の胸にはいっぱいつけたのに」
「君のは服の下で見えないだろ」
「クロノも包帯で隠すでしょ」
 なんとか首に吸いつこうとするが、額を押されて果たせない。
 強情な彼に少し腹が立って、フェイトは拗ねてみた。
「いじわるばっかりするのなら、浮気しちゃうよ」
 眼を細めて、口元をちょっと吊り上げる。
「遠い六課に行っちゃうからね。グリフィスは格好いいし、他にもいっぱい男の人はいるからよりど
りみどりかな」
 もとより本気ではない。ただのからかい。クロノ以外の男とこんな関係になるなど想像もしたくな
い。
 こう言えばクロノは慌てるか、真剣に困った顔をするはずだ。その顔を肴に楽しんでやろうと思っ
ていた。
 しかしフェイトの目論見は、良い意味で外れた。
「……だったらそんな浮気性の猫には、鈴をつけないとな」
 フェイトを膝から下ろして、クロノが立ち上がる。
 デスクの引き出しから出されたのは、厳重に包まれた手の平に収まるくらいの小さな箱。念の入っ
たことに、封に魔法まで使っている。
 クロノがその魔法を解除し、フェイトに手渡す。
「私が開けてもいいの?」
「いい。というより、君と僕以外には開けられたくない」
 なんだろうと包みを解くと、出てきたのは黒い箱。
 その中に入っていたのは、指輪だった。銀環の頂点にフェイトの瞳と同じ色の宝石をあしらい、裏
にはフェイトのフルネームが掘り込まれている。
「これって……」
「婚約指輪。本当は航海が終わってから渡そうと思ってたんだが、君があんなこと言うからな。……そ
れがあったら、男が近づいて来ることはないだろう」
 フェイトの手に乗ったままだった箱から、クロノは指輪だけを手に取る。
 改めて、指輪が差し出される。
「その、こんなこと言うのはいまさらだけど。…………僕と一緒にいてくれるなら、受け取ってくれ
ないか、フェイト」
 多少の照れはあるものの、ひどく真剣なクロノの顔。
 愛の言葉は何度も聞いたし言った。けれど、きちんとしたプロポーズはまだだった。
 フェイトも、顔を引き締めクロノの眼を見つめて言う。
「はい、フェイト・T・ハラオウンは、クロノ・ハラオウンの隣に、この身が尽き果てるまでいます」
「……ありがとう」
 クロノの手で、フェイトの左手薬指に指輪が通されていく。
 自分は身も心もクロノのものだが、その確たる証が出来たようで心がじわりと温まる。
 もう彼とどれだけ長く離れていても、この指輪を見れば寂しくない。
 今夜はクロノに色々してもらってばかり、とフェイトは思う。許してもらって、抱いてもらって、
指輪までもらって。
 どうせだから、もう少しだけしてもらうことにした。
「……一つお願いしてもいいかな」
「なんでもどうぞ」
 クロノの胸に身を投げ出すようにして、フェイトはしだれかかる。
「夜が明けるまで……こうして抱きしめていて」



       終わり


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目次:別離の前に
著者:サイヒ

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