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作者:大高忍
掲載:週刊少年サンデー
出版社:小学館

あらすじ

迷宮編
第7迷宮(ダンジョン)の周囲に広がる町、チーシャンに住む若者アリババは、御者のアルバイトをしながら迷宮を攻略し大富豪になることを夢見ていたが、あと一歩を踏み出せずにいた。そんなある日、彼は『ジンの金属器』を探して旅をしているという、謎の少年アラジンと出会う。彼の持つ笛に潜む『ウーゴ君』の力を目の当たりにしたアリババは、アラジンに共同での迷宮攻略を持ち掛ける。

草原編/黄牙編
アリババと共に迷宮を攻略したアラジンだったが、迷宮から送り出された彼が姿を現したのは遠い異国の地に広がる草原だった。そこに暮らす騎馬民族・黄牙(こうが)一族の集落に拾われた彼は、『ルフ』を見ることが出来る老婆に出会う。そして同じ頃、黄牙一族と接触を試みようとする一団があった。

盗賊砦編/モルジアナ編
アリババによって奴隷の身から解放された少女モルジアナは、故郷カタルゴに帰るため、ライラとサアサの所属する隊商と共に、カタルゴ行きの船が出航する沿岸の国バルバッドを目指していた。しかしバルバッドへ向かう道の途中に盗賊が居座っているために、隊商は道程の変更を余儀なくされ、バルバッドへの道は閉ざされてしまう。そこでモルジアナは単身、盗賊団を退治して本来の予定通りバルバッドへと向かうため、彼らの本拠地に乗り込む。

バルバッド編
偶然の出来事から再会したアラジンとモルジアナは、共に旅を続けてきた隊商と別れ、それぞれの目的のため2人でバルバッドを目指す。旅の途中、彼らは商売のためにバルバッドへ向かう途上で盗賊に着る物まで奪われ困窮しているという男・シンに出会い、助けられた礼にと彼の宿泊するホテルへ案内される。そこで何気なくアリババのことを尋ねたアラジンは、『怪傑アリババ』と名乗る盗賊が一味を率いてバルバッドを荒らし回っているという話を聞く。

シンドリア編
実はシンは七海の覇王、シンドバッドだった。彼の治める国、シンドリアに招かれたアラジン達3人は、世界を『堕転』させようとするアル・サーメンの話を聞く。来るべきアル・サーメンとの戦いに備えて修行を始め、着実に力をつけていくアラジン達。そこに皇子の留学のために、煌帝国の一団がシンドリアへとやってくる。その第四皇子、練白龍は、かつてアラジンが命を救った白瑛の実弟であった。彼は、己のある重大な目的を胸に秘め、シンドリアへとやってきたのだった。そんな折、アラジンたちの師匠を務める八人将から修業の成果を聞いたシンドバッドは、実戦も兼ねて、「シンドリアの近海に出現した迷宮を、アル・サーメンの勢力に発見・攻略される前に攻略してほしい」という指令を3人に下した。アラジン、アリババ、モルジアナは同行を申し出た白龍とともに、第61迷宮「ザガン」の攻略に向かう。

海賊討伐編
見事ザガンを攻略したアラジン達。しかし、快挙の喜びも冷めやらぬ彼らの前に遂にアル・サーメンが立ちはだかる。同時期、シンドリアにはジュダルが現れ、シンドバッドへ敵対を宣言する。アル・サーメンの強力でおぞましい力の前に自分達の無力さを知ったアラジン達は、自分のすべきこと、目指すもののためにはこのままでいいのか、マギの言う「王」となるには何が必要なのかを考え始める。シンドリアでの滞在の間に起きた彼らの中での変化、そして、国へ帰ることを迷い続けていた練紅玉の決意。 彼らが選んだのは、道は違えど、己の目的のために新たな旅立ちへ出ることだった。アラジン、アリババ、モルジアナ、白龍の4人はそれぞれ別々の目的のためにシンドリアを離れる。目的地であるアクティア王国に向かう途中、海賊「大聖母」の襲撃を受け積み荷を奪われてしまう。さらに、アクティアの港町も襲撃を受け、子供たちが連れ去られていた。子供たちを救うため、迷宮「ザガン」攻略メンバーの4人は沖合にある「大聖母」の砦に乗り込む。

マグノシュタット編
マグノシュタット学院とアル・サーメンの関係を探るためマグノシュタットに留学したアラジンは、1年間で実力を伸ばし優秀特待生になっていた。その中で、レーム帝国のマギ、シェヘラザードの部下である天才魔導士ティトスと出会う。そんなある日、ティトスとルームメイトのスフィントスと共に、5等許可区の国民がマグノシュタットの地下で魔力を吸い上げられていることを知る。そのことを学長であるモガメットに抗議するも想いは通じず、さらに、ティトスの「死にたくない」という気持ちが原因でマグノシュタットとレーム帝国、そして煌帝国を交えた三つ巴の戦争が始まってしまう。

登場人物

モルジアナ
狩猟民族『ファナリス』出身の、赤髪の少女。名前の由来は『アリババと40人の盗賊』に登場するアリババに仕える女奴隷のモルジアナから。イメージモデルはうさぎ。当初は整った顔立ちをしているものの無表情で無愛想だったが、奴隷身分から解放されてからは表情が少しずつ豊かになってきている。苛立つと地団太を踏んで地面を大きくへこませる癖がある。気丈で優しく、よく気が利く。14歳で身長は148cm。筋トレが趣味で、アドリブが苦手。海で泳いだことがないため泳げない。見た目は普通の少女だが、遠距離からでも瞬時に相手に接近し垂直な壁さえ駆け上ることが可能な強靭な脚力に加え、落とし穴の底から漂う死臭や、見えない場所に隠れている者の体臭さえ嗅ぎ分ける、犬並みに鋭い嗅覚を備えている。脚力には劣るものの腕力も相当なものでアリババくらいの人間なら軽々投げ飛ばせる。咆哮で、凶暴な暗黒大陸の猛獣や迷宮生物たちを恐れ慄かせ、視覚の使えない暗闇では咆哮をソナー代わりに使ったこともある。気配察知にも優れているようで、シンドリアの森の中でマスルールと修行の最中であっても、彼と同じく、遠くの王宮にシンドバッドが帰還したことに気が付くほど。暗黒大陸で出会ったトランの民からトラン語を学び、簡単な会話程度ならトラン語でできるようになった。アモンには強い生命力の持ち主として評価されていた。しかし、体内の魔力が少ないため、眷属器で大技を使うと魔力の使い過ぎで自力で回復できないほどに衰弱してしまう。元はジャミルの奴隷。アリババによって奴隷の身から解放された後は恩人であるゴルタスの言葉を胸に、故郷カタルゴへの帰郷を志す。カタルゴへと向かう船が出るためバルバッドを目指し、バルバッドを通るライラとサアサの商隊に加わり商隊旅を始める。バルバッド入りを妨げていた採掘砦の盗賊団を壊滅させようと潜入し、再び奴隷にされかけたがゴルタスのルフに励まされ危機を脱出。解放されてしばらくの間は幼少時より植え付けられたトラウマで悩まされていたが、これを機に克服している。その際に砦で捕らえられていたアラジンと再会し、後にバルバッドではアリババと合流する。戦いの後はアラジン、アリババとともにシンドリアに身を寄せる。そこでアル・サーメンの話を聞き、故郷へ向かうよりもアラジンたちと戦うことを選び、同郷であるマスルールを師匠とし、格闘の稽古を積む。また、魔法を使う敵との戦いではあまり役に立てていなかったことを気にしており、シンドバッドから眷属器を持つことを提案され眷属器を使ってアラジンたちの「羽」になることを決意する。白龍の励ましがきっかけで再び暗黒大陸へと向かう決意を固める。大聖母を討伐した後、天山高原へ向かう白龍から告白されるが、気持ちの整理がつかず断っている。その後、故郷カタルゴに辿り着くもファナリスはおらず、探索のために降りた大峡谷の谷底でユナンと出会う。

炎翼鉄鎖(アモール・セルセイラ)
アモンの眷属器。その身に馴染んだ金属として奴隷時代に身に着けていた「大切な人々の恩義の積もった誇らしい品」である足枷をシンドリアの金工職人に加工してもらい、鎖付きの腕飾りとしたもの(本来は足飾りだが、鎖が蹴りに邪魔であるため)。暗黒大陸で太陽の象徴として信仰されている「火の鳥」の模様が刻まれている。ザガン攻略中に発動。長く伸ばした鎖を腕のように操って周囲の壁に突き刺し、反動を使って空中を移動することができる。さらに、敵に鎖を絡み付かせ高熱を発して焼き尽くす攻撃もできるが、この技は魔力を大量消費するうえにモルジアナは元々魔力が少ないため乱発は出来ない。

煌帝国
練白瑛
煌帝国、初代皇帝の第三子、第一皇女。迷宮攻略者。21歳、身長169cm、趣味は裁縫、特技は馬術、弱点は料理、好きなタイプは強い男性。口元にほくろがあり、後に傷も増える。西征軍北方駐屯兵団の将軍であるが、その平和主義的な考えから一部の部下からは信頼が得られず軽く見られており、自身も将軍という立場と平和への望みの板挟みに苦しんでいる。一方で迷宮攻略者としての胆力と精神力に高い戦闘力を持つ。アラジンからは、「痛いほどに迷いがない」ルフをしているといわれる。平和主義的な考えは敗残兵に父親(初代皇帝)を殺されたことから発しているが、それが実母・玉艶による暗殺であることは知らない。白龍に自分で何でもできるようにと料理なども仕込んだ、母親代わりのような存在である(しかし、本人の料理の腕は弟と従者を殺しかけたレベルのまずさ)。黄牙一族を傘下に収める交渉のため彼らのもとを訪れた際にアラジンと出会う。彼との語り合いの末「誰も殺さず傘下に加える」ことを約束するが、呂斎の企みにより一族から敵意を向けられ、その際口元に傷を負う。しかし、アラジンとの約束を守り反撃せずババ様の意志を引き継ぐ。帰り道で呂斎とその部下達に暗殺されそうになるがアラジンに救われる。魔装時の姿は、槍のように柄が長くなった金属器を携え、薄桃色の衣装を肩下に纏いパイモンと同じ装飾品を付けている。約半年後は天山西部に拠点を構え、眷属となった黄牙一族を従えていたが、皇帝の死により白龍と共に帰国。その際、白龍から父と兄たちの死の真相を伝えられた。

パイモン
第9迷宮の主、混沌と狂愛の精霊。白瑛と契約している。非常にナイスバディな女性の姿で実体化する。風を操る力を持ち、白瑛の所持する扇に宿っている。多産型のジンで、ドルジを始めとする百余名もの眷属を作り出している。

李青舜
白瑛の部下であり眷属。白瑛とは旧知の仲。白瑛とともに迷宮を攻略した。双剣術を得意とし、眷属器『双月剣』を扱う。17歳、身長158cm。詩吟が趣味で、虫が苦手。白龍とも仲が良く昔馴染み。共に武術の稽古を行うこともある。少し前までは年齢に見合った関係だったが、白龍に身長を越されたことを気にしている。

練紅玉
煌帝国、二代皇帝の第八皇女。迷宮攻略者。特技は剣術。「ジンの金属器」使いであり、魔装も習得している。アブマドと政略結婚するためにバルバッドにやってきた際、シンドバッドに一目惚れした。作者の担当から「老け顔」と言われているため、ジュダルからは「ババア」と呼ばれているが、実年齢は17歳。身長163cm。母親が遊女であるため地位は高くなく、政治的決定権は強くない。周りからも遠巻きにされていたが紅炎とジュダルに見出され、武人として生きようと思っていた。そのため紅炎を慕っている。かなり勝気で誇り高い性格だが、その実、仲間思いであり、年相応の女性らしさや、色恋沙汰に直面するとすぐに赤面したり泣きだしたりしてしまう純情さを持つ。また、皇族育ちとして性的に下世話な話題などには疎い。そうした面もあってか、お付きの官女や配下の兵士からは慕われており、夏黄文の計略の片棒を担いでいた兵士も、彼をあっさり裏切っていた。趣味はおしゃれ。友達が欲しいと思っているが、友達作りが苦手。しかし、シンドリア逗留中に自分と同じ出自を持つアリババと初めての友達となった。煌帝国来訪中のシンドバッドに辱められたと思い、その真偽を確かめるため、白龍とともにシンドリアを訪れる。その後、無実が明らかになった後はシンドバッドに素直に謝罪し、そのままシンドリアに逗留する。初恋が一方的なものだと自覚しており、シンドバッドとの手合わせを機に自分の初恋に区切りをつけた。シンドリアとの戦争には金属器を使わないと決め、煌帝国へ帰っていったが手合わせの際にシンドバッドに暗示を受けた模様。

ヴィネア
第45迷宮の主、悲哀と隔絶の精霊。紅玉と契約している。水を操る力を持ち、紅玉の髪飾りに宿っている。本来は魚のような姿をしていると推測される。全身魔装すると髪の色が変わる。

水神召海(ヴァイネル・ガネッザ)
極大魔法。巨大な津波を起こす。海上戦で使えばシンドリアの艦隊を壊滅させると言われるほどの威力を持ち、海のルフから魔力を集めればそれだけの力を出してもまだ余力を残すことができる。

練玉艶
煌帝国初代皇帝の妻で、白瑛・白龍の生母。初代皇帝の死後、二代皇帝紅徳の妻となる。現在48歳だが、実年齢にそぐわぬ若々しさを誇る。正体はアル・サーメンの魔女であり、全身魔装した白龍をやすやすと倒すほどの実力者。夫や息子たちを暗殺させ、与しやすい紅徳に寝返った。紅徳の死後は大陸の平定までの臨時という名目で第三代皇帝の座に収まる。

霧の団
ザイナブ
「霧の団」の幹部。女性。魔法武器「赤幻霧刀」を扱う。ハッサンと付き合っており、よくケンカする。

赤幻霧刀(セキゲンムトウ)
魔法武器。刀身から赤い霧を出し、それを吸い込んだ人間の期待や不安をあおり、その幻を見せる。心を強く冷静に保つ者には効果がない。カシムが「ジン」になった時、彼に吸収された。

シンドリア王国
ヤムライハ
八人将の一人で、天才魔導士。主に水の魔法を使用する。23歳、身長158cm。アラジンのシンドリア滞在以降、彼の魔法の師匠となる。アラジンからは「ヤム(おねえ)さん」と呼ばれている。魔法には強い思い入れとプライドがあり、剣士であるシャルルカンとはしょっちゅう喧嘩をする。魔導士としての腕はまさに天才だが、教え方が大雑把で教え子の適性より自分の好みを優先するなど、指導者としての腕前は微妙なところ。意中の相手の前では魔法の話しか出来ない程緊張してしまうため、ピスティからは「魔法使いの男の人と付き合えばいい」と提案されていた。魔法アイテム収集が趣味で、寝起きに弱い。好みのタイプは髭面で年上の男性。マグノシュタット出身。優秀すぎる魔導士だったがために両親から捨てられ、マグノシュタットの学長モガメットに育てられた。かつてはマグノシュタット学園創始以来の天才といわれていたが、自身はムスタシム王家に忠誠を誓っており、10年前の反乱の際にはシンドバッドらが手を尽くしたことでシンドリアで保護された。装身具はすべてが自身で発明した世界で唯一の魔力蓄蔵装置となっており、普段から身につけておくことで魔力を蓄え、組み合わせ次第では大魔法を発動することもできる。また、シンドバッドと共にシンドリア上空を覆う『防御結界』と『転送魔法陣』を発明している。

魔法
隠者の水膜(シャラール・マグド)
水蒸気による光の屈折を操り、他者の視界から姿を消す魔法。「水を集める」「水蒸気に変換する」「光の屈折を操作する」という3つの命令式をルフに与えることで使うことができる。

真実の水人形劇(シャラール・ラケーサ)
血を混ぜ込んだ水に魔法をかけ、あらかじめ作っておいた建物の模型の中で、ルフに語りかけ見えないものや離れた場所や昔のことを教えてもらう『透視魔法』の一種。

魔法道具
ルフの瞳
マグノシュタット学院在学中に考案した魔法道具。遠隔透視魔法が込められており、2人が同じものを持てば大気中のルフを介して情報を伝達できる。持つ者の魔力量に応じて交信できる距離が変わる。

ピスティ
八人将の一人。笛を吹いて動物(主に鳥)とルフの波長を合わせて、懐柔する力を持つ。身長140cmと小柄で幼児体型だが、アリババより年上の18歳。歌が趣味。その容姿からか、セクシーな女性への複雑な感情がある様子で、胸の大きさと意義についてモルジアナに語っていた。実は王宮内には多くの恋人がおり、手玉に取っている状態のオオカミ少女(嘘つきの意)で、宮中で問題の種となっている。一方で、女友達はヤムライハのみである。嘘泣きが得意だが、ジャーファルにはもう通用しない。アラジンたちが第61迷宮「ザガン」に行くとき、途中まで同行している。アルテミュラ出身。

マグノシュタット
マイヤーズ
第3期編入生のコドル6(落第候補)を担当する上級魔術師。「雷鞭の魔導士」の異名を持ち、雷魔法を得意とする。巨乳。かつてパルテビアの軍属魔導士だったといわれており、教育方針はスパルタ。しかし、涙もろい一面もあり、1か月間修行に耐えきったアラジンから礼を言われた時には涙をこぼし、さらに1か月後のイクティヤールで一気にコドル1にまで成長した際には号泣している。レーム戦では、水攻めと雷撃の組み合わせでファナリス兵団の戦力を減らすことに成功するが、ムーとロゥロゥの挟撃を受け防御魔法を破られ重傷を負いスフィントスの治療により一命を取り留めたものの戦線から離脱する。

学生
才凛
煌帝国からの留学生。おさげ髪が特徴。コドル6の中で唯一残った女子生徒。白魔導士の素質を持つ。ネロに恋をしている。17歳、身長162cm。

レーム帝国
シェヘラザード
レーム帝国の最高司祭。「生ける伝説」と呼ばれる魔導士であり、200年もの間レーム帝国を支え続けている「レームのマギ」。268歳。少女の姿をしているが、これはは離れた場所にいるシェヘラザード本体の意思で操作される複製体。本体は人目につかないところで眠っているが、寿命が尽きかけており開戦時点で余命1カ月ほどの状態だった。対外的には「マギ」であるという確証はないが、帝国に過去最大の繁栄と何人もの「迷宮攻略者」をもたらしているとみられている。魔法道具の出所を探るために、マグノシュタットの内情を探るためにティトスを学院に送り込んだ。長年レームのマギであり続けた結果、レーム帝国を愛し、我が子の様に考えるようになった。それゆえに、マギでありながら世界全体から目をそらしており、自国の剣闘士や奴隷など負の部分をやむを得ない事だと自分に言い聞かせている。「人」の力を信じ、金属器などによる魔法に頼った不自然な戦力増強よりも国民が自分の意思で道を選びとることを望んでおり、魔法使いでありながら「化学」の発展にも目を向けている。カシムのルフが混じったアリババを感知した他、練紅徳の死を感じ取っていた様子だが、複製体では金属器所有者を発見する能力は使えない。ティトスをレームへ連れ戻そうとするも、モガメットとの交渉が決裂したためマグノシュタットへの進攻を決意する。モガメットに対し挑戦的な言動を繰り返し、化学の力とファナリス兵団の力で戦いを優位に進めるが、戦争の中で現れたアラジンからモガメットを追い詰めないよう説得され、一時休戦を受け入れる。休戦中、アラジン、アリババ、ティトスと対話し、世界全体から目を背けたことやティトスに自分の考えを押し付けた事を反省する。

ファナリス兵団
ミュロン・アレキウス
ファナリス兵団団員。ムーの妹。紅茶をたしなみ、兄のメンツを守るために上品な振る舞いを心掛けているが、戦闘中および兄や兵団の悪口を言われた際には凶暴な姿を見せることもある。ロゥロゥとは犬猿の仲。前述の性格ゆえに社交界は苦手。

飛衝手甲(バルド・カウーザ)
バルバトスの眷属器。拳による衝撃を飛ばし、遠くの相手を攻撃することができる。ミュロンの物は右手用。

ヤンバラ五剣士
トト
五剣士の一人。大剣と小さな楯を操り、魔力操作で「気功剣(きこうけん)」を使う。アリババの腕試しで彼と戦うが、そのときに恥をかかされたため彼に対する行動に若干の悪意が感じられることもあるが、その実力は認めている。見かけによらず料理が得意。好みの男性のタイプは面倒見がよくワイルドで、皆から兄貴と呼ばれるようないわゆるB型的な性格の男(本人いわくボス猿のような男)。

黒き王とその眷属
ドゥニヤ・ムスタシム
ムスタシム王国王女。「組織」の命令で「ザガン」を手に入れるため、商人と偽ってトランの村にやってくる。迷宮内にて闇の金属器を使ってアラジンと戦う。圧倒的な攻撃力でアラジンたちを追い詰め、極大魔法を放つもアラジンに躱されて敗北する。幼いころに母を失ったため、イサアクの母に育てられる。イサアクを本当の兄のように思っていたが、10年前、マグノシュタット校の反乱で王族貴族、さらにイサアクを「運命」として平然と目の前で殺されたことで、自らの「運命」を恨み「堕転」してしまった。アラジンの「ソロモンの知恵」の力で呼び出されたイサアクのものだったルフを受け取り、ルフが白くなり正気に戻る。迷宮から生還後、シンドリアの王宮に捕らえられる。しかし、マグノシュタット学院の天才であったヤムライハがいることからシンドリアとマグノシュタットに国交があると思い込んでおり、イサアクに会わせてくれたアラジン以外のシンドリアの人々には心を開いていない。更に闇の金属器の副作用が残り、ヤムライハらの懸命な治療にもかかわらず衰弱死してしまった。組織に利用された末の死はアラジンにマグノシュタットへの留学を改めて決意させ、白龍にも影響を及ぼした。

黒磁槍(アル・カウス)
闇の金属器。磁力を操り、岩や砂などの鉱物を自在に引き合わせ、反発させることができる。通常状態では、岩を操る程度だが、黒い「ジン」の状態では指や拳から磁力で集めた砂鉄を槍のように鋭くして攻撃する。その威力は、「マギ」の防壁魔法を打ち破るほど。さらに、全身魔装をすることによって「ジン」の状態の攻撃力のまま、砂鉄を槍に集め様々な形状の武器に自在に変化させることができる。

無限剣舞陣(レアバルド)
極大魔法。上空に作り出した八芒星の陣から、無数の剣を標的に向かって降り注がせる。発動までに時間がかかるのが難点。

大聖母
大聖母(オーム・マドーラ)
首領を務める妙齢の女。襲撃した先で母から捨てられた魔力の高い子供を奪い、魔法道具の力で思うままに操り配下としている。集めた子供たちに自分のことを「母さん(マドーラ)」と呼ばせていたが子供達へ愛情を注いではおらず、魔法道具の魔力の供給源として扱っていた。ゆくゆくは世界中の未来の施政者を子供のうちに支配し、世界征服をもくろんでいた。討伐に来たアラジン達も操ろうとするが、呪縛を断ち切られやむなく逃亡するも重い腰を上げたアクティア海軍により配下の子供達共々捕縛される。全く反省の色を示さず一番魔法の影響を受けていた白龍を呼び掛けて縄を斬らせようとするが、実母に対して殺意を抱いていた彼に首をはねられ死亡した。

冷気咆哮砲
強力な冷気を放つ魔法道具。移動形態となった砦の口部に設置され、多数の子供たちの魔力を吸い上げて発動する。水中で発射されるとジュダルの「降り注ぐ氷槍」と同様の効果が表れる。

聖母後光扇
精神攪乱系の魔法道具。扇状に広がった魔法陣から発せられる特殊な光で刷りこみを行い、「母親」の存在を認識しようとする本能行動を引きつける強力な雌性ホルモンを信号に変えて相手の脳に送り込み、母への憧れや郷愁によって操ることができる。肉体が子供であっても精神が自立した大人であれば無効化されることもある。

その他の魔法道具
水弾(シャラール・ラサース)
水の塊を発射する投信が筒になったサーベルのような形状の魔法道具。「大聖母」のメンバーの標準装備。通常でも人を吹き飛ばすほどの威力だが、魔交虫により地面を大きくえぐるほど巨大な水塊に強化される。また、移動形態の砦の動力ともなる。アリババは、これを逆用して水中での高速移動を行った。

魔交虫
魔法道具を連結させて威力を上げることができる魔法道具。

登場用語

重要語
ジン
『ジンの金属器』と呼ばれる道具に封印されている、神話に登場する精霊。「迷宮」の支配者としてその奥深くに眠っており、持ち主である『迷宮攻略者』の呼び出しに応じ強大な力を与える。実体の無い存在のため、身体の大きさは自由に変えられる。自分たちを作り出したソロモンの移し身であるマギに指図することは許されていないため、アラジンに必要以上のことを教えることは出来ない。彼らは、攻略者を見た瞬間に「ジン」を使役するのに必要な器である人間の魔力の内容量がわかる。また、彼らは「迷宮」内で死ぬことはないという。迷宮のゴールである「宝物庫」から出ることはできない。地上の「王」が使う純粋な「力」として、ソロモン王によりルフから作り出された人工生命体(ゆえに、地上で実体化すべきではないとされる)。実体化するためにはマギが持つのと同等の魔力を得なければならない。本来はルフに愛される魔法使いのみが作ることができるが、アル・サーメンは、黒ルフにより、黒い「ジン」を練成する技術を編み出した。モデルはソロモン72柱の悪魔。

金属器
迷宮攻略者が手に入れるジンが宿る道具で、最強の魔法道具で他の魔法道具とは次元の異なる強力な力を持つ。別名「ソロモンの金属器」。金属器の所持者は「金属器使い」とも呼ばれる。所持者はジンの持つ強大な力を行使することが可能だが、人間の持つ魔力の総量では限りがあるため、通常は「魔装」と呼ばれる方法で扱う。どこかに八芳星が刻まれている。仮にマギの莫大な魔力で使用した場合は、ジンそのものの顕現が可能である。普段は所持者が身に着けることで、次第に魔力が蓄積されるが、それを使い切ると無力になってしまう。ただし、ジンが巻き起こす能力と同質の現象を利用して一瞬だけ力を使うことができる(例えば、炎熱を司るアモンであれば炎を取り込む)。自然現象を取り込み、防ぐことのできない極大魔法攻撃をそれぞれにつき1つだけ発揮できる増幅装置の機能を持つ。主と一体化して力を発揮するという特性上、「金属器」とする金属は主によく馴染んだものが好ましいとされる。金属器の登場により、いかにそれを手に入れ活用するかが戦争の要に変わってしまっている。

魔装
金属器に宿る「ジン」の力で体を薄く覆って自己と同化させることで、実体化した「ジン」に近い力を得ること。「ジン」の使用法の本質。魔装した所持者の姿は、それがより強くなり全身に広がるほど、「ジン」本来の姿に近くなる。

武器化魔装
「ジン」に最も近い、核となる金属器から肉体(主に武器を持つ手)にかけて魔装すること。全身の魔装に比べて容易。金属器は「ジン」本体が持つ武器そのものの姿になる。

眷属器
金属器から力を分け与えられた魔法道具。名の通り、主の金属器と共闘するうちにジンに認められた者(眷属)がその能力を得る。眷属器の所持者は「眷属器使い」とも呼ばれる。金属器と同じく、蓄えられた魔力には限りがある。金属器とジンの恩恵による強力な力を持ち、一般にある魔法道具とは一線を画する魔力を持つが、主が金属器を遠くに離してしまうとその力を行使できなくなる。金属器と同じく、使用者に馴染んだ金属が好ましい。

闇の金属器
アル・サーメンによって黒いルフを糧に作られた金属器。「ソロモンの金属器」と同様の全身魔装をすることができるほか、使用者が自分の体を貫くことで、自らを黒い「ジン」へと変えることもできる。ジンの状態では黒いルフの供給があれば無限に再生することができるが、黒ルフがないところでは理性を失っているが故に大威力の攻撃を繰り返して次第に弱体化していく。極大魔法の威力は「ソロモンの金属器」に劣る。モガメット達と共に創られたものであるため、内部にマグノシュタット学園で魔法道具を精製する際に刻まれる「魔力痕」が刻まれている。また、使用者は使用後に生き残っていたとしても後遺症によって次第に衰弱していき、最終的に干からびた黒炭のようになり死亡する(治療法はまだ見つかっていない)。

迷宮(ダンジョン)
およそ14年ほど前から世界各地に出現した古代王朝の遺跡群。内部には貴金属製品や宝石類など通常の財宝のほか、魔法道具などが共に眠っており、その頂点に立つのが「ジンの金属器」である。また、一度でも誰かが攻略すると消滅してしまう。マギの力で出現する。一度入り口である「迷宮の聖門」をくぐると完全攻略するまでは外に出ることができない。攻略者の強さに応じて姿を変える。「迷宮」内部はルフの濃度が高いため、地上よりも少ない魔力で「ジン」たちが実体化することができる。迷宮を攻略した人物のことを『迷宮攻略者』と呼ぶ。二箇所以上の迷宮を攻略したのは、世界でもシンドバッドと練紅炎の二人のみで、彼らは『複数迷宮攻略者』とされる。また、迷宮攻略者そのものがジンの主となるため、「王の器」の持ち主ということにもなる。シンドバッドは自身の経験から、力を得すぎた迷宮攻略者およびその眷属は「十分な力を得た」と判断されるために、迷宮に入ることが出来なくなるのではないかと推測していた。

ルフ
人の肉体が土に還るように、魂が還るところ。世界の魂を繋ぐ「世界の血潮」。またルフが生み出す世界の"流れ"、生命があるがままに生き、前に進み続けることを示す"ルフの導き"が存在しており、それこそが「運命」と呼ばれる。鳥の姿をしており、堕転するときに黒く染まる。引き起こす現象が個性によって異なり、その違いによりマグノシュタット学院では大きく8つに分類されている。本来なら魔法使いでなければその形を認識することはできないが、マギがルフを集めた場合や迷宮内部のようにルフの濃度が高い場所では非魔導士であっても視認することが可能。

魔力(マゴイ)
ルフが生み出すエネルギーで、生命に至るまであらゆる自然現象を引き起こす。ヤンバラの民や東方の人々はこれを「気」と呼ぶ。人間の場合、魔法道具などの過度の使用で大量に魔力を消耗すると自力では回復できなくなり、非常に危険な状態になる(この状態をマクバラー(魔力切れ間近)という)。それを集めてそのまま打ち出したものを魔力弾といい、威力が低くせいぜい壁や床に小さな穴を開ける程度だが、相手を拘束するときに役立つ。

魔力操作(マゴイそうさ)
ヤンバラの民が得意とする、自らの体内の魔力を操作し相手の力を相殺する技術で、魔法道具だけでなく魔装すら解除することができる。また、その一部を武器に宿して強化することや、生物に直接使うことで相手を失神させることもできる。特殊な修行が必要であるため、使用できる者はそう多くない。自らの命を削るため、使いすぎると寿命が縮んでしまう。

ソロモンの知恵
運命の逆流を超える「奇跡」の力。「ルフの意志を聞かせる力」「預言の力」ともされる。他者のルフと語らい、さらに「大いなるルフの流れ」の源へアクセスしあらゆる人々のルフを呼び出すことができる。また銀行屋の言によれば「ジン」の錬成術などの知識も含まれているらしい。聖宮の先にある「莫大な知識が集荷されている空間」において、アラジンが手に入れた。ルフを集めることで発動し、そのとき、額に八芳星が現れる。連続使用後は立っているのがやっとなほどに体力を消耗してしまう。なお、その本質である『全知』を、アル・サーメンも手に入れようと画策している。

魔法
ルフに命令式を与え、それが生み出す魔力によって熱・氷・雷・重力など様々な現象を引き起こす現象。どのような命令をルフに与えれば何が起こるかは、見えない真理として定まっており、それらを解き明かし組み合わせる。魔力の総量が多い者ほど、良く複雑で難解な式を組み続けられるので、より高度な魔法を解くことが出来る。使用する際には体に負荷がかかるため、肉体が弱いと無意識のうちにリミッターがかかり出力が低下するが、体を鍛えることでそのリミッターは解除されていく。ルフと同様にマグノシュタット学院では8つに分類され、1から順に8角形の頂点に配置したとき、自分の最も得意とする魔法の対角線上にある魔法が次に素質があるとされ、全ての種類の魔法をまんべんなく学ぶことで得意な魔法の出力も上昇する。

防壁魔法(ボルグ)
魔力で自分の周囲を覆い、外部からの悪意ある攻撃(ほとんどの物理攻撃とある程度の魔法攻撃)を防ぐ。魔法使いなら誰でも生まれつき素質が備わっているが、魔力量によって強度に個人差があり、マギの物ならば金属器や眷属器でなければ破壊できない。

超律魔法
ごく希少な条件下でしか起こりえない天災をルフに命じて強制的に引き起こさせる魔法で、「災厄」とされる。

魔法使い
道具を使わず、自分の魔力を別のものに変換できる人間。生まれつきルフと語らうことができ、ルフに特別な伝令を送り、様々な自然現象を引き起こすことができる。幾つかの階級に分かれており、頂点に「マギ」、次いで「魔導士」、そしてその下に「占い師」や「まじない師」などが存在する。肉体が「魔力」を魔法に使うことに特化しているため常人よりやや脆弱。それをカバーするため、魔法使いであれば「防壁魔法」を使う能力が元々備わっている。攻撃力に関して「金属器使い」には及ばないものの、様々な魔法を使い分けることで「金属器使い」や「眷属器使い」のサポートを行う。ルフと同様個性があり、ひかれあうルフの種類により得意な魔法も変わる。「ジン」自体が魔法使いのような存在である影響で、お互いの魔法が混線して何が起こるか分からず危険であるため、「眷属器」の使用はできない。魔法に関する知識が未成熟な国は数多く、現在もその能力を気味悪がられ迫害を受けている。

マギ
王となる者を選び、導く役目を持つ魔法使いのこと。『創世の魔法使い』とも『愛しきソロモンの移し身』とも呼ばれる。その具体的な意味や役割は不明だが、黄牙民族にはかつての大黄牙帝国の建国に関わったマギの神話が語り継がれている。歴史の節目に現れ、それぞれの時代に3人しかいないもので、この物語の時代のマギはジュダル、ユナン、シェヘラザードだけのはずだったが、歴史上初めて「4人目のマギ」であるアラジンが存在している。魔法使いの階級の1つであり、その頂点に君臨する存在。そのため下記の魔導士であるヤムライハはマギであるアラジンとの初対面の際、かなり敬意を払っていた。普通の人間は自分の中のルフが生む一定量のエネルギーしか使えないが、マギは自分以外のルフを使役し、その魔力を体力が続く限り、ほぼ無限に使うことが可能。そのため、大量の魔力を必要とするので通常の人間にはできない「ジン」の実体化も可能である。ルフの加護を受けているため、魔力弾は打ち消され効果がない。また、迷宮を出現させ、そこに王の器と見込んだ人間を導くことができる。堕転し逆流する運命を変える「奇跡」を起こすこいが使命の一つである。ルフと同様、ジュダルのように堕転したものは、黒く染まっていく。

魔導士
魔法使いの階級の一つ。自分の体内の魔力の量が多く、いろいろな魔法が使える。マギからは一段階下の階級となる。ここ1世紀のうちに命令式が体系化されたことでより効率的に魔力を変換できるようになった。さらに、マグノシュタット学院の上級魔導士は研究の結果として、最も効率の良い命令式を最短でくみ上げることができるため、一人で1個中隊に匹敵する力を有している。魔導士がこのような高い戦闘能力を持つようになったのは最近のことで、かつては「防壁魔法」による盾代わりに使われ、現在も一般的には戦う力はない存在と認識されている。

1型魔導士
炎を操る1型のルフと特にひかれあう魔導士で、自然現象を起こす際にルフが赤く輝くため「赤魔導士」ともいう。熱魔法(ハルハール)を得意とする。

2型魔導士
水を操る2型のルフと特にひかれあう魔導士で、自然現象を起こす際にルフが青く輝くため「青魔導士」ともいう。水魔法(シャラール)を得意とする。

3型魔導士
光を操る3型のルフと特にひかれあう魔導士。光魔法(フラーシュ)を得意とする。

4型魔導士
雷を操る4型のルフと特にひかれあう魔導士で、自然現象を起こす際にルフが黄色く輝くため「黄魔導士」ともいう。雷魔法(ラムズ)を得意とする。

5型魔導士
風を操る5型のルフと特にひかれあう魔導士で、自然現象を起こす際にルフが白く輝くため「白魔導士」ともいう。風魔法(アスファル)を得意とする。

6型魔導士
音を操る6型のルフと特にひかれあう魔導士。

7型魔導士
力を操る7型のルフと特にひかれあう魔導士。自然現象を起こす際、ルフは黒く輝く。物体や空間自体に働きかける力魔法(ゾルフ)を得意とする。

8型魔導士
命を操る8型のルフと特にひかれあう魔導士。自然現象を起こす際、ルフは紫に輝く。

魔法道具
使用者の魔力を与えることによりさまざまな魔法を行使できる道具。眷属器とは違い、魔導士でも使用できる。本来ならば迷宮内にしか存在しないはずだが、アル・サーメンからマグノシュタットに本物が提供され、その研究の結果近年魔導士によって人工的にも作り出されるようになった。

聖宮
アラジンがかくまわれていた場所。番人はウーゴ。アラジンは「頑丈な部屋」と呼んでいた。内部には様々な文献がある。ある時期が来るまでアラジンは絶対に外に出られない仕組みになっていた。外には「死者達の街(ネクロポリス)」が広がっている。

七海連合
シンドバッドが作った7か国同盟。どの加盟国も小国ながら強大な力を秘めている。「不侵略」を理念とする。連合に加盟しているのが分かっているのは、エリオハプト国、アルテミュラ国、イムチャック国、ササン。

堕転
「運命」に逆らい、進化を退化に、有を無にというようにすべてを陰なるものに逆流させること。そのとき、ルフやマギはその身を黒く染める。人間が自らの運命を恨んだときにも起こる。逆流する運命を変えるためには、闇を打ち晴らす「奇跡」が必要であり、それを起こすのが「マギ」の使命でもある。

暗黒点
大量の魔力と黒いルフを糧に作られる世界の穴で、アル・サーメンが世界を無秩序なものに変えるために必要としている力。その穴からは白いルフを喰い尽くす悪意の化身が現れるという。

八人将
シンドリア王国内で最強の8人の戦士。有事には先頭に立って戦う。シンドリアの守護神として国民の人気が高い。同盟国からの食客が多い。

謝肉宴(マハラガーン)
シンドリアで行われる祭り。南海生物の撃退を八人将がパフォーマンス化することで、国民たちの恐怖心を和らげ、国外からの客人を楽しませている。

シンドバッドの冒険書
作者はシンドバッド。アリババが迷宮攻略の際に参考にした。巻を追うごとに脚色がひどくなり、八人将の活躍を描いた「その22」ではジャーファルが7本の角をはやし火を吹き、マスルールは巨大化している。

理想郷(アルマ・トラン)
詳細は不明だが、運命を乗り越え前へと進む力を失ったために滅びてしまったという世界。ソロモンとアル・サーメンの対立はこのころから始まっている。

迷宮(ダンジョン)
第1迷宮『バアル』
ユナンの手により14年前に出現した1つ目の迷宮。レームとパルテビアとの国境線上に出現し、シンドバッドによって攻略された。総死者数約12000人。

第7迷宮『アモン』
チーシャンに存在した7つ目の迷宮。10年以上攻略されていなかったが、アリババによって攻略された。総死者数約10000人。

第61迷宮『ザガン』
シンドリア南西沖のトラン族の島に現れた61つ目の迷宮。約2年前に出現した。近づくだけで村人は引きずり込まれていた。実はそれらの村人はザガンに似せて作られた迷宮植物が魔法で木にし、魔力を吸い取って迷宮生物を生み出していた。『アモン』に比べ迷宮生物たちには人間味があるが、迷宮植物の歌声で凶暴化する。練白龍によって攻略され消失、捕らわれの身となった人々も元の姿に戻され解放された。

第6迷宮『ブァレフォール』、第16迷宮『ゼパル』、第34迷宮『フルフル』、第41迷宮『フォカロル』、第42迷宮『ヴェパール』、 第49迷宮『クローセル』シンドバッドによって攻略された迷宮。

地理
チーシャン
第7迷宮の出現以降、その攻略を目指す冒険者が集まり発展したオアシス都市。

バルバッド
東南にある海洋国家。本土は街ほどの大きさだが、数百に及ぶ島々を支配し、各地方との交易の中心地として栄えている。サルージャ王家が代々治めていたが、煌帝国の圧力や組織の暗躍によって国力が衰退、王侯貴族が豊かな暮らしを続ける中、貧困層は重税で苦しむこととなったため、アリババによる革命ののち、煌帝国の傘下で、共和国として自治を行っている。サンデー掲載時は「バルバット」だったが、単行本掲載時より現名称に変更された。

シンドリア王国
シンドバッドが作った国家。南海の島国で「未開」と呼ばれる極南地帯にある。かつて、人を寄せつけない絶海の孤島をシンドバッドが開拓し、国を興した。「迷宮攻略伝説」の末に作り上げられた「夢の都」として広く知れ渡っている。北大陸には見られない地形、気候、動植物と共に人々は暮らし、国は貿易と観光で栄えている。身につけている服や装飾品、髪や肌の色も異なった人々が対立も無く、支えあって暮らしている多民族国家であり、アラジンは小さい島だが大きな国だと称している。また、国の海域には「南海生物」と呼ばれる超巨大な海獣が生息しており、年に数度、島を襲ってくるが、王の配下の「八人将」が撃退し、それをパフォーマンス化して国民の不安を緩和している。仕留めた南海生物は国中で食べ、その収穫祭を「謝肉宴(マハラガーン)」という。シンドバッドとヤムライハによって作り上げられた、敵を判別し侵入を拒む『防御結界』と、侵入した敵の居場所を追跡し50里以内ならそこへ瞬間移動できる『転送魔法陣』によって守られている。

煌帝国
極東を制し、急に拡大している国家。帝政時代の中国風の国。少し前までは極東の小国にすぎなかったが、ジュダルの力を借り、数年で広大な中原を平定。5名もの迷宮攻略者を抱え、北方および西方々の周辺小国に攻略者を送り込み、侵略している。最近では迷宮怪物軍団もできた。

レーム帝国
西方にあり、暗黒大陸にも属州を持つ大国。最高司祭にはシェヘラザードが就いており、彼女によって過去最大の繁栄と何人もの「迷宮攻略者」がもたらされている。街は道路・水道が整備され、国が市民の生活を保障するため、飢えることはない。一方で奴隷が仕事や娯楽提供をさせられており、SML三兄弟から「市民にとってはいい国」と称される。賭け事が盛んである。『個』の集積、『人』の力を重んじる。また、科学技術も進歩しており、火薬兵器も実用化されている。

パルテビア
バルバッドと貿易をしていた大国。だが、近年衰退してきている。ドラコーンが軍人をしていた。シンドバッド・ズルムッド・マイヤーズの出身地。

エリオハプト国
七海連合の加盟国。シャルルカンの出身地。女性は胸を隠さない風習があり、身分の高いものは体に蛇を巻きつける。

アルテミュラ国
七海連合の加盟国。ピスティの出身地。

イムチャック国
七海連合の加盟国で極北の秘境にある国家。この国に住む人間は身丈が非常に大きく、子供でも他地域の成人男性に並ぶ身長を持つ。ヒナホホの出身地。

カシュガン
中央砂漠の都市国家。人種・家柄・所得にかかわらず誰もが平等に政治に携わることのできる徹底民主政治に移行した。アリババがバルバッド共和国の政治形態の参考にしようとしていた。

ササン
七海連合の加盟国。厳格な教義を持つ国として知られる。スパルトスの出身地。

ムスタシム王国
花と泉の楽園と呼ばれた西方の割合が大きかった国。魔法の真理に迫るため国を挙げて努めてきた魔導国家で、70年以上前から当時では珍しく王家に魔導士が使えていた。しかし魔導士自体は差別されており、40年前に起こったパルテビアとの戦争では最前線に送られ楯の代わりにされるなど不当な扱いを受けていた。以来徐々に力を高めていたマグノシュタット校の反乱によりドゥニヤを除く王族・貴族が皆殺しにされ、10年ほど前に滅んだ。

マグノシュタット
ムスタシム王国滅亡後に新たに建てられた魔導国家。元はムスタシム王国にあった一学問機関だったが、シンドリア編の10年前に軍隊級の力を持ち国軍や一部の貴族官僚を取り込み、祖国に対して反乱を起こすことで誕生した国家。首都は「迷宮」にしかない筈の魔法道具に溢れ、国境周辺に現れる盗賊は貴重なはずの魔法道具を大量に所有している。近年では隣接する国へ攻め込み吸収して領土を拡大し続けており、そのことからレーム帝国に警戒されている。レームと煌に挟まれているため、籠城に適した都市となっており、外縁部は3層の防御魔法に覆われ内部では完全に自給自足の体制が整っている。国民等級制度により全ての国民は5階級に分けられ、1〜3等級には様々な特権が与えられている。学長および上級魔導士は1等、学院2学年以上および魔導士が2等、魔導士を両親に持つ非魔導士および特殊技能や官職に就く非魔導士は3等、通常の非魔導士が4等、納税を果たせない非魔導士が5等。総人口は30万人で、その3分の2に当たる20万人が地下に造られた落伍者の掃き溜めと蔑まれる5等許可区で生活しており、地上で使用される魔法道具の動力源として恒常的に魔力を吸い取られている。5等の人々の扱いに関しては賛否両論があるが、そこの人々に労働の義務はなく、病気の治療も魔導士が行っていることでムスタシム王国の頃より死亡率は低下しているため、現状を受け入れている5等民も多い。魔法使い以外の人間の入国を原則として禁じており、国内の人間の数を制限、「魔導士」と普通の人間とで差別するという国家体制を敷いている。シンドバッドからは、アル・サーメンともつながりがあるという疑惑が持たれている。煌帝国の皇族からも急速な発展・迷宮道具の量産などから同じく「組織」の関与を疑われていたが、交渉においてそれがない可能性も浮上。魔導士のみによる発展は紅炎に「恐ろしい国」と言わしめた。入国の際は防御魔法のテストをしている他、生徒たちを成績別にコドル1〜6に振り分けて学ばせている。

アクティア王国
東西の大陸をつなぐ重要な窓口となる国家。北方のマグノシュタットとの国境線に兵力を集中しているため、南方の港が手薄になり海賊「大聖母」が横行することとなった。

暗黒大陸
「レーム帝国南方属州以南は未開発」という意味で外部の人間によって付けられた、現地民が『カタルゴ』と呼ぶ地の蔑称。北端部はレーム帝国の属州として開けており、直行便で誰でも渡ることができる。

大峡谷
レーム帝国属州最南端に広がる巨大な峡谷。まるで世界がそこで終わっているかのように深く広大で、渡れば2度と帰って来られないと言われており、太陽を遮るものは何もないはずだが底に行くほど暗くなっていく。現在はマギ・ユナンがここの「守り人」をしている。

民族
ファナリス
暗黒大陸で伝説と語られる戦闘民族。目元が特徴的で赤髪と強靱な脚力を有し、その脚力は獅子の胴を一撃で蹴り貫き、成人男性ともなれば、その身に幾重にも巻かれた鎖を引きちぎるほどの強大な力を発揮する者も存在する。毒の回りも遅い。しかし、その一方で身体能力に反比例するかのように体内の魔力の量は常人より少ない。奴隷狩りにあったかさらに奥地へと移ったかは不明だが、現在の暗黒大陸には一人も残っていないという。ユナンによると大峡谷の「向こう岸」にはまだ残っているらしい。

黄牙一族
モンゴル風の国に住む一族。かつては最も栄えた騎馬民族で、初代大王チャガン・ハーンが築いた「大黄牙帝国」は歴史上最大の帝国だった。チャガン・ハーンは「マギ」にいざなわれ迷宮攻略をし、強大な力を得たという言い伝えがある。現在は衰退し、民衆は遊牧などを日々の生業として生活している騎馬民族だが、戦士は馬の機動力を活かした高い戦闘能力を持ち、また独特な剣を携えている。ババ曰く、「草原で我々から逃れられる者はいない」という。ゴルタスやドルジという名前が多い。上記の戦士だけでなく一族の人間は剣で斬られてもなかなか死なないなど総じて身体的に頑丈であり、そのため女子供を中心に何度も奴隷狩りの対象にされている。白瑛とババの尽力で平和的に煌帝国の傘下に入り、白瑛の志に納得したことで騎馬兵百余名が白瑛の「眷属」となっている。

トランの民
現在の世界共通言語と全く違う言語、「トラン語」を話す世界中に広く分布する少数民族(トラン語は会話では横書きで表現される)。なお、このトラン語は世界各地の太古の石版や、迷宮内部に記されている謎の言語である。遅れた部族として迫害され、南へ追いやられている。作中確認されているのは暗黒大陸やシンドリア近くの島にすむ部族で、シンドリアの駐屯地のおかげで安全な公開と商売ができるので市場が賑わっている。

ヤンバラ
魔力操作を得意とする東方の少数民族。「魔力操作の村」と呼ばれる場所に住むが、彼らが流浪の民で住処を転々とするためその場所は誰にもわからない。レームの「闘技場」をはじめ、世界各地で武者修行をしている。

異生物
砂漠ヒヤシンス
作品中に登場する、砂漠・ユリ科の巨大な肉食植物。捕食部に酒を浴びることで酔い、活動が鈍くなる。

スライム
第7迷宮に棲む半流体状の怪物。普段はアリの姿をしているが、自分より強い相手がいる時は変形して相手の特徴をコピーする。また相手がさらに強敵であれば、複数の個体が寄り集まって巨大な集合体となり、戦う。人間の言葉をまねて話すことができる。

砂漠カラス
爪から、大牛をも眠らせる即効性の強毒を出す。ファティマーに飼われている。

砂漠ハイエナ
ファティマーが飼育しており、病気などで弱った奴隷の処分に使われていた。

マウレニアサーベルタイガー
暗黒大陸に生息する肉食動物。牙にかすっただけで人間なら一瞬で死ぬほどの猛毒を持つ。競売用にファティマーが飼っていた。

ナミディアコンドル
暗黒大陸に生息する肉食動物。爪にかすっただけで人間なら一瞬で死ぬほどの猛毒を持つ。競売用にファティマーが飼っていた。

エウメラ鯛
バルバッド近海にしか生息しない珍魚。鯛であるが、骨まで軟らかい。これのバター焼きは、モルジアナの好物。

パパゴラス
アリババの好物の鳥。珍味として好む者もいるが、岩をも砕くクチバシと自分より大きな相手にも挑むという攻撃的な性格のため捕獲は困難。群れで生息し、一番強い個体をボスとする習性を持ち、パパゴラス以外の強い動物の庇護下に入りつき従うこともあるため、現在のボスはマスルールとなっている。

南海生物
南海に住む巨大な海洋中で凶暴な種類が多い。シンドリア国民が勝手につけた呼称であり、研究はあまり進んでいない。上陸できる形態のものもいる。「アバレ〜」という名前が付けられている。

アバレウツボ
樹木よりも巨大なウツボ。棘のついた胸鰭を手のように使って岸壁をよじ登ることができる。

アバレオトシゴ
タツノオトシゴの形をした生物。アバレウツボほど巨大ではないものの、海中から帆船の甲板まで届くほどの大きさはある。

アバレウミガメ
ウミガメと呼ばれてはいるが、鰭ではなくリクガメのようにしっかりした手足がついている。

アバレウミウシ
擬態能力を持つ大きなウミウシ。死亡すると擬態は解ける。

パパゴレッヤ
シンドリア特産の果物。大陸の商人との間で高額で取引される。

オラミー
リスに似ている。人懐っこく市街地に出没し、食べ物をくすねる。母親の尾の中で守られて子どもが育つ。

バオバロブ
シンドリア近海全域に群生する植物。特徴はウネウネと伸びた幹。

ザガンの迷宮植物
ジン・ザガンが自身に似せて作りだした迷宮植物。地上に現れている「花」の部分はザガンが仮面をつけたような姿をしている。ザガンの手を離れ、第61迷宮に近づいたトランの民たちを迷宮に引きずり込み、迷宮生物を生み出す養分へと変えていた。ザガンのふりをしてアラジンたちの前に現れる。歌声で他の迷宮生物を狂暴化させる能力を持つ。「花」の部分を攻撃されてもすぐに回復し、アラジンたちを追い詰めるも、地下にあった本体をモルジアナの炎翼鉄鎖に焼き払われ、小さな子供の姿をした最後の「花」を一つ残すだけとなってしまい、命を助けてもらう代わりに宝物庫へと向かう道を教えたが、直後にドゥニヤによって殺される。

ゴーレム
第61迷宮に棲むザガンによって非常に硬い鉱物から作り出された岩の巨人。モルジアナの蹴りが通じないほどの強度を誇るが、互いにぶつかり合うと砕けてしまう。

ネツメグサ
香草としても使われるマメ科の根の長い植物。

雑記



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