【ＳＦショートショート】
高レベルの核廃棄物を地底深くの安定な岩盤に埋めてしまう計画が進められている。
埋められる核廃棄物の放射性毒性は何万年も消えることはない。将来、私たちの子孫が誤って掘り出してしまったら、いったい誰が責任を取るのだろうか？何万年後の子孫に伝承する術さえ私たちは持ち合わせていない。

しかも、そのころに地球を支配している種が人類である可能性は、かなり低い。地底深くを開拓する技術をもつ種が現れ、偶然にも私たちが捨てた高レベル核廃棄物を掘り当てて、私たちを恨みながら絶滅するのだ！！！

さて、私たちのように科学技術を発達させることのできた種は、地球上で人類が最初なのだろうか？

ちょっとした弾みがつけば、わずか二百年間ぐらいの時間で私たちと同じような科学技術を発達させることが可能だ。その二百年間は、核廃棄物の数万年に比べあまりに短い。

数万年前に別の生物が核開発に成功し、高レベル核廃棄物を安定な地下の岩盤に埋蔵したかもしれない。そして彼等は、恐らく核戦争によって、地上から消し飛んでしまった。

ヒトは何度も同じ過ちを繰り返す。ひとり一人の個人も、家族も、グループも、民族も、国家もだ。もしかして、種だってそうかもしれない。