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【定義】

日本曹洞宗太祖である瑩山紹瑾禅師が著した、寺伝と自伝。特に、洞谷山永光寺に関する記述が主で、自身の永光寺在任期間の記録や置文などを収録する。全1巻。永享4年(1432)英就(英龍とも)書写の大乗寺所蔵本(古写本)が存在し、同著の原初的状況が知られるようになった。後には流布本も出ている。

【伝播】

古写本
・英就書写本(永享4年[1432]大乗寺所蔵本)
面山書写本(正徳4年[1714]永福庵?所蔵本)
 ※上記書写本の再写
以下、流布本
智灯?照玄重輯大乗寺所蔵本(享保3年[1718])
・同再写本(永光寺所蔵)
・同再写本(駒澤大学図書館)

【内容】

古写本は、編年が未整理であるが、文保2年(1318)から瑩山禅師が遷化される直前の正中2年(1325)8月までの記録を集成されている。なお、文中には、正和年間(1312〜1317)の年号を記す記録があるが、それは元応3年(1321)に書かれたものである。そして、その記録に合わせ、明峰素哲「明峰和尚置文」や、侍者源祖編「能州洞谷山永光寺瑩山和尚語録(瑩山瑾禅師語録)」など、瑩山禅師自身による記録以外の文書4点が付加されている。

流布本では、編年が完全に整理されており、古写本に収録されている文書の他に瑩山禅師自身で書かれた「洞谷山伝燈院五老悟則並行業略記」(五老峰に関する記録)や「当山尽未来際置文」など、さらには「開山御遷化」など、瑩山禅師示寂後の記事も多数付加されている。

現在このテキストは『曹洞宗全書』「宗源(下)」巻や、『常済大師全集』(以上2本は、流布本を収録)、『瑩山禅』(主として第8巻、一部は第9巻)で見ることができる。

【著作・論文など】

・東眞監修『諸本対校 瑩山禅師『洞谷記』』(春秋社・2015年)

・東眞監修『現代語訳 瑩山禅師『洞谷記』』(春秋社・2021年)

・東眞『洞谷記に学ぶ―日本初期曹洞宗僧団の胎動』(曹洞宗宗務庁・1982年)

上記の『瑩山禅』の第9・12巻に収められた解題・論考が参考になるが、それ以外として以下に一部を列挙。

・大谷哲夫「資料・大乗寺秘本『洞谷記』」(『宗学研究16』・S49.3)
・大谷哲夫「『洞谷記』その原形についての一試論」(同上)
・松田文雄「『洞谷記』の研究」(『瑩山禅師研究』瑩山禅師奉讃刊行会・S49.12)
・竹内弘道「瑩山禅師の著作について(3)―古写本『洞谷記』と流布本『洞谷記』」(『宗学研究所紀要1』S63.3)
・河合泰弘「『洞谷記』の成立に関する一考察」(『宗学研究36』H6.3)

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