曹洞禅・仏教に関するwikiです。人名・書名・寺院名・思想・行持等々について管理人が研究した結果を簡潔に示しています。曹洞禅・仏教に関する情報をお求めの方は、まず当wikiからどうぞ。

【定義】

寺族については、『曹洞宗宗憲?』の「第八章 寺族」にて定めるところであり、それは以下のようなものである。以前は、寺院に在住する僧侶以外の者の総称であったが、平成27年4月から「寺族簿」への登録の有無が重要になった。
第32条 本宗の宗旨を信奉し、寺院に在住する寺族簿に登録された者を「寺族」という。

なお、一般的に「寺族」は男性僧侶の配偶者を意味すると考えられがちで、また、女性がほとんどであるというのは事実だが、尼僧の配偶者も寺族に当たるため、女性のみに限定された立場ではない。

【内容】

なお、更なる詳細な定義を含めた内容については、『曹洞宗宗制』「曹洞宗寺族規程」に示されることであり、その「寺族の任務」では、次のように言われている。
第2条 寺族は、住職(兼務住職、代務者及び特定代務者を含む。)を補佐し、寺門の興隆、住職の後継者の育成及び檀信徒教化につとめなければならない。

また、「寺族安名親授式」(旧・寺族得度?)を受け、さらに、寺族通信教育の課程を修了した場合、申請によって准教師に補任される。

【経緯】

曹洞宗では、明治時代に入って僧侶の妻帯に対する規制緩和が行われると、宗門内にかなりの混乱を招いたようである。俗説でいわれるような、全員右倣えとして、妻帯(または夫帯)したわけでは無い。その一例が栗山泰音禅師の『僧侶家族論』(大正6[1917]年)である。この著作では、僧侶の結婚が許される理由を、大乗仏教の菩薩思想から説き明かし、そして、まだまだ時代の風潮の中で、僧侶の結婚が白眼視される状況であったのに反駁した著作といえる。

また、第二次世界大戦時には住職が戦地に送られ、残された寺族が寺院を守ったこともあり、その地位が向上した。こういう一々の経緯を見ずに、現状や、個人の信念(僧侶の結婚を許さない等)などから制度批判をしても意味は無い。

なお、戦後から平成に入るまで、「寺族」の定義が曖昧のままであり、「寺族得度」の位置付けも不明瞭であった。更に、寺族は得度を受けながらも、出家とは異なる立場であるため、いわゆる「四衆」のどこに入るのかも不明であった。結果、平成27年4月からは、寺族は「在家二衆」であることが明記され、寺族得度は僧侶の得度とは異なるとされたのである。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます