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寄贈作品集002


収蔵番号0003 「桂馬と姫初め」 ※ 齢十八を数えぬ者の閲覧を禁ず


358 うど 2007/01/07(日) 05:50:54.85 ID:0JFmhAl+0
ここはどこぞのお城。
名前なんて無いし、君主もあまり有名ではない。
噂になっているのは、君主が大の将棋好きだということと君主の姫が絶世の美人だということだけ。
仕える者と日々将棋を楽しんでいる。
そんなお城のお正月の話。

主「・・・桂馬よ」
大間で独り言のように君主が呟く。
桂「・・・・・・ここに」
存在を消していたのか、どこからともなく君主の後ろに女の人が左膝をついて座っていた。
主「どうやら我が娘は、将棋の楽しみを知らないようじゃ」
桂「そのようで・・・」
主「そこで、だ。お前には、我が愛娘に将棋の楽しみを教えて欲しいんじゃ」
無茶な頼みだが、主のためなら仕方が無い。表情に出さずに桂馬は思った。
桂「・・・・・・御意」
声と共に桂馬の姿がゆらりと消えた。
主「うまくやってくれるといいんじゃが・・・」


359 うど 2007/01/07(日) 05:51:44.57 ID:0JFmhAl+0
姫は今、寝室にいるらしい。天井裏で桂馬は鼠から聞いた。
姫「最近はおもしろい読み物もありませんのね・・・」
布団にうつ伏せで本を読みながら独り言を言う。
桂「・・・・・・姫」
姫「ひゃっ!」
気配を消して現れた桂馬にすっとんきょうな悲鳴をあげる。
姫「お、驚きましたわ!」
頬を膨らませて姫が言った。
桂「・・・申し訳ございません」
姫「で、何の用ですの?」
桂「姫のお父上様から将棋の楽しみを教えろとの・・・」
姫「結構ですわ」
一蹴し、姫はもう一度本に目を落とす。
桂「・・・姫、私には死活問題なので聞くだけでもお願いします」
食い下がる桂馬に深く頭を下げられ姫は困った顔になった。
姫「・・・そうですわね。あなたの性格が明るくなったら聞いてあげます」
桂「・・・善処します」
そういうとゆらりと姿が消えた


360 うど 2007/01/07(日) 05:52:18.45 ID:0JFmhAl+0
しばらくして、今度は黒い板と白くて細長い塊を持って桂馬が現れた。
姫を驚かさないために、今度は部屋の戸口から。
桂「姫様、お願いします」
少し不自然な笑顔を浮かべながら桂馬が言った。
桂「では、楽しんでいただくためには、将棋の歴史からお聞かせします」
黒い板にカッカッと音を立てて白い文字が浮かび上がる。
どうやら南蛮の物らしい。眠そうな目をこすりながら姫が座る。
姫「・・・歴史なんていらないんじゃないの?」
桂「いいえ、大事です。深く知っていただかないと」
黒い板に文字を書きつつ桂馬が喋る。
桂「将棋が伝わった時代ははっきりとしておりませんが
  吉備真備が唐に渡来したときに将棋を伝えたなどといわれています。
  それに、相手から奪った駒を再び使えるのも特徴です。
  これは南蛮の盤上遊戯の中で、将棋の唯一の特徴です」
黒い板に書き込まれている文字を見ながら姫の意識は遠のいていく。
桂「それに駒の動きが変わるのも特徴です。
  これを「成る」と言い、より動けるようになります。
  「飛車」は「竜王」、「角」は「龍馬」、「歩」は「と金」、「銀」は「成銀」
  「香」は「成香」、「歩」は「と金」、「桂馬」は「成桂」に成ることができます」
桂馬が頑張って説明している後ろで姫が安らかな寝息を立てている。


362 うど 2007/01/07(日) 05:52:52.61 ID:0JFmhAl+0
桂馬は気づかずに説明を続ける。
桂「そして、南蛮数字と漢数字を使い、譜面の位置を表します。
  南蛮数字が横の軸、漢数字が縦の軸です。
  4七桂 のように南蛮数字を先に・・・・」
桂馬は姫がついてこれてるか心配になって後ろを振り返った。
姫「スー・・・スー・・・」
気持ちよさそうに眠る姫を桂馬が見つめる。
桂(頑張ってたんだけど・・・どこらへんから寝てたのかな)
ちょっと傷つきながら姫を起こす。
桂「姫、起きてください。起きてください」
姫「ん・・・」
ゆっくりと目を開け、また閉じる。
桂「こ、困りますって!起きてください!」
姫の肩を持ち、がくがくと揺らす。
姫「わ、わっかた・・・起きるから・・・揺らさないれ・・・」
ろれつの回っていない少し不自然な日本語で姫が言う。
姫「大体、話が小難しいのよ。もっとわかりやすくしなさい」
頬を膨らませながら姫が不満を漏らす。
桂「申し訳ありません。姫は卓上論理は苦手のようですので実戦を交えて説明いたします」


363 うど 2007/01/07(日) 05:53:28.71 ID:0JFmhAl+0
そう言うと、将棋版と駒を持ち出した。
桂「私と同じように並べてください」
かちゃかちゃと素早く並べていく。それを確認しながらゆっくり姫も並べる。
桂「では、駒の動きを説明いたします」
将棋板の中心、開いたスペースで一つずつ動きを説明する。
桂「それでは、始めましょうか」
一つ一つ、注意と説明を交えながら将棋を指す。
始めは姫も適当だったが、徐々に真剣になり、目の色がみるみる変わっていった。
桂「姫、なかなかスジがいいです。さすがは殿の娘様ですね」
姫「当たり前です。やってみるとなかなかおもしろいですわ」
クスクスと笑いながら姫が答える。
一時間、まったりと指し続け姫はだいぶ楽しさを覚えた。
一段落ついたところで今日はお開きにした。


407 しゅんぎく 2007/01/07(日) 07:18:28.23 ID:0JFmhAl+0
桂「それでは、今日はこのくらいです」
姫「ありがとうですわ」
桂「いえ、これで私も殿に顔を向けれます」
笑顔の姫に笑顔で答える。
姫「そういえば、私まだわからないことがあるんですが」
桂「なんでしょう?」
将棋に関して質問がくるなんて、さすがは殿の娘様だ。と、桂馬は内心うれしく思った。
姫「交ぐわいって何ですの?」
桂「へ?」
てっきり将棋の質問がくると思っていた桂馬はあっけらかんとした顔になった。
姫「女中も家臣も教えてくれないの!ねぇ、何ですの!?」
桂馬の顔がみるみる赤くなる。
姫「教えてくれるまで帰しません!」
消えようと思えば消えれる

このレスは省略されました、続きを表示するためには「将棋最高!」と書き込んでください


422 桂×姫 1 2007/01/07(日) 07:29:23.75 ID:0JFmhAl+0
桂「それでは、今日はこのくらいです」
姫「ありがとうですわ」
桂「いえ、これで私も殿に顔を向けれます」
笑顔の姫に笑顔で答える。
姫「そういえば、私まだわからないことがあるんですが」
桂「なんでしょう?」
将棋に関して質問がくるなんて、さすがは殿の娘様だ。と、桂馬は内心うれしく思った。
姫「交ぐわいって何ですの?」
桂「へ?」
てっきり将棋の質問がくると思っていた桂馬はあっけらかんとした顔になった。
姫「女中も家臣も教えてくれないの!ねぇ、何ですの!?」
桂馬の顔がみるみる赤くなる。
姫「教えてくれるまで帰しません!」
消えようと思えば消えれるのだが、今後のことでまずくなるかもしれない・・・
ずいと迫る姫を横目に考える。
桂(できるだけ遠まわしに伝えれる言葉・・・難しい・・・)
頭が痛くなる。しかしこうなった姫は引かないことをよく知っている。
姫「・・・・・・・・・・・・・・・・」
桂「え、えっとですね・・・あ、愛する者同士がする愛の営みです」
我ながら遠まわしに表現できたと思う。
姫「・・・どういうことを?」
遠まわしなのでわからない、というの表情を姫が浮かべる。


423 桂×姫 2 2007/01/07(日) 07:29:57.85 ID:0JFmhAl+0
桂「え?あのですね・・・その・・・えっと・・・」
姫「ふむ、言葉じゃ表しにくいのね。ならば桂馬、私にしてみなさい」
こういうときは大胆だから困る、と桂馬は思った。
姫「桂馬?・・・私を愛していないの?」
桂「へ?あ、いや・・・大好きですけど・・・その・・・」
もう、どうしてもいいかわからないので困惑しておろおろしだす桂馬。
姫「ならばできるでしょう?私も桂馬のことは好きですし・・・」
恥ずかしさで二人とも押し黙り、沈黙が流れる。
桂「・・・・・・ふぅ、わかりましたよ。ですが、好きでもない人としても嫌なだけです。本当に私が好きですか?」
なかば諦めたように桂馬が言った。
姫「好きです!嘘ではありません!」
頬を桃色に染めて姫が熱を込めて言う。
桂「ありがとうございます。それでは、姫。先のご無礼をお許しください」
姫「無礼・・・?無礼って何・・・ひゃっ!?」
やさしく姫の腰に手を回ししっかりと抱きしめる。身長の関係で姫の頭はちょうど桂馬の胸のあたりにある。
姫「・・・あったかいです・・・」
桂「ふふ、私もあったかいですよ」
姫の艶のある黒髪をやさしく撫でる。
桂「姫は肌もぷにぷにですね。うらやましいです」
姫「そ、そんなことは!・・・・・・むぅっ!!?」
否定しようと顔を上げた姫の唇を奪う。一度離し、今度は深く接吻を交わす。
姫「ふぁ・・・ん・・・」
甘い吐息とくちゅくちゅと舌と唾液がぶつかる音が頭の中ではじける。
口を離すと、つぅっとお互いの口同士をつなぐ銀の糸が伸びる。


425 桂×姫 3 2007/01/07(日) 07:30:29.69 ID:0JFmhAl+0
桂「姫、これからすることはこれよりも過度になります。それでも構いませんか?」
姫「構いませんわ・・・好きにしてください・・・」
とろんとした目で桂馬を見ながら小さな声で姫が言う。
もう一度唇をふさぎながらゆっくりと姫の着物を脱がしていく。
姫の小さな胸があらわになる。白い肌と桃色の乳房がとても官能的である。
桂「姫・・・甘い匂いがしますね・・・」
耳を甘噛みし、首筋に舌を這わせる。
焦らすように、少しずつ下へと舌を動かしていく。
姫「ふ・・・ぁ・・・だ、だめ・・・」
姫の言葉に反応し桂馬は舌を離す。
桂「やっぱり、嫌でしたか?」
姫「え?あ、いや、ち、違います!」
自分の言った意味が桂馬に伝わってないため顔を真っ赤にして全力で否定する。
姫「その、私が言いたかったのは・・・桂馬にも・・・服を脱いで欲しかったんです・・・」
うつむきながらちっちゃい声で呟く。
桂「・・・ふふ、わかりました」
そういいながら上着を脱ぐ。さらしをするりと取ると縛りが取れた大きい胸が現れる。
姫「・・・・・・桂馬ってなかなか巨乳なのね」
桂「し、仕事の時困るんですよ」
顔を真っ赤にしながら胸を凝視している姫に言った。
姫「なんかずるーい」
桂「・・・こればっかりはどうしようも・・・」
ふにふにと胸の感触を確かめるように姫が揉みはじめる。
桂「ひ、姫!?」


426 桂×姫 4 2007/01/07(日) 07:30:52.33 ID:0JFmhAl+0
姫「感触を確認中ー」
ふにふにと、姫の弱い握力がちょうど良く、桂馬からも声が漏れ始める。
桂「ん・・・あん・・・」
姫「桂馬の声は可愛いですわー」
ハートを飛ばしながら姫が抱きつく。
桂「声・・・だけですか?」
姫「全て可愛いし、大好きですわ」
桂「私も好きですよ」
そういいながらゆっくり姫を押し倒す。
桂「それじゃ、本格的に交ぐわいを教えますけど、痛かったらすぐ言って下さいね」
姫「う、うん・・・」
ゆっくり姫の体に舌を這わす。触れた瞬間ピクンと姫の体がはねる。
ゆっくり、焦らすようにへそを通して胸へと舌を上に這わせる。
姫「ん・・・ふぅ・・・ふぁ・・・」
桂馬の舌はゆっくりと姫の乳首に到達する。
桂「姫、乳首が固くなってますよ・・・気持ちいいんですか?」
くすくすと笑いながら桂馬が聞いた。
姫「あ、当たり前です・・・桂馬が上手なんだもの・・・」
桂「姫を喜ばせれるなんて、私は姫の旦那様になれてしまいますね」
姫「・・・なってもいいのよ?私は桂馬が旦那がいいわ・・・」
桂「・・・・・・もう少し・・・身分がない時代に生まれたかったですね・・・」
そう言うと桂馬はやさしく姫の唇を奪った。
姫「桂馬・・・私だけの・・・愛しい人・・・」
唇をふさがれながらも呟く姫を強く抱きしめる。今まで忍という職業のせいで抑えていたもの全てがこみ上げてくる。
それでも、必死で表面に出さずやさしく唇を離し、乳首を舌で転がす。
姫「桂馬ぁ・・・・」
姫の舌の口の筋を指で上下になぞる。少し触れるだけで温かい液が桂馬の指に絡む。


427 桂×姫 4 2007/01/07(日) 07:31:08.17 ID:0JFmhAl+0
桂「ふふっ、姫の愛の証ですね」
うれしそうに桂馬が姫に指を見せる。
姫「恥ずかしいです。はやくしまってください・・・私ばかりこういうことをされてますけど、桂馬はいいんですの?」
自分ばかり気持ちよくなっているのに罪悪感を感じたのか姫が桂馬に聞いた。
桂「姫、それでは、「松葉崩し」というのを教えます」
そう言って桂馬は両手とも人差し指と中指だけを立てた。
桂「簡単に言うと・・・こう・・・ですね」
両方の人差し指と中指の間をがっちりと結合させる。
さすがの姫も意味はわかったのか顔を赤らめる。
桂「姫、何度も言いますが、嫌だったら───」
姫「何度も言わせないでください!私は桂馬が好きなの!この世で一番好きなの!!」
お互い赤面のまま妙な時間が流れる。
桂「それでは、姫、よろしいですね?」
姫「はい。桂馬と一つになれるなら・・・」
桂馬がゆっくりと姫の秘部に自分の秘部を触れさせる。
ビクンと電気が走る。快感で桂馬の目から涙が零れ落ちる。
桂「姫・・・起き上がって、私に抱きついてください」
言われるままに姫は体を起こし桂馬に抱きつき、それを確認して桂馬が腰を揺らし始める。
秘部がぶつかりあってクチュクチュと快感の音をたてる。
桂馬も姫も頭の中が真っ白になり、絶頂を迎える。
姫「桂馬・・・イきそうです・・・あぁっ」
桂「姫・・・好きです・・・これからも・・・」
そう言いながら桂馬はもう一度姫と唇を重ねる。
・・・・─────


428 桂×姫 おまけ 2007/01/07(日) 07:31:32.24 ID:0JFmhAl+0
事が終わり、二人は一枚の薄い布団にくるまった。
布団は使い物にならないくらい濡れており、どうしようか桂馬が悩んだが、結局廃棄するようだ。
桂「これが本当の「姫初め」ですね」
うれしそうに桂馬が言う。
姫「ひめはじめ?」
疑問系な顔で桂馬に答えを求める。
桂「姫と愛し合いながら新年を迎えるんですよ」
姫「それなら、これからずっと姫初めだね」
姫の子どもらしい返答に、桂馬は一生の忠節を思った。




収蔵番号0004 「歩兵の想い、寺子屋の理想」 ※ 齢十八を数えぬ者の閲覧を禁ず



「あ〜……」
 草の上に寝転がり、ただただ、ボーっとする。
 何てことはない。ただひたすらに、暇だった。
 いっそ、このまま暖かい日なたに身を任せて、一眠りでも……。
「あ、ぐんしさまだー」
 眼を閉じようとした矢先、俺の視界に見慣れた真っ赤な笠が飛び込んでくる。
「……暗いぞ、歩兵」
「はぇ? わたし、べつに、くらくなんてなってないですよー?」
 ……この頭の弱い子め。
「お前の頭で影になってるんだ。その頭をどけろ」
 寝転がったまま、歩兵の頭を手で押しのける。
「のわわわっ……!」
 いきなり押しのけたからだろうか。視界の外で、ドサッ、と、尻餅をつく音が聞こえた。
 俺はそれを意識的に無視して、再び眼を閉じようと……。
「ひどいですよー、ぐんしさまー」
 …………。
「だから頭が邪魔なんだっての!」
 俺は跳ね起き、また影を作った歩兵に、起き上がりざまの頭突きを喰らわせる。
 さすがにこの不意打ちには驚いたんだろう。成す術のなかった歩兵は、その場で倒れる。
 ちなみに、俺の額も痛い。凄く痛い。本当は転げまわって痛がりたいぐらいに痛い。
「……ふ、ふふふふふ。今度、同じ目に遭いたくなかったら、もうやるなよ!?」
 必死に我慢して、そんなことを口走る俺。多分、今、俺は涙目だろうな。
 しかし、歩兵はそんな俺の言葉を無視して倒れ続けてる。
「…………おや?」
 さすがに違和感を覚え、俺は歩兵の頬を叩く。が、反応なし。
「薬師ー!!」
 この結論に達するのに、さほど時間はかからなかった。



―ただの気絶ね。……額のたんこぶだけは、水に濡らした手拭いで額に当ててあげなさいな。

 ……いやまぁ、確かに俺がやったし、俺に過失があったのは認める。認めるけども……。
「なぁんで俺が看病しなきゃならんかなぁ……」
 医務室にある一室。そこに敷かれた布団の隣で、俺はため息を吐く。
 布団で寝ているのは、まぁ当然ながら、歩兵。
 今は足軽鎧や笠は着けておらず、患者衣であろう、真っ白な着物を着せてある。
 ……無論、歩兵を診た、薬師の婆さんが。
 ちなみに婆さんは、どうも切れた薬草があるそうで、それを山まで採りに出かけてしまった。
「あぁくそ。元はといえば、全部お前が、俺の日向ぼっこを邪魔するからだぞ?」
 ぶつくさと文句を言いながら、歩兵の頭に乗った手拭いを水で濡らし、乗せなおす。
「第一、コイツは教養が無さ過ぎるんだよな。いくら農民の出だとはいえ、暗いのを、コイツ自身の気分が暗い、と勘違いするとは……」
 ひたすら文句を言い続けていると、ふと俺の頭に名案が思い浮かぶ。
「戦が落ち着いたら、寺子屋でも開くか。金将に事情話して、屋敷の一室開放してもらって、
 教養無さそうな奴らに片っ端から叩き込む。……うん、悪くないな。うん、うん……」
「えぇー……」
 ……えぇー、じゃない、っての。
「いつ、起きた?」
 俺が睨むように歩兵を見ると、歩兵は気まずそうに、顔を半分、布団に埋める。
「えっとぉ〜……。だいたい、はんごく……、まえ?」
「……婆さんが出てった直後くらいか」
「それより。てらこや、いくさおわったら、ひらくんですか?」
「そのつもりだ」
「えぇ〜……」
 ……そこまで不満か、お前は。
「わたし、うけれるかなぁ……」
 急にそんなことを、歩兵が布団に顔を埋めたまま、ぽつりと呟く。
 一瞬、言ってることがわからなかった。そして、一瞬後、俺は頭を下げていた。
「すまなかった。そこは考えなしだった」
「そ、そんな、きにしなくていいですよー!」
 俺が頭を下げたことに驚いたのか、歩兵は慌てふためく。
 そして俺は顔を上げると、歩兵の顔を真正面から見る。
 歩兵は布団から上半身を持ち上げ、苦笑していた。
「ぐんしさま、いきなり、あたまさげるんですもん……。おどろきましたよ〜」
「いやまぁ、俺が悪いこと言ったのは確かだからな」
 その言葉に、歩兵はあははは、と笑ってから、頭を垂れる。
「……でも、てらこやかぁ〜……。わたしみたいに、あたまわるくても、だいじょーぶかなー……」
「気にするな。むしろ、頭の悪い歩兵の頭を良くするために開くんだからな」
 俺は頭を垂れたままの歩兵の頭を、わしわし、と撫でる。
 歩兵の髪は、意外にサラサラしていた。
「……」
「…………」
「…………ぐんしさま?」
 しばらく黙って頭を撫でられ続けていた歩兵が、急に口を開く。
「どうした?」
 俺は頭を垂れたままの歩兵の言葉を待つ。
 歩兵は何を見てるのだろう。視線の先を辿ると、布団の上に置かれている、歩兵の手。
 その手が、硬く握り締められている。
「わたし、ほんとーに、べんきょーできるかなぁ……。みんなといっしょに、いられるかなぁ……?」
 震える声で。消えそうな声で。歩兵は、ぽつぽつと言葉を綴る。
「おにぎり、を、もっと、いっぱい、たべて……。ひっく……。みんっ、みんな、で、わらいながら、おこめ、つくって……。
 ぐんし、さまと……、いっしょに、おしゃべり、して……」
 嗚咽が混じりだした声で、それでも言葉を続けようとする歩兵。
 俺は……、どうすればいい?

 否。どうすればいい、じゃない。どうしてあげたいか、だろう。
 俺は歩兵の頭に置いていた手を肩に持って行くと、そのまま歩兵を抱き寄せる。
「大丈夫だ。きっと、生きて帰れる。帰ってこようとすれば、帰ってこれる。な?」
 思いつく限りの言葉を、歩兵にかける。
 歩兵は、俺にすがりつくようにして、泣いていた。
 それから、どれだけ時間が経っただろう?
 歩兵も落ち着いたのか、すがりついたままではあるものの、もう泣いてはいないようだった。
 俺は、歩兵を慈しむように、優しく頭を撫ぜ続ける。
「ぐんし、さま……」
「どうした、歩兵?」
 俺は出来る限り気をつけて、優しく声をかけてやる。
 すがりついたままの顔を上げて、俺の目を見る。
「だいて、ください……」
 ……。
 …………。
 ………………。

ベシッ。

「あぅっ!?」
 ひとまず、頭を叩いておく。しかも、全力で。
「馬鹿か。お前は馬鹿なのか。教養がない馬鹿じゃなく、常識までない馬鹿なのか?」
 歩兵の頭を掴み、思い切り力を込める。
「あいたたたたたたっ!?」
「第一な、お前は言ってる意味を理解してないだろ。なぜ今までの流れでそういう流れになる?
 わかりやすく、簡潔に、かつ納得いく答えを示せ。無理だろう? 無理だろうな。
 何せ全くと言っていいぐらいに脈絡が無いからな!」
 ミシミシと音が鳴りそうな勢いで、俺は歩兵の頭を締め上げる。
 歩兵は俺の手を外そうと躍起になっているが、これでも俺は男。そうそう易々とは――。
「てぃっ!」
 ……外れました。
 何か男の尊厳台無しな気がした。それくらい、俺の心はふかぁく傷ついた。
「えっとぉ……。どーしたんですか?」
 うるさいよ、この非常識娘。そんな心配そうに見るな見ないで見ないでいただけますか?
 そんな傷心な俺に、歩兵は顔を赤らめながら言葉を続ける。
「あの……。ぐんしさま? わたし、ばかだし、なんていったらいーのか、うまくいえないんだけど、えっと……。
 さっき、ぐんしさまに、あたま、なでてもらったの、すっごくきもちよかったです。うれしかったです」
 ぽつり、ぽつり、と、歩兵は真っ直ぐな視線で言葉を投げかけてくる。
「できるなら、その……。もっと、ぐんしさまと、いっしょにいたいな、って。
 ぐんしさまと、いっしょにいれたらな、って。きっと、そーすればがんばれるから。
 ……いくさから、かえってこれるって……おもったから」
 俺は改めて、歩兵の目を見据える。
 真っ直ぐな瞳。純粋で、無垢で、どこまでも真っ直ぐで。それゆえに、脆そうで……。
 歩兵とのしばらくの睨み合いにも似た見つめあいを、俺はため息を吐くことで終わらせる。
「お前な。抱いて欲しい、って言ったな。ってことは――」
 そして俺は、歩兵の両腕を掴み、布団の上に押し倒す。
 そこから間髪いれず、歩兵の唇を無理やり奪った。
 無理に舌はだけは入れない。ただ、唇を合わせるだけの接吻。
 しばらくして、歩兵の唇を解放してやると、俺は口を開く。
「こういう目に遭うぞ? 言っておくけど、相当怖い」
 歩兵に、妙な知識を植え付けようと試みる。しかし歩兵は、顔を真っ赤にさせたまま、
 固く目をつむり、抵抗しようとしない。
 被虐心と、劣情と。そんな二つの感情が、理性を喰らい尽くそうとしてくる。
 俺はその感情を無理にでも押し込め、更に低く、脅すような口調で歩兵に語りかける。
「これ以上は、更に酷いことをしかねない。止めるなら、今のうちだ。痛い目は、見たくないだろう?」
 抵抗しろ。抵抗してくれ。
 しかし歩兵は、俺の心の中の葛藤を一蹴するかのように、首を横に振る。
「いいのか? 本当にいいのか? 俺のような男に抱かれても、お前は構わないのか?」
 劣情が、勢力を増してくる。だが、まだ耐える。耐え抜く。
 歩兵のために。歩兵のことを想うからこそ。俺は、理性を総動員して、劣情の猛攻を耐え抜く。
「して……ください…………」
 顔を真っ赤にさせて、歩兵がか細く呟いた。
 もう、限界だった。


「んっ……!」
 俺が首筋を舐めると、歩兵は可愛らしい声を上げる。
 はだけた患者衣の間から見える乳首に向かって、ツツーッ、と舌を這わせる。
「はぅんっ……!」
 舌が乳首を舐めると、一際高い声を上げて、歩兵が鳴く。
 片腕で歩兵の両腕を歩兵の頭の上で拘束し、空いた片腕で、舐めていないもう片胸を刺激する。
「ん……くふぅ……っ」
 不意に刺激が増えたからだろう。歩兵はまた、新しい反応を見せてくれる。
「……平たい胸だな」
 俺は顔を少し上げると、そう呟く。
 その言葉を聞いて、歩兵は、俺の手による愛撫に耐えながら、恨めしそうに睨む。
「いいんです。これから、せいちょーしますからっ!」
「あぁ、そですか」
 俺の素っ気無い物言いに、歩兵が反論しようとしたところを、俺は乳首に吸い付いてその反論を止める。
「あ、あぅ……、ひきょ……はぅっ……!」
 そのまま、立ってき始めた乳首を甘噛みすると、歩兵は再び切なげな声を上げる。
 俺はしばらく胸を攻め続けていた手を、更に下へと持っていく。
「だ、だめぇ……」
 歩兵の力ない抗議を受け付けず、俺は歩兵の秘部を撫で上げる。
「ひぁっ……!」
 今までの中で、最も強い反応。
 俺はそのまま、秘部を撫で続ける。
「あ、やぁ……ぁ、ふぁぁ……っ!」
 歩兵の秘部を指で上下する度、歩兵から可愛らしい声が断続的に漏れる。
 乳首に対する攻めも止めず、俺は歩兵の乳首を口の中で吸ったり、甘噛みしたり、と刺激を加え続ける。
 少しして、秘部を撫でる指に、ぬるり、とした感触を感じる。
「……濡れてきたな」
「そ、そーいうこと、いわないでくださいぃ〜……」
 きっと、穴があったら入りたいだろうに。それくらい、歩兵は顔を真っ赤にさせている。
「さて、と」
 俺は一旦、歩兵から手も、顔も離し、開放する。
「は、はれ……?」
 歩兵は開放された意味が分からず、目を白黒させている。
「言っておくけど、止めてももう遅いからな?」
 その言葉と共に、俺はピッタリと閉じられた歩兵の両足を掴み、開く。
「あ、あぅっ……!?」
 条件反射なんだろう。歩兵は解放された両手で、素早く秘部を隠してしまう。
 俺はそれに軽くため息を吐いて、歩兵を見る。
「お前な。隠されたら、どうしようもないわけだが」
「で、でも、はずかしーです〜……!」
「……お前が望んだことだろうが」
 いやまぁ、恥ずかしかろう、というのも分からないでもないが。さすがに、ここまできてやっぱりイヤです、
 と言われても、コッチが困るわけだ。
「ぅ……うぅ……」
 心配も杞憂だったか、歩兵は渋々、と言った感じで手をどけ、その代わり、自分の顔を両手で覆う。
「まぁ、まだ本番はしないから安心しろって……」
 俺はそう言うと、歩兵の太もも辺りに手を当て、秘部に顔を近づける。
 フワリ、と、少女の幼い臭いと共に、愛液の匂いは鼻腔をくすぐってくる。
 そんな秘部を、軽く一舐め。
「はぅぁっ!?」
 うん。予想通りのいい反応。
 歩兵は俺の頭を押しのけるようにグイグイと押してくるが、そこはまぁ……。テコでも動かず、歩兵の秘部を舐め続ける。
 可愛らしい歩兵の反応を聞きながら、俺は狙いを、秘部の少し上。陰核に狙いを定める。
 まだ皮も剥けていないような陰核は、それでも自身を誇示するかのように、硬くなっていた。
 俺は歩兵の陰核に顔を近づけると、舌で器用に皮を剥いてやる。
「ふぁぁっ!?」
 陰核を剥くと同時、歩兵は軽く身体を弓なりにしならせる。
 恐らく、今ので軽く達してしまったのだろう。歩兵は荒い息で、俺を見つめてくる。
「いまの……な、なんだったん、ですかぁ……?」
 ……うぅむ。陰核を知らないのか?
「お前さ。手淫、ってやったことあるか?」
 顔を上げ、歩兵に話しかけると、歩兵は真っ赤な顔のまま、首を傾げる。
「しゅいん……、ってなんですか?」
「……何でもない」
 本当に純粋な生娘、というべきか、色気より食い気、というべきか……。
 俺はそんな歩兵の姿に、呆れ半分、苦笑した。そして、まだ全く男を知らなかった歩兵と行為している自分に、
 良心の呵責と、それ以上の征服感が去来していた。
 質問をしてから、少し動かなかったからだろう。首をかしげた歩兵の不意を打つように、俺は陰核に吸い付く。
「ふきゃわっ!?」
 再び仰け反る歩兵。俺はそのまま、陰核を吸い続ける。
「ぁ……っ、ふぁぁぁ……っ!」
 ビクビクと快楽を感受している歩兵の秘部は、すでに愛液でグショグショになっていた。
 俺は歩兵の陰核から口を離すと、歩兵を見上げる。
「……もう、準備よさそうだな」
 俺が歩兵の秘部に指を挿れると、膣内は俺の指を逃すまいと、キツく締め上げてくる。
 引き抜く前に膣内を一掻きしてから、俺は身体を上げる。
「挿れるぞ?」
 俺はそそり立った自分の一物を取り出すと、歩兵の秘部にあてがう。
「痛かったら言えよ? っていうか、初めてだとほぼ間違いなく痛いらしいから、覚悟しとけよ?
 わかったな? 覚悟しとけ?」
 念に念を加え、更にもう一念加えて、歩兵が頷くのを確認してから、俺は少しずつ、歩兵の膣内に進入していく。
「ぅあぅっ! くっ……ふぅっ……!」
「く……ぁ……!」
 歩兵が、苦痛を伴った声を上げる一方で、俺も凄い締め付けに、思わず声が漏れる。
 それでも更に深く腰を沈めていくと、途中阻まれるような、そんな抵抗が生まれる。
「……今から、更に痛くなるからな?」
「わかり、ましたぁ……」
 しっかりと濡らしたはずだが、それでもすでに、随分と痛いのだろう。歩兵は涙目になりながら、それでも頷いてくれた。
「んっ……!」
「ひぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」
 少し力を込めると、進入を抵抗していた処女膜は、ブチブチッ、という、突き破る感覚と共に、貫かれる。
 歩兵は痛みに耐えるためだろう。布団を、指先が白くなるくらい、力いっぱい握り締めていた。
「大丈夫か、歩兵……?」
 俺の言葉に歩兵は、今にもボロボロと涙をこぼしてしまいそうなくらい余裕がなさそうな表情で、それでも頷いてくれる。
「う、うごいて……いいです、よ?」
 歩兵の口から出た言葉は掠れた涙声で、そして、真摯さが伝わってくるくらい真っ直ぐだった。
 俺は歩兵に、痛かったら言え、とだけ言って、ゆっくり、慎重に腰を動かし始める。
「ぅぁ……あぅ……、んぐぅ……っ!」
 それでも、歩兵は痛そうな声を上げるだけで、決して痛い、とは言わない。
「大丈夫か?」
 動くのを止め、歩兵を気遣う。
 歩兵はただ頷いて、俺に動くように促してくる。
 俺は再び、ゆっくりと腰を動かし始める。
「んくっ……、あ……、ふぁ……っ!」
 しばらくの挿注を繰り返していると、歩兵の喘ぎ声に、艶っぽい声が混じり始める。
 俺はそれを見て、少しだけ動きを早める。
「ひぁっ!? あ、ふぁ……はひぃっ……!!」
 それほど早めたつもりはなかったのだが、歩兵は随分と驚いたのだろう。眼を見開くと、
 急に膣内が収縮して、俺の一物が更にキツく締め上げられる。
「ぬ、ぐぅ……」
 俺を襲ってくる射精感に必死に耐えながら、俺は挿注を続ける。
 腰を振る音と、秘部から流れる水音。そして、二人の声が、部屋を支配する。
 俺は歩兵の足を掴んでいた両手を放すと、歩兵の身体を抱き寄せ、座位の形にする。
 唐突な変化に加え、ズンッ、と深く一突きした途端、歩兵は口をパクパクと開いていた。
「ふか、いですぅ……」
 歩兵の絞り出した声を出す。
 だが俺はそのまま、何度も歩兵の膣内を突き続ける。
 正直、あまり余裕がなかった。
 しかしそれは歩兵も同じなのか、その言葉以降、荒い息と共に、嬌声が高くなっていく。
 そして俺がもう限界に近づいた頃。
「も、ぐん、しさま……。も、だめ、ですぅ……」
 歩兵も、俺に強く掴まりながら、呟いた。
「もう、俺も、限界だ……」
「ぐんし、さま。きて、くださいぃ〜……」
 歩兵のその言葉が口切になったのか。歩兵がその言葉を言い終えるとほぼ同時、俺は歩兵の膣内に、出していた。
「ふぁ、あぁぁぁぁぁぁっ!!」
 そして、歩兵も、達したようだった。
 しばらくその体勢のまま、射精が収まるのを待つ。
「あ、あぅ……。なかに、でてます〜……」
 歩兵は嫌そうな口調と裏腹に、幸せそうな表情で、俺に身体を預けてくる。
 一物の抜かれた接合部からは、白濁とした液に混じって、赤い、絆の証が見えていた。


「ぅ〜……」
 着崩れた患者衣を直し、後始末を全て終えてから、歩兵が何か唸る。
「い、痛かったか?」
「だいじょうぶ、ですよ……。ぐんしさまが、しっかりとかんじられましたからぁ……」
 心配をかけた俺に、歩兵はえへへへ、と笑ってくる。
 俺はそんな歩兵を強く抱きしめた。
「お前さ……。痛かったことは否定しないのな?」
「いたかったのは、ほんとーですからー」
 ……正直、すまなかったと思うけどねぇ。
 俺は歩兵を放してやると、歩兵は少し間を取って、俺に笑いかける。
「うん。ぐんしさま、ありがとーございました」
「いやいや。ありがとう、っていうのは間違ってないか?」
 苦笑しながら言う俺に、歩兵は不思議そうに首を傾げる。
「でも、わたしのおねがい、きーてもらえましたしー……。やっぱり、ありがとーございます」
 再び同じことを言う歩兵に、俺は呆れ半分、愛しさ半分で笑いかける。
「まぁ少しでも役に立てて、本当によかった。……もう、大丈夫か?」
「はい! きっと、ぜったい、いくさにいっても、かえってきます! それで、てらこやで、べんきょーします!」
 俺の頑張れ、という言葉に歩兵が答えていると、急に部屋の扉が開かれ、婆さんが帰ってくる。
「ふぃー……。いやはや。薬草見つけるのに時間かかちまったよ。……おや、お嬢ちゃん起きたのかい?
 なら、さっさとお行きな。こんなところでサボってると、お偉いさん方にどやされちまうよ?」
「そーでした! ひしゃさま、おこるとこわいんですー!」
 歩兵はバタバタと足軽鎧と笠を引っつかむと、最後に俺に向かって満面の笑みを浮かべて、走っていってしまう。
 俺は何となく機会を逃してしまい、その場に佇んでしまう。
「……のぉ、軍師殿?」
 不意に、婆さんが俺に話しかけてくる。
「お婆が何を言っても、高明な軍師殿にゃ、お節介かもしれないけどねぇ……」
「何でしょうか?」
「自分を慕う娘御は、大事にするんじゃよ? でないと、お婆がキッツイ針診療をしてまうからのぉ」
 ……わぉ。バレてら。
 婆さんの機嫌の良さそうな笑いに後押しされるように、俺は医務室を後にする。
 さて。最も被害の少ない兵法を、考えるとするか……。
2007年01月16日(火) 03:07:01 Modified by ID:GD4z93ce4g




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