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 『彼』は目を醒ますと、ベッドに身を横たえたまま部屋を見回して、疲れたようにため息を吐いた。
 パステルカラーとフリルとぬいぐるみに溢れた部屋。女の子の部屋というよりは、フィクションの中の理想の少女の部屋
のようだ。そう、男性が想像するような。
 彼は起き上がり、花柄の女性物のパジャマを乱暴に脱ぎ捨てる。
 華奢な体つきに、白くなめらかな膚、軽くウェーブする艶やかな髪。可愛らしいと言えるくらい整った顔。
 女物をまとっても似合う体つきではある。しかし、さすがに女性の下着はやりすぎというものであろう。
 実際、苦々しげな顔で脱ぎ捨てた下着の下からは男根がはねるように立ち上がったのだから。
「ふうん。こんなになっても朝勃ちはするんだね」
 一糸まとわぬ姿になって自分の股間を見下ろしながら、彼は感心したように笑う。爽やかさのかけらもない、実にうすら
寒い笑みであった。普段の『彼』を知る者なら、その表情を笑みとはとても思うまい。
「涼、起きなさい。そろそろ……」
 扉をあけた女性は、彼の姿を見て言葉を切る。彼と似た顔つきを持つ女性は、彼の従姉の秋月律子。
「もう起きてるよ」
 唇の端だけを持ち上げる笑みで彼がそう言うと、律子は辛そうに目を伏せた。


 ほうぼうに電話をかけ諸々の調整と連絡をしている律子の背中を眺めながら、秋月涼は朝食を摂った。
 たっぷりのベーコンとサラダをたいらげ、スクランブルエッグをつつきながら、彼は電話から戻ってきた律子に上機嫌な
声をかける。
「律子姉ちゃん、腕をあげたね」
「あ、うん。……その、涼に習ってる……から」
 彼はその答えに驚いたように目を丸くした。その後ですっと眼を細め、意地の悪い表情を浮かべる。
「ふうん。そっかそっか。ところで、姉ちゃん。『私』はこの期間のこと、どう思ってるの?」
「ええと、その……。重い生理で動けなくて、寝込んでるって……」
 ぼそぼそと歯切れ悪く律子は言葉を紡ぐ。かつてのトップアイドルにして、新進気鋭のプロデューサーとしてならす彼女
の姿を知る者にとっては、その光景は実に意外なものであったろう。
「生理? はは、生理ぃ? あははははははぁ!」
 従姉の言葉に唖然としていた涼が、弾かれたように甲高い笑い声をあげた。アイドルとして鍛え上げられた喉から放たれ
るのは、狂気すら秘めた高笑い。
 いつまでも続く哄笑に律子は身をすくめ、泣き出しそうになるのを必死で堪えるように歯を食いしばり、拳を握りしめて
いた。
「そっか。ついに彼女は月経まで手に入れたんだ。幸せそうでなによりだよ。それで? アイドルとしてはどうなの? 皆
に愛される秋月涼ちゃんは少しは有名になった?」
「……こ、今月は調子が良くて、オーディションも連勝で……。Bランクも見えてくるんじゃないかと……」
「そう。それはよかった。本当に。律子姉ちゃんも自分がプロデュースする子が売れて鼻高々でしょう。ああ、いや、律子
姉ちゃんには、Cランクなんて別にたいしたことでもないか」
「涼……っ! 私は!」
 律子の叫びは、涼の睨みつけるような視線にあって、呑み込まれた。涼の方は彼女が叫んだことよりも、彼の表情を見て
それを止めたことが気に障った様子でそっぽを向いた。さっさと残っていた朝食を平らげ、席を立つ。
「しばらく一人にしてもらうよ。頼んでおいた物は?」
「うん。全部あるはず……」
「そ」
 短く言って、彼は彼女の前に手を突き出した。律子がその掌の上に、小さな鍵を載せる。
「じゃあ、また呼ぶよ」
 それだけ言って、彼は部屋を出て行った。


 秋月律子と秋月涼の二人が暮らすマンションには、月に数度しか開かれない開かずの扉がある。
 居住スペースは十分にあるマンションだから物置代わりになっている部屋があっても不思議ではないが、これは違う。
 そこは、秋月涼のための部屋だ。
 自分を女の子と信じ切ってアイドル活動を続ける『秋月涼』ではなく、男であるために、男であることを続けようとする
ために自らを封じ込めずにはいられなかった、秋月涼という少年のための部屋。
 一ヶ月の間に数日――平均して三日――しか目覚めない彼は、いつも、その部屋に籠もる。
 フリルやぬいぐるみや、その他の女の子らしいものが浸食してこないその場所に。
 律子はその部屋の前に立ち、自分に気合いを入れるかのように一つ深呼吸。
 シャワーでも浴びたのか、ほどかれ波打つ髪が、わずかに湿気を帯びているように見えた。
「入る……ね」
 小さくノックしてドアをあける。その先の部屋は、灯りが点いているのに薄暗いように思えた。窓にカーテンではなく板
が打ち付けられているのが、圧迫感となっているのかもしれない。
「ああ、律子姉ちゃん」
 ベッドの上に座って雑誌を読んでいた涼が顔をあげる。彼女を迎える涼のその無邪気な笑顔が、律子の胸を打った。
 だが、彼の表情はすぐに暗い色を帯びる。
「今日の服はそこだよ」
 彼が顎で示す丸テーブルの上に視線を向けて、律子は顔を赤らめた。
「涼。これは服って言えるものじゃ……」
 そこに置かれているのは、下着というのもおこがましい代物であった。
 ブラジャーは乳房を支える役目など果たせず、しぼりあげ、強調するためだけの紐のようなもので、その中央にあるのは
小さな三角形の革だ。
 乳輪とその周囲をわずかに覆うだけのそれの中央には穴が開けられ、金属で補強されている。乳首をそこから突き出すた
めにわざわざそんなことをしているのだ。
 下半身を覆うはずのものはもっとひどい。革のベルトが組み合わせられているそれは、下着の輪郭を模しているだけで、
膚を隠すためにも、体型を矯正するためにもまるで役立ちはしない。
 隠すべき場所であると明示することによって、革のベルトに囲まれた部分の淫靡さをひきたてるためのものに過ぎないの
だ。
 B級映画でもなかなかお目に掛からないような下品で扇情的な衣装であった。
 彼女がその下着についてなぜよく知っているのかといえば、当の彼女が選び、注文し、入手したものであるからに他なら
ない。以前の涼の命に従って。
「だから?」
 赤面する従姉に、涼は真顔で聞き返す。途端に律子の体が硬直した。まるで、彼を恐れるように見る見る顔が青ざめてい
く。
「ご、ごめんなさい。すぐ着替えるわ」
 震える声で言う律子は、慌てた様子で来ているものを脱ぎ始める。さすがにスカートを下ろす段になって手が止まりかけ
たものの、涼が彼女のことをじっと見つめているのに気づき、かえって指の動きを早めた。
 成人直前の女性にしては少々少女趣味の入った下着の上下だけになったところで、上目遣いに従弟の方を見る律子。彼は
それに対して一つ頷いてみせるだけであった。
 律子の指が意を決したようにホックを外す。ぷるんとまろび出る柔らかな二つの肉の丘。小柄な体には似つかわしくない
ほどのその胸に、律子は紐のような下着を乗せていく。
 肉を締め付け、盛り上げて、男の劣情を誘うためのそれを。
 涼の視線をしっかりと感じながら、ついに彼女はショーツに手をかける。露わになった股間には、あるはずの翳りは見ら
れなかった。下の毛は全て剃っておくよう、言いつけられているのだ。
 誰に?――もちろん、いま彼女の痴態を観賞している彼に。
 悔しさのためか羞恥のためか。唇を噛みしめながら、彼女は拘束具のようにも思える革紐を身につける。股間の三角と尻
を強調するだけのベルトを。
 そして、秋月律子は彼の前に立つ。
 肉を締め上げる革だけを身に纏って。
 膚をなめる男の視線のためか、あるいは、異常な状況のせいか。穴をあけられたブラジャーから顔を覗かせる彼女の乳首
は、ぴんと立っていた。
「うん、綺麗だね」
 からかうような涼の言葉に身を震わせながら、彼女はその場で崩れ落ちた。


「いつも不思議なんだけど」
 ベッドに腰掛ける彼の股間に顔を埋めている従姉の頭を見下ろしながら、涼はなんでもないように話しかける。
 そこでは律子が懸命に舌をのばし、彼のものをしゃぶりあげているというのに。
 舌で彼のものを味わうようにねぶり、頬の内側で亀頭をこすりあげ、苦しくなるほど息を吸い上げて彼の物に刺激を与え
る律子は、まさに必死というにふさわしい姿であった。
 それは、愛情からの戯れというよりは、なにか苦行を果たそうとする者の決意がうかがえる行為。
 秋月涼という人間に快楽をもたらすという目的には変わりはなくとも、どこか義務感と強迫観念に取り憑かれたような動
きにも見える。
「自分のものを女の子の『私』はどう思ってるんだろう。見過ごすほど貧相かな、これ」
「わ……たしは、んっ、他の人のは知らな……い、けど。……はぁっ……すごく、立派……ぴちゃ……だと思う……」
 指での愛撫を取り混ぜ、その合間に律子は彼に返答する。彼女の口腔から流れ出る唾液を竿に塗り込めるようにこすりあ
げる細い指。その動きに、涼は我慢しきれないという風に吐息を絞り出す。
 その様子に、律子は安堵したようにさらに手の動きを強めた。
「じゃあ、なんで?」
「精神的な死角……って、お医者さんは……。見えてるけど、意識しない……って」
 掌全体でしごきあげる動きに切り替えながら、律子は説明する。両手を使って慎重に行われるそれは、なにか厳かなもの
を拝む動作にも見えた。
「ああ、そういえば、カウンセリングにも通ってるんだっけね。体と心のメンテナンスはアイドルの業務のうちだとか説得
して」
「……知ってるの?」
「意識すれば、『私』の時の記憶も思い出せるんだよ。一応、僕が『主人格』だから。律子姉ちゃんは認めたくないかもし
れないけどね」
「そんなっ。私は!」
 突き放すような調子で言われた律子は愕然とした顔で彼を見上げる。涼はそんな彼女の前に手を突き出して、それ以上続
けるのを阻んだ。
「手」
「え?」
「止まってるよ」
 指摘されてみれば、律子の動きはすっかり止まっている。まるで動いていない手の中で、ぴくぴくとペニスが脈動してい
るのを、彼女は青い顔で見つめた。
「あ……」
「お仕置きだね」
 涼の手が、律子の後頭部に回る。さらさらと流れる髪の間に指を入れ、彼は彼女の頭をがっしりと掴んだ。
 俯いていた顔をあげさせながら、彼は立ち上がる。彼女自身の動きもあり、律子の体が持ち上がって、膝立ちとなった。
その目の前には屹立する彼のペニスがある。
「口」
「は、はい……」
 肉の凶器をつきつけられた彼女は怯えるように答えて、その口をあけた。ゆっくりと呑み込まれていく涼の怒張。
 律子は先程にも増して懸命に舌を蠢かそうとするが、彼はそんな彼女の様子を嘲弄するような表情を浮かべ、一気に腰を
動かす。
 律子の喉の奥に突き入れられる肉の塊。彼女の肉体は反射的に異物を吐き出そうと動くものの、それが許されるはずもな
い。
 えづき、涙を流し、息の出来ない苦しさに身をよじる律子の頭を、彼は面白がるように前後に動かした。
「えぶっ……ぶふっ……げぁ……」
 涙と涎と洟にまみれながら、律子は彼にすがりつくように手を伸ばす。それが、苦しさから逃れるための動きなのか、彼
の暴虐を受け入れて密着しようとする行為なのか、涼には判断がつかなかった。
 けれど、そんなことはどうでもよかった。
 彼に頭を動かされ、いいように喉を蹂躙される従姉の惨めな姿を見下ろすことに、彼は夢中だったから。
「ははっ、気持ちいい、気持ちいいよ。律子姉ちゃんの口まんこ、最高だよ!」
 無茶苦茶に動かしているために、涼自身にも時折痛みがある。律子は懸命に顎を開き、彼のものに歯が触れないよう唇で
カバーしているが、それでもぶつかれば衝撃はあるし、狭い喉に突き入れる度に絞り上げられるような感覚もある。
 だが、それに勝る征服感がそこにはあった。
 あの律子が。
 聡明で、人当たりが良く、スタイル抜群の自分のことを太りすぎだと気にするような間抜けなところもあるくせに依怙地
で、彼にだけは少し意地悪な彼女が。
 日本中を魅了したトップアイドルにして、彼の自慢の、彼のあこがれの従姉が。
 いま、彼の手によって自由になっている。
 許しを請うこともままならず、顔中をべしょべしょにして、吐き戻しそうなのを我慢しながら、彼のなすがままになって
いる。
 そのことに酔いしれながら、彼は律子の口中に射精した。


 先程のイラマチオで思わず床に吐き出してしまった涼の精液を舌で舐め取らされながら、律子は後ろから犯されていた。
 床に這いつくばり、舌で掃除している律子の尻を持ち上げて、涼はゆっくりと彼のものを出し入れしている。剃り上げら
れているおかげで丸見えの秘所を彼の張り詰めた肉棒が出入りする度、泡が潰れるような小さな音が立った。律子の汁と彼
のものが絡み合い、淫猥な音をたてているのだった。
「もういいよ、律子姉ちゃん」
「んっ……はい」
 突き入れるのと同時に、ぱんと彼女の尻を張る涼。律子は喘ぎとともに顔をあげた。
「ベッドにいって」
 彼女の中に入っていたものを無造作に引き抜き、立ち上がる涼。一方の律子はすぐに立ち上がろうとして、腰がくだけた
ようによろめき、そのままよろよろとベッドに倒れ込んだ。
 涼は、そんな彼女にのしかかり、脚を開かせると、すぐにその中に侵入した。
「んぅっ……」
 肉を割り広げながら入ってくる感覚に、律子が鼻にかかった声をあげる。暗い笑みを浮かべ、彼はその姿を見下ろしてい
た。
「バックもいいけど、正常位は顔が見えるのがいいよね。律子ねえちゃんのいやらしい顔が全部見られる」
「そん……なっ。はう……ああっ!」
 腰を押さえられ、乱暴に突き上げられながら、彼女は反論の声をあげようとするが、ほとんどが意味のない喘ぎと化して
しまう。
「違うっていうの? 濡らしているのは体の防衛反応だって? 漏らしているのは喘ぎじゃなくて、単なる息だって?」
「そ、そうじゃ、ない……けど、で……もっ!」
 事実、彼女の顔はとろんと溶けている。乳首は痛いほど固く立ち上がっているし、愛液は潤滑剤の範囲をはるかに超える
ほど垂れている。膚は興奮と羞恥に美しく朱に染まっているし、声にはあきらかな甘さがある。
 涼は腰を動かすリズムを変え、彼女の中をかきまぜるような動きを加えながら続けた。
「そうだよね。認められないよね。僕にレイプされて、それ以来ずっと性欲処理に使われて、それでも感じてるなんて、プ
ライドの高い律子姉ちゃんが認められるわけがない」
 息を呑む律子。彼女は涼になんとか答えようとするが、体の内側からわき出る快楽の声に紛れて、うまく声を発せられな
い。
「あれでしょ。玩具代わりなんでしょ?」
 その間にも涼の言葉と攻めは続く。彼は実に巧みに律子の弱点を引きずり出し、そこに許容量以上の快楽を注ぎ込みなが
ら、平然と話を続けていた。
「そう、あんたにとっては、僕はいつでも玩具だった。からかって、反応を見て、楽しんで。これもそれと一緒だよね。僕
の体を使って、オナニーでもしてるつもりなんだろ、律子姉ちゃんは」
「ちが、ち……ちが……」
 ぶんぶんと首を振って、彼女は彼の言葉を否定しようとする。だが、もしはっきりと彼を否定できたとして、果たして、
彼はそれを聞いていただろうか。
「女の子の服を着せて、本気で怒れない僕を、ばかにして楽しんでたくせに。困っている僕を、いつも自分の楽しみにしか
使わなかったくせに」
 嬌声をあげ続ける律子に覆い被さるようにして、涼は低い声で彼女を罵る。快楽と恐怖の中で、彼女は従弟の顔が憎悪に
歪むのを見た。
「お前の、お前のせいで、僕は!」
 その両手が、律子の首にかかる。指に力が込められるのを、彼女は震えながら感じ取る。
「お前たちが、僕をいらないって言ったんだ!」
 律子の細い首を包むようにしている両手に、体重がかけられる。
 息が詰まる。喉が潰れる。彼女の視界が、血の色に染まり始める。
「や……りょ……う……」
 まだ口は動いた。まだ声は出た。
 しかし、がんがんと頭は鳴り出し、視界は真っ赤にかすみ、もはやなにを考えればいいのか、どう動けばいいのかも彼女
にはわからない。
「あはは、すごいよ、律子姉ちゃん。首絞める度に、おまんこも締まって、もうさいっこう!」
 ばたばたと暴れる律子の体を、涼は犯し続けていた。
 顔中が真っ赤になり、目をむき、舌を突き出した律子の姿をあざ笑いながら、彼は彼女の肉を使って楽しんでいた。
 彼の腰の動きが一段と速まり、そして、その手がぱっと律子の首から離れる。
「殺してなんかやるもんか」
 げほげほと咳き込み、のたうち回る律子に吐き捨て、涼は彼女の全身に浴びせかけるように精を放った。


 さんざんに律子を犯した後、泣きながらそのことを詫びる。それがおきまりの風景だ。
 泣き疲れて眠った従弟の頭を、律子はずっとなで続けていた。彼は、しがみつくような格好で律子の膝を枕に寝息を立て
ている。
 何度も首を絞められて毛細血管が破れたのだろう、いまだ朱色のひかない顔で、彼女は痛ましげに彼の事を見下ろしてい
た。
「本当に、優しい子」
 本気で、彼女はそう言っていた。自分を殺しかけ、自分を犯した男に。
「罰して欲しい私のために、わざわざ苦しんで……」
 実を言えば、涼が――男である涼が月に数日とはいえ現れるようになったのは、律子が涼を引き取って同居するようにな
ってからのことだ。
 それは、彼が元に戻る前兆ではなかった。そうであってほしいと律子は期待していたが、一年近く過ごしていて、そうで
はないと結論づけるに至った。
 自分が彼にしたことに後悔し、なんとかして償いたいと願う律子に、贖罪の機会を与えるために彼は現れているのだ。
 そうでなければ、彼女を犯すだけ犯し、罵倒するだけ罵倒して、それ以外の事をせずに再び眠りに就くはずがない。
 願わくは、そのことが彼にとって少しは気晴らしになっていてくれれば、と彼女は願う。彼女への断罪のために表面に出
てきてくれているのだとしても、男であることを示すことで、なんらかの好転がみられれば、これほど嬉しいことはない。
 彼女は、彼のためなら文字通り身も心も捧げるつもりだった。
 彼と彼女、二人がどうなっていくか、彼女にもわからない。
 それでも、なにがあろうとこの従弟のそばにいてやろう。
 明日目覚めれば、再び思うさま嬲られ、犯されるであろう男の頭をなでながら、律子は改めてそう誓うのだった。

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