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美希によれば、それは好きな人に起こされる仕事ではない日だと言うのだけど私は何かしら。
美希と同じ事を想像しようとして失敗する。駄目ね。似合わない。
あずささんは、確か好きな人のためにのんびり朝食を作ると言っていた。
それも、私には似合わないわね。料理ができなくはないけど、進んでやりたいとは思わないし。
のんびり……たまには散歩にでも出かけようかしら。
あ、律子さんは短く、悩まなくて済む朝って言ってたわ。理解できるけど、普段の心労も伺えるわね。
決めたわ。今日はのんびりと律子さんへ差し入れ作って散歩がてら事務所に行きましょう。
ま、まぁ起きてから考えてる時点で朝かどうかはともかく、試してみないと分からないとは言われた事あることだし。
取り消しのできない選択とかではないのだから余り考えない方が良いわね。
えっと、コンビニだと採りにくい栄養……その前に買い物ね。冷蔵庫ほとんど空だわ。
チャイムが鳴る。あれ、春香? 確か今日は撮影あるわよね。
「どうしたのかしら。今日は春香仕事よね」
「うん、あのね。相談したい事があって……」

頭の中を疑問符が飛び交う。春香が相談するなら小鳥さんの方か律子さんが適任よね。
私は、誰かに相談されるのに向いているとは思わないし。
「構わないけど力になれるかしら?」
「大丈夫。むしろ千早ちゃんじゃないと、駄目」
疑問符が強くなる。らしくない。目の前の扉の向こうにいるのが本当に春香か怪しく思えてくる。
何、どうしたの? そう言った言葉も出てこない。開けてと言いながらドアノブを動かし続ける春香に恐怖さえ覚える。
「千早ちゃん、大丈夫だよ安心して」
えっ、なんて。いえ、何で?
私の方が心配される会話は交わしてないわ。ドア越しだから表情は見えていないはず。
「そうそう、千早ちゃん。私に取って幸せな朝って言うのはね」
「千早ちゃんが私のことだけを考えてくれる朝かな?」
破られたドアの隙間から見える春香の手には、銀色にきらめく−ー


「あの、小鳥さんどうかしら」
幸せな朝は仕事のない日に布団の中で妄想することだと言っていたから真似してみたのだけど。
形にならないというのが合わなくて起き抜けに文章に起こしてみた。
一応、小鳥さんに見せに来たのだけど……
その後、妙に事務所のみんなが優しくなったのはどうしてかしら?

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