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「ふぅ…、あずささん、ごちそうさまでした…」
「お粗末さまでした、プロデューサーさん♪あの…いかがでしたか?私の手料理は…」
あずささんがちょっと神妙な面持ちになって俺に問いかける。
「いやもう、最高ですよ!おかげでお腹も胸もいっぱいいっぱいです!それにしても、やっぱり日本の料理はいいなぁ〜。
特にあずささんの料理ときたら、もう絶品中の絶品ですよ!ははは!」
俺は酒の入ったテンションで、その問いかけに応えた。
「ふふふ…、もう、プロデューサーさんったら、照れちゃいます〜♪」
そう、天使のような笑顔で言う、あずささんだった。

俺がいるのは、765プロが誇る癒し系お姉さんアイドル、三浦あずささんの家だ。
何故、俺がそこにいるのかというと、話は数日前の朝にさかのぼる。

俺のプロデュースしていたアイドルユニットがIA(アイドルアカデミー)大賞を受賞したことで、俺は1年間ハリウッドへ研修に行っていた。
その後、研修を終えて帰国し、俺が彼女らのプロデュースを再開してしばらくしたある日の朝、
俺が事務所に出社して、たまたま最初に顔を合わせたのがあずささんだった。
「あっ、あずささん、おはようございます!」
「おはようございます。プロデューサーさん。あ、ちょうど良かったわ」
「えっ?」
「あの、プロデューサーさん。いきなりなんですけど…、来週の○日の夜って、何かご予定、ありますか?」
「え?あ、その日ですか?ちょっと待ってくださいね…」
そう言って手帳を見る俺。うちのアイドルたちの活動も忙しいだけに、少し心配だったが…
「…おお、その日の夜だけ、たまたま空いてますよ。ラッキーですね、あずささん。ははっ」
「そうなんですか、良かった、ふふっ♪」
そうやって可愛らしい笑顔を俺に向けて、あずささんは続けた。
「その日、私の家で、『プロデューサーさんおかえりなさい会』をやろうと思ってるんです〜」
「えっ、あずささんの家で、ですか?」
「はい〜。だって、前にプロデューサーさん、事務所のみんなとそれをしていた時、私、仕事で行けませんでしたから…、
それと…、プロデューサーさんに、久々に私の手料理をふるまいたくて」
「ああ、なるほど、そりゃ楽しみですね。なんてったって、1年ちょっとぶりですからね、ははは」
「私も楽しみです〜、ふふっ」
そして俺は少し遠い目をしながら言った。
「…いやぁ、でも、もうあれから1年も経つんですね…」
「…そうですね…」

1年前、俺は自分のユニットをプロデュースする傍ら、律子に頼まれて、竜宮小町の活動をサポートすることになった。
そして、竜宮小町がIU(アイドルアルティメット)の優勝を目指すこととなったのだが、俺はその要としてあずささんに注目し、密着することになったのだ。
決勝ではまさかのジュピターの参戦もあり、苦戦したが、なんとか優勝することができた。
その夜のこと、俺はあずささんの手料理を心行くまで堪能したのだった。
「いやぁ、いろいろあったけど、楽しかったなぁ。たった数日間のことなのに、随分充実した日々でしたよ」
「うふふ、私も、同感です♪」
しばらくその時の思い出に浸っていたが、ある疑問がそれを吹き飛ばした。
「…で、俺のほかには誰か来るんですか?」
「あ、いえ…、実は、社長さんや音無さん、ほかにも何人か事務所の皆さんにも声をおかけしたんですけど、皆忙しいらしくて…」
「ああ、まあ、仕方ないかもしれませんね」
「それで、プロデューサーさんと私、2人きりになっちゃいそうです」
「なるほど〜」

……

「えええええっ!!?」
「きゃっ!」
俺がいきなり声を上げたので、驚いてしまうあずささん。
幸い、周りの部屋には聞こえなかったらしい。
「あ、す、すみません、いきなり変な声出して」
「あ、いえいえ…」
俺は生まれてこの方、女性の一人暮らししている家に、一人で呼ばれたことはない。
ましてや相手は今をときめく癒し系お姉さんアイドルだ。
その家に一人で行くなど、世の男達がいくらそれを求めて金を積んでも得られない機会だろう。
それを何の苦労もなく得られてしまったことに、罪悪感すら覚える。
そんな風に色々な思いを頭の中に巡らせていたが…
「あの、やっぱり、ダメですか?私なんかの手料理…」
「そそそそそ、そんなわけないじゃないですか、ははは、楽しみだなあ、あずささんの手料理は、世界一ィィィィィ!!!ですよ!」
「うふふ、それじゃ、よかった♪」
「は、はい、よろこんで、行かせていただきます!」
その直後、タイミング良く(悪く?)、竜宮小町の他のメンバーが来たのだが、
3人の視線を異様に痛く感じたのは、言うまでもない。

というわけで半ばノリに押し切られるような形で迎えてしまった、三浦あずさ主催のプロデューサーおかえりなさい会だが、
特に(下衆なことに)期待していたようなことはなく、俺は1年前と同様、あずささんの美味しい手料理を心行くまで満喫した。しかし…
「ふぅ…、私も、ちょっと飲もうかしら」
そう言ってあずささんが席を立ち、冷蔵庫を開ける。
「プロデューサーさんもどうですか?美味しいウィスキーを買ってきたのですけれど」
「え?あぁ、ウィスキーですか?いいですね、食後にぴったりだ」
そして冷蔵庫からウィスキーの瓶を取りだしたあずささん。
「え〜っと、グラスは…、あ、そちらの棚だわ」
グラスは俺の後ろの棚の中にあった。当然、ここは近くにいる俺が取るべきだと思い、言った。
「あ、俺が取りますよ」
「え、でも…、せっかくのお客様にそんなこと…」
「大丈夫ですよ、こう見えて酒は強いですし、ふらついて落とすなんてことはないですから」
「いえ、でも、やっぱり私が…」
「そんな、頂いてばかりってのもなんですから、ここは俺が」
「いえ、そんな、…きゃっ!」
ガタッ!
「えっ、わわっ!」
どたぷ〜ん♪

……

…まさに信じられない出来事だった。
あわてて俺の後ろの棚の方まで駆け寄ろうとしたあずささんは、あろうことか机の脚に足を引っ掛けて、俺のほうに倒れかかってきたのだ。
俺は、その倒れかかるあずささんの体を、全身で受け止める結果となってしまった。
幸い、あずささんの持っていたウィスキーの瓶は奇跡的にキャッチできた。
これに関しては、酒が入っていたにもかかわらずやってのけた自分をほめたいと思う。
しかし、その直後、そんな気持ちなど軽く吹き飛ぶような状況に、自分が置かれていることに気がついた。
俺はウィスキーの瓶を両手で掲げた状態で尻餅をつき、その胸元でちょうどあずささんの体を抱きかかえるような体勢になっていたのだ。
「いたた…、あ、あの…、あずささん、大丈夫ですか?」
「…」
「あの、あずささん?あずささん!?」
「…」
何度も呼びかけるが、応答はない。もしや、打ち所が悪かったのか…?
いや、俺の体がクッションになっているはずだから、少なくとも頭はどこも打ってないはずだが…
あまりの出来事に放心状態になっているのだろうか?
どっちにしろ、俺の後ろはすぐ棚があり(よく頭をぶつけなかったものだ)、これでは身動きが取れない。
ましてや、強引に振りほどくわけにもいかない。ここは、声であずささんを起こさなければならない。
しかしながら、そんな体勢だと当然…
「うっ…、いかん…」
俺の体に直接伝わる、やわらかい女性の感触。それは快感に形を変えて、容赦なく俺に襲いかかる。
ましてや、それは765プロ一のプロポーションを誇る女性の体だ。
童貞の俺には、あまりにも刺激の強い感覚だ。当然、空気を読まずに、俺の半身は充血してくる。
「や、やめろ、し、鎮まれ…」
まずい。まずすぎる。確実に、俺の硬くなった半身は、あずささんのやわらかな肉体に食い込んでいる。
あろうことか、そ、その…、ほ、豊満な、バ、バ、バス…、ト…、に…。
い、いかん、このままではだめだ…!
「あっ…、あずささん!!!」
「はいっ!?」
俺が渾身の力を込めて叫ぶと、小さな声が上がる。
すかさず続ける俺。
「あずささん、か、体を、お、おこ、起こして!」
「は、はいぃ〜!」
あずささんもさすがに自分の置かれてる状況に気がついたのだろう、すばやく体を起こし、その場に座り込む。
俺も彼女の体から解放されると、同じように体を起こし、その場に立った。
「……はぁ、はぁ…」
しばらく肩で息をしながら、俺は彼女に声をかける。
「…あ、あずささん!だ、大丈夫…、ですか…?」
「は、はい…、…ちょっと、頭の中が真っ白になって、動けませんでした〜…」
そう言って、恥ずかしそうな顔を俺に向けるあずささん。
「そ、そうですか、まあ、けががなくて、良かった…、は、ははは…」
「ふ、ふふふっ…」
しばらく2人の苦笑いがその場を支配した。
とりあえず、あずささんの体に、どこにも変わったことがないことにほっとした。
ただ一つ、気がかりなことがあったけれども。
頭の中が真っ白になっていたのなら、“あの”感触にも、気付かないでいてくれればいいんだが…

その後、少し気まずい雰囲気になりつつも、俺とあずささんは酒の力を借りながら、他愛もない話に花を咲かせていった。
「いやぁ、すみませんねぇ〜、普段気が利かない男が気を利かせようとすると、いっつもこう裏目に出ちゃうんですよねぇ、ははは…」
「ふふっ、確かにそうですよねぇ…」
「ん〜?あずささん、普通、そこは「そんなことないですよ〜」って、弁護するところでしょ〜?」
「うふふ、私、嘘をつくのって、嫌いなんですっ♪」
「ん〜、何かそれ、いいのかな?…それとも、悪いのかな?」
「もう、プロデューサーさんたら、特に、好きな人にはなおさら、嘘なんか、つけませんから♪」
「そうですか、はっはっは……、………ん?」
「どうしました?」
「あずささん、今、何て…?」
「え?」
「今、好きな人には嘘をつけない、って言ったような気が…」
「え、ああ、確かに、私、好きですよ、プロデューサーさんのことが♪」
「え?ホントですか?嬉しいなぁ、はははっ」
「もちろん、社長さんも、音無さんも、事務所のみんなも、み〜んな、みんな♪」
「あ、もしかして、LOVEじゃなくて、LIKEのほう?」
「うふふ、さて、どっちでしょう〜♪」
「ああん、もう、あずささんのいじわるぅ〜、ははは、ははは!」
「うふっ、ふふふっ♪」
しばらく、そうやってお互いにふざけあっていたのだが…
「…でも、プロデューサーさん」
「何です?」
「私、本当にプロデューサーさんには感謝してるんですよ」
「えっ?」
あずささんの顔を見ると、実に穏やかな笑顔だ。そして、彼女は続ける。
「だって、プロデューサーさんって本当に凄い方なんですもの。確かに、この人鈍いなぁ、ってことはよく思うんですけど」
「あ、そ、そうですか…」
「ふふっ、もう、プロデューサーさんったら、すぐにそうやってすねるのもどうかなって思いますよ」
「う〜…」
ちょっとふてくされてあずささんの話を聞く俺。
「でも、ただでさえご自分のユニットのプロデュースで忙しいのに、私たちの面倒まで見てくれて。
 結果、私たちのIU優勝と、ご自分のユニットのIA制覇を両方とも成し遂げちゃうんですもの。
 私、感謝の気持ちも大きいですけど、同時にプロデューサーさんのこと、とても尊敬しているんですよ」
「ま、まあ…、でもそれは律子の力と竜宮小町自身のポテンシャルが…」
「もうっ、そこは素直に「俺は凄いんだぁ〜」って、自信を持ってくださいな。
 まあ、そういう飾らない人柄も、プロデューサーさんの魅力の一つですけど、ふふっ」
「そ、そうですか〜、ははは!」
そうして馬鹿みたいに笑い声をあげる俺。
しかしそのあと、俺の顔は笑顔から一転して、引き攣ることになる。
「…ところで、プロデューサーさん、ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど」
「はい?」
「あの、さっき、私がプロデューサーさんに倒れかかった時、その…」
「??」
嫌な予感がする。

「私の、その、む、胸のあたりに、み、妙な、感触、が…」
「!!!!!」
見事、予感的中だ。俺はその一言で、一気に酔いがさめてしまった。
もともとそれほど酔っていなかったのもあるが、この時ばかりは自分の酒の強さを恨んだ。
まあ、そう(あれだけ勃っていたと)なれば、そう(気付かないはずがない)なるやろ、と、某野球監督ばりに思った。
「え?ま、そ、それは、そ、その、生理現象、というか…」
適当に言い訳を考えようとする。しかし、どう言い訳したところで、俺が大きくなったアレをあずささんの胸に押しつけた事実は消えないと思った俺は…
「す、すみません!ど、どうしても、お、抑えられなかったんです!」
と叫び、その場に土下座した。
その頭の中で、俺はその転落人生を勝手に想像していた。
「765プロ変態プロデューサー、所属アイドルに手を出す!信じられない芸能界の裏側(記者:悪徳又一)」など云々書かれた新聞記事や雑誌、
「いやぁ、うちの事務所が誇る敏腕プロデューサーだと思って信頼していたのに、こんな破廉恥な人がいたとは…
(プライバシーの保護のため音声を変えております)」
などと、音無さんか律子あたりが匿名でテレビで証言するシーン…
そうやっていろいろな妄想で頭が混乱する中、あずささんが声をかける。
「あ、あの…、プロデューサーさん、どうか、頭を上げてください」
「え?は、はい…」
女神のような優しい声を合図に、俺は恐る恐る頭を上げる。そこには相変わらず穏やかなあずささんの顔があった。
「…うふふ、プロデューサーさんも、男の人、なんですね♪」
「えっ?ま、まあ、ははは…」
あずささんが俺に怒っていないという安心感と気恥ずかしさが、同時に湧いてきた。
「…でも、これで私もちょっとは自信持てたかも」
「えっ?」
「うふふ。私もちゃんと女としての魅力があるんだな、って確認できたんですから」
「そ、そう、ですか?そ、そんなの当然じゃないですか。どこをとっても、素敵な女性ですよ、あずささんは」
そう言って俺が笑うと、少しの間を置いてあずささんが言った。
「…やっぱり、私のカンは、外れてなかったみたい」
「え、…カン?」
「1年前のこと、覚えてます?私、プロデューサーさんに電話…、あ、留守電でしたけど、言いましたよね?
 この人が私の運命の人だっていう人が、見つかったかもしれない、って…」
「ああ、そういえば…」
「でも、その人は、私がその結論を出す前に、海外に行っちゃったんですけど…」
「あ、そうなんですか、それは、そいつも罪な奴ですね、ははは」
思えばこの時点から俺もうすうす気付いていたかもしれないが、気恥ずかしさもあって、あえて気付いていないふりをした。
「その間、私、アイドル活動の傍ら、ずっと運命の人について考えていたんです。律子さんや伊織ちゃん、亜美ちゃんには申し訳ないんですけど。
 それで、最終的には、その人が日本に帰ってきたら、思い切って打ち明けよう、という考えに、たどりついたんです」
「ほ、ほう…」
「…そして、今、その人が、私の…、目の前に、いるんです」
ゴクッ…
「私の思う…、ううん、もう、はっきり言っちゃいますね」
あずささんはまっすぐ俺を見つめて言う。もうその顔は真っ赤だ。少量の酒だけでは、こうはならないだろう。
「私にとっての、運命の人。…それは、プロデューサーさん、あなた、です…」

「……」
しばらく無言で見つめあう2人。
先に沈黙を破ったのは俺だ。
「…なるほど。それで今日、この2人だけのパーティーを企画したんですね」
自分でも驚くほど冷静に、俺はそう言った。
「…は、はい、じ、実は…。な、なにか、ご迷惑…、でしたか?」
あずささんが不安そうに言ったので、俺は慌ててそれを打ち消す。
「い、いやいや!むしろ素直に楽しかったです。もちろん、あずささんの気持ちも嬉しいです。ただ…」
「…何です?」
しばらく間をおいて言う。
「…いいんですか?」
「はい?あ、あぁ、大丈夫ですよ、私、スキャンダルになんて、負けませんから」
「いや、まぁ…、それはまあ何とかなります。あずささん自身の気持ちが、それでいいのか、と」
いかにも考えた風に言ったが、本当はその場でとっさに思いついた言葉だった。
内心信じられない気持ちもあったのかもしれない。だって、今や日本中の男性がその虜となっている、
性格、ルックス、プロポーション、全てにおいて最高の女性。そんな彼女が、俺のような平凡な男に告白しているのだ。
今まで、童貞であるどころか彼女すら出来たことのない身からすれば、なおさらだ。
「…プロデューサーさん」
「はい?」
「私、プロデューサーさんの考えていること、だいたいわかりますよ」
「えっ!?」
「だって、顔に書いてあるんですもの♪自分に自信がない、ってところじゃないですか?」
「ええっ!!!?」
さすがは765プロ一のお姉さん、何でもお見通しだ。もう言い逃れできそうにない。
「…はい。正直、自信がないんです。確かにあなたは、魅力的な女性だ。俺も、自分の担当アイドル達には悪いですけど、
 実を言うと俺も、1年前、竜宮小町をサポートする中で、あなたに対する特別な思いが湧いていたのは事実です。
 だから、本当にあずささんの気持ちは嬉しい。でも、今の俺にはまだないんです。一人の女性を幸せにできる、自信が…」
「…」
またも少しの間をおいて、あずささんが口を開く。
「もう、プロデューサーさんたら、バカにしないでください」
「え?」
一瞬語気を強めたあずささんの言葉に、一瞬驚く。しかし彼女はかまわず続ける。
「自分で言うのもなんですけど、私、こう見えてタフなんですよ。だから、そんなに気負う必要なんて、全然ありません♪それに…
 幸せにするも何も、あなたが隣にいるだけで…、すでに私は、幸せなんです…」
「あずささん…」
その笑顔が徐々に歪み、次第に涙目になってきた。
「だから、お願いです、プロデューサーさん…。私の、そばに、いてください…、そして、もう、どこへも、行かないで…」
「…あずささん!」
俺はすかさず立ち上がり、あずささんに駆け寄り、抱きしめる。
ぎゅっ!
「ぷ、プロデューサーさん!?」
あずささんを抱きしめた俺は、耳元で囁く。
「…すみません、長い間、さびしい思いをさせてしまって。…もう、どこへも行きませんから」
「…」
…ぎゅっ
抱き返してきたのか、俺の体にストレートに伝わる、彼女の感触。
「…はい、約束、ですよ…」
小さくも芯を感じる声が返ってきた。

その後、俺は(上手い具合に)終電のことなどすっかり忘れていた為、あずささんと一夜を過ごすこととなった。
まあ、彼女の思惑通りということにしておこう。
俺は先にシャワーを浴びさせてもらい、借りたバスローブを羽織って、寝室のベッドに腰掛け、あずささんを待つ。
シャァァーーー…
あずささんがシャワーを浴びる音を聞きながら、これから起こるであろう出来事への期待に胸をふくらませる。
もちろん、童貞な故、それと同等の不安もあるのだが…
…ガチャ
「お待たせいたしました〜♪」
シャワーの音が止み、いつもののんびりとしたあずささんの声が聞こえてくる。
しかし、そうして出てきたあずささんの姿は、この上なく妖艶だった。
ゴクッ…
思わず俺は唾を飲み込む。
体にはバスタオルを巻いているものの、その上からもはっきりとわかる変化に富んだ体のラインは、男なら誰もが魅了されてしまうに違いない。
当然、俺も例外ではなく、
「おぉ…」
と、思わず、小さな声を漏らしてしまう。
「うふふ、プロデューサーさん、早く取ってくれ、って言わんばかりですね」
そう言って、いたずらっぽく笑うあずささん。大人の魅力の中にわずかに出る子供っぽさ。それも彼女の魅力の一つだ。
「え、ええ?そ、そんなこと…」
あまりにもストレートに聞いてきたので、恥ずかしさからやんわりと否定しようとする俺。
「でも、そ、そちらは、正直みたいですよ♪」
顔を少し赤らめてそう話すあずささん。
「あっ…」
ふと目を落とすと、バスローブの上からもわかる息子の隆起。これは恥ずかしすぎる。
とっさに隠そうとするが…。
「あ、あの…」
「さっきの責任として、私のご奉仕を受けていただきますから、ふふっ♪」
「えっ、あ、まだ覚えてたんですか…」
その言葉に少し怯える俺の前に、しゃがみ込むあずささん。そして…
たぷん♪
バスタオルをはだけ、豊かな白い双丘を露わにする。
その見事さに、俺は声を失う。
しかし、構わず、彼女の攻めは続く。
「…プロデューサーさん、バスローブ、邪魔ですから、取っちゃいますね、えいっ♪」
「えっ、ああっ!」
彼女のなすがままに、俺の着ていたバスローブははだけられ、結果、ピンと屹立する息子が彼女の目の前にさらけ出される。
既に我慢汁を溢れさせ、てらてらと光を放っている。
「ふふっ、これが、男の人のもの…なんですね」
「ま、まあ…、ははは…」
「何かの本で読んだんですけど、こういうことをすると、男の人って、喜ばれるんですよね?」
むにゅ…
その豊かな双丘で、俺の息子を挟み込むあずささん。
「あっ…」
ヤバい。これは気持ち良すぎる。柔らかくも適度な張りが、絶大な快感となって俺の息子に伝わってくる。
「やっぱり、本で読んだ通りだわ、ふふっ♪ちょっと、動かしてみますね…」
ぬちゃ、ぬちゃ…
あずささんが双丘を少しずつ上下に動かすと、我慢汁がちょうどいい潤滑油となり、快感が増幅する。
それは、まさに未曾有の快感だった。普段の自慰とは天と地の差なのは、言うまでもない。
当然、この直後に予想されることは一つだ。

「あ、あずささん、だ、ダメです、か、顔を離して!」
「ふふっ、や、ですよ〜だ♪」
そう一言だけ言い、行為を続けるあずささん。
ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ…
もう耐えられそうにない…!
「ああっ!」
「きゃっ」
どぴゅっ、どぴゅっ!
…案の定、俺の息子の先端から跳び出した白濁液は、あずささんの顔を汚した。
「ああっ、すみません…」
すかさず謝る俺。
さすがの彼女も一瞬は驚いたようだが、次第に元のすました表情に戻す。
そして、口の横に付着した白濁液を、その汚さに似合わない可愛い舌で、ぺろり、と舐めると、
「うふふ、これが、プロデューサーさんの、味…、なん、ですね」
と言った。
「え?ま、まあ…」
またもや言い知れない恥ずかしさがこみあげてくる。
「ふふふ、また一つ、プロデューサーさんについて、詳しくなれちゃった、かな。うふふ♪」
そう言って満面の笑みで俺に微笑みかける。
しかし、本当に今日のあずささんは大胆だ。
これが、亜美の以前言っていた、やる気を出しすぎたあずささんの力か。
……よし、なら、俺も全力で応えてやらないと、失礼に値するな。
「…さあ、あずささん、攻守交代ですよ。とことん、気持ちよくなってもらいますからね」
「は、はい…、お願いします…」
「じゃ、あずささんもバスタオルが邪魔だから取って…、いや、俺が取りましょうか、さっき俺のも取ってもらったし」
そう言って、俺はまだあずささんの体に巻きついたままのバスタオルを、やさしく、取り払っていく。
はらり…
「おおおっ…!」
思わずまた声を上げる俺。
それもそのはず。そこにはまさに、ビーナスの誕生の絵のような光景が広がっているのだから。
「…プロデューサーさん、あ、あまり、じろじろ、見ないで…」
「あ、ああ、すみません、つい、見とれてしまって…」
「もう、プロデューサーさんったら」
そんな姿で顔を赤らめ、すねた表情をするあずささん。
さっき絶頂を迎えた息子が再び充血してくる。これはヤバい、我慢できない…!
…ガバッ!
そうして俺はすかさずあずささんの唇を奪い、そのままベッドに押し倒す。
ちゅっ、ちゅるるっ…
しばらく舌を絡ませて、ディープキスを楽しむ俺。
ぷはっ…
「はぁ、はぁ…、もう、プロデューサーさんも、とっても大胆なんだから、ふふっ♪」
「いやいや、まだまだこれからですよ、覚悟しててくださいね」
そうして、今度は、舌を口から下に向かって這わせていく。
舌が双丘の先端の赤い果実に達したとき、俺は赤ん坊のようにそれを咥えこみ、そのまま吸う。
ぱくっ…ちゅううう…
「あ、あぁん…、もう、甘えん坊さんですね、よしよし、いい子いい子〜、…な〜んて、ふふ♪」
そう言って、俺の頭をなでなでするあずささん。まさに聖母と呼ぶにふさわしい。
そのあと、乳首を一旦口から離し、ペロペロと舐める。そして、反対側の乳首も同様に行なう。
「ああっ、ぷ、プロデューサーさん…、い、いい、です〜…」
なかなか満足してくれているようで、俺としても嬉しい。
そして舌は再び移動を続ける。可愛いおへそを通り過ぎ、下腹部に達したとき、ある異変に気付く。
それに気付いた俺は、舌を一旦体から離す。

「……あずささん?」
「…はい?」
「あ、足…、開いて、くれませんか?」
「は、はい…、で、でも、やっぱり、いざとなると、恥ずかしくて…」
無理もない。いくら大胆になっているとはいえ、誰にも見せたことのない、女の秘密の部分。
それを愛する者に見せるとなれば、かなりの勇気が必要だろう。
「ふふっ、でも、こっちのほうが、やりがいがありますよ、な〜んて」
「えっ?あっ、きゃっ!!」
そういうと、俺は素早くあずささんの足をむんずと掴み、M字に開く。
「ははっ、あずささんのアワビ、見ぃ〜つけた♪」
つい調子に乗って、馬鹿みたいなことを口走る俺。
「も、もう、ぷ、プロデューサーさん、は、恥ずかしい、です〜…」
「ダメですよ、あずささん、俺が気持ち良くしてもらった分、それと同じくらい…いや、その何倍も、あなたには気持ちよくなってもらいますから…!」
俺は、閉じようとする力を抑え、あずささんの足の間に潜り込む。
そして、すぐ目の前に、あずささんの女性の象徴がやってくる。
鮮やかなピンク色のそれは、すでに自らの分泌液でてらてらと光り、むわっ、と、雄を奮い立たせる、芳しい雌の匂いを放っている。
まるで俺を誘っているかのように。当然、その誘いに乗らない選択肢など、あるはずもない。
「じゃ、…いただきます、あずささん♪」
「ひゃっ…」
ふわっ、ぴちゅっ…
「あ、そ、そんな、き、きたない、です…」
御冗談を。あずささん、あなたの体に汚い場所など、あるはずがないでしょう。
そう強く思いながら、ふわっ、と、鼻に陰毛の柔らかさを感じつつ、俺はあずささんの陰唇に自らの唇を密着させる。
その綺麗に生えそろったヘアからわずかに香る芳香は、せっけんの匂いだろう。
ここにも、彼女の繊細さを見て取れる。
さて、まずはちろちろと舌を出し、軽く全体的に舐めていく。
ぴちゃ、ぴちゃっ…
「あっ、やぁ…」
小さな声を上げるあずささん。それが合図になり、俺は舌を素早く動かしていく。
すろと次第に、口の周りが甘酸っぱくまろやかな液体で濡れてくる。性器のほうもすでにだらだらとそれを流していて、すっかりびしょびしょだ。
それをもっと溢れさせようと思い、次の一手に出る。いや、一口?一舌?
そんなくだらないことを考えながら、今度は舌を、割れ目の上の突起に触れさせる。
「あ、プロデューサーさん、そ、そこはだ、だめ…」
俺はその言葉に気付かないふりをし、彼女の言葉とは真反対に自己主張をする突起を、ちろちろと舌で撫でてやる。
あずささん、あなたの体も、正直ですね。
ぴちゅっ、ちゅるっ…
「あああっ…、そ、そんな、だ、だ、め、だめです…!」
そのまま舌でその皮を剥いてやり、肉の芽を露わにする。
続けて、それを舌でぱくっ、と咥えこむ。
「きゃっ…」
俺の口の中で、ちろちろとそれを舐めたかと思いきや、強めに吸い上げる。
ちゅううううっ…!
「ああああぁんっ!」
それを何回か繰り返しながら、次第に動きを強くしていく。
すでに、俺の口の周りだけでなく、顎から胸にかけて広範囲にわたり、あずささんの体液が付着している。
しかし、それにもまだ満足していなかった俺は、一旦舌を秘所から離す。
「よし、あずささん、これは、どうです?」

「えっ?あ、ああっ!」
ぐりゅっ…
舌を尖らせ膣口目がけ突きいれ、一気に舌を胎内に潜り込ませた。
こぽっ…
すると、行き場を失った愛液が溢れてきて、一気に周囲は洪水状態になる。
柔らかな肉をかきわけ、舌を完全に埋めると、すかさず愛液を、音を立てて啜る。
じゅるるるるっ!
「ああぁんっ!」
ビクン、と体をしならせるあずささん。
あずささんが俺の、口で、舌で、感じてくれている。その事実が、自分への自信を大きくさせる。
そうして気分の高まった俺は、さらに舌の攻勢を強め、彼女の淫蜜のまろやかな風味を、心行くまで堪能しようとする。
ぬちゅ、ぬちゅ、ちゅる、にゅるっ…
「あぁん、ぁあん、あん…」
止むことのない彼女の嬌声。
俺はそれをもっと聞きたくて、舌を、あずささんの中で、蛇のように、自由自在に動き回らせる。
その度に肉襞が舌に絡みつき、その快感からすでに俺の息子ははちきれんばかりに充血している。
…しかも、気のせいだろうか。
先ほどから彼女の濃厚な蜜を喉に流し込んでいくうちに、
ただの性的興奮とは違う何らかの力が、体の奥から、湧いてくるような感じがする。
これはもしかして、すごい発見じゃないか?
じゅるるるるっ、じゅるるっ…!
「ひあああっ、ぷっ、プロデューサーさん、も、もう、だ、だめ、い、イっちゃい、ます〜!」
ビクン、ビクン!
さらに大きく跳ねる彼女の肢体。どうやら、絶頂に達したようだ。
「はぁ、はぁ…、えっ、ちょ、ちょっと、プロデューサーさん!?ひゃ、ひゃああっ!」
しかし俺は尚も力強く、貪欲にあずささんの愛液を啜っては、食道に流し込んでいく。
「そ、そんなぁ…、も、もう、イっちゃった、のにぃ…!」
その時、俺は本気で、彼女の分泌液に不思議な力を見い出していたのだ。
…じゅる、じゅるじゅるるっ、ずずっ、じゅる、じゅるじゅるっ!
「ああっ、も、もう、ぷ、プロデューサー、さぁん、ぁあん、あああん!」
ビクン、ビクン、ビクン…!
何度も何度も自分の敏感な場所を舌で刺激され、結果、優に20回以上も絶頂を迎えさせることになった。
まあ、その間ずっと、俺の頭を彼女の秘所に強く押しつける手の感触が後頭部にあったから、まんざらでもなかったかもしれないのだが。

「…はぁ、はぁ…」
気がつくと、白いお腹を上下させ、荒く息をしながら横たわるあずささんの姿があった。
あわてて俺はベッドの上で手をついて頭を下げる。
「…あ、す、すみません!つ、つい、夢中になっちゃって…」
「…………」
しばらく沈黙が続く。何度も休むことなくイかされ続けたことに対し、抗議されたらどうしようと、ビクビクしていたが…
「うふふ…、まさか、本当に何倍も気持ち良くさせられちゃうなんて…、やっぱり、プロデューサーさんって、すごい人なんだなぁ」
相変わらずの穏やかな顔で俺に語りかけるあずささん。
「え?」
「ねぇ、どうして私の、その…、は、恥ずかしい、部分に、そんなに夢中に、なったんですか?」
「え、そ、それは…」
さすがに言いづらかったが、意を決して、口を開く。
「そ、その…、あ、あずささんの、ラ、ラ、ラブ、ジュース…ってやつですかね、はは…、そ、それが、おいしすぎて、
 そ、それも、ただ、お、おいしい、だけじゃなくて、そ、その、飲んでると、な、何か、力が、わ、湧いてくる、というか…」
それに対し、あずささんは…
「まぁ〜、まさか、私にそんな力があったなんて、ふふっ♪」
「え?お、驚かないんですか?」
「う〜ん、まあ、驚くっていうより、自分に何か変な自信がついちゃいました♪」
「そ、そうなんですか…は、はは…」
「ふ、ふふふっ♪」
しばしの間、笑いあう俺達2人。
しかし、性格よし、顔もよし、スタイルよしで、そんな力まであるとしたら、あずささんって、実は完璧超人じゃないのか…?
笑いながら、そして口の周りに付着したあずささんの液を舐め取りながら、そんなことを考えていた。
まあ、あとで冷静に考えたら、クンニリングスと言う背徳的行為からくる興奮によるものだろうが、
何れにしろ、俺は三浦あずさという女性に、その体液の一滴まで完全に惚れ込んでしまっているという結論でいいだろうか。

「うふふ、じゃあ、そろそろ本番のほう、よろしくお願いしますね」
「は、はい…、で、でも…」
「どうしました?」
「その、あ、アレ、忘れちゃったんで、ちょっと今回は、まずいかも…」
そういうと、少しも表情を変えることないまま、
「大丈夫ですよ、私、プロデューサーさんとの赤ちゃん、ほしいですもの」
そう、何のためらいもなく返すあずささん。
「あ、なんだそうか…」
「…」
「…って、えええええっ!?」
「どうしました?」
「ほ、本気ですか?あの、ま、まだ、お酒が、残って…」
「えっ?むしろ、プロデューサーさんもその気だと私、てっきり…」
「い、いや、さ、さすがにですね、で、デキ婚は、ちょっと…」
「…」
「…」
しばらく無言になる2人。
沈黙を破ったのは、またもやあずささんだ。
「…うふふ、プロデューサーさんったら、案外お堅いんですね」
「えっ?そ、そりゃ、まぁ…」
「…でも、それもあなたの好きなところです。いや、それだけじゃなくて、私はもう、誓ったんです。
 あなたの、いいところも、嫌なところも、全てひっくるめて、愛していきたい、と…」
「あずささん…」
「プロデューサーさん、あなたも、今、私の汚いところを、そのお口で、と〜っても、愛してくれましたよね?
 そんなふうに、あなたにも、私のいいところも嫌なところも、すべて愛してほしい…」
「…」
「お誓いして、頂けますか?」
…俺は改めて、彼女の覚悟を痛感した。
そうなれば、回答はひとつしかないだろう。
「………はい、お誓いします」
「……ありがとう、ございます…。ふふっ、うふふふっ♪」
そう言ったあずささんの顔は、この上なく愛おしい、最高の笑顔だった。
「それじゃ、俺もひとつ、わがままを言っていいですか?」
「は、はい…」
「この間だけ…、いや、これからこうして2人きりの時は、
 あずささん、じゃなくて、あずさ、って呼ばせてくだ…、いや、よ、呼ばせて、ほ、ほしい…」
「…!」
それをきいた彼女の顔が、一気に赤くなる。
そしてしばらくして、
「……はい。分かりました、…あなた♪」
「ありがとう、あずさ…」
その顔は笑顔だったが、同時に頬に一筋の涙が見て取れた。
おそらくこの時が、あずさが首を長くして待っていた、それまでにない最高の時だったのかもしれない。

俺はあずさをベッドに横たえ、ゆっくりと上から覆いかぶさった。
「行くぞ、あずさ…」
「はい、あなた…」
そして、腹に付かんばかりに怒張した肉棒を、彼女の秘所にあてがう。
ずぷ…
「…あっ!」
「え、あっ、だ、大丈夫!?」
「い、いえ…、ちょっと初めての感触だったので、びっくりしちゃいました…」
「そ、そうなんだ…、い、痛かったら、言ってくれよな?」
「いえ…、私、そんな痛み、へっちゃらです…。だって、あなたの全てを、受け入れる、そう、決めたから…」
「そうか、…分かった」
そう言って、俺は一気にあずさの奥へ分身を突き入れる。
つー…
しかし、わずかに接合部から赤いものが見え、一瞬ためらう。
だがここでやめてしまえば、彼女の覚悟を踏みにじる結果になってしまう。
そんなことをするぐらいだったら、死んだ方がましだ。
「うっ…」
俺もつい、あずさの膣の自分の肉棒に対する締め付けに一瞬たじろぐが、
じきにそれは快感となって、俺の息子から、電気信号のように、ストレートに脳へと伝わる。
今まであずさ以外の女性と性交経験がないからわからないが―尤も、今後も彼女以外の女を抱くつもりは一切ないのだが―、
これがうわさに聞く、名器ってやつなのかもしれない。
いや、そう思ったら、それでいい。何にせよ、あずさが最高の女性だという事実は、揺るがない。
「よし、動かすぞ…」
「はい…、でも、もう、いちいち言わなくてもいいですよ。私のこと、好きにしちゃっていいですから」
「あ、そう…?」
予想していなかった台詞に、つい呆気にとられる俺。
「ふふっ、でも、そんなあなたが、大好き」
俺の目をまっすぐ見てあずさがそう言ったので、少し照れくさかった。
「ははは、あ、ありがとう…、…よし!」
俺は意を決して、ピストン運動を開始した。
ずぷっ、ずぷっ、ずぷっ…
「あ、あぁん、あ、あな、たぁ…」
「い、いいぞ、あっ、あずさっ…!」
ぐちゅっ、ぬぷっ…
やがて、来たるべき時が近付く。
「よ、よし、だ、出すぞ…」
「は、はい…、き、きて…、あなた…」
そう言って、ぎゅっ、と目をつぶるあずさ。
対する俺はその瞬間の表情を見逃すまいと、かっと目を見開く。
そして…
どぴゅっ、どぴゅっ、どぴゅっ…!
「あああぁんっ!」
あずさのなかで震え、精を解き放つ俺の息子。
最近、自慰する余裕などなかったせいか、ずいぶん出してしまったようだ。
なお、その瞬間の彼女の顔は、俺が見た中で、一番幸せそうな顔だった。

「はぁ…、はぁ…」
その夜一番の大仕事を終え、荒く息をしながら、一糸纏わぬ姿のまま、2人並んでベッドの上に横たわる。
当然、ダブルベッドではないので、シングルベッドに、お互いの体を密着させた状態で。
やがて、あずさが口を開いた。
「…あ、あなた」
「ん、なんだい、あずさ」
「…ありがとう、ございます…」
「ん、何を?」
「もう、とぼけちゃって。最高の夜を、ありがとう、ございます…♪」
「あ、ど、どういたしまして…。でも、俺はてっきり、アレのことかと思っちゃったよ」
「…そらもう、アレ(俺の精子)よ」
「…!も、もう、ば、ばかぁ…」
そうしてあずさは不機嫌な顔をするが、これがまた可愛くて仕方ない。
「ははは…ごめんごめん、これで許してくれよ、な」
「えっ?あっ…!」
ちゅっ…
そうして俺は、またもやあずさの唇を奪う。しかし、先ほどより力強く、深い愛情をこめて。
それは同時に、この女性を生涯かけて守っていこう、大事にしよう、という俺の決意表明でもあったのだ。
そのまま、俺達は深い眠りについた。

それから、数ヶ月が経った。
俺達はめでたく結ばれ、共にこれからの人生を歩むこととなった。
その決め手となったのは、あの夜の出来事をきっかけにして、彼女の胎内に新たな生命が宿ったことだ。
もちろん、そこから今に至るまでは、途方もない苦労の連続だったが、その話はここでは割愛させてもらう。
いずれにせよ、俺もあずさも今、最高に幸せなのだ。その事実があれば、それでいい。

ある日の家にて。
カレンダーの日付は7月19日。そう、俺の最愛の人が、この世に生を受けた日だ。
以前までだったら事務所で盛大に祝っていたが、その日は2人きり、夫婦水入らずで過ごすことになったのだ。
「…おめでとう、あずさ。はい、プレゼントだよ」
「まあ〜、ありがとう、あなた♪ここで開けていいかしら?」
「ご遠慮なく。」
「はい♪」
がさ、ごそ…
「…まぁ、きれいなネックレス♪これは…、ルビー?」
「そう、7月の誕生石だよ。…最初は、もうすぐ君もお母さんになるし、もっと実用的なのがいいかな、とも思ったんだけどね、ははは」
「もう〜、そんなこと言っちゃ、メッ、ですよ。…一生、大切にしますから、うふふ♪」
「ははは、ありがとう…」
「……それに、私、すでに、最高のプレゼントを、あなたから、頂いてますから。
 一生かけて、大切に、育てないと…」
「え?」
「うふふっ、何でもありませんよーだ♪」
あずさが、大きくなったお腹を優しく撫でながら、言った。

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