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夕食の後に入ってきたメッセージ。
いつもと違うようなプロデューサーからの呼び出しに、雪歩は戸惑いながらも家を出た。
(…でも、どうして制服着用なんだろう?)
ついさっき、プロデューサーから来た呼び出しメールの内容は、
『20:00より仕事(撮影)制服着用の上、○○校まで。あとは現場の指示に従う事』
これだけだった。
いつもなら電話の一つでも入るのに…メールのタイトルが『緊急の仕事』だったから、
本当に急いでいるのかも知れない。

メールで指定された学校はちょっと遠く、地元とはいえないくらいの距離。
いくら仕事とはいえ、夜の学校に入るなんて、気持ちの良いものではない。
「お、来たね。時間より早いじゃないか…感心、感心」
ひょろりと長い身体に、安っぽい帽子とジーンズ姿。
いかにもADさんっぽい風体の男が、雪歩が校内に入ると同時に話しかけて来た。
「あ……あのっ、私、プロデューサーから仕事で…」
いきなりの事に驚きながら、雪歩はなんとか説明しようとする。が……
「あー、細かいことは監督に聞いて。さ、入った入った!」
と、半ば強引に校舎に入ることになってしまった。

連れてこられたのは、最上階の端にある教室。
「ほー…逃げんやったのー。今時感心な嬢ちゃんや」
年の頃なら50代以上。禿げかかった頭に、濃い感じの関西弁が、
キャライメージを一層分かりやすくしている…この男が、監督と呼ばれる人だった。
「トラブルにならんためにも、まずはゼニの説明しとくで、よう聞いとき。
前金の50万円は渡しとるから、あとは事後のギャラについてや。
まず、30分以内に正門まで逃げ切ったら100万円。もし失敗してヤラれても、
本番手当て35万つけたる。それで文句ないやろ?」


「え……え?」
わけが分からず連れてこられた上に、さらに意味不明な説明。
逃げ切るとか、ヤラれるとか…物騒な単語も出てくる。
「スタートから30数えるからな。その間に距離稼いだ方がお得やで。
鬼はこの後ろにいる3人な。見かけによらず脚早いから、気ぃつけなあっという間に
スッポンポンに剥かれてまうで……へへへ」
「え…えぇっ!?そ、それってどういう…」
何か、おかしい。
いくらなんでも、プロデューサーがこんな仕事を受けるはずは無い。
誰かと間違われているか、仕事自体がおかしいのか。
いずれにせよ雪歩の中で、仕事とさっきのメールに対する違和感が決定的なものとなった。

「ま……待ってください!いきなりそんな事言われても、何のことだか…」
「ここまで来て逃げんなや、萩原さん」
突然、自分の名前を呼ばれて、雪歩は硬直する。『人違い』という希望が消えたから。
「あんたと、あんたのプロデューサーとやらが受けた仕事や。
こっちもスタッフ連れてきてカメラの用意しとんのやで。
ドタキャンなんてこいてみいや、もっとしんどい目にあうやろなぁ…」
口調はあくまで冷静だが、有無を言わせぬ雰囲気が『監督』と呼ばれる男にはあった。

「もっぺんルール説明したるで。仕事は校内全部使うての鬼ゴッコや。
30分以内に校門まで辿り着けたらあんたの勝ち。ギャラ100万円上乗せしたる。
鬼役のにーちゃんたちは、痛いことせぇへんから安心しいや。脱がすだけしかせんよ」
「ぬ……脱が!?」
「そや。脚を怪我せーへんように、靴や靴下は脱がさんよう言うてある。親切やろ?
で、捕まるたびに剥かれていって……全裸にされたらゲームオーバー。あんたの負けや。
マット敷いて、パンティー脱がしたヤツと、その場で本番一発。
逃げ切るか、ヤラれるかでオシマイや…一晩の稼ぎにしたらごっつおいしいやろ。
ほな、今からスタートや!30…29…28……」
「待って…待ってくださいっ!私、何も知らなく…」
「あんたが何言うても変わらんよ。ほれ、もう10秒たってもうた」


後ろに控えている屈強な身体つきの男達が、ゆらりと動き出す。
実はハッタリなのだが、今の雪歩にとっては十分すぎる恐怖だった。
とにかく踵を返して、廊下へ逃げる。
どうして、こんな事になってしまったのだろうか?
本当に、プロデューサーはこんな仕事を受けたのだろうか?
そんな疑問が頭の中をグルグル回るが、今はとにかく走るしかない。

「おい、先生呼んどき。無理言ってでも至急来てもらわなあかんでこりゃ」
「え…?監督、もう男優は3人分呼んでありますけど」
「阿呆。あの娘見たやろ?最近AVの質が上がったとはいえ、普通おらんで、あんなレベルの娘。
ヘタにヤラせるんは勿体無いでー。お前も見たいやろ?あんな娘がエエ声上げる画を」
「あ…はい。そりゃ…」
「せやからな。こっちもそれなりの予算突っ込もうや。先生やったら、絶妙のテクニックで
あの娘の痴態をばーんと晒してくれはるって……良し!時間や。お前ら行ってき!
最初はスカートからやで。順番間違えたらギャラ減るさかいに気合入れろやー」
監督の合図に、男達は無言で頷くと一斉に走り出した。

「ひぅっ……!?足音が、たくさん聞こえてくるうぅ」
まだ、ようやく3階へ降りたばかりのところ…雪歩のリードは100メートルも無い。
必死に逃げる雪歩の背中を、もうすでに男の一人が視界に捉えていた……




学校と言う建物は幸いにも、その目的を考えると造りが似てしまうものだ。
雪歩の通う学校とは別だが、何となく出口までの道のりは把握できる。
しかし、撮影用に廊下までライトで照らされている校内は、隠れるのに適してはいない。
多少ダンスレッスンで鍛えている雪歩だが、男達との格差を埋めるにはまだ足りなかった。
駆け足で階段を下りる雪歩に対して、男は踊り場までの十数段を一気に飛び降りる。
気にせず駆け抜けていたら、まだ逃げられたのかもしれない。
だが、不幸にも彼女は、恐怖の対象を前にして、動けるだけの心の持ち主では無かった。
覆いかぶさる男の手が、雪歩のスカートの裾を掴んだ。

「いやぁ……やめてっ…はなして、下さいっ…」
男はそこから何をするでもなく、スカートを掴んだまま動かない。
その代わり、絶対にその手を放すつもりは無いようだ。
しばらく、その手を振りほどこうとしていた雪歩だったが、
階上から聞こえてくるもう一人の足音に、新たな恐怖を感じざるを得なかった。
意を決して、ホックを外してスカートを脱ぐことによって、拘束から逃れる。
スカートを掴んだ男も、今は新たに動こうとはしていない。

雪歩の、名前どおりに真っ白で、なおかつ絹のような滑らかな太腿が露出するが、
ライトの反射を受けて、シルクの白いショーツがそれ以上に存在を主張する。
清潔なイメージを持ちながらも、上品なレースによって女性の色気を十二分に魅せると同時に、
真ん中にあしらわれたリボンが、まだ十分に成熟しきっていない乙女の絶妙な魅力を表現する。
上半身はまだブレザーに隠れていることが、動くたびに時折見える雪歩のショーツを、
より一層艶かしく魅せる事を演出する。
正面方向のカメラで捉えた映像には、シャツの裾から覗く股間のふくらみが映されている。
雪歩は意識していないが、セットしたカメラの方向に逃げてゆく事で、
そのふくらみがアップになって……より正確に、彼女のビジュアルイメージを伝えてしまう。
女性特有の、ゆるやかなカーブを描く下腹部に、適度に発達した恥丘のやわらかそうな質感。
それに加えて、ショーツのクロッチ(縫い目)ラインが、割れ目の形をはっきりと連想させる。

「は、恥ずかしいですよぉ……プロデューサー…」
男の足跡が遠ざかると、雪歩の心の中で恐怖が薄れる代わりに、羞恥の感情が沸き起こる。
母校ではないが、学校の廊下をショーツ丸見えで走っているということに。
誰が見ているわけでもないが、それでも反射的に手で前を隠して再び走り始める雪歩。
その様子は、意識していないだけに自然で恥じらいを持ち、
カメラを統括する監督からは、嗜虐心をそそる最高の素材に見えた。

「ええで、これ……普通に売るより、VIPクオリティにして、金持ち相手に商売したほうがええかもな。
おい、別のアングルからもよう撮れとるか?」
「は、はい……撮りミス無しっす。マルチアングルでも十分いけます!綺麗な身体してますね…彼女」
「おう、お前ら聞こえとるか?ちゃんと時間一杯使えや。ホンマもんと同じようにな…
ええ感じで焦らせや。さっさと全部脱いでまうような詐欺AV作ったら、お客さんに殺されるで」
監督の指示が終わると同時に、彼の携帯電話が鳴った。
「はい…あ、お疲れさんです先生。え?いえいえ、ホンマに大丈夫。極上モノでっせ。
ええ…ワシが保障します。へい、ほなよろしゅうに。くれぐれもええ仕事たのんます、へい」
監督は電話を切ると、再び鬼役の男達に連絡した。
「おう…ワシや。そうやな…先生来てくれはるから、一人カメラの応援回れや。
……そや、最後の一枚は先生にな。変な方向に逃げんよう、上手い事誘導しぃ。しっかりな」
「先生、来てくださるんですか?」
尋ねるADの男に、監督は嬉しそうに親指を立てるジェスチャーで答えた。
「さて……そろそろ次、剥こか」

まだゴールの校正門までは遠いが、男達の足音は聞こえてこない。
適当な教室に隠れながら呼吸を整え、雪歩は必死に考えを整理していた。
「どうして……どうして、わたしがこんな事を。それに…プロデューサー……
えっちなビデオのお仕事なんて本当に受けたんですかっ…?」
その疑問に関しては、確認する方法が見つかった。
プロデューサーに電話して、直接聞いてみればわかる。
もしも間違いだったら…今からでも遅くない。事情を説明してやめさせてもらえるかも知れない。
わずかな期待と共に、腰の辺りに手をやる雪歩だったが、
期待はものの数秒と持たなかった。携帯電話が入っているスカートは、
つい先ほど、逃げるために自ら脱いでしまったから。
そして、彼女の心をさらにはげしく動揺させるかのように、廊下から足音が聞こえてきた。
「はうっ……来てるぅ?」
足音が聞こえると言う事は、もうすでに視認できる範囲内だろう。
今からドアを開けて走り出そうか?そうすれば間違いなく見つかってしまうし、
50メートルも逃げられないかもしれない。
しかし、このままここに隠れていても事態は進展しない。
もう、悠長に考えてはいられない。
わざと大きな音をたててドアを開け、すばやく反対側のドアへと駆け込む。
音に気がついた男が教室に入ると同時に、雪歩は反対側のドアから静かに抜け出した。
教室にいない事が分かれば、すぐさま追いかけてくるだろうけど…
ほんの僅かでも時間を稼ぐ事はできる。
2階へ降りた後は、渡り廊下をつたって管理塔へ。
教室のある教室塔から、正門のある管理塔へ行くには、ここを渡るしかない。
つまりは、当然、誰かが待ち構えている可能性が高い。
下手をすれば挟み撃ちだが、追いつかれて捕まってしまえばそんな選択すらできなくなる。
今の学校内は、飛び降り防止用のネットがあるため、直接2階から飛び降りて、
近道をするようなことは出来なくなっていた。


「良かったぁ…誰もいない」
2階端の職員室をすぎて、1階へ降りようとしたところ。幸い待ち伏せている人間は見当たらない。
状況は悪いままだが、それでも一息つける瞬間があると無いとでは大違いだ。
乱れた息を少しでも何とかしようと思って、壁らしきものにもたれたその時、
背中のあたりでわずかに開いていた壁…いや、防火扉がガチャリ、と音を立てて閉じた。

「え……えぇ?嘘っ…これ、開かない」
運悪く、ブレザーの襟部分に喰い付くようにして、防火扉は閉じていた。
人ではないものに、服を掴まれて動けないなんて。
天運に見放されたとしか思えない。
「や…やだ、やだよぉ…開かないし、取れないし…」
一度ガチャリと閉められた防火扉を力押しで開けるのは、男性複数人数でも難しい。
かといって、食い込んだ生地のみを切ったり引き裂いたりして逃げることは、
現在の雪歩には不可能な事だった。
もう随分と扉と格闘していた気がするが、実際にはほんの5秒ほど。
再び迫り来る男の足音が、余計に彼女の精神を追い込んだ。
雪歩は仕方なくブレザーを肩から脱いで、彼女を捕える防火扉から脱出した。
グレーの上着が無くなった事で、色の濃い部分は髪の毛とローファー、ソックスのみとなる。
シャツの前、および横に入ったスリットからはショーツが少しだけ露出して、
何ともいえないチラリズムを際立たせる。
もはやどう誤魔化しても、街中には出られないような格好だ。
それでも、最悪の状況を考えると、逃げる以外に何も方法が無い。
すでに半分以上息が上がっているが、倒れるわけにはいかなかった。
身体に無理を言って、何とか走り出す。
それでも、もう全力ダッシュには程遠いスピードだが。

重い上着が無くなった事によって、シャツの裾は走るたびにヒラヒラと舞い、
ショーツが規則正しいリズムで丸見えになる。
さらには、汗でうっすらとブラジャーが透けて見え、同じように規則正しく、
わずかながらではあるが、胸も揺れているのがカメラで確認できる。
息は乱れて頬は桜色に染まり、身体も汗をかいて火照ってきている。
白いシャツに、同じく白ののブラ、ショーツとはっきり色が分かれて、
下着も露出した肌も、両方が強調されているのがモニターにも映っている。
それは、すでに監督達の理想的展開を遥かに超えるシチュエーションであり、
こういった方向性が好きな者にとっては、最高のクオリティとなっていた。


すぐ後ろに男の足音が迫っている。
分かっているのに、脚がこれ以上前へ進んでくれない。
脳が必死に命令を出すが、筋肉がそれを拒否する。
(だ、だめぇ……追いつかれちゃうっ…)
雪歩の身体が体力的限界を超えたところで、鬼役の男は彼女を捕まえた。
しかし、必要以上のスピードを出していた男は、雪歩のシャツの襟を掴んだところで
ブレーキをかけられず、勢い余って前に転倒した。
「きゃぁあぁっ!?」
襟をつかまれたまま、雪歩は体ごと宙に持ち上げられる。
【手を離すな】【女優に怪我をさせるな】と、2つの命令をきつく聞かされていた男にとって、
この状況は危険すぎた。
シャツの襟を離さないまま、前方に転んで、雪歩と一緒に引っ張る。
自分は肘と背中を打ちつけながら、すばやく雪歩を逆方向に引き戻し、
彼女が床に打ち付けられることを防いだ。
そのための代償は、2つ。
一つは、男の怪我。そしてもう一つは……半分に破れるシャツ。

繊維の引きちぎられる音が、夜の校舎に響く。
いくら雪歩が軽くても、シャツの布一枚が人間の体重を支えきれるものではない。
ましてや、大きく運動エネルギーのついた先程のアクションで、破れない方がどうかしている。
シャツの左袖および、下部分を大きく引き裂いて、男は雪歩から離された。
ボタンは全て弾け飛んでしまい、白い清楚なブラジャーが丸見えになる。
決して大きいとは言えないが、下着の上からでもわかる、その綺麗な形。
その下にあるであろう、おそらく桜色の乳首を想像すると、否応無しに、
すべての男は劣情をもよおさずにはいられないことが、容易に感じられる。

上下おそろいの白い下着姿。
地味でありながらしつこすぎないレース模様が、雪歩の人間性を物語る。
黒のハイソックスが、全体をアンバランスな印象にしているため、
綺麗でありながらも、背徳的な色気をも漂わせている。
シャツを急に引き千切られたためか、赤いネクタイだけは首元に残り、
図らずも、上半身までアンバランスなエロティシズムを魅せていた。


「あ、あの……だい、じょうぶ…ですか?」
こんな緊急時でも人間、地の性格だけは変わらない。
自分を追い回した男の下へ寄って、心配する雪歩。
男は、怪我をしてないほうの手をヒラヒラと振って見せた。
大丈夫、と目で教えてから、次にあっちへ行け、と手を払うしぐさをする。
まだ、鬼ごっこは続いていると言わんばかりに。
自分の身体より、仕事を優先する……
お父さんも、お弟子さんも、プロデューサーも……そんな人だった。
雪歩は、少しだけ、その大きな男に親近感を持ち、
恭しく一礼すると、逆方向に向かって再び走り出した。
あとは、中庭を抜けて、下駄箱を過ぎれば正門に出るられるはずだ。

(うぅ……カメラ、たくさんあった……ショーツも、ブラもいっぱい撮られてるよね…)
右手でブラジャーの左胸部分を、左手でショーツの前をさりげなく隠して、
校舎の扉を開けて、中庭に入る。
天井が無いためか、ある種の開放感がそこにはあった。
それと同時に、外という要因が、今の雪歩に別の意識を思い起こさせた。

「ひあぁ……やっぱり、カメラよりも外でこんな姿というのがイヤですぅ…」
いつもなら、穴を掘って埋まってしまうような状況だが、
それが即、死に繋がるような状況ではそうそう掘れないし、埋まれない。
少しでも恥ずかしい部分が隠れるようにと、僅かに前屈みになりながら中庭を進む。
後ろから捕えたカメラには、前屈みになっている分、
余計に目だっている艶かしいショーツに包まれたお尻がはっきりと映っていた。

室内と違って、夜空をバックに強烈なライトを多用するとまた印象が変わってくる。
プロ野球のナイター設備がそうであるように、夜でありながらも対象をくっきりとカメラに映し出す。
多数のライトを浴びて下着姿で彷徨う雪歩は、さながら妖精のように幻想的なイメージを持ちつつ、
控えめでありながらも男性を十二分に魅了できる肢体をくねらせ、存在感を出している。
一点の曇りも無い絹製の純白ブラジャーとショーツは、ライトの光量をそのまま綺麗に反射し、
清純な乙女のイメージを、見ている男性全員に植え付ける。

(もうすぐ出口なのに……誰も、いない?)
雪歩は不安になり、そこで一旦足を止める。
鬼役の男は、さっき怪我をした人を除いて、あと2人いなければならない。
一人はさっき校舎の中で見たけど…未だに最後の一人は顔を見ていない。
だとすると中庭か下駄箱、または門の前に隠れている可能性が大いに高い。
いつでも反転して走れるように、一歩ずつ、周りを確かめながら歩みを進める。
前方に誰もいない代わりに、後ろの方で足音が聞こえた。
静かに振り向いてみると、校舎内でスカートを掴んだ男が、中庭の反対側に立っていた。
(は、はうぅ………き、来たぁっ!?)
慌てて中庭を走りぬけ、出口から下駄箱へつづくドアを開け、素早く閉める。
鍵をかけてから奥の状況を確認するが…さっきの男は追ってくる気配が無い。

雪歩の下着を剥ぎ取るのは他の男に任せて、この男は退路を塞ぐ作戦だった。
下駄箱を抜け、正門が見える位置に出る。
必死に目指したゴール地点。
そこには中庭よりも多くのライトが設置され、芝生とコンクリートを照らしつけていた。
駐車場を兼ねているので、場所の面積は中庭の比ではない。
しかし、広いがゆえに目立ちやすい場所でもあった。
校門の前には、さっき教室で見た大男とは全然違う、痩せた人が立っていた。


「……」
男は、黙って頷く。自分が最後の鬼だ、という意思表示がはっきりと分かった。
今までの鬼役の男達とは明らかに異質な雰囲気をまとっている。
背や身体つきこそ他の男達に及ばず、一見何処にでもいそうな人間に見えるが、
雪歩には、なんとなく分かった。
父親の弟子達…その中でも、かなり上にいる人たちがまとう『本物』の雰囲気。
数々の修羅場をくぐり、経験を重ねた上で、大切なものを会得した人間のみが身に着ける、
オーラのようなもの。
こういう人は、何を言っても動じない。ならば…いくばくかの勇気を振り絞って、
切り抜ける以外に方法は無い。

いつだったか、仕事でピンチのときに身につけた技『瞬間穴掘り』で、
恥ずかしさを一時的に穴の中に埋めて、助かるための思考に切り替える。
幸いにも、最後の一人を前にして、雪歩の残された服は2枚と少々。
シャツかブラジャーを掴まれても、それを脱ぎながら門まで走れば、
全裸にされる前に逃げ切る事が出来る。
ショーツを掴まれても同様だ。
……無論、恥ずかしいことに変わりは無いが。
捕まってもっと恥ずかしいことをされるよりは、はるかに良い。

もう一度回りを確認して、鬼役の男達を確認する。
間違いない。自分の前にいるのは、おそらく一番手強い人。…だが、一人。
雪歩は、男と目線を数秒合わせ……不意に、その目を逸らした。
反射的に男が雪歩の視線を追う。それが狙いだった。
一秒にも満たない隙だが、男の反応が遅れる。
その時を狙って、残された体力全てを使って男に向かって走りこむ。
一見無茶な体当たりに見えるが、実はそうでもない。
男を避ける分の動きを全て前進のみに集中させることにより、
軽い女性とはいえ、相応の勢いを生み出す。
(この人なら、あまり身体が大きくないから…いける!)



彼女の洞察は、正しかった。
男は一瞬、『まさか!?』という表情になり、さらに反応が遅れる。
そのまま雪歩の体当たりを受け、後ろによろめいた。
(…やった!)
期待どおりの展開に、少しだけ、胸の鼓動が高まる。
あとはそのまま5メートルも走り抜ければ、ゴールに辿り着ける。
男を振り切るため、雪歩がさらに一歩を踏み出したその時だった。
自然に、身体がUターンして、校舎側に走り出したのは。

「え……え?」
一体何が起こったのか。時間に対しての情報量が多すぎてよく分からない。
だが、自分がいつのまにかターンして、校舎側を向いて走っていることだけ、
何とか理解できた。
それと同時に、肩に何かが触れる感覚。…いや、何かが外れる感覚。
「ひゃぅっ!?」
雪歩は、勢い余って植え込みの芝生へと倒れこんだ。
痛みを感じる間もなく、男のいた方を振り向くと……目の前には白いもの。
破れたシャツとブラジャーが、彼女の目の前で、はらりと落ちた。
「……っ、いやあぁぁあっ!?ど、どうして……」
自分の胸元を確認して、はじめて服を剥ぎ取られたということを認識する。
芝生に尻餅をついたまま、雪歩は両手で胸を隠した。

男は、バランスを崩しながらも雪歩のシャツを掴み、右肩のみを軽く押していた。
それによって強烈なベクトルは、その勢いを殺す事無く方向を反転させる。
結果、出口ではなく、入り口奥に向かって勢いがつき、
回転の反動でシャツが袖から抜き取られてしまう。
さらに、シャツが脱げると同時にブラジャーのホックを外されたので、
その勢いが仇となってしまった。
雪歩のブラジャーは、自然に肩から外れるように脱がされてしまい、
下着から開放された彼女の乳房が、僅かではあるがぷるん、と揺れてカメラに晒された。

時間にして数秒でしか無かったが、ほんのり赤みをおびた綺麗な乳首は、
強烈なインパクトとともに、その存在をアピールする。
染み一つ無い真っ白な裸体に、その美しい桜色は何よりもよく目立った。


「あ………ぁ……」
今や、雪歩の身につけているものは、ショーツ一枚のみ。
両手で胸を隠しているが、その分、下着越しの股間は丸見え。
中途半端に残されたローファーと靴下、制服のリボンが白い肌を引き立て、
芝生の上にへたり込む雪歩をことさらに卑猥に見せる。
体育座りをくずしたような体勢で、さっきの男を見上げる。
気がつけば、男はすぐ、目の前にいた。
数秒ほど、雪歩を見つめると…スっと右手を差し出す。
何も言わずとも、空気で察することが出来た。
その手が、最後に残された一枚を剥ぎ取るという意思表示を。
「い……いや、いやぁ……」
そのまま後ろに後ずさる。背中を向けてとにかく逃げようとするが、
下半身に力が入らない。
ショックと絶望感によるものか、疲労による限界を迎えたかはわからないが、
足腰が、動いてくれない。…腰が抜けていると言っていい。

それでも、手を使ってでも、雪歩はその場から離れようとする。
赤ん坊がはいはいをするように、四つんばいで芝生の上を移動する。
動きがぎこちないため、白いショーツに包まれたお尻が左右に振られて、
何かをおねだりしているようにも見える。
清純なイメージ路線で売っている雪歩を知る人間にとって、
それは信じられないほどあえりえなくて、信じられないほど淫靡な光景だった。


「許して……来ないで……くだ…さいぃ……」
もはや、普通に歩くよりも遅いスピードで逃げる雪歩だが、
無常にも男の手は、その、唯一残されたショーツに向かって伸び、布の端を掴んだ。
雪歩が僅かながらに前進することで、自然に、少しづつ……下着に隠されたお尻が、
多数のライトの下に曝け出されてゆく。
「や、やぁあ……お願い、やめ……て……」
ゴムの限界までショーツは伸び、雪歩の前進を止める。
これ以上引っ張ったら、破れてしまうことがカメラ越しにでもはっきりと分かる。
ショーツの隙間から、成熟しているとはとても言えないが、確実に美しい佇まいをしているであろう、
雪歩の秘裂がちらちらと顔を覗かせる。
まだ、恥毛もほとんど生えてなく、後ろから見ると少女のような可愛らしい割れ目。
だが、第2次成長を経て、ふっくらとした股間の盛り上がりは、紛れも無く極上の雌を思わせる。

AV撮影という仕事に慣れきったスタッフ達だが、
今日は全員が股間のものを起立させながらもカメラを回す。
それほどまでに、彼女の裸体と、服を剥ぎ取られながら恥らう様は、
一時たりとも目が離せないほどに魅力的だった。
程なくして、膝まで下ろされたショーツが、その組織を維持する限界を迎える。
「あぁぁっ……やだ…やめて…やめてぇぇっ!嫌あぁぁッ!?」
ぴりり、と布の薄い部分に穴が開くと、後はあっという間だった。
シルクのショーツが瞬く間に、ただの布切れへと変化するまでは。
鈍い音と共に、薄い部分が綺麗に裂けると、サイドを止めるレース部分に負荷が集中する。
片方のサイドが切れると、連鎖するようにもう片方が切れ……あとは物理法則に従って、
ショーツの戒めから開放された雪歩が前へつんのめると同時に、
最後の一枚は完全に雪歩の身体を離れ、宙に舞った。

「……残念だが、あんたの負けだ」
音を立てずに、さっきまで雪歩が穿いていたショーツが地面に落ちる。
それは、雪歩にとってこれから訪れる悪夢のはじまりを告げる合図のように見えた。

シーンの切り替わりをスタッフ達が察した。
すぐさまマットが用意され、即席のベッドが出来上がる。
おびえる雪歩をよそに、ライトとカメラの大多数が運び込まれ、
いつでも本番へといけるよう、準備が進んでいく。
すでに十台以上ものカメラが、全裸の雪歩をあらゆる角度で映している。
彼女が胸を隠せば、別のカメラがお尻と股間を撮り、
股間を隠せば、胸や恥らう顔を撮る。
もう、全てから逃れられない。
準備の時間が長ければ長いほど、後に来る恐怖は膨れ上がる。
やがて、準備を終えたスタッフがひとり、ふたりと雪歩を舐めるように見つめる。
期待、歓喜、同情など……その視線の多さに、背筋が凍りつく。
と、同時に、今まで忘れていた感覚が込み上げてきた。
それは、尿意。
思えば、食事の後すぐにメールをもらったので、そのまま外へ出たし、
スカートを剥ぎ取られてからは、ずっとおへそを出したまま過ごしていた。
腹は、かなり冷えていてもおかしくない。
(だ、ダメ……こんなところで、そんな……)
カメラスタッフたちの視線が、より一層彼女の緊張を促し、
一度思い出した尿意は、引いてはくれない。
皮肉にも、お腹に力を入れれば入れるほど、逆効果となった。
「ぅあ……っ、あっ……ひぁっ…だ…め……」
(こんな歳で、大勢の男性の前で、お漏らしなんて……絶対に…いや……)
限界まで張り詰めた尿意が、雪歩の秘肉をぶるりと震わせる。
お腹への圧迫感を少しでも減らそうと、雪歩が腰を浮かせたその時、
芝生の先が、彼女の秘唇をかさり、と撫でた。

「ひぁつ……う!?」
その刺激は、必死に堰き止めていたダムを決壊させるのに十分だった。


ちょろり、と秘唇から僅かばかりの液体が噴き出したら、もう止められない。
「ふぁっ……だ、ダメっ!……み、見ないで!見ないでぇっ!?」
止めようとする彼女の意志とは裏腹に、勢い良く放物線を描いて飛沫がほとばしる。
芝生の上に、ぱしゃぱしゃという音を立てて、みるみるうちに水溜りが出来ていった。
雪歩の小陰唇が、まるで別の生き物のように戦慄き、飛沫を体外へと送り出す。
やがて、収束へと向かう飛沫は勢いを弱め、太腿と股間を濡らして行く。
それが完全に止まった時……新たに聞こえるのは、彼女の嗚咽だった。
「ぐすっ……ふぇ…うえぇ……」
あまりの恥ずかしさに、いくら心で穴を掘ってもその傷は埋める事ができなかった。
身体のすべてを見られた上、この歳になって多数の人間に、お漏らしを見られた。
アイドルとして……いや、人として到底耐えられない恥辱。
次は、一体何をされるのか?
このまま、ここにいる全員に滅茶苦茶にされるかもしれない。
終わった後で、証拠隠滅のために殺されるかもしれない。
恐怖、などという安い言葉では表し切れないほどの感情。
とてつもなく大きなものに、心が押し潰されそうになる。
彼女の意識は、肉体と共に硬直していった。

カメラスタッフ全員が雪歩を視姦する中、ただ一人、彼女の心を見抜いた者がいた。
『先生』と呼ばれている人間……雪歩の最後の一枚を剥ぎ取った男だ。
男は、ゆっくりと雪歩に近づき、彼女の前にしゃがみこんだ。
そして、軽く彼女の頭を撫でる。
「……少し、話をしよう。無理な話だとは思うが…できるだけ冷静に聞いてくれ」
男は、カメラスタッフ達にカメラを一時止めるよう、促した。
おそらく、監督よりも立場が上の人間なのだろう。
スタッフ達は誰も文句を言わず、スイッチを切る。
「まず…どうしてあんたがこんな場所に呼ばれたか、だがな…」

夜の闇に包まれた校内だが、複数のライトが当たっているせいで寒くはない。
それでも…おそらくは、この男の気持ちなのだろう。
上着だけを雪歩の肩に掛け、身体を隠す手間を減らしてやり、語り始めた。
「俺も芸能界にはあまり詳しいわけじゃないんだが……」


『先生』と呼ばれている男は、組織の中で『こまし屋』と呼ばれていた。
女性の身体を知り尽くし、ある時は言う事をきかせ、
ある時はその技で快楽や恐怖を与える……そんな裏の仕事。
裏AVなどの仕事をする場合、ほとんどの撮影会社はどこかの裏組織と繋がっている。
組織内でAV男優のような事をすることだって、少なくはない。
今日も、そんな仕事の一環だった。

「これはあくまで、俺の想像だ。それを踏まえて聞いて欲しい。
【萩原恵】という女がいる。……一度くらいはあんたも聞いたことがあるかもな」
雪歩の頭の中に、ある記憶が蘇る。いつだったか……数ヶ月前に受けたオーディション。
その中にいた、自分とイメージ路線のかぶるアイドルがいた。
同じようなビジュアル、同じような属性、同じような名前。
雪歩がアイドルとしての仕事を軌道に乗せてからは、まったく見なくなり、
いつしか記憶の彼方にいた娘。
「その女が、アイドルのそっくりさんレイプビデオの企画に乗ってきた。うちの組織主導のな。
……オーディションに勝てなくて引退したとはいえ、仮にもアイドル候補生だった娘だ。
顔も身体つきも、平均をはるかに上回るタマだった。勿論、うちの組も積極的に乗ったさ。
だが、今日ここにいたあんたを見て…俺は一つ疑問に思った。
あんたの身にまとう雰囲気には、明らかな違和感があったからな」
さっきとはうって変わって怖い空気が消えている。
今すぐ取って喰うような雰囲気ではないが、逃げる事を許さない隙の無さ。
もっとも、ルールに則って負けた以上、雪歩はそのまま逃げたりするような性格ではないのだが、
空気の違いを察する事はできた。

「……顔も、挙動も、すべてがありえないくらいに訓練されている。
少なくとも、地方のアイドル程度じゃ、逆立ちしても出せないオーラが、あんたにはある。
……それと、そこらの素人では俺を相手に正面突破しては来れない。
しかも、やぶれかぶれで突っ込んでくるわけじゃない。勝算ありって顔だった。
見た感じ、積極的な性格じゃ無さそうだが……あんたは、ハラを括ったら強くなるタイプだ。
多数の修羅場をくぐってはじめて掴めるその雰囲気…あんた、そっくりさんどころか本物だろう?」
監督含む他のスタッフ全員が勘違いしている中、この男だけが、雪歩の正体を見抜いた。
「……ま、こうして顔を良く見て話をするまでは、俺も半信半疑だったがな。
それで、だ。どういうワケかは知らんが、その、企画に乗ってきた元アイドルが、
人気絶頂のアイドルのプロデューサーの携帯電話をこっそり拝借したとしたら、どうする?」
「!?」


思い当たるところがある。
オーディションで忙しく動き回っているプロデューサーは、上着を椅子などに掛けたまま
関係者の間を走り回ったりなんて日常茶飯事。
もし、悪意を持った人間がその隙にプロデューサーの携帯電話を盗み見たら?
本人のメールアドレスや、他のアイドルのそれをチェックする事は十分に可能な話だ。
そして、プロデューサー本人のアドレスと紛らわしい、一文字違いのアドレスを取得して、
雪歩に偽の仕事の連絡をしたら?
「俺はその偽者を知っている。なぜなら、その女の親父がうちの組に借金しててな。
アイドル路線で売れたら良し、と頑張っていたが……
数ヶ月前、とうとう競争に勝てなくなって引退を余儀なくされた。
仕方無しに、AVの世界で順当に稼いでもらっている。今回の企画もその一つだ。
ここにいる、他のボンクラ共は分かってないと思うが…俺が考えるに、
何かしらのチャンスであんたと、あんたのプロデューサーの携帯を盗み見た時に……
全てを投げ打ってまでも、あんたを酷い目に合わせてやりたいと思ったのかも知れんな。
女の嫉妬ってのはそういうもんだ」
確証は何一つ無いが、男の話はすべての辻褄が合っている。
そして……実際に、最近オーディション会場に、萩原恵と名乗った娘はいた。
引退したあとは、裏方として仕事をしているものだと思ったが…
「ふふ……」
両手で顔を覆いながら、小さな嗚咽が漏れる。
ただならぬ雰囲気に、カメラスタッフは元より、監督までもが雪歩に注目した。
「ひっく……ふふ……ふ……ぐすっ……うふふふ…」
嗚咽ではない。笑い。
この状況下で、まずありえないリアクションに、スタッフ一同が引いた。
監督が様子を伺おうと雪歩のそばに駆け寄るが、『先生』と呼ばれる男がそれを制した。
全員が慌てつつも動けない状況で、ただ一人、彼だけが冷静に雪歩の行動を見守っていた……

「ふふ…そっかぁ……プロデューサーが私を売ったわけじゃ無かったんですね。
ひっく……良かったぁ……ぐすっ…」
ここにいる誰もが……無論、『先生』と呼ばれた男も例外ではない。
憑き物が落ちたような顔で、雪歩の表情を凝視する。
こんな状況で、そんな事を、心配していたのか?と。
「ごめんなさい…わたし、いきなりで怖かったですけど…それでも、…ひっく、
アイドルとして、父の一人娘として……なんとなく、覚悟しては……いました。
父の仕事上、誰かから標的にされても仕方ない立場……そして、
他人と競争して……ある時は蹴落としてでも、テレビに映るお仕事。
だから……ぐすっ…わたしは、強くなりたかった………」
スタッフ達は、彼女の精神が壊れていなかった事に一安心する。
が、安心したものの……もしも本当に壊れてしまった時に感じたであろう空虚感。
一人の人間の、人格崩壊に関わってしまったという絶望感の欠片を味わい、
ほとんどの人間が、背筋に言い様の無い寒気をおぼえた。
「もしも…わたしが、その人と同じ状況にいたら……ひっく、
多分……いえ、きっと、同じような事をしていたかも知れません。
でも、そうならなかったのは……私には、社長や事務所のみんな、
そして、プロデューサーがいてくれたから……
だから……だから、わたしがここで……その…えっち…される、ことで…ぐすっ、
彼女の気が晴れるなら…それも、いいかなって…
ごめんなさい……全部のお話を聞くまでは、私もわけが分からなくって……
怖くてちょっと動けなかったり、お漏らしまで…見られちゃって…はうぅ……
いつもと変わりませんでしたよね。…これじゃ……プロのアイドル失格かもです…」

ふと気がつけば、怯える気の弱い女の子は、そこに居なかった。
スタッフ達が見たものは、全てを受け入れる覚悟を持った、芯の強い女の子であり、
紛れも無く全国のTVに映る、あらゆる意味で『本物』のアイドルだった。


「ちょお、待ちぃや!!それって結局…ワシらをはめた、あの女が悪いんやろ?
せやったら、アンタと違ぅて、改めてアイツで撮り直しして…」
「構いません。私にやらせて下さい……騙されたのは私も一緒です。それに…」
知らぬうちに、雪歩と撮影スタッフの立場は逆転していた。
「一度受けた『お仕事』です。やり通すのがルールだと思いますよ」

誰が聞いても、これからレイプされる人間の言葉とは思えない。
だがそれは、雪歩が強くなろうと心に決めたとき、プロデューサーと決めた、彼女の誓いだった。
仕事から、プレッシャーから、そして、自分から…決して逃げない事。
穴を掘って一時の精神的回避はしても……最後は必ず、やり遂げる事。
律儀な性格の雪歩にとって、その誓いは、自分のアイドル生命よりも大切なものになっていた。
まだトップランクの地位でこそ無いが、その決意は、
紛れも無くトップアイドルのものに他ならなかった。

「お前の負けだな……現場責任者なら、最初から気付け。この阿呆」
うなだれる監督をよそに、雪歩は立ち上がると、掛けられた上着を脱いだ。
ほんの10分ほど隠されていたが、あらためてライトの元に晒された白い裸体は美しかった。
本物のアイドルと分かったスタッフ達には、イメージが増幅されたためか余計に綺麗で、
なおかつ、『本物のアイドルが全裸…しかも生で、自分の目の前に立っている』という事実に、
股間のものはあらためていきり立っていた。
「大丈夫です……社長にも、プロデューサーにも、ちゃんと言われてます。
自分が、心から納得できるなら……その…えっと…えっちな事、しても、いいよ………って。
これは、私の意志……訴えたりとか、しませんから……心配、しなくていいですよ…」
白い裸体に赤みが差す。
恥じらいつつも、こんな状況下ですら他人を心配する雪歩に、スタッフ達は改めて、
本物が持つオーラと気高さを感じた。
「あの……でも、この後のお仕事もありますから、その……えっと、コン……
っと、コン……は、はうぅ…アレだけは…付けて…欲しい、ですぅ……」
全裸…といっても、ネクタイと靴下、ローファーのみ身に着けながら真っ赤になって、
雪歩はやっと気がついたらしく、両手で胸と股間を隠す。
その様子は、初々しくも非常にいやらしく、これからはじまる一連の行為を、
生涯二度と見られないほど極上のAVになることを容易に想像させた。


「あ、あかん…アカン!絶対に!!…あんた、本物ってことは…アレやないか!?
ワシらの組織のずっとずっと上……『あのお人』の一人娘さんって事やろ?
そんなんバレてみ、ワシらコンクリ詰めで東京湾確定や!絶対アカン!?」
この状況下、ただ一人……監督が割って入った。
無理も無いが、やっと分かった…目の前にいる少女の正体。
トップとはいかないまでも、メジャーで活躍中の『本物』のアイドル。
そして、裏社会では関東のほとんどを牛耳る、あの組織の長の一人娘。
わずかでも、裏の社会で過ごしたものなら肌で感じる、あの緊張感。
タブーを犯したものには、情け容赦ない『制裁』が加えられる。
それは、死よりも恐ろしいものであり、人生が完全に閉じることを意味する。
震えながら全力で止めに入る監督を、『先生』と呼ばれた男の手が、
彼の襟元を掴み、捻りあげた。
「女優が覚悟を決めたのに、お前だけが自分の保身か?いいご身分だな。現場責任者が」
「せ……せやから、開放します!ちゃんと謝って、元通りに……うぎやぁ!」
『先生』の手はますます捻りあげられ、監督の首が締まる。
「お前は、彼女の言う事を何も聞いちゃいなかったらしいな……もう一度教えてやる、
『受けた仕事は、最後までやり遂げろ』と言ったはずだが。
プロならば仕事で死ね。一度受けたらハラを括れ!スジを通せ!!
……この世界で、一番大切なルールだろうが。お前が人生で身につけたのは、
無駄な歳と肉か?沢山の女をカメラに収めながら、一体今まで何を見ていた?」
「……ぐ、ゲホッ、ゴホッ………は、はい……すんません…」
「他の奴等もだ。人の決意をわが身かわいさで無駄にするんじゃない。
いい画を撮らないと……死ぬより恐ろしい目に逢う、わかったか!?」
『先生』と呼ばれた男の一声で、現場の空気が締まる。

二転三転した奇妙な鬼ごっこ、そして罰ゲームは、ある意味予定通りでありながら、
ある意味ではまったく逆の方角に進んで行く様相を見せていた。

「話をして、良かった。確証は無いが、あんたなら壊れたりはしないと信じていた…
俺たちも、全員が女を酷い目に逢わせたいわけじゃない。
アンタが気持ちよく感じてくれないと……こちらもいい仕事が出来ないからな。
ただ壊れただけの、恥じらいのない女など抱いても……こちらの得るものは無きに等しい。
そんなものは、女ではない……ケモノの雌だ。そんな画、一部のマニア以外は望んじゃいない。
アンタの想い人でないのは悪いが、こちらもプロだ。
俺の持てる全ての技術を使って、気持ちよくなってもらう。
だから、余計な力を抜いてくれると、こちらも助かる。お願いする」
男の真摯な姿勢を見て、雪歩は正面から向き合って応える。
「えっと……あの、初めてですから至らないところもあるかもしれませんが…とにかく、
頑張りますから!…ふ、ふつつかものですが、どうか…宜しくお願いしますっ」
覚悟は決めながらも、まだ何かと勘違いしているらしく、マットの上に三つ指をついて、
深々とお辞儀をする雪歩。
形の良い、やわらかそうなお尻を後方のカメラが捉える。
が、その裸体以上に……雪歩の一生懸命さに、スタッフの誰もが股間を起立させながらも、
今までの収録で感じたことの無い、不思議な胸の高鳴りをおぼえはじめていた……

いくら覚悟を決めたとはいえ、全てを自然に受け入れるなんてことは出来やしない。
マットに寝転んで空を見上げると、自分を映すライトの数と明るさに、少々目が眩む。
自分で確認できるだけでも、すでに5つのカメラが雪歩の裸体をそのレンズに捉えていた。
「胸は隠すな。それを見せてくれないと話にならん」
言われてはじめて気がつく。反射的に両方の乳首を隠していた事に。
仕事である以上、その要求には従うしかなかった。
結果的に、恥じらいながらも少しづつ手をどけて乳首を晒すその様子は、
下手なAV特有の不自然な演技っぽさを失くし、
自然に、かつ淫靡に、雪歩の色気と魅力を伝えていた。
仰向けに寝転がる事で重力分胸が潰れ、分かりやすい凹凸はほとんど出ない。
しかし、しみ一つ無いきめ細かな肌は、多数のライトに照らされる事で微妙な影を作り、
少女から女性へと成長する、一歩手前の愛らしい身体つきを魅せていた。
高鳴る心音が、はっきりと雪歩の左胸を上下させ、桜色の乳首が少しづつ隆起してくる。
胸から乳輪、乳輪から乳首へと、ほんの少しづつではあるが膨らんでいく様は、
まさに花のつぼみが開いて、本来の色気を晒す工程を思わせた。

(あ、あぁぅ……なに、これ……見られているって思うと、身体が…)
ステージで歌う事とは、方向性の違う緊張感。自分の歌やダンスではなく、
この痴態を……胸を、尻を、大事なところを凝視していると思うと、
いつもと違う汗と、いつもと違う……何かが、股間からじわりと染みてきた。
「見られて、感じているな……いやらしい娘だ」
こんな場所と状況では、誰でもそうなるのだが……
あえて本当のことを言わず、男は言葉責めで雪歩の羞恥心を煽る。
まだ何も知らない雪歩にとって、それは絶大な効果を上げた。
「そ、そんな……わたし、違ぃ……うぅ……」
「なら、今から確かめてやろう」
男は雪歩をマットから起こし、立たせてからその胸をカメラに向けた。
そして、カメラの邪魔にならないよう、後ろから雪歩の控えめな胸を揉みはじめる。
「はぅう……あっ!い、いやぁ……そこ、だ……め…」
小さいながらも、子供を育てるためについた女性特有の双丘がふにふにと形を変え、
同時に、じっとりと汗ばんだ体から雫が伝い、その肢体を流れ落ちていく。
リズムを変えながら、時にやさしく、時に激しく揉みしだくその愛撫に、
雪歩の身体はだんだんと反応していった……


男は、職人技とも言える手つきで雪歩の身体を触り、感じる部分を見つけていく。
角度、強さ、タイミング……その全貌が、少しづつ情報として男に伝わり、
その情報はさらに雪歩を通して試され、結果はカメラに収められる。
気がつけば、触られているのは胸だけにも拘らず、珠のような汗が噴き出していた。
(……ぁ…熱ぅい……それに、身体が、ヘンな感じに、なって…)
熱気に少し脳がボーっとしていたところに、男は絶妙なタイミングで、乳首に刺激を与えた。
「っ、うぁっ…!?」
畳み掛けるように両手で乳首を摘み、指の腹でしごきあげる。
「や、やぁあっ……だ、ダメですぅっ!?……そこ、だめぇ…」
「…どう駄目なのか、ちゃんと説明しろ。でないと止められん」
「そ、そんなぁ……あっ!ふぁ……あぁああっ!!」
答えながらも、男の手は止まらない。
どんなに恥ずかしくても、説明して、止めてもらわないと…このままでは、気が変になってしまう。
雪歩にそこまで考えさせるほどに、男の手腕は確かなものだった。

「あぅ……えっと…む、胸が…きゅぅって締め付けられるようで…」
「胸など男にもある。女性の場合は言い方が違うな」
「ひぅっ……あぁっ…やっ、そんな……うぅ…」
あまりの羞恥に、涙が滲んで来る。それでも、言う他に止めてもらう術は無い。
「…………お、おっぱい……が、きゅぅってなって……その…先のほうが…
…ひぁあっ…す、すみません…ちくびが…ピンって張って……
頭が……ボーっとしちゃいますぅ……あっ!……あうっ!?」
恥ずかしい単語を口に出す事で、一層雪歩の顔に赤みが差す。
765プロダクションの中で、実は一番声のキーが高い雪歩は、その嬌声も十分に幼さを残している。
外見的には成熟した女性、と言い難いが……適度に育った容姿に、その高い声は、
なんとも言えないギャップを生み、傍で見るスタッフ達に、背徳感を植え付けた。
外見上では、メジャーアイドルの痴態を見るという、普通ありえないシチュエーション。
声だけを聞くと、年端も行かぬ少女を汚すという、普通してはいけないシチュエーション。
両方の事実が絶妙なギャップを生み…場の空気は、見る者全てにさらなる興奮を促した。


「あぁっ……それ以上は、おかしく…なっちゃいます、から……ふあぁ…っ…
おっぱいと……ちくびは、触らないで、くだ……さいぃ…やぁぁあっ…いぅっ…
だ、ダメえっ……だめぇ……あぁあぁぁぁっ!?」
最後に、強い刺激を乳首に与えられて、雪歩の身体は弓なりに仰け反った。
そのまま何も言葉を発する事無く、身体全体をふるふると戦慄かせる。
もともと感じやすい身体と、男の持つ技で、雪歩は胸だけで絶頂を迎えていた。
初めて味わうその感覚に、しばらくは何もできず、ただ、汗と……もうひとつ、
よくわからない液体が、彼女の肢体を伝って、落ちる。
男の戒めから解放されたことによって、雪歩の身体はふらりと傾き、
マットにうつぶせに倒れこんだ。
「はぁ、はぁ…………はぁ……」
初めて迎えた絶頂感。心地よさと気だるさが同居し、身体は言う事を聞いてくれない。
にも拘らず、脳がさっきの狂おしいまでの感触を、貪欲に求めている。
体力がわずかに回復するも、感覚が鈍らないタイミングで男は雪歩の尻を持ち上げ、
うつ伏せ状態のままで性器が見える格好にした。
「うぁあ……いやぁ……っ、そんな…格好、はずかし……」
精一杯反抗するも、声も体力も尽きかけている為、それは弱々しいものにしかならない。
わずかに尻を振るだけの反抗だが、今回もそれは嗜虐心をそそる行為でしか無かった。
胸は隠れているが、尻穴と性器はどの角度からも隠しようが無いほどくっきりと、
複数のカメラから映されていた。
背中には先程の汗が流れ、尻は絶頂を迎えたことで赤みが差し……
ほとんど毛の生えていない股間は、汗と粘液がライトを反射して、テラテラと輝いている。
ぴったりと閉じられた蕾と、控えめにすぼまって佇むその菊座に、
否応無しに全員の視線が集中した。
スタッフ全員はとても見えないが、彼らの視線がすべて、自分の恥ずかしいところに注がれている。
そう思うと……雪歩の顔は耳まで真っ赤に染まり。
閉じた幼い蕾からは、さらにひとしずくの液体が流れ落ちてきた。


下半身主体で撮られると、今度はいよいよ、一番恥ずかしい場所に意識が集中する。
唯一下半身に残されたソックスとローファーは、『全裸でありながら靴を履いている』
という非日常的なイメージをから、その前後を想像させる。
結果として、一部分を見るだけでも、ただの全裸ではなく、それが外部の意志により、
強制的に脱がされたことを物語り……男性の狩猟本能を刺激した。
靴下の紺と靴の黒、そして肌の白さとのコントラストも、雪歩の細い身体をさらに引き締め、
清楚で可憐なイメージを保ちながら、エロティシズムを残す事に成功していた。
このままいつまでも、気が済むまで見ていたい。
そんな欲求が永遠に続くか……とも思えたその時、男の指は雪歩の尻に添えられ、
そのまま、指が股間のふくらみを押さえる。
だが、すぐには開かない。あくまでゆっくりと……その指が数度、股間の蕾を押した。
「えぇぇえっ!?……そ、そんな……そこは、ダメですぅ…」
「それだけは聞けん。全ての男が見たい場所だ」
「あぅ……で、でも……やっぱり…恥ずかし……うぅ…」
十分に雪歩の恥らいようを堪能してから、ゆっくりと、その蕾を押し拡げてゆく……
性器も、尻穴も……奥の奥まで見られるというその行為に、雪歩の身体が震える。
くちゅり、という湿った音と共にピンク色の秘肉がめくれ、内部が曝け出され、
液体にまみれて光る陰部は、処女特有の『綺麗』としか言いようの無い輝きを放っていた。
(ご、ごめんなさい……ごめんなさい……お父さん、社長さん……
ごめんなさいぃ……プロデューサー……ぐすっ、うぅ……)
自分で決めたこととはいえ、成長してからは、誰にも見られたことの無い場所。
現実でそれを晒された時……分かっていても、涙が零れ落ちた。
それでも、プロデューサーと決めた『誓い』を貫くため、カメラからは見えないように、
マットに顔を付けて……ほんの少しだけ、雪歩は泣いた。
(ひっく……うえぇ……プロデューサー……ごめん…なさ…ぃ…プロデューサーぁ……)
モニター越しの映像では、淫靡、かつ美しい性器を映しながら。
その涙を空気で察した一部のスタッフは、カメラを回しながらも、
ほんの少しだけだが…目を逸らさずにはいられなかった……

一見、グロテスクとも言える女性の大事な部分。
雪歩のそれも例外ではなく、うねうねと蠢く内壁をカメラがアップで捉えると、
事の前後を知らずにその映像を見たものは、引くだろう。

だが、人間の脳内補完力とういうものの逞しさ故か……瑞々しい肌の張りと、
明らかに未使用と思われる内壁の綺麗なピンク色に、純潔の証を示す処女膜。
雪歩自身の息遣いと一緒に目に映るそれは、ただただ愛らしく、猥褻だ。

まずは最高の仕事をすること。その上で、この娘の為に一発で終わらせること。
目的に向かって一致団結して突き進むスタッフ達は、戸惑いこそするものの、
撮影に手抜かり無く雪歩の痴態をあらゆる角度からカメラに記録していく。
男の指が小陰唇を開いて、膣内壁から尿道口までを丸見えにし、膣前庭から奥のヒダを
指でさすり、その柔らかさを証明する。
「ふぁっ……ぁ…、やあぁ……」
まだ、未知の感覚ではあるが……人間の本能からか、否応無しに身体が反応する。
はじめての雪歩には知る由も無いが、プロと言うだけあって、男の性技は一級品だった。
快楽の中に上手に苦痛を混ぜて、気がつけば身体は痛みに慣れている。
なおかつ、感覚を開発される事により、普通に触られただけでも感じるようになる。
僅かな愛撫で、雪歩の感覚はそこまで鋭く、そして淫猥に変わっていった。
気がつけば、股間から垂れる液体は粘り気を増し、マットの上に染みをいくつも作っている。
「どうし……て……わたし、こんな……」
まだ自慰もほとんど知らない雪歩にとっては、理性が飲み込まれそうになる。
頭が真っ白になるほど気持ちよく、このまま眠ってしまったらどんなに気持ちよいだろう?
この状況に戸惑い、恥じらいながら……一方で、快楽を欲する自分がいる。
時折漏れてしまう声には切なさと色気が混ざり、聞くだけで大部分の男が股間を起立させる程の、
『魔力』とも言える様な喘ぎ声。
男のコントロールによって、その声はどんどん高く、はげしくなってゆく。
快楽を高められる一方で、次のステップへ移るための準備が進んでゆく。
十分に溢れて来た粘液を男の指がすくい、すぐそばにある不浄の門へと塗りつけられた。


子供を産むための穴ではなく、排泄のためにある穴。
こちらで愉しむAVも無数にあるのだが、雪歩にとっては全くの想定外。
快楽の波が引き、慌てて振り返り、尻を隠そうとするが、
それと同時に、性器の一番敏感な部分。その包皮に包まれた肉芽を摘まれ、
肉体的抵抗は無意味に終わる。
「ふぁ……あぁぁっ!?」
わずかに声を上げて身体をねじるのみとなり、粘液を擦り付けられた菊座は、
カメラの中心に映し出されたまま、ひくひくと僅かに上下していた。
「やめて……やめて、ください…そん、な……きたな…ところ…」
恥ずかしい場所を見られる、と言う意味では性器より効果のある場所。
肛門および子宮口を指で拡げられ、雪歩の顔はさらに火を帯びた様に真っ赤になる。
恥ずかしがる彼女の表情を映しながら、男の指は丹念に、性器周りを蹂躙していった。
「ぅあ……あっ、やあぁ……そこ、変……ひぁっ…!?」
膣前庭を指の腹で効果的に撫で、粘液を帯びた指を肛門に挿入する。
ぬるり、と指が飲み込まれ、直腸のあたりでうねうねと蠢くその感覚に、
雪歩の身体は過剰に反応した。
その反応を見ながら、男は一つの考えを巡らせる。
(……間違いなく初物だが……ふむ、はじめてでこれだけの反応、
……もしかして、上手くすれば使えるかもしれん)
性器に上手に快楽を与えつつ、肛門に2本目の指を入れ、少し拡げてみる。
その筋肉は、引き締まってはいるが柔らかく、男の思惑を試すのに十分なものだった。
「もう少し、ほぐしておかねばなるまいな……もう一度、達するがいい」
「え?え……あぁっ!?ひぅっ……ふぁ……あぁあっ」
男の指は速度を上げ、時折陰核を摘みながら、膣内を蠢き、擦り付けた。
「やぁあ……ダメ、ダメぇ……っ、そこ感じ…はぅぅ…っ」
的確な指使いに雪歩の身体は反応し、快楽が凄まじい勢いで押し寄せてくる。
「ま、また……変な…感じが……お、おかしく…なっちゃいますぅ……はぁぁっ!?」
一層高い嬌声とともに、透明な液体が勢い良く性器から溢れる。
マットに出来た染みはどんどん大きくなり、女優の感じようにスタッフの性衝動が突き動かされた。
2度目の絶頂を間近で見て、もっとこの娘の痴態を貪りたいと思う。
いよいよ、準備を整えて最大の山場へ入ろうと現場が動きはじめた。

(……気持ちいいって……こんな感じなのかな…)
絶頂感を味わう事で、快楽と感覚が高まりながら、思考能力が雪歩に戻る。
もういちど瞬時に心の中で穴を掘り、状況を見た。
自分で決めたことだ。泣くのは後でも出来る。自分に出来る事は……
(…仕事を、やりきる事……そうですよね?プロデューサー…)
ただ、寝てて感じるだけなら……きっと人形でもできること。
アイドルと言えど、そんな怠慢が許されるわけが無い。
……雪歩の性格上、そういう考え方が、彼女にはある。
勿論、初めてで分からない事だらけだが……黙って行為を受け入れるだけはしたくなかった。
よろよろと立ち上がり、男の前に跪き……はっきりと言った。

「あ、あのっ……その……待って、ください…まだ、足りません…」


何事か、と現場の空気がざわつく。
「あの……わたしも、えっと……気持ちよく…させてあげたいです…
わたしばっかり気持ちよくなっても…
やっぱり…良くないですから。こういうのは、二人でするものだって、思いますから…」
たどたどしい言葉遣いだが、その意図は十分に分かる。
女優にこうまで言われては、監督も、男優も…止めるわけにはいかなかった。
「あの…頑張りますから、痛かったりしたら、言ってくださいね………えっと…うぅ……」
先ほどの言葉責めが効いているせいか、なにか恥ずかしいことを言いたそうにうつむく。
「気持ちよく……なって欲しいから……男優さんの………さん…の……お……
お、お……おちん…ちん…舐めて、あげたいです……はうぅ…」

聞きかじりだけの性知識。
男の人は、アレを舐めると喜んでくれるらしい。
学校で耳年増な同級生から聞いたことだが、あまりに衝撃的だったので覚えている。
当時はかなりショックだったが……自分で少しだけ、その光景を想像した事があった。
幼い頃、父親と一緒に入ったお風呂で見たことがある、男性のシンボル。
見た感じ、太目のソーセージのような…そんなイメージだった。
(……か、噛み付いたりしないし…大丈夫……だよ……ね…)
動揺しながら、とりあえずカメラを回し続けるスタッフをよそに、
雪歩はたどたどしい手つきで男のズボンのジッパーを下ろし、下着の合わせをかき分け、
一物を取り出してみる。
まだ他のスタッフと違って冷静なのか、『先生』と呼ばれた男のそこは、
そこまで硬くそそり立っているわけでは無かった。
(……監督。いいんですか…?彼女、どう考えても未経験でしょ…先生を気持ちよくなんて…)
(まぁ、そりゃそやけど…美味しい画やからかまへん。先生かて分かってる人や。
いざとなったら自分の意志で勃たせてくれはるやろ)
多少予定とは違ったものの、無言のうちに雪歩の提案……というか、奉仕は受け入れられた。
先生と呼ばれた男も、ただ黙って雪歩の奉仕に身を委ねる。
「あの……失礼…します」
改めて男優に……というより、男優のソレに向かって、雪歩は挨拶するように話しかける。
そのほほえましくも健気な様子は、もう何度目になるか分からない、
男性の心を掴む輝かしい姿に見えた。
まさに、コンサートで全てのファンを魅了する最高のアピールのように……



まず、可愛らしい舌が男の亀頭部分をやさしく撫でる。
雪歩のたおやかな…かつ、細く綺麗な指が、やさしく、包み込むように男の竿を覆うと、
それだけでも、精神的にある種の満足感を感じずにはいられない。
「それでいい……あと、手を使って前後にしごいてもいい。少しくらい、強めにしても大丈夫だ」
言われたとおり、少し強めに……前後に竿の部分をしごいてみる。
わずかな男の反応をヒントに、より快楽を引き出すため、意識を集中する。

もはや、雪歩の意識はコンサートやTV出演時の様相……
アイドルとしてのオーラを発揮する、極限までテンションと集中力の上がった状態にいた。
コンサートに来てくれたファンの人たちを楽しませたい、
喜んで欲しい一心でアピールする、あの時のように。
男のわずかな反応を逃さずに、袋や肛門まで手を伸ばして、快楽を引き出そうとする。
そういえば、はじめてのコンサートの時、プロデューサーにこう言われたことがあった。

『いいか、雪歩。使い古された言葉だが、歌は心だ』
多少のレッスンを積んだとはいえ、まだまだ今と比べれば未熟だった昔。
ステージを前に逃げ出しそうになる自分に向かって、彼はこう言った。

『確かに、今世の中にいるトップアーティストに比べたら、雪歩は歌もダンスもまだまだ及ばない。
でも……ここにいるお客さん達は、雪歩を見るために来てくれたんだ。
最高の歌を求めるならプロシンガーのコンサートに行くし、
最高のダンスを求めるなら、世界的ダンサーの舞台を見に行くだろう。
だから、雪歩が雪歩であってくれればいい。ソレが一番大事なことさ。
お客さん達を楽しませたい。その心をまず伝えるんだ!
失敗したら、ちゃんと謝ればいい。穴を掘っても、俺が一緒に埋まってやる。
俺と、今まで頑張った雪歩自身の日々を信じるんだ…さ、行っておいで』

それからだった。緊張感を、プレッシャーを……怖いだけでなく、どこか楽しいとさえ思えたのは。
あの時のプロデューサーの励ましがあったからこそ、自分はここまでアイドルとして仕事が出来た。
だから、今もできることをする。彼女を突き動かす理由はただそれだけだった。



「お……ぅお……」
雪歩の指使いが、急に別人のそれに変わった。
触り方は素人の域を出ないものの、こちらが快楽に反応したツボを確実に覚え、抑える。
男性器周りをくまなく指が這い、小さな口は熱く亀頭を包み込む。
『気持ちよくしてあげたい、そして悦んで欲しい』
その心が、現場に感動さえ呼び起こす。
男優のみならずスタッフ全員に分かるほどにまで一生懸命な奉仕だった。
「ふぁ……気持ち……いい…ですかぁ…?もっと……しても…いい…ですか?」
声、指、口内。全てを使っての行為に、男のソレは正直に反応していた。
(……俺も多くの場数を踏んだが、ここまで懸命な娘はいなかったな…)
男は、正直雪歩の手腕に期待してはいなかった。
なにより初めてだし、言ってみれば『うぶなねんね』である娘に、
そこまで出来るはずがないと思っていたから。
事実、技の未熟さ加減は予想通りの素人レベルでしかない。
しかし、その真摯な姿勢と集中力の高さは、常人をはるかに超えたレベルだったのだ。
考えてみれば、アイドルという狭き門をくぐり、その中から、さらに
メジャーアイドルという地位を勝ち取った娘だ。
年端も行かぬ小娘といえど、それはまさに一流のプロフェッショナルが見せる精神だった。

(ば……馬鹿な……ここまで……っ…上手く……)
男の性衝動はどんどん高められ、今にも出してしまいそうな射精感に襲われる。
勃たせるだけで良かったはずなのに。まさかそこまで感じてしまうとは。
雪歩は男性のソレを握りながら懸命に顔を動かし、つられて動く身体から、
唯一上半身に残されたネクタイが動きの激しさを物語る。
後方のカメラからは、わずかに動く尻から少しだけ液体が垂れ、
奉仕の最中に濡れている股間を捉える。
並の男なら、数分と持たなかったであろう。
『先生』と呼ばれ、数多くの女性を虜にしたこの男にさえ、目の前にあるその、
【一流アイドルの御奉仕】に、我慢の限界を抑え切れなかった。



「…いかんっ……出……出るっ…!?」
快楽に支配されれる前に、慌ててソレを雪歩の口から引き抜いた。
同時に、びゅく、びゅくと精の猛りが迸り、勢い良く彼女の頬、鼻に張り付いた。
日本人形を思わせる程の綺麗な顔が、白濁した液体にまみれ…
ある種の征服感を思い起こさせる。
「うぁ……あ……」
(待て!…いいか、飲むな!喉を壊したら洒落にならん。下を向いて、ゆっくり吐き出せ)
精液を飲ませるのはAVのお約束だが、さすがにプロであるアイドル歌手の喉を汚す事は出来ない。
男は、マイクで拾えない程度の小声で、雪歩に注意を促す。
言われたとおりに下を向き、僅かに口内に残る精液を吐き出して、男を見上げる。
「あ……いっぱい…出ましたね。気持ちよく……なってくれました?」
戸惑いながらも、気持ち良さの証を確認して、少しだけ雪歩が微笑む。
一瞬見える、アイドルを離れた歳相応の娘。
自らの為した成果と、男性を気持ちよくできたという喜びの表情。
そんな顔をされては、百戦錬磨の男といえど冷静でいられるわけがない。
「……許せ。すぐに済ませる」
「……きゃうっ!?」
照れを隠すように雪歩をマットに押し倒し、素早くゴムを装着した。

これ以上していると、本気で惚れてしまうと思った。
しかし、プロとしてそれは許されない。男は、少しだけこの娘が想う【プロデューサー】
とやらの気持ちを汲んだ。
(アンタも大変だな……こんな娘と一緒にいて節度を守り通していたとは)
「さて、初体験でこちらを使わせるというのも酷な話だが…」
「…え?」
「こちらの穴が好きな客も多いし、危険日に関係なく間違いも起こらんから、
安全だ…それは我慢してもらう」
「え、えぇぇえっ!?……ちょ……えっと…まさか…お尻に!?」
図らずも、その驚きと恥じらいの表情は、客の求める最高の形となった。
覚悟を決めながらも、もじもじと身体を捻るしぐさが、堪らない。
(それに……前の方はとっておけ。アンタの想い人のために、な……)
大胆に脚を開かせ、股間の粘液を丹念に自分の一物に塗りつける。
2度の絶頂を迎え、やわらかくほぐれた秘所を経由し……目的の場所、
雪歩の菊座に男のソレがあてがわれた。
呼吸のタイミングを読み、少しでも力が抜けた瞬間、男は躊躇なく己の分身を、
雪歩の肛門に挿し込んだ。

「あぅっ……ひっ……い、いやぁぁっ!?」
校内全体に響く、処女喪失(後ろではあるが)その瞬間の声。
声量よりも、その意味合いの方が強かった。
待ちに待った、至高の瞬間。
今、自分の目の前で……メジャーアイドルの萩原雪歩がセックスをしている。
若干の後味の悪さは、奇しくも最高のスパイスとなって全員の本能を刺激した。
勃ちっぱなしの股間は、まだまだ収まりそうな気配すら無かった……

ショックと痛みとで、頭の奥がジンジンする。
肛門を襲う異物感は、人生で初めて味わう奇妙な感覚で、挿入した今現在では、
気持ちよいとか、そういう次元のものではなかった。

「ぅあ……った……い、痛…………はぁっ、はぁっ……」
必死に息を繋ぎながら、意識が途切れないように集中する。
男の方も、挿入の後は無理をして動かず、静かに雪歩の反応を見ていた。
丹念に慣らしたおかげで、肛門が切れて血が出るといった惨事は回避できたようだ。
しかし、ここからが大変だ。処女でなおかつ後ろを経験させ、あまつさえ
怪我をさせないように昇天させるというのだから。
こまし屋を十数年以上続けたこの男にも、それはさすがに無理難題だった。
(だが……この嬢ちゃんが必死で無茶をしてるんだ。俺たちが身体張らんでどうする?)
直腸を掻き回したい衝動を抑え、まずは落ち着いてさっき見付けた雪歩の性感帯を責め、
少しでも痛みの意識を逸らす。
性器周りを弄られた雪歩の身体が、びくん、と跳ねる。
上半身に残されたネクタイは、すっかり汗を吸って身体に張り付きつつも、
その激しい反応に先端を揺らす。
(……ゆっくり息を吐いて、筋肉を伸ばせ。締め付けると余計に辛くなるぞ)
出合って30分も経っていないが、この『先生』と呼ばれる男の言う事は、不思議と信じられる。
痛みを残しながらも、雪歩は素直に男の言う事を聞いて、深呼吸をするように息を吐く。
すると、挿入の痛みは本当に軽くなり、尻穴の異物感だけが彼女の肛門を支配していた。



(難しいだろうが、まずはこの感覚を受け入れてもらう。
普通に立って歩いている自分を想像するんだ……意識を外に向けろ。
結合部を気にすると、硬さは抜けずにいらぬ怪我をする)
男の指示は、分かりやすくて的確だった。
なんとなく、事務所にいる自分や、レッスンを受けている自分、
コンサート会場にいる自分を思い浮かべ、イメージを作る。

(コンサート前の緊張感、……あぁ、やっぱりまだドキドキしている。
いつもどんな感じだったろうか?相変わらず心で穴を掘る癖は抜けていない。
そんな自分に、プロデューサーはいつものように励ましてくれて……)
幸運にも、雪歩のイメージトレーニング能力は765プロでもトップクラスの正確度を誇っていた。
常日頃から、心で穴を掘る癖のある彼女は、一度掘り始めると加速度的に集中力を高められる。
周りに惑わされない分、欲しいイメージの尻尾を掴むのが早く、しかも的確なのだ。
感覚を残しながら、肛門のみを締め付ける強い力が抜けたことに、男は驚いた。
(……まさか、ここまで素直にこちらの注文を飲んでくれるとは、な……)
準備が整ったと同時に、男の手は雪歩の性器周りを弄り、今度はそちらに意識を持っていく。
「ひゃぅっ!?……あっ!……ま、またそこ……ふぁあ……あぁぁっ!?」
気がつけば、頭を痺れさせる感覚は複数となった。肛門と膣、二箇所の恥ずかしい場所を、
代わる代わる弄られる事によって、感じ方の違いを発見し……
同時に、共通項も発見する事が出来る。
(ぅあ……っ、なに、これぇ……さっきのヘンな感じが、おしりからも、する…)
探り当てるまでは難しいが、感覚で掴んでしまえば不思議と大丈夫。
まるで、はじめて自転車に乗れたときのような、不思議な達成感。
どうして今まで、出来なかったんだろう?……自分の身体なのに、そう問いかけたくなるような。

周りからすれば、驚くほどに早く、雪歩は肛門開発の基礎をものにしていた。
そんな才能が嬉しいかどうかは疑問だが、この場所、この状況においては、
少なくとも、その能力が彼女を救ったのだ。
(な……締め付け方が変わった……この娘、まさか……もう、掴んだってのか!?)
それを肌で感じたのは、『先生』と呼ばれる男優だった。
痛いほどに締め付ける敵対感。異物を排除しようという動きではなく、
自分の分身を受け入れ、飲み込もうとさえする動きへと、直腸内壁の動きがガラリと変わった


「次へ……行くぞ」
男は、正面から雪歩を抱きかかえると、結合したままで、くるりと彼女の身体を回転させ、
背後から抱えるような……小さな女の子におしっこをさせるような体位にした。
「え……えぇぇっ!?ぅあ……、こ、こんな…格好……」
どこか可愛らしく……でもはしたない格好。少なくとも、妙齢の娘にさせるものではない。
「や、やだ……そんな…の、はしたない……で、す…ふぁぅっ!!」
身をよじって、拘束から逃れようとするが、背中から抱きかかえられてはどうしようもない。
正面のカメラは、結合部をはじめ、顔から靴までの全身をくっきりと捉える。
男のものが雪歩の尻穴に収まっている分、そばの性器は丸見えとなって、
たぱたぱと汁がこぼれ、性衝動を感じていることを物語る。

挿入シーンがないため、意味的には物足りなくも見えるが、
絵的には陰核から尿道、膣口までが晒され……別の意味でいやらしさを感じさせた。
「……あとは、少しづつ感じていけばいい……ここから先は俺に任せてもらう。
せいぜい、いい声を出してくれ」

にゅぅう、という音が心の中で聞こえるくらい分かりやすく、尻穴にささっていたものが、動いた。
「ひぁ……ぁ、あぁ……っ」
馬に乗っているような感覚で、少しずつ身体が上下する。
ソレと伴って、さっきと同じ、快感とも痺れとも言いがたい感覚が戻ってきた。
「あ……これ……あぅぅっ……さっきとおなじ……ヘンな…気持ち、ですぅ……」
「どんな感じだ?言葉で説明してみろ」
「そんな……また、恥ずかし………っ、ひぅっ…や、やぁぁ……」
そこまでが仕事だ、と言わんばかりに男の突き上げが激しさを増す。
「あぁっ……お、お尻が……あつくって……あそこを触られたときみたいに……
頭の、奥が……ジンジン……ひぅっ…し、ちゃいそう……ですぅ…」
「気持ち良いのか?さっきから、どんどん蜜が溢れているぞ」
「やぁんっ……わ、わかりませぇん……そんな、こと…」
男は、突き上げながらも右手を陰核に、左手を胸に這わせ、
開発されたばかりの快楽をひたすらに高めてゆく。
「いやぁ……あっ、あぅっ……ひぁあっ……あ、あそこが、くちゅくちゅって言って……
すごく熱くて……お尻までびちゃびちゃ……あぁ……恥ずかしい…よぉ……ふぁぅ!?」
感覚を切らさぬように……なおかつ、理性を失わないように。
絶妙の感覚で、言葉責めと指技を駆使して3度目の絶頂へと雪歩を誘っていった。



「あぁっ!……ふぅっ、あっ、……きゃぅっ……うぁっ……」
突き上げはさらに激しくなり、ささやかではあるが形の良い胸が揺れ始める。
愛液は性器から尻を伝いとめどなく溢れ、恥ずかしい箇所をより恥ずかしく魅せた。
(………まずい!?…この俺が……もう、持たない…だと?)
快感を享受する雪歩の直腸は、あれからさらに、数段動きを良くしていた。
ゴムをつけているにも関わらず、最高の感じに締め付けられたソコは、
動けば動くほどに男の股間と脳内を刺激し、子種を搾り取ろうと蠢く。
(……こ、この小娘……コッチの方まで……大した、もん……)
最早、余計な事を考える余裕も無かった。
だが、プロとして、女優の絶頂を引き出さぬまま、先に果てる事はプライドが許さない。
もう遠慮はいらない。最後まで激しく、雪歩の腸内を貪る様に動いた。
「ひぁっ……だ、ダメ……っ…そんな……また、お尻と、あそこが…っ!?」
愛液が十分に結合部に絡み、くちゅ、くちゅ、といやらしい音を立てる。
雪歩の身体は、三度目の絶頂に向かってさらに男のものを締め付けた。
「も、もう……ダメ…です…ぅ……ぅあっ……あっ…はあぁぁぁっ!?」
一際高い声とともに、直腸がシンクロするかのように収縮する。
それが、男を酔わせ、精を吐き出させる最後の仕事となった。
「ぐぅっ……うお……おぉっ!」
雪歩が絶頂を迎えてすぐ、男は彼女の尻穴からソレを引き抜き、ゴムを外した。
そして、四つんばいになって倒れこむその背中に、今まで我慢していた迸りを放った。

びゅく、びゅく……と、何度も波が打つように、精液の溜まりが出来る。
一度、口の中で出したにも関わらず……自分でも驚くような量の液体が雪歩の背中を汚していた。
「あ……あぅう……」
雪歩の身体が脱力し、肩からマットに倒れこむ。
気持ちよさと疲れとが一緒になった、笑顔だが惚けたようにも見える表情。
だがそこに、恥ずかしさと達成感が混ざり……今までの流れを知るスタッフ達には、
この上なく満足げな表情に見えた。

それもそのはず。彼らが見たものは、コンサートで歌いきった後に、
雪歩がプロデューサーにだけ見せる、最高の顔だったのだから。
(プロデューサー……わたし、今回も……約束、守り通しましたよ……ね)
彼女の問いかけに応えるかのように、夜空の星が瞬く。
気が付けば、監督は撮影終了を宣言し、熱いほどに照らされていたライトは消されていた。
もっとも、仕事をする上で最低限の照明は点いていたが、
この学校は住宅地から離れた場所にあるため、星が良く見える。
(まだ全てが終わったわけじゃないけど……少しだけ、穴掘って埋まっていたいなぁ…)
安らかな顔と共に、ほんの少しだけ……雪歩は目を閉じた。



「……気がついたか?」
最初は、何が起きているのか良く分からなかった。
何とか、自分が寝ていたらしいということを認識すると……雪歩は周囲を見渡してみる。
「アンタ、やっぱり大物や……レイプビデオ撮影の後に、
あんな顔で寝られる娘、はじめて見たでホンマに」
「え……あれ?わたし……あれから、寝ちゃったんですか……?」
「まぁ、15分ほどだがな。気絶や何かの発作でも無かったし、
あまりに気持ち良さそうな寝顔なんで、そのままにしておいた」
「え、えぇぇぇっ……ご、ごめんなさいっ!!……撮影終わって寝ちゃうなんて……あの、
アイドル……あ、いえっ、この場合、女優失格ですよね……はぅ」
動揺したり落ち込んだりと、コロコロ変わる可愛らしい表情と仕草に、スタッフ一同が和む。
「気にするな。大きな仕事を終えた後だ……むしろ、はじめてで無茶を言ってすまない。
……それと、身の回りのものは回収しておいた。足りないものがあったら、言ってくれ」
そういって手渡された紙袋の中には、携帯電話や財布などが入っていた。
そして、下着を含め、サイズどおりの新しい制服一式と……あとは、見覚えの無い茶色い封筒。
その重さから、現金入り…しかも、数十枚はあることが伺える。
「そんな……お金は別に…」
「正当な報酬だ。けじめとして受け取ってくれないとこちらも困る。
……それに、個室シャワーとエステ、健康診断を受ける金くらいはこちらで世話をさせてくれ。
それで余ったら……あんたのプロデューサーとやらを食事にでも誘ってやるといい」
「あ……は、はい。その……お疲れ様でした。えっと……大丈夫でしたか?」
「……何がだ?」
「うぅ……えっと……あの、その…わたし、はじめてで、しかもあんなところだから……
男の人に痛いことさせたり、気持ちよく出来なかったんじゃないかって…」
「それは無い!俺が言えた義理じゃないが、自身を持て。
……9割の男は、アンタの気持ちよさにゃ抗えん。残り一割も……」
(残り一割も、尻を使えば絶対に抗えんさ……まぁ、まともな道を行くなら使って欲しくないけど、な)
そう思ったが、これは言わぬが花だろう、と、男は言葉を飲み込んだ。

「……ま、気にするな、大丈夫だ。それより、服、着られるか?
ずっと見ていたいが、さすがに目の毒だし、風邪をひきかねんのでな……
液体などは拭いておいたが、すぐにシャワーを浴びに行くといい」
「あ……え?あ、そういえばわたし、はだか………きゃぅっ!?」
慌てて、胸と股間を隠すが、疲れが残っているためか、動きがぎこちない。
「うぅ……やぁん、見ないでくださいよぅ…恥ずかしい…」
さっきまで全裸で結合していたのに…とも思うが、女性の心理から言えば、それとこれとは別物らしい。
しかし、このアイドルの……何というか、何処まで行っても初々しいその魅力に、
撮影スタッフたちは安堵感を覚えた。
……多分無いだろうが、今後もこの娘と一緒に仕事をしたい。そう思わせる人柄。
人を引っ張るような強烈なカリスマでこそないが……周りの人を常に和ませるほんわかとした空気。
そんな魅力を、目の前の娘、萩原雪歩は持っていた。

5分ほど掛けて服を着終わると、撤収準備も終わり、解散を待つのみとなった。
雪歩が、無事に立って歩ける事を確認したスタッフ達は、誰が率先するでもなく一列に並び……

『お疲れ様です!ありがとうございました』

そう言って、雪歩に深々と一礼した。
多少びっくりしながらも、雪歩もスタッフに向かい、
『お疲れ様でした……あの、良い仕事が出来たみたいで、その…わ、わたしも嬉しいです』
あくまで気高く……それでいて可愛らしく、スタッフ達に微笑んだ。

それは、熱烈なファンが、14人ほど増えた瞬間だった。





薄暗い部屋の中、ビデオやDVDプレイヤーの機械音だけが響いていた。
そこで、雪歩の痴態が編集され、一本のマスターとなって作品が完成する。

「……勿体無いのー、このカットは絶対いるし…あー、アカン!!
ここでの尻は絶対に欲しいっちゅーねん!…したら、こっちのアングル使うて…うーん、せやけど、
このプランだとタイミングが悪いし…勘弁してや、なんちゅぅ贅沢なAVやホンマにっ!?」
編集室で数点のアングルとにらめっこしながら、『監督』は悲鳴を上げた。
もう、かなり前から編集作業を続けているのだが、これが全然終わらない。
あまりにも『美味しい映像』が多すぎて、一本にまとめ切れない。
アシストする編集スタッフ達も、ここは入れましょうだの、もっとこの可愛い胸を見せましょうだの、
普段に比べて容赦なく意見をぶつけてくるため、作業時間はいつもの3倍近く掛かっていた。

「……ぼやくな。それが監督の仕事だ」
「あ、先生……ご苦労様です。よしお前ら、ちょい休憩しよか」
「……で、これ、売り方はどうする?今となっては一歩間違えば命を落とすぞ」
「へぇ。ホンマに……今やあの娘、誰もが知るほどの有名人ですさかいに……
一般に流通させるのは止めときましょ、危険すぎやし。
となると、限られた人に向けてクオリティ高く作るのがええと思うんですけど…
もう、彼女……驚くほどの速さでトップアイドルへの道を進んどるし。
プロ失格と言われるかもしれませんが、ワシらも正直、流通させたくないんですわ…」

「気持ちは分かる………だが、組から資金が出ている以上、どうにかせんとな」
「せや。ワシがみんなの給料キッチリ払って、上の組織にも製作資金と予想利益分上納するから、
ワシが預かって個人使用するってどない?リスクはあらへんし、ゼニも入って…」
「貴様……」
「ひいぃ!?…す、すんません!…せやかて、それ以外に丸く収める方法が…」
「……………半分払う、だから俺にも回せ。それだけの価値はある作品だ!!」
「………」
「………」
場の空気が、急速に弛緩した。


「そんな顔をするな……俺とて命は惜しい。仕事はキッチリするが、
それ以上の事に義理立てはしないさ。……お前達も出したくないだろう?これ」
「……はい、でも、監督」
「何や?」
「俺たちも資金分持つから、回してくださいよ!」
「そうっス!!誓って個人使用以外には使いませんから」
「きっと、一生モノでヌケるAVになります!高級ソープ10回行くよりコッチがいいです!」

やれやれ、と言った感じで『先生』が監督の方を見る。
「お前ら……せやな。それが一番ええかも知れん。せやけどな……」
「もし、流出させたらコンクリ詰めより恐ろしいことになるぞ。
コソ泥に盗まれることも許さんし、他人に見せることもできん。それでもいいのか?」

『はい!!』
全員が迷う事無く、頷いた。
「……だそうだ。じゃ、全カメラのマスターをDVDに納めて、各自でベスト版を作るか?」
「ちょっと待って?ワシにも仕事させてやー!?皆がベスト版を作るのはええけど、
ワシがまず監督として作ります!!」
「……ま、そこは責任者として任せるさ。いい仕事しろよ?」
「任せてください!人生最高のAVに仕上げまっせ!!
お前ら……AVはこうして作る、っちゅう見本を見せたルさかいな!!」



以後……このフィルムが世間に出回ることは無かったという。



「はい、はい……今、収録中で…はい、そうですね…伝えておきます」
TV局スタジオ内の端っこで、彼は携帯電話片手に喋っている。
その声は明るく、良く見ると顔まで笑っているように見えた。

「え……祝勝会?明日ですか……はい、勿論俺はOKですけど、雪歩は……
ええ、ご家族で何かあるかもしれませんし、一応聞いてみますよ。
うわ……そりゃ大変ですね。はい、よろしくお願いします。じゃ、後ほど」

携帯電話を切って、彼は天井を仰ぎ、ゆっくりと息を吐き出した。
「……あれからいきなり特別6連勝……誰が予想したよ、こんな急成長…なぁ、雪歩」
嬉しさも勿論だが、それ以上に驚きの方が強い。
思い起こせば、2ヶ月ほど前…狭き門で有名な特別オーディション【カラフルメモリーズ】に、
雪歩自身からの参加要請があってから…多少のレッスンを挟んだものの、
審査の厳しさで有名な【ロングタイム】に、
ひたすらに競争の激しい【HIT-TV】…なにより、その道の猛者が集う、
【マスターオーディション】を三連覇したのだから、これを破竹の快進撃という他無い。
今日の【ダンスマスター】を制した時点で特別6連勝。
今月発売したアルバムの売り上げも、驚くべき勢いでミリオンセラーをを達成した。

あの時から雪歩の中で何かが変わったようにも思える。
元々大人しい娘だったのだが、ヘンに慌てる事が無くなったと言えばいいのだろうか?
周りを見通して、場を和ませる……同事務所の三浦あずさとは違った方向性の
【癒し】能力を、彼女はいつの間にか身につけていた。

元々、雪歩の挙動や性格は男性ファンに支持されていたが、
最近の彼女は落ち着きと配慮を見につけ、女性にも好かれる存在になってきた。
当初は自分の事だけで精一杯な雪歩だが、本来は誰よりも周りを思いやり、
自分を捨ててでも他人のために頑張れる娘なのだ。
……成長と共に、やっと本来持っていた魅力が出てきたにすぎないのだが、
世間はそれを以てして【化けた】と評価している。

(雪歩の実力なら、不思議でも何でもないんだよな……まぁ、
千早や伊織を抜いて、最初にミリオンを達成するのは予想外だったけど)


「プロデューサー!収録、無事終わりました」
一仕事終えた清々しい表情と共に、雪歩が楽屋へ戻ってきた。
しかし、不思議な事に、大仕事を終えた直後にしては、まだ緊張感が抜け切っていない。
…いや、まるでこれからもっと大事な何かがあるといった感じすら出している。

それもそのはず。雪歩は今日のため、周到な計画を練っていた。
マスターオーディションを制覇して、トップアイドルになった時、大事な人……
担当プロデューサーに、2ヶ月前に起こった出来事全てと、
その時に気付いた、確固たる想いを彼に打ち明けるために。
『より高い目標を持てば、結果は後からついてくる』
その信念の通り……特別制覇がおまけになってしまう程に、この告白は勇気の要る仕事だった。

(目の前にいる、この人に……全てを……)
この人がいたから、頑張れた。
この人がいたから、逃げずに立ち向かう事が出来た。
……逆に、この人がいなかったら…自分はどうなっていただろう?

「ああ、お疲れ様、雪歩。番組収録自体はまだ?」
「いいえ……完全にアップです。関係者への挨拶も終わりました。もう着替えても大丈夫ですって」
「そっか……あ、さっき社長から電話があったよ。明日、祝勝会やりたいってさ。
765プロ初のミリオンセールを達成したアイドルだからね……で、雪歩の都合だけど大丈夫?
家族とお祝いするなら次の日にでも延期してもらうけど……」
「あ……いえっ、とんでもないですぅ……私みたいなダメダメな子が、祝勝会だなんて…
嬉しいですよぅ、そんなことまでしてくださるなんて……」
「じゃ、OKかな……伊織と真が燃えてたよ。『次にダンスマスターを取るのは自分だ!』って。
明日は『だるい屋』の親父さんも料理人として来てくれるから、覚悟しておけよ。
しっかり運動しておかないと、3キロくらい平気で太っちゃうぞ……あの人の料理、美味しいから」
「あぅ……気をつけます」
「……で、改めて、だけどな……雪歩」
「は、はい?」

プロデューサーは呼吸を落ち着けると、雪歩に向き直って一歩前へ踏み出した。
気がつけば間近に彼の広い胸があり、首を傾けて仰ぎ見るような姿勢になってしまう。
そして、おもむろに雪歩の両脇に手をやったと思う間もなく、ぐわっと持ち上げる。
いわゆる、子供に『たかいたかい』をするような感じで。

「え……え?あの、ぷ、プロデューサー?」
「おめでとう雪歩!!……とうとう、ここまで来ちゃったな…100万人のファンを持つ、
文句なしのスーパーアイドルだよ……本当に、夢じゃないんだ!」
「あ、あうあう……」
突然の事に、上手く言葉が紡げない。
この歳になって、『たかいたかい』をされている自分に……そして、それ以上に、
ここまで大げさに喜ぶ、プロデューサーに。
まるで自分の事のようにはしゃぐその姿は、ある意味可笑しくもあり、感慨深くもある。
5回ほどくるくると大きく回されて、やっと雪歩の両足が畳の上に下ろされる。
プロデューサーは、それでもまだ喜びを表現したりないようで、
見ているほうが戸惑うほどに落ち着きが無い。

「…それで、さ。……その、今晩は俺個人で祝勝会をしてあげたいんだけど…時間、大丈夫か?」


一瞬、彼の言ったことが良く理解できなかった。
それと似たような言葉を、彼女は2ヶ月以上も前から用意していたのだから。
「え……え……えぇぇぇっ!?ぷ、プロデューサーと、二人で……ですか!?」
自分から誘おうと決めていたことだけに、この不意打ちは雪歩にとって予想外だった。


アリバイ工作を友達に頼み、ホテルのスイートルームを予約して。
いつもよりずっと可愛らしい下着を用意して……
風呂には3回入り、歯磨きも3回、念入りに繰り返した。
『明るい家族計画』もサイズ分しっかり用意してあるというのだから、その周到さが伺える。
オーディションで負けることなど全然考えていないという、
雪歩にしてはとんでもなく大胆な計画だった。
結果的には願っても無い事なのだが……
最後の詰めを、プロデューサーに決められてしまうとは。
「………っあ……あ……」
気がつけば涙が溢れ、全身の力が抜けて、その場にへたり込んでしまう。
「お、おい…雪歩、どうした?もしかして急に疲れた!?無理しすぎたか?」
「……ぅ、ぐすっ……ぅあぁ……」

ひたすらに戸惑い、泣きながら……彼女は気付いた。
どんなにオーディションを勝ち抜いても、怖い人たちを相手にしても……
この人の前では、まだ自分は弱いままだと。
見知らぬ人に陵辱されても、大きな犬に吼えられても大丈夫なくらい、自分は強くなった。
それはそれで良いことなのだが……一番の難関は、ずっと昔から目の前にあったのだ。

『最後は、必ず逃げずに立ち向かえ』
……その言葉どおりに、雪歩は仕事にも自分の性格にも立ち向かい、壁を越えていった。
そして、おそらくこれが一番大きな、一番分厚く、手強い壁。

(はぅぅ……特別オーディションより、こっちの方が緊張しますよぉ……プロデューサー)
もう、決めたのだ。あとは穴を掘るが如く、真っ直ぐに突き進むのみ。
一度深呼吸をすると、雪歩はプロデューサーを真っ直ぐに見つめなおした。
「……プロデューサー、お話が……あります」
「は、はい!」
真剣な表情の雪歩を目の前に、プロデューサーも姿勢を正して向き直った。

(告白、しよう………そして、どんな結果でも受け止めよう……
一番大事なものに、今こそ正面から向き合おう!!)
そうして、プロデューサーを仰ぎ見た雪歩の目は、どこまでも綺麗に……
揺るぎない心と深い慈愛に溢れ、透き通って見えた。

「プロデューサー……今日の祝勝会、えっと…場所は、わたしに……決めさせてくださいっ!!」



―完―




作者:1スレ579

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