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なんだか美希の様子がおかしい。
いつもみたいに声を出して笑ったりしない。寂しげな表情で微笑むだけ。
私がいるときは腕を組んで離れない。
甘えてるのかと思ったけれどこんなにべったりってことはなかったし、トイレにまでついて来たりしなかった。
服装も違っている。肩や脚の見える格好ではなく、普通のシャツに長ズボンでゆったりした感じになっている。
まとめて言うと、美希に元気がない。とても。
昨日からだ。美希が大人しくなったのは。
それでも美希は可愛くて、いつもと違った可愛さがある。
この美希も悪くないわ。と思ったけれど、心配なものは心配なので理由を聞いてみてはいる。
でも話してくれなくて、ただ生返事をするだけ。
言いたくなったら話すだろうと思うけど、もう二日目だ。このままだと仕事に支障がでるんじゃないか。
今日は美希を私の部屋に泊めた。二人きり邪魔されない空間なら話してくれるんじゃないかと思って。
今もこうして私の隣に密着して座って静かにしている。時折私の名前を呼ぶ。
それにうんと答えて頭を撫でてあげる。この状態がしばらく続いている。
美希は私の目を見つめ、今日はじめて喋った。
「千早さん?」
「うん?」
返事をする。私の服をぎゅっと握る。目が潤んでいる。
「ごめんね。ずっとこんな調子で。でも、今なら言えると思から。」
目を逸らす。悲しげな表情。
「ミキ・・・、痴漢にあった。」
「え・・・?一昨日のこと?」
「うん。言い出せなくてごめん。千早さん悲しむから、それにきっと、怒るから。」
「怒るって・・・。」
実際に本気の怒りを感じた。それと同時にとても悲しくなった。
愛する美希が傷つけられて、こんなに引きずっている。
頭を撫でる。何度も。
「辛かったね・・・。もし、私が・・・。」
そばにいていたら。とか無理なことを考えてしまう。
「なんで千早さんが泣いてるの?」
「だって・・・、私の美希が・・・。酷いよ。」
「やっぱり、ミキより悲しむと思った。だから言い出せなかったの。ごめん。」
優しく撫で続ける。こんなに苦しい思いをしていたのかと思うと涙が溢れた。
元気出してなんて言えなかった。いずれ元に戻ってくれるだろうけど、簡単に忘れられるものではない。
恋人として、ずっとそばにいると強く思った。

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