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美希と二人街中を歩く。
最初はコンビニに温かい飲み物を買いに行こうと少し家を出るだけのはずだった。
けれど、コンビニを出てすぐに近くの弁当屋でおにぎりを買いたいと言い出した。
次はゲームセンターに行きたいとか、洋服を見たいとかで、言われるがままについて行ったらわりと遠くまで連れ出されてしまった。
風がやや強く肌寒い。すぐに済むだろうと思ってコートとマフラーだけ着ただけなので、この寒さはなかなかこたえる。
「でこちゃん寒いでしょ。さっきカイロ買ったからあげるね。」
と封の空いたカイロを差し出された。
「ん。ありがとね。」
ポケットから手を出して受けとり、握ったままポケットに手を戻した。
開けてすぐだからむしろ冷たい。暖まるまでまだ寒いままか。
「美希。」
「うん?」
「準備がいいじゃない。最初から遠出するつもりだったんじゃないの?」
正直さっさと家に帰りたいというか、もう帰路にはついているのだけれど。
「なんのことだか、・・・さっぱりわかんないの。いろいろ用事思い出してきちゃったからかな?」
「・・・目が泳いでるわよ。別に用事って言えるような場所行ってないでしょ。
ただぶらぶらしてるだけで。散歩したいなら正直に言えばいいでしょ?」
「それだとでこちゃん面倒くさがってここまで歩かないでしょ?」
ちゃんと言ってくれれば相応の準備をしたのに。
私が美希の頼みを断ると思われていたのだろうか。
「ほんっと寒いわ。ここまで歩くって言ってくれれば手袋もしてきたわよ。」
美希が寒さに震える私の手を見る。
「あ・・・、そう・・・だね。ごめんね。そういうの、もう少し考えればよかったの・・・。」
しゅんとした顔をする。まあ、思いつきの行動で失敗してるのを見るのは慣れっこだけど。
これじゃ私が拗ねて機嫌悪くしてるみたい。
いや、少しそうだったけど美希の悲しい顔を見ているとそういう気もしなくなってくる。私のせいで困らせるのは嫌というか。
でも機嫌悪くしたのは美希に連れ回されて身体冷やしたせいだし、結局美希がから回ってるだけじゃないの。

「別に、大丈夫よ。もうカイロが暖まってきたとこだしね。」
カイロを取り出し、軽く振って見せた。
一度落ち込んだら私から声かけないとずっとこんな調子だし、面倒がかかる。
可愛いとこだとも思うけど。
「う、・・・うん。買っといてよかったのー。」
笑ってかえされた。まったく元に戻るのも早いわ。
「えっと・・・、ね。でこちゃん・・・。」
身体をくっつけて腕を抱かれた。
「こうするともっと暖かいよ・・・?」
美希の柔らかい身体が私の腕を包む。
「ちょっと美希、街中でこういうのはやりすぎよ。」
軽くほどこうとするときゅっとより抱きしめられた。
「でこちゃんは心配性なの。女の子同士なんだからちょっと仲良いくらいにしか見えないよ。」
「そういうものなの?」
「そういうものなの。」
人肌の体温がどうこうじゃなくてドキドキで体温が上がってきた。
そういうものって言っても人前でこういうことって、私達ただの友達という訳でもないから。

「あとね、本当はこれを買いに来たの。」
「・・・?可愛いわね。」
袋からうさぎの形をしたネックレスを取り出した。
もしかしてそれ私に?
「ミキ達、付き合い始めて今日で一ヶ月だね。これでこちゃんにプレゼントなの。」
ああ、そういえばそういう気もするような。こういうのって数えるものなんだ。
「やっぱり覚えてなかったの!今回は許してあげるけど、次は一周年記念だよ!」
「ごめん。私・・・、拗ねちゃったりして。」
「いいのいいの。ほら、つけてあげるよ。」
「うん。」
向かい合って私の首に腕を回す。
チェーンが首筋に当たってひやりとする。留め金をつけるのに少しだけ手間取っている。
この状態ってなんだか抱きしめあっているみたいで、すごく恋人って感じがする。
でも周りからはちょっと仲がいいだけに見えているのだろうか。
「でこちゃん。」
「なに?」
「ミキのこと・・・、好きになってくれてありがと。」
身体を離す前に耳元でささやかれた。ドキッとした。こんな照れくさいことをサラッと言うものね。
「あはは、でこちゃん顔真っ赤なの。」
「誰のせいよ!」
また腕を組んで歩き出す。こうして暖め合えるのなら寒いのも悪くないかも。
ただ、次はもっと厚着したほうがいいかもだけど。

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